Daily Oregraph: 三日月といえば……
なあんだ、また夕日か……とおっしゃるかも知れないけれど、別にねらったわけじゃない。なんとなくこんな時間になってしまったのである。
世の中夕日ファンばかりでないことは十分承知している。月だってあるわけだが、中には夕日も満月も月並みだというへそ曲がりもいらっしゃるであろう。
当社はそんな少数派の味方であることを誇りにしている。
額に輝く三日月は天下御免の向こう傷、直参旗本早乙女主水介、人呼んで旗本退屈男。諸刃流正眼崩し、みごと受けて見せるか……
こういう月を見ると、自動的に市川右太衛門を思い出すのは歳のせいというものだろう(笑)。
悪人どもをバッタバッタとなぎ倒す退屈男は小気味よかったけれど、しょせんは幕府の犬、お上のご威光をふりかざすところは水戸の爺様と同じである。その点では居合い斬りの座頭市や、ニヒリスト眠狂四郎のほうが反権力的で、はるかにカッコよかった。
……おっと、話がとんでもない方向へそれてしまった。夕日を拝み、月をめでるつもりだったのに。
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