大阪一日散歩 鶴橋迷宮編 (3)
一般人が卸売市場に入りこんでもかまわないのだろうか? 遠慮しながらおずおずと入ってみると、ほとんど人気がない。そうか、卸売市場は早朝が勝負である。ちょうどじゃまにならぬ時間でよかった。
しばらく進むと、前方が急に明るくなった。はてな?
えっ、鶴橋卸売市場協同組合?
そうか、ここは本来の卸売市場機能を果たす場所と、一般向けの小売り商店街の二つに分れているのか。一般向けの出入口はこちらなのだろう。
お気づきになった方がおいでかどうかは知らないけれど、実は前回の記事中、最後から三枚目の写真を拡大して見ると、
看板には「鶴橋卸売市場」の文字があったのである。つまりぼくはいつの間にか「つるしん」から卸売市場の商店街に迷い込んでいたわけだ。両者はどこかで連絡しているらしいのだが、ぼくはあとで写真を見直すまで気づかなかったのである。
さっき抜けてきた暗い通路がまるでウソのようなにぎわいである。
またもやウロウロしているうちにさしかかった、衣料品店と八百屋さんが向い合せのこの場所は……おや、「鶴橋市場 中央会」とあるから、別の商店街らしい。おいおい(笑)。
……と思う間もなく、今度は「中央商店会」とは、いったいどうなっているんだろう?
「つるしん」だけでも迷子になりそうだというのに、ほかにいくつかの商店街が一緒につながっているんだから、まるでわけがわからない。それこそ学芸員を配置すべき場所ではないか。
すっかり頭が混乱したので駅へ向おうとして時計を見ると、すでに12時50分。さすがに腹が減ったところに、立ち食いうどんの暖簾が……
実はぼくは大阪でうどんを食べるのはこれが初めて。初経験は鶴橋のキツネうどん、三百円也。
われながら安上がりな男だと思うが、大きな油揚がのっかっていて、ふつうにうまかった。「孤独のグルメ」のセリフじゃないが、こういうのでいいんだよ、おれは。
立ち食いうどんのお店で目にしたのがこれ。缶ビール260円は安いよなあ。宣伝文句もやさしさに溢れている。
しかしご自身へのご褒美は遠慮しておいた。このあともう一箇所歩かねばならないからである。
鶴橋よ、見ておれ。きっといつかこの迷路を制覇してやるとも。
(「京橋編」につづく)
Comments
>芸員を配置すべき場所ではないか
確かにそうですね。学芸員とは言えないまでも、ガイドさんのような存在が・・・
あっちこっちの観光地じゃ、よくボランティアのガイドさんっていますよね。
Posted by: 三友亭主人 | April 30, 2017 16:13
薄氷堂さん、こんにちは!
鶴橋駅周辺は、戦後の「マーケット」がそのまま残った感じです。
無計画に、それぞれの商店が自然発生的に集まったリゾーム的構造。
迷宮のようになっているのもそれが原因かと。
阪急十三駅や庄内駅、石橋駅周辺でも似たような感じがしますが、
鶴橋は特別なんですね。
Posted by: 只野乙山 | May 01, 2017 05:14
>三友亭さん
この日泊めてくれた友人の話では、鶴橋もすっかり観光化したんだそうですが、そうだとしても明らかに客層はちがいますね。
やはり圧倒的に地元の方が多いようですし、キリスト教国やイスラム教国の人々はまったくみかけませんでした。
ましてやレンタル着物おねえさんのうろつくような場所じゃありませんし、ここはすっかり回りに溶けこんだ薄氷堂の勝ち(笑)。
ガイド役は地元のおっちゃんかおばちゃんが望ましいですね。案内してくださったら立呑み屋で一杯おごってあげます。
Posted by: 薄氷堂 | May 01, 2017 08:44
>只野乙山さん
> 戦後の「マーケット」がそのまま残った感じ
ええ、それはぼくも感じました。権利関係がどうなっているのかはわかりませんが、どのお店もすっかり居着いちゃって、テコでも動かないという……
天満の商店街だって十分迷路の貫禄をそなえていましたが、鶴橋は別格大本山(笑)、こういう場所こそ真に世界文化遺産に指定する価値があると思います。
Posted by: 薄氷堂 | May 01, 2017 08:50