Daily Oregraph: 入るな
「入るな」といわれれば入りたくなるのが人情だ。しかしどこぞの頭のおかしい男がぶっぱなすミサイルの真似をして、ホールドの中に無断で侵入するのは厳禁である。
無断で中へ入ったはいいが、艙内が無人だと誤解されて、出入口を閉鎖される恐れがある。水密性を保つためにがっちりカバーを固定するから、中からは絶対に開けられない。
おまけにハッチカバーまで閉められると、中は漆黒の闇と化し、懐中電灯の用意がなければ、まったく身動きが取れなくなる。大声で叫んだって、とても外には聞こえやしない。
もちろんただちに生命の危険に陥ることは少ないけれど、一種の早すぎた埋葬みたいなもので、あなたが洞穴マニアでもなければ、最高の恐怖を味わうはめになるだろう。
つまり自分の身を守るためにも、警告を無視してはいけないのである。
……という予備知識を仕入れておくと、暗がりの中へ射し込む日の光にいっそうのありがたみを感じるであろう。
ああ、生きててよかった(笑)。
Comments
赤地の所へ「DO NOT ENTER」と書いてあったら、「よほどヤバイ場所なんだな」と二の足を踏みますねぇ。オマケに私は閉所恐怖症なので、狭い穴とハシゴを見ただけで駄目です。
仰有るように丸く切り取られた空が唯一の救いになりますねぇ。
しかしばら積み貨物船というのは構造的になかなか面白くて、「入るな」と書いてあってもついつい色々探検したくなる様な感じです。
まあ、それとは関係ないのですが、とある寺社で関係者以外入れないように柵をしてあるのですが、高齢女性が入り込んだ事がありました。 「入るな」注意され、警備の方に「入るなと書いてないのに入って何が悪い」と開き直った事があったそうです。
そんな方ならこの穴の中へ…(笑)
Posted by: Nori | September 16, 2017 21:59
>Noriさん
どうもお恥ずかしい。なにしろネタがないものですから、なんにでもレンズを向けるわけです。
おっしゃるとおり、貨物船はなかなかおもしろいですよ。客船のようなお上品さはない代りに、男心を揺さぶるところ(笑)があります。
でも危険がいっぱい。
もっとも高齢女性でしたら、垂直のハシゴの上り下りはまず無理でしょうから、無断立入りの心配はないと思います。でも運動能力抜群のスーパーお婆さんなら……
Posted by: 薄氷堂 | September 16, 2017 22:56