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November 17, 2017

Daily Oregraph: かもめかな

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 今日は一度もシャッターを切っていないので、昨日の夕方港町で撮った写真でお茶を濁すことにしよう。

 例によって見るべきものはカモメしかないのだが、ふと芭蕉にカモメの句はあったかしらと気になったので調べてみると、

  
水寒く寝入かねたるかもめかな

という一句がみつかった。

 芭蕉先生わざわざカモメを見に水際へいったわけではない。「
元起和尚より酒をたまはりけるかへしにたてまつりける」という前書があり、例の「古池や」の成った貞享三年(1686年)、深川芭蕉庵での作である。

 寝入りかねたるかもめは寝酒でもやったのだろう、といいたいところだが、ちょっと待った。「水寒く」とあるから、季節は冬だろう。これから寝ようというからには、もう炉の火は消えているはず。わざわざまた火を起こして燗をつけるほど先生がマメなお人だとは考えにくい。

 とすれば独酌で冷酒をあおることになるが、それは宗匠にはふさわしからぬすさまじい光景である。したがって芭蕉翁が依存症でなかったとすれば、結局この夜は飲まなかったほうに賭けたい。

 例の「
きみ火をたけよき物見せむ雪まろげ」も同じく貞享三年の作だから、結局和尚からもらった酒は、雪の日に曾良と一緒に味わったにちがいない。曾良にしたって、雪だるまなんぞを見せられるよりは熱燗のほうがいいに決まっているので、喜んで火を焚いたはずである。

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 -ふん、おめえ、ずいぶんいいかげんなホラを吹くもんだなあ。

 生意気なカモメがそう申しておったと。はあ、どっとはらい。

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Comments

>独酌で冷酒をあおる・・・

そんな感じで毎晩やっていますが(笑)・・・

芭蕉翁はどんな感じで一杯やっていたんでしょうね?
そんなこととを想像しながら一杯やるのもまたおつなものかもしれません。となると酒はやっぱり・・・

>独酌で冷酒をあおる・・・

でなければなりません。

Posted by: 三友亭主人 | November 18, 2017 at 06:54

>三友亭さん

 お礼の句ですから、なかなか寝つけないので、これから一杯いただきます、という意味なんでしょうね。

 でも夏場なら冷酒でいいとして、寒い冬ですから、やっぱり燗をつけたいところです。三友亭先生なら冷やでよし、燗でよし、なんでしょうが(笑)。

> 芭蕉翁はどんな感じで一杯やっていたんでしょうね?

 卒業論文のテーマになりそうですね。せっかくですから、お酒に関係する句を調べてみることにします。

Posted by: 薄氷堂 | November 18, 2017 at 10:16

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