Daily Oregraph: 反省の月
海がギラギラ光っている。どれほどの明るさか知らないが、とても写真にはうまく収りそうにない。
12月に入って今日で三日。初日は一日中雨、二日目は強風が吹き荒れて、とても散歩どころではなかった。
三日目の今日、やっと風もおさまったようだし、それ! という勢いでいつものコースを歩きはじめたのだが、海岸沿いの線路脇にはまだ少々強い風が吹いていた。気温が高めだからよかったものの、そうでなければさっさと撤退していただろう。
おや、なんたること! 数日前はピカピカ光っていた左の線路が、雨と潮風のせいであろうか、もうすっかり錆びているではないか。
レールにしてこうなんだから、二三日も学問を怠れば、人間の頭が錆びつくのはあたりまえだ。
12月は反省の月でもある。そうではない、おれはこの一年間奮闘努力してきたから悔いはないぞ、という幸福な人も広い世間にはいるにはちがいないけれど、少なくとも凡人にとってはそうだ。
いかん、これではいかん。レールはピカールで磨けばたちまち輝きを取り戻すが、人間はそうはいかない。深刻に反省する必要がある。
さっそくウィスキーを飲みつつ今後の方針について考えることにしたから(笑)、明日からはきっとぼくも生まれ変わるにちがいない。いまに見ておれ。
それで思い出したのが、例の「精神一到何事不成」……これを昔ぼくのいとこは、「精神一到何事も成らず」と読み下した(笑)。もちろんそれは冗談なのだが、ウィスキーがだんだん回ってくると、なんとなく正解に思えてくるからふしぎである。
まあ、精神一到なんて一種の狂信的ないやらしさもあるし、こうしておのれの無学ぶりを反省するだけでも立派じゃないか……ということにしておこう。
Comments
「精神一到何事不成」。もう40年前、受験時代に自宅で浪人していた私は、机の上の壁にこの言葉を貼っていました。
おかげで無事合格できましたが、若いころはそうやって、ややエキセントリックな言葉で自分を鼓舞していましたね。
現在は、私もアルコール類などをピカール代わりにしていますが、後頭部以外はあまり光りませんね。
Posted by: トニー | December 04, 2016 10:29
>トニーさん
若い頃はあれこれ余計なことを考えるものですから、なかなか精神一到というのはむずかしいですよね(年を取っても困難ですし……)。
なにはともあれ、大学合格おめでとうございます(今ごろいわれてもねえ……(笑))。
なお、ピカールは外面を、アルコールは内面を磨くものです。
Posted by: 薄氷堂 | December 04, 2016 20:20