Daily Oregraph: 十勝港絵日記 12月28日
事務室の机の上に花が飾られていた。造花かしらと思ったら本物だった。洒落たことをするものだ……と感心するのはちょっと待った。花の手前にもっとおもしろいものがあるのだ。
同席した某氏が「これ、なんですかね?」と首をかしげるのも道理、インスタントコーヒーの空きびんになみなみとお湯が注がれ、紅茶のティーバッグが入っている。取っ手がないから、さわると熱くてとても飲めたものではない。
ぼくは正体を知っているから、「これね、個人用のポットがわりなんですよ。冷めたらフタをして持ち歩き、少しずつ飲むんです」とお教えした。
するとものを知らぬ田舎者の日本人がやって来たとかんちがいした一等航海士が、「ブラックティー、ブラックティー。ノット・チャイニーズ。スリランカ」という。
あのね、紅茶くらい知ってますがな(笑)。こっちは容器に感心したのである。この中国式廃物利用、船ではよくみかける。写真のビンなどはまだ新しいけれど、使いこんだものになると、茶渋がついてすっかり変色しており、初めて見たらギョッとすること請け合いである。
ところ変わればなんとやらの好例であろう。なおかれらの名誉のために付け加えると、小型の透明なポットを使っている人も少なくない。たいていは茶渋で変色しているけれど……
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