February 27, 2017
February 25, 2017
Daily Oregraph: 定期航路復帰
ほんとうに久々の定期航路である。このコースは日当り抜群だから、線路脇の雪も消え、安心して歩けるようになった。
砂利の上は少々歩きにくいけれど、足の裏をマッサージしていると思えばいい。これだけ石が転がっていれば、どこかのツボにはヒットするだろう。
レールは半ピカ状態。どんどん石炭を掘っていただきたいものである。かつては散歩すればたいてい列車に出くわしたのだが、最近はとんと目にしなくなった。採炭量が増えたって、ぼく自身が得をするわけじゃないけれど、この古いなじみの鉄道が廃線になっては困るのである。
知人の浜にはまだ雪が残っている。多少は景色の単調さを救っているかもしれないが、もう雪はいらない。
廃屋にも等級というものがある。知人の路地の廃屋は、兵隊の位でいえば、骨と皮だけになった瀕死の老将軍というところだろうか。すでにピサの斜塔ほどに傾いているから、いつ倒壊してもおかしくはない。
-閣下、ご気分はいかがでありますか?
-なあに、ちと疲れてはおるが、まだまだ。
-お薬であります。どうぞ。
-おお、当番兵、気が利くではないか。かたじけない。
飯盒のフタになみなみとついだ米焼酎をうまそうにゴクゴクと飲む姿は、塹壕の兵隊たちの感動を誘ったが、やがて満足そうな微笑を浮かべつつ、老将軍は崩れるように倒れ、息を引き取ったのであった。
-おい、みんな泣くんじゃない。喇叭だ。閣下のために喇叭を吹け。
となればまことに結構だけれど、おのれの保身のみをはかろうとする連中がのさばる世の中では、それほど部下に慕われるほどの将軍はざらにはいまい。
……なんてね、いつもいっているように、散歩中はろくなことを考えていないのである。
February 23, 2017
Daily Oregraph: 未練雪
なんだかど演歌みたいなタイトルになってしまったので……え~い、やっちまおう。
忘れたはずのあなたを思い
めそめそ泣くよな雪が降る
いっそこの身を投げ出して
埋もれて眠ろか
ああ、未練雪
どなたか曲をつけてくだされば、大ヒットまちがいなし(笑)。
またしても鬼のような電話がかかってきたので、一昨日から今朝にかけ、締切りに追われて作文に励んでいた。なにせまるで色気のない文章を書くんだからたまらない。やっと仕上げたはいいけれど、頭が空っぽになってしまった。
そこへひょっこりおいでになったSさんがめずらしい米焼酎をプレゼントしてくださった。
-疲れたときに飲んでください。
え、疲れたとき? そういえば、おれは今疲れている。それならせっかくのご厚意だし、いただくなら今だぞ。
あなたがいつも飲んでたお酒
ひとりでつげば雪が降る
いっそ今宵は飲みつづけ
酔って眠ろか
ああ、未練雪
いやあ、これはうまい。ストレート、なかなかいけます。極楽、極楽。Sさん、どうもありがとうございます。
う~む、まだ疲れが残っている。よし、もう一杯!
February 18, 2017
February 16, 2017
Daily Oregraph: ちょっとだけ札幌
2月15日。列車ではなくバスに揺られて、
やってきたのは久々の札幌。
札幌は雪まみれかと思ったら、街中にほとんど雪はなく、ここは例外である。
わざわざ歩きにくいところを選んで歩くのは、たぶん海外からの旅行客であろう。雪国のプロの住人なら、こんな酔狂な真似はしないからだ。
待ち合せまでに時間があったから、お気に入りの喫茶店に向ったら、経営者が変ったらしく、店は別名になっていた。ちょっとガッカリしたけれど、Wi-Fi が使えるのは助かった。
写真のパソコンはぼくの秘密兵器。OSはXPだし、動作は遅いし、今どきのパソコンじゃないから、バッテリ駆動時間もわずか1時間半ほどだが、とにかくコンパクトで軽い。メールの確認程度には十分使える。Acer の傑作である。
夕食は豪華絢爛たる和食のコース。ぼくは貧乏性ゆえ、この種の料理を前にすると落ち着かない。なんだか労働者諸君を裏切っているような気がしてならぬのである。
-薄氷堂さん、市電のレールは位置がおかしくはありませんか?
-はあ、ふつう市電は歩道寄りを走りませんよね。
たしかにタクシーを止めて乗るには不便だし、危なくもある。なんでわざわざ
こうしたものか。
かくしてJRタワーの三十何階だったかのバーで、お客様に高級ウィスキーをごちそうになるという、まさにプチブル的経験をしたのだから、足がすくむ思いであった。
宴が果てて一階に降りると、早くもお雛様が飾ってあった。これだもの、あっという間に年を取るわけだ。
-なあんだ、忙しい、忙しいといいながら、君も案外ヒマじゃないか。
とんでもない、この忙しさ、当分つづきそうなのである。余裕のあるところを見せようと見栄を張ったまで……(笑)
February 13, 2017
Daily Oregraph: 春のきざし
相生坂の西側を降りきって一枚。ここは日陰だから雪がほとんどそっくり残っている。それが案外歩きやすいのだ。サクサクという踏みごたえがあって、あまり滑らないのである。
ほんとうに滑りやすくて恐いのは、融けた雪が夜のうちに凍ってまた翌日融けるような場所である。冬靴をはいていてもツルリとくるから油断できない。
そんな悪路をものともせず、久々に45分ほどの散歩をした。郵便局に用事があったのだが、車に頼らず歩いたのである。頭から枯れて死んでいくといったのは、たしかスウィフトだったと思うが、凡人はまず足が弱ってから死ぬものだ。歩け、歩け。
帰り道に港町岸壁へ寄って氷をワッチしてきた。ああ、春が近いんだなあ。そういえば、吹く風にも厳冬期特有のとげとげしさがなくなったし、日射しもずいぶん柔らかくなってきた。
しかし春先になるとたいていドカ雪が降るからいやになる。ぼくは雪かきが大嫌いなのだ。雪かきの最中に倒れても薄氷堂はスコップを離さなかった……なんて、天下りをする役人が作る修身の教科書に載るのは、絶対にお断りしたい。
February 11, 2017
Daily Oregraph: さびしい話
やっと時間ができたから、朝一番で散髪してきた。去年あたりからは毛髪の伸びるスピードがぐんと落ちたせいもあって、前回床屋さんへ行ってから二ヶ月半以上にもなる。
-薄氷堂さん、あなたハゲないよ。
-へえ、わかりますか?
-うん、わかる。
プロの床屋さんがそういうのだから、政治家の空公約よりは一万倍もたしかであろう。
-でも薄くはなるけどね。
そりゃあそうだ。髪の毛の一本一本が細くなり、全体のボリュームが激減してきたことは、ぼくも自覚している。頭が一回り小さくなったような気がするのである。
長いつきあいの床屋さんご自身は、ぼくよりもかなり年配のお方なのだが、髪はふさふさとしており、まさに驚異の人といっていい。
-いや、私だって後ろから見ると、だいぶまばらになってきたんだよ。
-さびしいですねえ。
-さびしいねえ。
散髪を終えて駅のバスターミナルで用事をすませたときに撮った一枚。
もちろん除雪はされているけれど、道路の半分はまだ凍ってデコボコしている。お年寄りが渡るのは大変である。ウソだと思ったら、おばあちゃんの車を自分で押してみれば、その困難さがわかるだろう。
せめてこういう場所だけでも完璧に除雪してほしいものだ。あなただって、あっという間に爺さん婆さんになるのだから、けっして他人事ではない。
February 10, 2017
Daily Oregraph: 一段落?
2月8日撮影。ゲージュツもどき写真を撮ろうと思ったわけではない。仕事の写真を何百枚も撮ったら、もうなにかほかのものを撮ろうという意欲が失せてしまった。しかしそれではブログが成立しないから、むりやりレンズを向けたのがこれ。
ところがこの日は pooped out(疲れ切って)、ブログを書く気力が湧いてこなかった。
昨9日、やっと仕事が一段落したので少し気分に余裕ができ、本日は買い物のついでに野菜ラーメンを食す。大吉グルメとはいえぬが、これはこれでうまい。
午後からはゆっくり休もうと思ったら、一段落どころか一難去ってまた一難、急ぎの作文をせよという鬼のような電話が……(笑) ものもいわずパソコンに向ったが、これも大吉効果なりや?
ところで変人トランプ氏が習近平氏に親書を送ったそうな。ほら、ごらんなさい。前回の記事で予言したとおりではないか。知恵の神様久延彦さんはお見通しであった。
February 06, 2017
Daily Oregraph: 白黒の話
雪である……などと宣言しなくたって、雪である。
カラーでも白黒でもたいして変らないから、白黒にしてみた。日本語では白黒というけれど、英語では black and white である。英語を話す連中は、どうも一々気にさわるなあ。
ちょっと待てよ……日本語では「白黒(シロクロ)をきめる」などというが、「黒白(コクビャク)をつける」ともいうではないか。しかし日常的にコクビャクなんていう人はめったにいまいと思う。どうも漢語くさい。
漢和辞典を引くと「黒白を争う」とあるから、ググってみると、たしかに「争黒白」という文句が漢籍中にみつかる。「我愛你」なんぞと洒落たことをいう人たちだから、白黒とはいわず黒白で用を足すんだろう。悠然として水墨画(これも black and white)を描くくせに、発想は英語と変らないのだ。
してみれば、言語に関するかぎり、日本は米中包囲網中にあるといっていいのかもしれない。実は日本がいいように利用されているにすぎない日米安保などをあてにしていると、いずれ足をすくわれて目を白黒という事態にもなりかねない。これ、久延彦さまのご神託なるぞ。
それにしても、おみくじが大吉だったのに、どうしてこんなに忙しいんだろう? とボヤいていると、
-たわけ、大吉だからこそ仕事に恵まれたのではないか。
と、神様に一喝されてしまった(笑)。
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