大阪一日散歩 鶴橋迷宮編 (2)
ちょっと通路の狭い商店街かな……最初はそう思った。ふうん、案外洒落た感じじゃないか。
あとで思えば、どうやら扱う商品によって住み分けがあるらしい。衣料品は不得意とするところだから、どんどん先へ進むと、
やがてキムチの提灯とともに雰囲気は一変する。
チヂミ、韓国のり巻。なるほどここは朝鮮半島文化が優勢らしい。
写真を見直して気づいたのだが、正面奥のおっちゃん二人は昼前からビールを一杯やっているようだ。うらやましい。
知らぬうちに青空の下に出た。左側のお店では、ベンチに腰かけてチヂミを食べられるのである。 おばちゃん、うまそうですなあ。
この場所には案内地図があったけれど、一度見たって、とても覚えきれるようなものではない。
どうやら東西南北にいくつかの「班」に分れているらしい。地図を見るかぎりでは「迷宮」とはちと大げさなのだが、アーケードの中では方角の見当がつきにくいから、初心者泣かせであることはまちがいない。
次回は印刷された案内図を手に歩こうと、かたく心に誓ったのであった(笑)。それでも何度か通わねば「つるしん」の達人にはなれないだろう。
ふたたびアーケード内に入る。
ぼくはあまりキムチは得意ではないけれど、この色彩は鮮やかでいい。
すてきな笑顔のおばちゃん、何も買わんと冷かしで、ほんまに申し訳ありまへん。堪忍してや。
こちらは魚屋さんに八百屋さん。
店先には見たことのない品も並んでいる。
おもちゃ屋さんもある。キムチとチヂミのあとに見ると、いささか異質なものが出現したようだ。
お隣の菓子屋さんの看板がまたいい。かなりの歴史を感じさせる。
昭和に生まれ育った男にとっては、記憶の奥底を揺すぶられるような景色である。
ツンと澄ました高層ビルやのっぺらした巨大商業施設には、貧乏人を見下したような傲慢さと一種の敵意さえ感じるから、ジジイの居場所はない。ここなら冴えないおっさんがウロウロ歩いていても景色に溶けこんでしまうから、なつかしい場所に帰ってきたような心地がする。
どこをどう歩いたのかさっぱりわからぬまま、大きな通りに出た。たぶん「つるしん」の半分も見ていないと思う。
ふうん、鶴橋卸売市場か……なんだか平凡でつまらなそうな建物である(今思えば、たぶん外側だけ補修したのだろう)。どうしようか迷ったけれど、思い切って入ってみることにした。
なんとここも見かけと中身は大ちがい、第二の迷宮といってもいい場所なのであった。鶴橋恐るべし。
(つづく)
Comments
楽しんでおられますなあ・・・私も若いころ数度ふらついたことがありますが、くまなく歩きつくせたかは不明です。
でも・・・たのしいよなあ、あの町は・・・
Posted by: 三友亭主人 | April 29, 2017 16:13
>三友亭さん
くやしいけど、鶴橋には完敗です(笑)。難攻不落の迷路ではないかと……
商店街ファンの聖地ですね。
Posted by: 薄氷堂 | April 29, 2017 22:38