Daily Oregraph: とうとう降られた
「ユキにふられた」といえばちょいと色っぽい話に聞こえるかもしれないが、雪に降られたんじゃしょうがない。
幸い大雪にならずにすんだけれど、それでも雪かきは雪かきである。朝っぱらから肉体労働というのは、ふだん鉛筆より重いものを持ったことのない男にはこたえる。
さて今日は nimsy-mimsy という単語に引っかかった。辞書を引いたって、そのままではみつからない。ネット検索してもヒットしない。結局意味を突き止めるまでに一時間以上もの時間を要したので、これから『怒りの葡萄』を読もうという奇特な方のためにメモしておこう。
ずいぶん発音はちがうけれど、niminy-piminy(または miminy-piminy)の崩れたかたち(訛り?)にちがいない。「気取った、上品ぶった」という意味と、「めめしい、元気・気力がない」という二系統の意味がある(さらにしつこく調べてみた結果については……ややこしいから省略しておく(笑))。
ニムジ・ミムジにしてもニミニ・ピミニにしても、韻を踏んでいるから、わが国のシッチャカメッチャカなどと同類なのだろう。
ご参考までに原文は、That Rosasharn is gettin' awful scary an' nimsy-mimsy. というのだが、おどおどして元気がない、というほどの意味だろう。
未解決の単語はほかにもまだいくつか残っている。ネット上には『怒りの葡萄』のボキャブラリを解説するサイトがいくつかあるけれど、どれもまるで役に立たない。ふつうの辞書を引けばすぐにわかる単語しか載っていないのである。
その理由として考えられるのは、(1) 外国人とではことばのむずかしさに対する感覚がちがう (2) 自分たちにもよくわからない語がある、というところだが、これまで出くわした難語(?)から推測するに、たぶんその両方がまじっているのではないかと思う。
たぶん高校生あたりを対象としたと思われるサイトで解説される語を見ると、ちょっと古いことばや日常会話であまり使われないことばが多い。そっちのほうはむしろ辞書を引きまくる外国人の得意分野である(笑)。
しかしニムジ・ミムジなんてのは、初めて目にしても、何度か口にすれば、連中にはなんとなく意味がわかってしまうのかもしれない。そういうのこそぜひ解説してほしいのだが……
それにしてもこう時間がかかるのでは、小説を読んでいるんだか、解体新書を読んでいるんだか、よくわからない。いやになるね、まったく。
Comments
おもしろいですね。英語の謎解き。an'はandのことなのでしょうか。であればSCARYとニムシー・ミムシーは同じ形容詞で、「すごく怖くなって、びくびく、おどおど」
くらいじゃないでしょうか。
当時のカリフォルニアの方言かもしれませんね。
Posted by: トニー | December 11, 2016 00:43
>トニーさん
単語調べはおもしろいといえばおもしろいのかも知れませんが、小説ですからね、時々ストップがかかると流れが滞ってイライラします。
an' が and というのは序の口でして(笑)、a は of だったり have だったり、of は have だったり、they は there だったり、she, her というから女性かと思ったら実はただの it だったりしますから、慣れるまでが大変ですね。
またある表現が俗語として使われているのか、それともごくふつうの意味で使われているのか迷うこともあるので、考えすぎると泥沼にはまってしまいます(笑)。
この種の小説を翻訳しようと思ったら、必ずその国出身の協力者(それも相当の実力を持った人)が必要だと思います。そうでなければ誤訳ゼロということはまず考えにくいですね。
Posted by: 薄氷堂 | December 11, 2016 08:37