Daily Oregraph: 春採湖畔パトロール (2)
まずは市立病院下あたりから、ホザキシモツケ。
そこからしばらくは夏枯れ状態で、セリ科の大型植物の多くが枯れはじめ、衰退期に入ったローマ帝国のごとき様相を呈している。
エゾスグリやネムロブシダマの木が見あたらないことには前回来たときに気づいたが、台風の被害なのだろうか。今年はハッカの花も見えなかった。
写真は旧科学館下寄りに咲いていたイケマ。根は有毒だが、葉は食用になるらしい。
ミツバフウロ。
発育不良のトウキビみたいなのはコウライテンナンショウの果実。やがて真っ赤に色づく。
この実は有毒だと思いこんでいたが、牧野先生の図鑑(マムシグサという名で収録されている)によれば、「液果は(中略)赤く熟し、味は辛い」とあるから、毒はないのだろう。牧野先生は実際にかじってみられたのであろうか?
ヒヨドリバナ。南岸沿いにも咲いていた。
いかなる連想の働きか、ぼくはこれを見ると、なぜか敗走する平家の公達を思い浮かべるのである。
夏の真打ちミヤマニガウリ。たまには引いて見ると、その威力がよくわかる。ワイワイと騒がしい子鬼のような連中である。
野生のゴボウ。一度食ってみたいものだが、春採湖畔は植物採取が禁止されている。残念。
ぼくたちの他にもパトロール隊が見回りしていた。このおかあさんは植物をよくご存じらしく、キツリフネの種をさかんに破裂させてはおもしろがっておられた。
ぼくも「ほら、おもしろいだろう」といって、T君に種がはじけ飛ぶところをデモンストレーションしてみせたのだが、返事はあまり気のないものであった(笑)。
ツリガネニンジン。これも英語の blue bell の仲間だろう。たしかに釣鐘型をしているが、ぼくはコルセットでぎゅっと腰を締めつけた女性のスカートを連想する(変ですか?)。
いよいよ本日の散歩コースも終りに近づいてきた。ドクゼリである。全草猛毒という困ったやつである。
毎年旧柏木小学校近くにまとまって見られるエゾフウロ。もう少し赤っぽく、色も濃いけれど、うまく再現されなかった。
これでガラッ八君との見回りを終えたわけだが、もちろんすべての花を撮影したわけではない。たとえばたくさん咲いているハンゴンソウだが、どうしても名前を思い出せず、あまりにもくやしいから(笑)レンズを向けなかった。
ぼくの趣味につきあわせてしまって、T君には申し訳ないことをした。ときどき立ち止まっては写真を撮るものだから、なかなか散歩がはかどらないのである。東京で飲み歩くときは、すなおに案内に従うから勘弁してほしい。お店も勘定もすっかりお任せするつもりである。
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