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April 29, 2017

大阪一日散歩 鶴橋迷宮編 (3)

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 一般人が卸売市場に入りこんでもかまわないのだろうか? 遠慮しながらおずおずと入ってみると、ほとんど人気がない。そうか、卸売市場は早朝が勝負である。ちょうどじゃまにならぬ時間でよかった。

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 しばらく進むと、前方が急に明るくなった。はてな?

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 えっ、鶴橋卸売市場協同組合?

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 そうか、ここは本来の卸売市場機能を果たす場所と、一般向けの小売り商店街の二つに分れているのか。一般向けの出入口はこちらなのだろう。

 お気づきになった方がおいでかどうかは知らないけれど、実は前回の記事中、最後から三枚目の写真を拡大して見ると、

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看板には「鶴橋卸売市場」の文字があったのである。つまりぼくはいつの間にか「つるしん」から卸売市場の商店街に迷い込んでいたわけだ。両者はどこかで連絡しているらしいのだが、ぼくはあとで写真を見直すまで気づかなかったのである。

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 さっき抜けてきた暗い通路がまるでウソのようなにぎわいである。

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 またもやウロウロしているうちにさしかかった、衣料品店と八百屋さんが向い合せのこの場所は……おや、「鶴橋市場 中央会」とあるから、別の商店街らしい。おいおい(笑)。

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 ……と思う間もなく、今度は「中央商店会」とは、いったいどうなっているんだろう?

 「つるしん」だけでも迷子になりそうだというのに、ほかにいくつかの商店街が一緒につながっているんだから、まるでわけがわからない。それこそ学芸員を配置すべき場所ではないか。

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 すっかり頭が混乱したので駅へ向おうとして時計を見ると、すでに12時50分。さすがに腹が減ったところに、立ち食いうどんの暖簾が……

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 実はぼくは大阪でうどんを食べるのはこれが初めて。初経験は鶴橋のキツネうどん、三百円也。

 われながら安上がりな男だと思うが、大きな油揚がのっかっていて、ふつうにうまかった。「孤独のグルメ」のセリフじゃないが、こういうのでいいんだよ、おれは。

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 立ち食いうどんのお店で目にしたのがこれ。缶ビール260円は安いよなあ。宣伝文句もやさしさに溢れている。

 しかしご自身へのご褒美は遠慮しておいた。このあともう一箇所歩かねばならないからである。

 鶴橋よ、見ておれ。きっといつかこの迷路を制覇してやるとも。

(「京橋編」につづく)

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April 28, 2017

大阪一日散歩 鶴橋迷宮編 (2)

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 ちょっと通路の狭い商店街かな……最初はそう思った。ふうん、案外洒落た感じじゃないか。

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 あとで思えば、どうやら扱う商品によって住み分けがあるらしい。衣料品は不得意とするところだから、どんどん先へ進むと、

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 やがてキムチの提灯とともに雰囲気は一変する。

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 チヂミ、韓国のり巻。なるほどここは朝鮮半島文化が優勢らしい。

 写真を見直して気づいたのだが、正面奥のおっちゃん二人は昼前からビールを一杯やっているようだ。うらやましい。

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 知らぬうちに青空の下に出た。左側のお店では、ベンチに腰かけてチヂミを食べられるのである。 おばちゃん、うまそうですなあ。

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 この場所には案内地図があったけれど、一度見たって、とても覚えきれるようなものではない。

 どうやら東西南北にいくつかの「班」に分れているらしい。地図を見るかぎりでは「迷宮」とはちと大げさなのだが、アーケードの中では方角の見当がつきにくいから、初心者泣かせであることはまちがいない。

 次回は印刷された案内図を手に歩こうと、かたく心に誓ったのであった(笑)。それでも何度か通わねば「つるしん」の達人にはなれないだろう。

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 ふたたびアーケード内に入る。

 ぼくはあまりキムチは得意ではないけれど、この色彩は鮮やかでいい。

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 すてきな笑顔のおばちゃん、何も買わんと冷かしで、ほんまに申し訳ありまへん。堪忍してや。

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 こちらは魚屋さんに八百屋さん。

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 店先には見たことのない品も並んでいる。

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 おもちゃ屋さんもある。キムチとチヂミのあとに見ると、いささか異質なものが出現したようだ。

 お隣の菓子屋さんの看板がまたいい。かなりの歴史を感じさせる。

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 昭和に生まれ育った男にとっては、記憶の奥底を揺すぶられるような景色である。

 ツンと澄ました高層ビルやのっぺらした巨大商業施設には、貧乏人を見下したような傲慢さと一種の敵意さえ感じるから、ジジイの居場所はない。ここなら冴えないおっさんがウロウロ歩いていても景色に溶けこんでしまうから、なつかしい場所に帰ってきたような心地がする。

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 どこをどう歩いたのかさっぱりわからぬまま、大きな通りに出た。たぶん「つるしん」の半分も見ていないと思う。

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 ふうん、鶴橋卸売市場か……なんだか平凡でつまらなそうな建物である(今思えば、たぶん外側だけ補修したのだろう)。どうしようか迷ったけれど、思い切って入ってみることにした。

 なんとここも見かけと中身は大ちがい、第二の迷宮といってもいい場所なのであった。鶴橋恐るべし。

(つづく)

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April 27, 2017

Daily Oregraph: 豚丼を食う

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 本日は150回以上もシャッターを切ったのだが、この一枚を除き、すべて色気のない仕事の写真ばかり。他人の昼飯などどうでもいいとは思うが、せっかく撮ったんだから、利用しない手はない。

 人生の大問題でもあるまいに、チャーハンとラーメンのセットにしようか、それとも豚丼とうどんのセットにしようか、おおいに迷っていると、同席のSさんがぼくの腹の出具合を心配してくださって、

 -セットはおやめなさい。きっと満腹して眠くなるから。

 なるほどごもっとも。そこで素直にご忠告に従って(われながらえらい!)、お店おすすめの豚丼に決定。せっかく十勝に来たんだから、豚丼は悪い選択ではあるまい。

 ごらんのとおり、このお店の豚丼は、いかにもという濃厚な味付けではない。見かけどおり、どちらかといえばあっさり系である。しかしこれはこれで、ほのぼのとした味わい、おいしくいただいた。量もほどよく、Sさんのご忠告を尊重したおかげで、午後の仕事も居眠りせずに勤めることができた。

 さてこの機会に一言。万一ミサイルが飛んできたって、けっして丼を手から離してはいけない。政府のたわけた宣伝を盲信して地べたに伏すも、しぶとく豚丼を食いつづけるも、命中すれば結果は同じ。ハハ、呑気だねえ。

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April 25, 2017

大阪一日散歩 鶴橋迷宮編 (1)

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 JR鶴橋駅を出ると、目の前に鶴橋駅前商店会の看板が見えたので、素直に通りを渡り、

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ブラブラと歩きはじめた。

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 へえ、歩いてまっせ。最初から自転車はありまへんけど(笑)。

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 税込み50円ショップ。これにはビックリした。ここは21世紀じゃないぞ。ほんとうに商売になるのかしら?

 おもしろそうなものがたくさん並んでいるので、じっくり見たかったけれど、時間があまりないから、それは次の機会にゆずることにした(また訪れる気になっている(笑))。

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 この一角、昭和がそっくり残っている。ジーンと胸が熱くなった。

 しかし……ずいぶん人通りが少ない。鶴橋ってこんなところだっけ? と少々疑問を感じながら先へ進むと、

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なになに、「玉造 日之出通」とな……えっ、玉造?

 どうやら方向をまちがったらしい。西も東もわからないとはこのことで、ぼくは駅の西側をウロウロしていたようだ。

 だが、ここはここで味があるから、十分再訪に値すると思う。日之出通も見物したいしなあ。

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 ふたたび駅前に戻ってキョロキョロしていると、

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通りの向こうに「鶴橋商店街 振興組合」の文字が見えた(このあと知ったのだが、通称「つるしん」)。ひょっとしたらあそこだろうか。

 さよう、この一見何の変哲もない看板こそ、恐るべき迷宮の入口なのであった。次回はアリスもビックリのワンダーランドに、いよいよ足を踏み入れることにしよう。

(つづく)

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April 24, 2017

大阪一日散歩 天満ウォーミングアップ編

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 JR天満駅。この日は今までほとんど利用したことのないJRで大阪までやって来た。市内の移動も、もっぱらJR。

 ぼくは大阪の土地勘ほぼゼロである。何度か訪れてはいるのだが、文字どおり西も東もわからない。迷子になって POLICE の世話になるのはいやなので、駅から遠く離れるわけにはいかないのである。

 一応ポケット版の地図を用意はしてきたのだが、方角を心得ていればこその地図である。東西南北のわかりやすい京都とはずいぶん勝手がちがい、地図を開こうという気がすぐに失せてしまった。

 当然駅の回りをウロウロしたにすぎず、なんとも情けない結果に終ってしまった。やはりこの町には長期滞在する必要がありそうだ。

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 おお、ここはおもしろそうな場所だな……そう思ったけれど、まずは駅周辺をもう少し歩いて、空気になじまなくてはいけない。

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 いい感じである。どこがどうとはうまく印象を表現できないが、東京とはもちろんちがう。札幌ともちがう。京都ともちがう。

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 地理がわからないから、どこをどう歩いているのかまったくわからない。まさに徘徊ジジイである。

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 これは天満市場内だと思うのだが……自信はまるでない。同じところを何度もぐるぐる歩いたような気がするのである。

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 ここが「天五 天神橋筋商店会」とは、あとで写真を見直してわかったのである。

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 道路の向こうは「天五中崎通商店街」……してみればここは、

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 天神橋五丁目。これを天五と省略するからには、大阪人はかなりせっかちなのかもしれない。

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 天神橋四丁目(これも写真を見直して知った)。

 この一帯はとにかく商店街だらけで、それらが狭い小路によって縦横に連絡し合っている。半日やそこらで地理を飲みこむのはとても無理と悟って、結局ほんの三十分ほどで撤退したのはわれながらくやしい思いがする。

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 この日はじめて乗った大阪環状線。

 天満ではほんの足馴らしに終ったけれど、さてお次の鶴橋ではいかがあいなりまするや?

(鶴橋編につづく)

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April 22, 2017

大阪一日散歩 大阪町角アート編

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            客寄せ猪八戒 (天満)

 3月30日。大阪は一泊のみだから、ぼくは三ヶ所に絞って散歩した。すなわち天満、鶴橋、そして京橋だが、特別な理由があって選んだわけではなく、ええかげんにエイヤッと決めたのである。

 ぼくは大阪が気に入っている。完全に自由の身であれば、一ヶ月ほど滞在して歩き回りたいくらいなのだが、なかなかそうもいかない。せめて二週間……いつかは実現させたいと願っている。

 たいていは田舎から出てきたくせに澄ました顔をしている東京人がなんといおうとも、大阪には大阪の洗練がある。東京には真似のできないセンスがある。

 そこで今回は北海道から内地(この言葉、まだ生きている)へやってきた男が瞥見した大阪の町角アートをいくつかご紹介したい。

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             壁面アート (天満)

 
みごとである。壁ごと切り取って美術館に持ち込むだけの価値はあると思う。

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            たばこの墓場 (天満)

 この種のアイディアは大阪人でなくとも考えつくとは思うが、たいていは実行に移さないものだ。看板もすごいけれど、店先にたばこの墓を建ててしまったところがえらい。

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            尻の見本市 (鶴橋)

 これもアートの域に達している。尻が並ぶと、こんなに美しいものだとは…… ぼくはしばしみとれてしまった。

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          おばちゃんの足? (鶴橋)

 この靴下(?)、まさか若いおねえさん向けのものではあるまいと思うが……これはこれで絵になっている。

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           立っち呑み (鶴橋)

 ヘタウマ系アートである。配色の妙に見るべきものがある。しかもドラム缶をこのように利用するとは!

 このお店なら親子連れでも気軽に立ち寄れるのではないか。お父ちゃんはキムチをつまみながらビールを一杯、こどもはチヂミにサイダー、その間お母ちゃんは洋服の品定め……いや、ひょっとしたら、お父ちゃんは細君に逃げられたのかもしれない。

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             作品 (京橋)

 激安自販機とクラブの看板とで、ひとつの意図せざる作品。どちらが欠けてもアートは成立しない。なお y2 club とは、ワイワイ・クラブと読むのだろうか?

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            黄色の涙 (京橋)

 これはすごい。シュルレアリスムである。みなさんはどうか知らないが、少なくともぼくは黄色い涙を流す人物を見たことがない。

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            階段アート (京橋)

 美術展や写真展へ行ったことのある方ならご存じのように、たとえよほどの傑作でも、十秒ほどながめたあとに「あら、なかなかうまいわね」といってもらえれば上等であろう。たいていの場合、鑑賞時間は一枚あたり平均ほんの数秒といっていい。

 じっくり見てもらうには工夫が必要なのだ。この階段アートの場合、まず3段目「アナタはどっち派!?」から視線を下に転じ、テッチャンかハラミを選択する。

 注意すべきは、ふつう下から読みはじめ、一段目→二段目→三段目の「どっち派!?」でハッと気づき、ふたたび二段目→一段目と視線が動くことだ。つまりテッチャンとハラミは二度読まれることによって、脳裏に深く刻まれるのである。

 その次は「昭和ホルモンへ ようこそ!!!」と下から上に変り、つづいてたぶん「No ホルモン No ライフ」(ホルモンなくしてなんの人生ぞ)だろうから、ふたたび上から下。ここも意味を考えさせられるから、人生におけるホルモンの重要性にあらためて気づかされることになる。

 ちょっと疲れたところで「あと8段でっせ」と励まされ、がんばってさらに上に登ろうとするあなたは、まちがいなく「I love ホルモン」。

 以下省略するが、実に巧みに視線を誘導するプロのわざを感じないわけにはいかない。学ぶべきことの多い階段である。あっぱれ。

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            ナント! (京橋)

 1,980円に驚いたのではない。水槽中のフグが、まるで額縁の中の絵のように見えたことに感心したのである。

 なにしろ実物を使っているわけだから、これは典型的なリアリズム作品。

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           存在理由 (京橋)

 BAR レーゾンデートル。もしかしたら、マスターは大学の哲学科でフランス哲学を専攻された方かもしれない。カウンターの裏には、いまや誰も読まなくなったサルトルの本あたりが無造作に置かれているのかも……

 客層もまた気になるところだ。しかしこちらは立呑み屋ではないからまだ開店前である。確かめることもできずに立ち去るしかなかった。

 アートとしてではなく、あまりにも心残りだから(笑)、本日最後の一枚として載せておいた次第。


(「天満編」につづく)

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April 21, 2017

京都足棒日記 植物編

 このたびはあまり収穫はなかったけれど、一応植物編としてまとめてみた。

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  今年初めて見た桜(3月26日 洛南高校)。

 今年はソメイヨシノの開花が遅く、残念ながら満開の花見を楽しむことは出来なかった。ちょうど入学式のころにはあちこちで「サクラ サク」ことになるのだろう。

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 そのかわり市内のあちこちで見かけたのが椿である(3月24日 南区)。

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 椿にはバリエーションがあるらしく、前の写真の花とは趣が異なる(3月27日 今宮神社近く)。

 花はボトッという音とともに地面に落下する。慣れないと少々驚くかもしれない。

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 稲荷山で見た竹藪とはまるでちがい、凜然とした姿はまこと禅寺にふさわしい(3月27日 大徳寺)。

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 ユキヤナギ(3月27日 同志社大学前)。

 わが裏庭でユキヤナギが咲くのは6月の初めだから、なんと二ヶ月もの時差がある。この季節感のちがいあるがゆえに、北海道人が古典の詩歌を理解するのは困難なのである。

 花をながめただけで、とうとう同志社のキャンパスには入らなかった。あいかわらず未知の領域のままである。次回はぜひと思っているので、嫌わんと中に入れてね。

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 満開の桜のかわりといってはなんだが(笑)……ちょっとさびしいから、華やかなレンタル着物おねえさんのグループを(3月28日 八坂神社)。

 おやおや、手前右のおねえさんはキヤノンの一眼レフか。やるもんだなあ。ジジイの負けである。

 さて順番でいえば、京都神社巡り編が残っているのだが、当然のことながら、地味な内容になりそうだ。次回から数回大阪編をはさんで、最後に神頼みをすることにしよう。

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April 20, 2017

京都足棒日記 六条通突キ抜ケ編 (2)

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 前回同様略図を示しておく。おおむね左右対称という、実に美しいルート(笑)である。

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 いきなり本堂(?)というふしぎなお寺からは、盛んに太鼓の音が聞こえてくる。とても21世紀とは思われぬ雰囲気が漂っていた。

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 別にのぞき見をしたわけではなく、開けっ放しだから自然に目に入ったのである。お坊さんがドンドン太鼓を打ち鳴らしながら般若心経を唱えるそばには、ご祈祷を受けるご婦人が立っていた。ご家族の病気でお悩みなのかもしれない。

 このお寺は初めて拝見したのだが、千年以上の歴史を誇る古刹である。因幡薬師という名のとおり、ご本尊は薬師如来、それを天徳三年(西暦 959年)橘行平が因幡の国の海中より引き上げて、自宅に建てた因幡堂に安置したのだそうな。

 平等寺の名づけ親は高倉天皇。前回京都を訪れたとき、ぼくは高倉天皇陵を拝見してきたので、これもなにかの縁であろうと思った。仏縁やら高倉天皇さんのご縁やら、こう縁だらけでは、なんだかクモの巣に絡め取られたような心地がする。

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 ここには賓頭盧(びんずる)さんもチョコンと坐っており、ぼくもつい頭をなでてしまった。そうせずにはいられない、一種の引力を感じたのである。

 しかし頭がツルツルになるのは困るから(笑)、心ばかりのお賽銭を上げておいた。どんなご利益があるのやら。

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 平等寺をあとにして、ふたたび松原通へ出る。

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 平等寺のすぐ近くから右手に折れ、東洞院通りを南下する。

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 10時31分、六条通りに到着。写真は西から東を見たところで、画面左が今歩いてきた東洞院通りである。

 いかにも道路を拡幅したという形跡が残っているけれど、いかなるわけがあったのか、広いのはここだけ。

 この通りを東へ向ってもいいのだが、本日は旧六条通りを歩くのが目的のひとつだから、ふたたび左折して、もと来た道へ戻ることにした。

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 旧六条通りの入口は六条通りからすぐ、黒い車の停まっている角を右に入る。

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 旧六条通り。ここを東へ向って前進。

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 やがて見えてきたのは高倉幼稚園(高倉通六条上る)。ここもまっすぐ進む。

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 気のせいか、道幅が少し狭くなったように感じる。

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 小路を抜けると、長講堂にぶつかる。初めて目にしたのだが、元六條御所というから、なんとなく由緒がありそうだ。

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 こういう案内板は、歩いているときに読んでもどうせ頭に入らないから、ぜひ撮影しておくべきである。

 なになに……「もとは六条西洞院にあったが」とあるから、天使突抜四丁目の角、六条郵便局のすぐ近所ではないか。そこからここまでやって来たというのはおもしろい。

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 長講堂前からは、少しの間北東へ進む。

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 すると間もなく同じ並びに蓮光寺がある。

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 長宗我部盛親さんとはお付き合いがないけれど、このお寺は浄土宗だから法然さん、さっき見たばかりの長講堂は西山浄土宗で、やはり法然さんの流れを汲む。

 ぼくはバチ当たりの男だが、これは法然さんのお導きと考えるしかなさそうだ。もはや仏縁でがんじがらめである。

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 蓮光寺を過ぎてすぐ、家具屋さんの前を右に折れる。

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 だんだん終点が近づいてきた。

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 さてこのあたりの地名は本塩竃(もとしおがま)町である。なんで京都に塩竃が? という疑問に答えられるほどには、いつの間にかぼくも成長していた(笑)。

 この日の散歩コース最終目的地である六条河原院跡について以前書いた記事があるから、ぜひご一読いただきたい。疑問が解決すると思う。

 

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 やがて正面に河原町通りが見えてきた。

 「女人守護 いちひめ神社」があったのでおじゃましようとしたら、

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このとおり工事中で、仮の通路上でも工事関係者が忙しそうにしておられたから遠慮しておいた。ぼくには仏縁はあっても女縁はないらしいが、どうせもうすぐ頭が賓頭盧さんみたいになるんだろうから、もうどうでもよろしい。

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 画面右が河原町通り。このあたりを河原町正面という。ここは河原町通りを渡って東(画面では右)へ向う。

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 するとすぐに高瀬川。橋の向こうへ渡って、

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煙草屋さんの店先の灰皿をお借りして一服したのち、高瀬川沿いに北上する。

 このあたり、なかなか落ち着いて感じのいい場所である。

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 10時59分。ほら、見えてきた。河原院跡の目印となる榎である。

 散歩コースの終点としては、まことに気が利いていると自慢したくなるけれど、結局は奇人源融の魅力に引かれてやって来たのである。これまた縁なるかな。

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Daily Oregraph: 裏庭画報 いっぺんに花が

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 物置から夏タイヤを取り出そうと、久々に裏庭へ来てみれば、まだ雪が少し残っている。

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 しかし花はもう何日も前から咲いていたようである。

 少し前まで曇っていたせいか、十分に開いてはいないが、ウラホロイチゲは今年もたくさん咲いていた。わが裏庭の天然記念物である。

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 フクジュソウはすでに薹が立っている。面倒がって見に来なかったから、一番きれいな姿を拝めなかったのである。

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 エゾエンゴサク。こいつは水色、青、紫と色に変化が多いけれど……

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純白の花には初めてお目にかかった。これはまことに珍しい。正月のおみくじの大吉効果は、まだつづいているらしい。

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April 18, 2017

京都足棒日記 六条通突キ抜ケ編 (1)

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 3月29日、西本願寺前をスタート。六条通りにはじまり六条通りに終るコースである。写真が多いので、記事を二回に分けることにした。

 第一回目は地図に示したとおり、平等寺まで。できるだけ散歩気分を味わっていただきたく、説明をなるべく短かめにして、写真をいつもより多めに掲載したい。

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 09時32分、西本願寺前バス停を下車して堀川通りの東側へ。ここはなにぶん大寺だから、写真には収めにくい。

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 井筒法衣店が見える。

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 地図には記入しなかったが、井筒前を東西に走る道路は新花屋町通りである。

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 新花屋町通りからワン・ブロック北に、めざす六条通りがある。自転車のおばちゃんのあとについていくことにしよう。

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 これが六条通り。たぶん昔はもっと道幅が広かったにちがいない。

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 まもなく道路の左手(北側)に六条郵便局が見えてくる。郵便局の角を左へ曲がると、

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天使突抜(てんしつきぬけ)四丁目である。地名は風変りだが、通り自体は京都市内ではごくふつうのもの。

 天使突抜という地名のあることは知っていたが、実際に目にするのはこれが初めてである。この奇抜な地名の由来を歩いて確かめてみようというのが、本日の目的のひとつ。

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 たしかに天使突抜四丁目である。案内地図に「東中筋通」とあるので、はてな、と思ったのだが、このあと間もなく謎は解ける。

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 やがて三丁目。このあたりで今来た道をふり返って見る。やはり天使は飛んでいない。

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 三丁目の端に近づくと、大きな通りが見えてくる。五条通りである。

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 五条通りを渡って二丁目に入るが、格別変った様子はなく、どこにでもあるような通りという印象は変らない。

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 天使のくぐりそうなアーチの左側に「東中筋通五条上る 天使突抜二丁目」の住所表示板があり、この通りの名称は「東中筋通」であって、「天使突抜」というのは道路名ではなく、一種の町名であることがわかった。

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 やがて一丁目。

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 それにしても、いかなるいわれがあるにせよ、町名が天使突抜とは、古いんだか新しいんだか、京都人のセンスにはまったく驚くほかない。

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 一丁目の向こう、東西方向に別の通りが見えてきた。

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 松原通りである。これは交差点から西を見たところ。ちょっとした商店街である。

 赤い旗には「松原京極」とある。京都はいわく因縁だらけの町だから、ウサギの絵にもきっとなにかわけがあるのだろう。

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 松原通りを東へ進むと、

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道の右手に、間もなく神社の裏門(?)が現れる。これこそ天使突抜の謎を解く鍵なのである。

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 五條天神宮の表門は西洞院通りに面している。どこにでもありそうなごく小さなお社のように見えるが、実はかなりの古社であって、案内板の説明はぜひとも一読する必要があるだろう。

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 五條天神はテンジンではなくテンシンである。もともとの名称は「天使の宮」で、「社域も広く、社殿も広壮であった」という説明から、天使突抜の由来はだいたい見当がつく。

 東中筋通りはいつの頃か新しく作られた道路で、それがかつては広大だった天使社の境内を突き抜けた、ということだろう。現在では東中筋通りと五條天神との間には若干の距離があるから、この案内板を読まなければ「突抜」の意味はわかりにくいと思う。天使が西洋の angel とはちがうことも、これでわかった。

 わけはわかったが、それを地名に採用するセンスは、やっぱり凡人の理解を越えている。京都恐るべし。

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 新知識を得て少し賢くなったせいか、足取りも軽く(笑)松原通りをさらに東へ向う。

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 やがてまた大きな通りにぶつかる。

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 南北を走る烏丸通りである。したがってここは烏丸松原。

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 10時06分。烏丸通りを渡って間もなく、本日第二の目的地、平等寺に到着。別名因幡薬師である。

 次回はこのお寺で一服してから先へ進むことにしよう。

(つづく)

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April 17, 2017

Daily Oregraph: 春の空

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 やっと緑が復活しつつあるけれど、まだ太陽のぬくもりと風の冷たさが入りまじっている。

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 今日はずいぶん潮が引いていた。岩場がこれほど顔をのぞかせるのはめずらしい。

 昔は干潮時には弁天ヶ浜から岩場づたいに知人まで歩けたのだが、長年の浸食の結果、今ではとても無理な話である。

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 もう冬の空ではない。

 わが裏庭ではもうそろそろ花が咲きはじめたころなのだが、散歩には出るくせに、おっくうがってまだ見にいっていない。もうじき土起しもせねばならないのだが……

 京都足棒日記は六条通り編に入るところだが、一応は略図を添える必要もあるから、ちょっと準備が必要。明日にはスタートできるだろう。

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April 15, 2017

京都足棒日記 仏縁散歩編

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 3月27日。千本北大路でバスを下車。

 この日は今宮神社をめざしたのだが、地図をながめると、近くに佛教大学があるので、敬意を表してキャンパスへおじゃますることにした。

 1994年佛教大学は新聞に全面広告を出した。広告といっても、さもしい宣伝ではなく、

      人間は、
     いつか
     死ぬ。


というコピーだったから驚いた。まさに真理中の真理である。これには不信心者のぼくもすっかり感心し、いつか機会があったら……と思いつづけていたのだ。

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 学生の姿が少なかったのは、まだ新学期前だからであろう。

 警備員さんに怪しまれることもなく(笑)、キャンパスに入ってウロウロしていると、

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法然上人像が目にとまった。そうか、ここは浄土宗の大学なのか。

 浄土宗はわが家の宗旨だから、これもなにかの縁であろう。法然さんの教えは、ひたすら仏教学に励めというのではなく、ただすなおにお念仏を唱えよ、というものだったと思う。たしかに信仰とはそういうものだろう。どんな宗教でも学問的に追究すればするほど、知識は深まる一方で、かえって信仰から遠ざかる恐れもある。

 一切の迷いや疑いを捨て、えらそうな理屈をこねず、思い切って湖にざんぶと身を投ずるのが信仰というものではないか。ぼくはそれができないから不信心者のままジジイになってしまったのである。法然さん、ごめんね。

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 佛教大学をあとにして、予定どおり今宮神社へ向ったのだが、それは別の記事でご紹介することにしたい。今回はめずらしく仏さんつながりの散歩としてまとめよう。

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 今宮神社へ参れば、大徳寺はすぐ近く。すばらしい散歩道でもある大徳寺の境内をブラブラする。

 清水寺や伏見稲荷のように観光客でごった返すことはないし、ここはおすすめの散歩コースのひとつだ。

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 休憩所では無料セルフサービスでお茶をいただくことができる。さすがは一休さんゆかりのお寺である。ありがたいことだ。一休み、一休み。

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 門前で大徳寺納豆をおみやげに買う……つもりはなかったのだが、写真左のお店の前を通りかかると、おばちゃんに声をかけられた。これも仏縁か?

 このおばちゃんが商売上手で、まあ納豆をつまみなさいといって、チリメンジャコといっしょに差し出してくれた。大徳寺納豆とチリメンの組合せは、最強のご飯の友なんだそうである。お茶の接待までしていただいたのに買わないわけにはまいらぬ(笑)。

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 ここまで来た以上、新大宮商店街ははずせない。その昔、たったひとりで夜中にこの商店街を駆け下って大徳寺門前で折り返すという、勝手に名づけて大徳寺マラソンを実行したとは、今のジジイからは想像もつかない驚愕の事実(笑)である。

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 法然さんから途中一休さんをはさんで、お次は親鸞さんへ。といっても仏さんに導かれたというわけではなく、どうしてもここ大谷大学を訪れたかったのである。

 学生時代バスの窓から何度もこの煉瓦建築をみかけ、一度間近に拝見したいと願っていたのだが、やっとその機会が巡ってきた。

 当時は校門から遮るものなく煉瓦の建物が見えたと記憶している。手前のコンクリート構造物はなかったはずだ。

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 期待にたがわぬすばらしい建築である。尋源館というらしい。ぼくの記憶中ではもっと古色のついた建物だったから、たぶん改修工事をしたのだろう。

 煉瓦建築というと、同志社があまりにも有名だけれど、それに一歩もひけを取らぬ堂々たる建物で、一見の価値はある。

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 ドアを開放していたので、内部もちょっとだけ拝見したが、たいへん格調の高いものであった。

 尋源館を見学して、思い残すことがひとつ減ったのはうれしい。なんだかんだとやたら学部を増やして商売にはげむ大学が多い中、文学部のみの単科大学をつらぬく本学の姿勢には好感がもてる。一層のご発展をお祈りしたい。


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 キャンパスを拝見して校門を出ると、脇に喫煙コーナーがあった。おお、これぞ慈悲の心ではないか。

 喫煙者は今や悪人である。おのれの極楽行きを信じて疑わぬ、つまりは救済を必要としない善人たちに指さされ、愚か者よ、うつけよ、と軽蔑されるままに、街中で灰皿を探してはコソコソとタバコを吸う、つまりは自覚性の悪人である。

 例の「善人なほもて……」を思い浮かべつつ、ぼくはありがたく一本のタバコを味わった。やはりこの日は仏縁による散歩だったのだろう。

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April 13, 2017

京都足棒日記 ふしぎいなり編 (3)

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 よく山道は下りに気をつけよという。膝を痛めやすいからだろう。

 若い頃はそんなバカなと鼻で笑っていたのだが、このたびは予想外に下りに時間がかかったのには愕然とした。かつてはタッタッタッと軽やかに駆け下りることができたのに(ベートーヴェンの交響曲第8番第2楽章冒頭を想起されたい)、なんということだ!

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 それでも登りよりずっと楽なことはいうまでもなく、途中店先をながめる余裕もできたのはなによりであった。

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 ところでお稲荷さんといえば、どうしてキツネなんだろうか? 少し長いけれど、『京都の旅 第1集』(松本清張・樋口清之 共著 光文社文庫)から引用してみよう。

 元明天皇の和銅四年(七一一年)に、賀茂氏の出身の賀茂の伊呂具(いろぐ)という者に秦公(はたのきみ)の姓を与えて、山城の秦氏をおさめさせた。

 この伊呂具が、あるとき、餅をつくって的にし、矢を射たところ、餅は白い鳥になって飛び立ち、それがいまの稲荷山にとどまって、そこに稲がはえたので、ここを稲成り(いねなり)と呼び、稲成りの神をここにまつらせたのが、いまの稲荷神社のはじまりと伝えている(『山城国風土記』 逸文)。

 (中略)稲荷の社は、祭神としてはウガノミタマノカミなどをまつっている。そして食物は御饌(みけ、みけつ)ともいわれた。この神は食物神、すなわちミケツの神であるが、ミケツ→ケツ→キツ→キツネと音から転じて、稲荷は狐だと思われるようになる。そこへ仏教のもってきた印度の稲の神が、頭に狐のかんむりをのせた陀枳尼天(だきにてん)であった偶然から、いよいよ稲荷は狐の姿をした神であると、つよく信じられたらしい。

 つまり最初にキツネありき、というわけではなかったらしく、キツネは神様に昇格して得をしたことになる。

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 登りとは別の道を下った証拠写真。正面がいま下ってきた道で、左手が清瀧社へ向う道である。

 この写真の登場人物はいずれもリュックを背負っている。なるほど低い山だと甘く見ず、ちゃんと準備しておくに越したことはない。先達はあらまほしきものなり、である。

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 ふたたび四ツ辻へ。登るにも下るにも、ここは格好の休憩場所である。ぼくも一服。

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 朝よりも人出が多いようだ。レンタル着物カップルはもちろんお山には登らずに戻るところであろう。それが賢明だな(笑)。

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 ちょうど12時を回ったところだったから、うまそうな焼だんごにも心ひかれたけれど、行列を見て退散した。

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 帰りの電車を待つホームから。

 踏切を渡る参拝客の数にはビックリ。しかも人種のるつぼである。

 結局この日はぐったり疲れて部屋に戻ったのだが、大体の地理さえ飲みこめば、二度目はさほど苦労せずに山頂まで登れるような気がしないでもない。

 いつ果てるともしれない石段が疲労を誘うわけで、ここまで来ればあと一息という見当さえつけば、気持に余裕ができる。握り飯とお茶の用意があればピクニック気分だろう。

 ぼくはたぶんもう二度と登らないと思うが、あなたも地図とリュックを用意してぜひ挑戦してはいかが? ただし真夏にはおすすめできない(笑)。

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April 12, 2017

京都足棒日記 ふしぎいなり編 (2)

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 千本鳥居に入る。実際は千本どころか五千本以上あるらしい。

 自分のメモとして、詳しい地図を見ながら、ざっと伏見稲荷のお山巡りコースをまとめてみよう。当日は地図なしに歩いたから、まだ記憶の新しいうちにふり返ってみようというわけだ。

 千本鳥居は本殿裏手から左右二手に分れ、三ツ辻でひとつになる。それが四ツ辻からはふたたび左右二手に別れ、そのどちらも上之社のある頂上(一之峰)へ通じている。右手のコースを取れば、途中三ノ峰、二之峰を通過することになる。

 写真とつき合わせてみたところ、ぼくの取ったコースは山頂までは右手、右手と進み、下りは上りの反対だったようだから、ちょうど一回りしたことになる。

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 途中脇道があったので登ってみると別のお社(伏見神宝神社)があり、「かなえびな」なるものを拝見した。

 もはやかなえるべき望みもないジジイは、この風流なお雛さんを拝見するにとどめ、いま来た脇道を引き返した。

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 小なりといえども山は山、青々した竹藪なんぞもあって、北海道からのお上りさんにはちょいとめずらしい。

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 脇道を下れば、ふたたび千本鳥居である。

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 このあたりから本格的な登りになる。稲荷山はもちろん険しい山ではないけれど、登りの石段が連続するのは体にこたえる。

 ははあ、やつめ、さぞかしハアハアと息を切らしたことだろう、とお思いかもしれないが、それはちがう。どんどん登りつづけるからこそ息が切れるのであって、一段ずつノロノロ進む分には息の切れようがない(笑)。

 つまり足が思うように上がらないのである。膝を曲げるのがつらい。老化や劣化ということばが目の前にちらついてくる。だんだん後悔の念が湧いてくる。

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 石段に次ぐ石段を登ってたどり着いたのが四ツ辻である。市街地を一望できるから、いつの間にかかなり上まで登ってきたらしい。

 参道の要所要所には茶屋というか休みどころがあり、ここにも割と大きなお店があった。この場所は休みどころというより、思案のしどころといったほうがいいかもしれない。

 観光客のほとんどは、ここから引き返すにちがいない。それもあたりまえの話で、この先なおも延々とつづく石段を登って、山頂をめざすべきかどうか……

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 四ノ辻からはこのお社(たぶん二之峰 中之社)まで、まったく写真を撮っていない。写真どころではなかったのである(笑)。

 足がなかなか上がらない。まるで拷問である。途中ぼくよりも年配のリュックを背負った爺さん婆さんのグループに追い抜かされたのは情けなかった。しかも彼らはお参りのベテランらしく、どこそこのスポーツ用品メーカーの品は具合がよろしいなどと、ノンキな会話を楽しんでいるのだから、余裕綽々である。

 おのれ、今に見ておれ。おれだって地元に住んでいれば、こんな山道など鼻歌まじりで登るようになってみせるぞ。

 なお途中ところどころに自動販売機も設置されているが、場所柄すべて割高なのはやむをえない。あらかじめ飲物を用意しておくのが賢明であろう。給水必須である。

 ぼくはうっかりそれを忘れたために自販機のお世話になったけれど、それではまだ足りず、途中のお社でお手水をがぶ飲みしたから、これからの季節、500 ccのペットボトルを二本ほど用意したほうがいいと思う。となればリュックも必要か。

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 地図を見れば、二之峰から一之峰まではほんのわずかな距離なのだが、容赦なく石段はつづく。永遠に石段を登るという神罰がギリシャ神話にあったかどうかは知らないけれど、それに近い気分になる。

 そのときである。「山頂」の二文字が前方に現れたのは。

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 翼よ、あれが稲荷の一之峰だ。

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 達成感にひたるどころか、すっかり疲れ切って、物好きにも山頂をめざした自分に腹が立ったから、お賽銭は上げなかった(笑)。人様の信心は尊重するが、神仏は頼まず。宮本武蔵の心境だな(それにしては腹を立てるところが未熟である)。

 やれやれ、やっとこれより下り道だ。

(つづく)

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April 10, 2017

京都足棒日記 ふしぎいなり編 (1)

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 3月25日。幸い天気はよし、軽い散歩のつもりで伏見稲荷見物と洒落こんだので、ご一緒におつきあいいただきたい。

 東寺南門前バス停にて、このたびの滞在中ずいぶんお世話になった市バス202系統に乗る。

 この系統は九条車庫~西大路通り~丸太町通り~東大路通り~祇園・清水の間を循環する路線で、東回りと西回りとがあり、一周すれば約一時間半ほどかかるだろう。それでも運賃230円なのだから、破格の安さである。

 この路線で一回りするだけでも、十分観光気分を味わえるのだから、貧乏人はバスに乗れ(笑)。

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 賢い貧乏観光客はこのカードを使う。一日乗車券のデザインにはいくつかバリエーションがあるようだ。

 駅前のバスターミナルには自動販売機があり、市内の商店などでも入手できるが、バスの降り際に運転手さんから直接買うこともできる。第一回目の使用時には、運転席横のカード読み取り機に挿入し、二度目からはカード裏に印字された日付を見せればいい。

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 本日は不思議異なり、いや伏見稲荷へ行くつもりだから、東福寺でバスを下車。ふつうバスを降りれば目の前に駅はありそうなものだが、JR・京阪の東福寺駅は、ちょっとわかりにくい場所にあり、ごらんのとおり、駅舎はすっかり町並に溶けこんでいる。

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 この日は京阪を利用したのだが、もちろんJRでもかまわない。東福寺駅からはわずか二駅、伏見稲荷駅までの運賃は150円である。

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 なんだ、意外に観光客は少ないじゃないか……そう思ったのは、われながら浅はかであった。このあとまもなくお稲荷さんの実力を思い知らされることになる。

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 おや、参詣客の数がいっぺんに増えてきたようだ。

 さて手前のおばさまの観光客らしからぬスタイルにご注目いただきたい。このときはまったく気がつかなかったけれど、今にして思えば、ちゃんとハイキングの装備をしておいでなのである。リュックの中には飲み水なども用意されているにちがいない。

 稲荷山あなどるべからず。

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 まだこのお山の全容をよく知らぬぼくが、ノンキに土産物屋のお面などを撮っていると、カメラを構えているすぐ前にふたりの女性が近づいてきた。しばらくシャッターを押さずに待っていたが、カメラなどまったく無視している様子だからパチリ。そのふるまいから察するに、たぶん外国人観光客なのであろう。

 周囲を観察しているうちにだんだんわかってきたが、少なくとも観光客の半数は外国人らしい。中国語はもちろん、英語、フランス語、そのほかなじみのない外国語も聞こえてきた。

 キリスト教徒からイスラム教徒まで、お狐さんをお参りに来ているのだから愉快である。信心に凝り固まった十字軍に来襲されては困るが、異国の客人が異教徒のお社に遊びに来るのは大歓迎である。

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 楼門とおぼしき建物が見えてきた。

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 いちいち確かめなかったが、帰宅後詳しい地図を参照するに、これが外拝殿か御本殿。これを拝見してすぐに戻ったとしても、伏見稲荷へ行ってきたよ、と大いばりでいえるのだろうが……

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次々と押し寄せる人の波に押されて、ぼくも先へ進むことにした。参拝客の数は次第に増えてくるようで、これなら清水寺とたいして変らないんじゃないかと思った。

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 ふ~む、これが有名な千本鳥居か。せっかくここまで来たんだし、もう二度と来ることもあるまいから、ミーハーに徹してくぐってみよう……そう思ったのが運の尽きであった(笑)。

 これより「お山」へ向う。ミーハーは途中で脱落必至、山頂をきわめた勇者にのみご利益は授けられるのだ。

(つづく)

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April 08, 2017

京都足棒日記 羅城門ここにあり

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 羅城門跡を見物に出かけた(3月23日 九条通り)。

 もちろん門は影も形もないのだが、石標の隣にはお地蔵さんが祀ってある。この地蔵さん、別に羅城門とセットというわけではないけれど、東寺-空海-羅城門とは縁があって、

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案内板によると、824年東寺の空海と西寺の守敏が勅命によって雨乞いを競い、破れた守敏は恨みに思って羅城門近くで空海を待ち伏せし、矢を射たという。すると地蔵菩薩の化身が身代りとなって矢を受けたところから、「矢取地蔵尊」として祀られるようになったのだそうな。

 いかに空海さんといえども、雨を降らせる法力などあるわけがないから(失礼)、たまたま守敏さんはタイミングが悪くて損をしたのだろう。結局大秀才にして政治力にも恵まれた空海さんの東寺は今に残り、坊主にもあるまじく空海暗殺をはかった守敏さんの西寺は消滅してしまった。なんとなく哀れを誘う話である。

 現在のお堂は明治に建てられたものだが、地蔵さんひとつ取っても、京都らしく由来話はとんでもなく古い。

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 えっ、これが? と思うほどあっけらかんとした石碑が一柱、こじんまりした公園に立っている。

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 裏側へ回ってみると「唐橋羅城門公園」とあり、いかに小規模の公園であるかよくわかる。

 ほんとに羅城門なんてあったのかな、と疑いたくもなるが、

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案内板によれば、このとおり、壮麗なる門があったらしい。

 この門は朱雀大路の南端に位置したというのだが、朱雀大路といえば、現在の千本通り(こちらの記事の写真1~2枚目)である。

 では朱雀大路の名残を探ってみよう。

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 東西を走る大通りは九条通りである(手前が東)。写真左には南北方向の「新千本」通りの標識が見える。

 めざす「旧千本」通りは、これより一本手前(東寄り)の道路で、

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九条通りの北側から見ると、とても朱雀大路の延長とは思われぬ小路である。昔はこんなじゃなかったんだが……という資格はないけれど(笑)、だれしも今昔の感に打たれることはまちがいない。

 さて羅城門跡と旧千本通りを見物したからには、西寺跡へ向うのは自然の流れだが、この日はここまでとし、26日の朝に出直した。

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 途中意外に思ったのは住宅地の間に残る農地だが、考えてみればこのあたりは九条ネギの産地だろうから、ふしぎはないのかもしれない。

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 唐橋西寺公園。羅城門公園よりかなり広い。真ん中の地面が盛り上がったところは、西寺講堂跡である。

 ここにかつて東寺と同じ規模の寺院があったとは、ちょっと想像しにくい。

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 講堂のあった土壇には「史蹟 西寺趾」の石碑がある。羅城門跡同様、あっさりしたものである。

 こうして羅城門から西寺の跡を巡り、しみじみ世の無常を味わったのだが、21世紀のいまも羅城門は堂々と偉容を誇っている。

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 次は羅城門……羅城門跡ではない。バスを降りれば、目の前にはまちがいなく大門がそびえているはずだ。

(つづく)

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April 07, 2017

Daily Oregraph: 流氷消ゆ

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 千代ノ浦の流氷はウソのように消えてしまった。昨夜の雨のせいだろうか、道路脇に点々と残っていた雪もまた……

 しかし五月の初めまでは雪の降る可能性があるから油断できない。女心と春の空である(ちがったっけ?)。

 しばらく中断していた英単語帳の作業を再開。現在10,165項目である。目標としては15,000項目程度。

 京都シリーズ本編は明日以降。しばらく時間を持て余すことはなさそうだ。ありがたや、ありがたや。

 なおここで今回の旅行で使用した CASIO のコンパクトデジカメ ZR-3000 についてメモしておくと、

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背面の SET ボタン外周のリングを左右に回すことによって、簡単に露出補正できる。ところが便利と不便はしばしば共存するものらしく、このリングが軽く回転するために、知らぬ間に体に触れて補正値が変ってしまうのである。

 これには弱った。常用-1/3 なのに、+0.7 になっていたりするのである。そのためレタッチしきれない写真が多かった。もっとひんぱんにチェックすべきであった、と反省している。

 もう一つ、これまで使用して感じたのは、いわゆる色収差が目立つことだ。だから暗い部分と明るい部分が同居する場合、それぞれの色合いがかなりちがってしまうのは残念。

 しかしそれ以外には大きな不満はない。それどころか、電池の持ちのよさは特筆もので、200枚以上撮影してもビクともしないからありがたい。電池の目盛りがひとつ減ってからのねばりも驚異的で、まさに旅行用カメラとしてはうってつけだと思う。

 いくら画質がよくたって、もはやじゃまくさい一眼レフを旅行に持ち歩く気にはなれない。豪邸よりも方丈の庵、みたいな心境である(笑)。

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April 06, 2017

京都足棒日記 京都ア・ラ・モード 後編

 3月26~29日の写真から。

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          犬と散歩 (3月26日 九条通り)

 犬を連れて散歩する人はめずらしくないけれど、犬が6匹というのには驚いた。達人というべきであろう。一番手前の犬には口輪がはめてあるから、人に噛みつくのだろう。

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          京の雨 (3月26日 九条通り)

 このたびの滞在中に雨が降ったのはこの日だけ。雨といってもポツリポツリという程度で、小雨の一歩手前である。

 ピンクの相合傘とは好感がもてる。傘の持ち主はもちろん女性で、それを男性がさしているのだろう。彼らが恋人同士と考えるのは早計で、二人の間には微妙な距離、つまり遠慮があるようだ。

 それでも……相合傘にはドラマがあっていいものだ。

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  ヘタウマ看板ふたたび (上 3月26日 下3月27日)

 おやおや、またお目にかかりましたね。前回は男女仲よく肩を並べていたのに(こちらの記事の上から6枚目)、校門をはさんで離れ離れとは……

 なお京都市学校用務研究会とは用務員さんの組織なのだそうである。この看板、いわゆる「飛び出し小僧」の仲間で、女の子は「とまるちゃん」、男の子は「まもるくん」というらしい。いずれ年頃になった二人は相合傘をさして歩くのだろう。

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            バスの駅 (3月27日)

 道の駅とはちがって、売店があるわけではない。商売気を出して同志社饅頭でも売ればいいものを……

 写真のベンチを利用させていただいたが、正直いって、ちょっと低すぎる。あと十センチ高ければありがたい。ジジイになると立ち上がるのがちとしんどいのである(笑)。

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          サギは千年…… (3月27日)

 東寺南側の堀である。たぶんアオサギだろうと思うが、カメもいっしょ。

 この鳥はノンキなもので、この一時間半後にふたたび通りかかったら、同じ場所に突っ立っていた。カメはの姿はもうなかったので、サギの気のほうが長いらしい。

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        行列のできる店 (3月28日 四条通り)

 これも「再会」シリーズのひとつ。2012年の12月にたまたま入った食堂である(こちらの記事の上から3枚目)。

 時刻は12時48分だから、昼休みも終りに近いのに、まだ行列が残っている。ひょっとしたら知る人ぞ知る有名店なのかもしれない。ご商売繁盛なによりである。

 空いていれば入ったけれど、ぼくは行列ぎらいだからパス。

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         美の神 (3月28日 八坂神社境内)

 どことなく古典的なお顔立ちである。着物がよくお似合いであろう。レンタル着物おねえさんたちとは別種の美人である。

 男にご利益はなさそうなのでお賽銭は上げなかったが……失敗であったか(笑)。

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        孤高の画家 (3月28日 八坂神社前)

 どうやらレンタル着物おねえさんには目もくれず、景色を描いておられるようであった。不要のもの(失礼)を自由自在に排除できるのは絵画の特権でもあり利点でもある。

 なんでも手当たり次第に撮ってしまう男とは心構えがちがう。感服した。

 ただ一言自己弁護させていただくと、白昼の大都会では、人物を入れずに写真を撮るのは至難の業であることだけはご理解いただきたい。

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        小便無用 (3月28日 場所は失念)

 鳥居に実用性があるという証拠である。消火器の存在がなんとなくおかしみを誘う。

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         冬の名残 (3月29日 上賀茂御薗橋)

 凍結防止剤とは意外に思われるかもしれないが、京都の冬は冷える。

 このたびの滞在中も夜はひどく寒かったので、液体の凍結防止剤を飲用したことは申し上げるまでもない。

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          ご神猿? (3月29日 御薗橋付近)

 去るものは追わず。でもまた来てね。

 上賀茂神社と猿の縁はないはずだが、まあ、ご神猿ということにしておこう。

 写真の道路は賀茂川沿いに南下する加茂街道。その昔よく自転車をこいだ思い出の道である。

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         たそがれ (3月29日 京都駅八条口)

 こうして京都最後の日も暮れていった。なんだかんだといっても、この町との縁は切れない。たぶんまた来るんだろうな。

(本編へつづく)

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April 05, 2017

京都足棒日記 京都ア・ラ・モード 前編

 3月23~25日に撮影した写真から……

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                     九条通の女中さん(3月23日撮影)

 朝一番にガラガラとシャッターを開けたのは彼女であろう。

 暖炉の掃除でもしていたのか、顔が煤けている。スカートも汚れている。昨日、今日……そして明日も仕事はつづく。王子様はいつになったら現れるのだろうか?

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                      市バス一日乗車券 (3月23日)

 一日乗車券のデザインが変っていた。これは京都市内観光の強力な味方である。一枚わずか五百円。

 市内のバス網は驚くほど発達しているから、合計して何時間もバスに揺られる覚悟と丈夫な足さえあれば、まずたいていの場所を訪れることができるだろう。利用しない手はない。

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                            健全経営 (3月23日)

 地方の小都市ではバス会社の経営はどこも苦しい。乗客が少ないから便数も少なく、便数が少ないから乗客も少ないという悪循環に悩んでいるからだ。

 日本最大規模のバス会社ともいえる京都市交通局の市バス車内を見よ。地方創生など夢のまた夢。その地方から、コツコツ貯めたおこづかいをはたいて、お上りさんが続々と京見物にやってくるのである。

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                     着物あります(3月23日 東大路通り)

 いまや着物は専門家に着付してもらうのが一般的なのだろう。ふだんは身につけぬおべべを着て町歩きするのがおねえさんたちの夢らしく、あちこちに着物レンタルのお店がある。

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                   レンタル着物おねえさん (3月23日)

 レンタル着物おねえさんはあちこちに出没する。バスの中でもときどきみかける。たまに着物姿のおにいさんもいないではないけれど、たいていは間が抜けて見える。女性とちがってモッサリしているのである。

 いずれ着物姿のおねえさんを観光のお供に貸し出すという、レンタルおねえさんが商売になるかもしれない。これこれ、けしからぬ想像をしてはいけない(笑)。

 むさ苦しいジジイの薄氷堂が、あでやかな着物姿のお姉さんと腕を組んで、ヨタヨタと河原町あたりを歩いていると……

 -まあ、あの介護士はん、着物着てはるわ。

てなことをいわれるにちがいない。

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           看板再会 (3月23日 東山安井)

 バスの窓から写真の案内看板をみつけたぼくはアッと驚いた。初めて目にしたのは 2002年の9月で(写真左)、それがそっくりそのまま残っていたのである。

 この周辺のお店もずいぶん変っただろうに、すっかり色あせてはいるものの、平気な顔をして道案内しつづけているとは……

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                        関西風? (3月23日 河原町)

 京都と大阪ではまるで町の雰囲気がちがうけれど、このゴチャゴチャ感にはちょっと共通するものを感じる。

 大勢の人々がそれぞれ勝手なおしゃべりをしているようなものだ。雑多な情報が押し寄せて、焦点が定まらぬのである。

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                       おはようさん (3月24日 南区)

 -はい、おはようさん。ちょっと出かけてきます。

 -さよか、気いつけてお出かけ。

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                     京都府警本部 (3月24日 上京区) 

 隠れ観光名所である。

 京都は殺人事件の多い町として有名である。ウソだとお思いならテレビドラマをごらんになるといい。たいていは素人探偵が活躍し、警察の影は薄いけれど、素人には逮捕権がないから、最後は必ず京都府警のパトカーが駆けつける。

 推理ドラマファンたるもの、一度は訪れるべき場所といえよう。

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                   鳥居いらんかね (3月25日 伏見稲荷)

 立派な鳥居を寄進できなくとも小型のものがそろっている。サイズの割りには結構なお値段だと思うけれど、ケチなことをいってはご利益がないのだろう。

 別に奉納しなくたって、ちゃんと使い途はある(後編参照)。

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                       自撮り棒 (3月25日 伏見稲荷)

 どこへ行ってもみかけたのがこの自撮り棒である。別にみなさんナルシシストだというわけでもあるまいが、恥ずかしくてぼくにはようできまへんなあ。

(後編へつづく)

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April 04, 2017

Daily Oregraph: 京都足棒日記 予告編

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 弁天ヶ浜の流氷はかなり減っていた。まさかいっぺんに融けたわけではなく、風が変ったのだろう。

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 -おや、いきなり東寺ですか? 流氷の写真のあとではいささか唐突ですね。

 -うむ、やっと一通り写真の整理を終えたから、明日から春の京都特集だ。いわば予告編だな。

 -今回は目玉がありますか?

 -そうだなあ、まずは稲荷山涙の登頂、次いで旧六条通り踏破というところだろう。あとは諸行無常を噛みしめる特集なんてのもあるな。

 -稲荷山って、伏見稲荷でしょう。

 -さよう、標高233メートル。

 -ハハハ、233メートルなんて地べたに出来た腫物みたいなものじゃありませんか。登頂だなんておおげさな。

 -ふん、君はものを知らんから、落語の「愛宕山」に登場する幇間みたいなことをいうのだ。ウソだと思ったら、登ってみたまえ。きっと音を上げるから。

 -へえ…… で、六条通りのほうは?

 -京都町歩きの醍醐味を知ってもらおうという企画だよ。この調子で歩き回れば、順列組合せの理屈で計算するとわかるように、京の大路小路の散歩コースをほぼ無限に設定できるんだ。バスを併用すれば便利だし、金のかからぬ高尚な趣味といえるな。

 -そんな暇人なんていますかねえ。

 -いる、いるとも。ここにいる。ぼくは金さえあれば移住してもいいと思っているくらいだ。散々歩き回った挙句、どこかの路地でバッタリ倒れ、鳥部野に一筋の煙を上げるのが理想だな。

 -でも問題はお金では?

 -君は夢がないねえ、まったく。

 -大阪にも行ったとか?

 -うん。正味でいうと、歩き回ったのは京都が七日間、大阪はたったの一日だけど、大阪編の内容はなかなか濃いものがあるよ。食い物が安いから、大阪に住むのも悪くない。京都にも近いしね。どっちにしても、交通至便だから車は不要だし、ジジイが暮すにはうってつけだろう。

 -で、第一回はなにを?

 -それさ。ずいぶん迷ったんだが、京都編、大阪編とも、まずは前菜として雑多な写真を取り上げ、それからメインディッシュの特集に入ることにしたい。

 -例によってヘンテコな写真では?

 -無礼者め。おれがいつ変な写真を載せたというのだ。

 とまあ、ウソかホントかは知らないが、明日からの記事をお楽しみに。

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April 01, 2017

Daily Oregraph: 四月の氷

 京大阪で撮った写真の整理にはずいぶん時間がかかりそうなので、頭を冷やすために流氷見物することにした。

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  千代ノ浦から弁天ヶ浜にかけては、かなりの氷が押し寄せていた。

 根室半島が防波堤の役割をしているから、釧路にはめったに流氷はやって来ない。だからわざわざ見物に来る人々がいてもふしぎではない。

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 知人の浜はこんなぐあい。

 はてな、港はどうだろうかと気になって、米町公園へ。

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 本日は望遠レンズではなかったので、ほんの一部をトリミングしてみた。

 東港の港内にわずかずつだけれど氷が流れこんでいる。港内が氷漬けになれば船の入出港が困難になるから、ちょっと心配である。

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