Daily Oregraph: 玉磨かざれば
ほとんど無風である。海面はどこかの湖のようだし、ぼんやりした空との境目は曖昧模糊として、まことに頼りない景色であった。
石炭列車のレールはピカピカ……なのだが、この光線状態では輝きを失い、まるで冴えが見られない。
-どうだ、こうして使われていないレールと比較すれば、ピカピカ度の差がよくわかるじゃろう。
-あ、ほんとですね。さすがは先生。
-左がわしの頭脳、右が薄氷堂君の脳味噌。まあ、そのくらいのちがいはあるな。
-ちぇっ、ぼくだって磨けば光りますとも。第一比較のたとえが気に入りませんね。左がプーチン、右が某首相、というんだったら納得できますけど。
-ハハハ、君にしても某首相にしても、時すでに遅しじゃて。いまさら磨いたところで、ムダ、ムダ。メッキの剥げるのがオチじゃから、おやめなされ。
大本営下請け発表支持率ウソ60%の某首相といっしょにされてはたまったものではないが、ぼくの先生の頭は、毎日ピカールで磨いているだけに、一万燭光の電球くらいのまばゆい光を放っている。
とまあ、そんなバカなことを考えながら散歩しているんだから、当分ぼくの頭は光りそうにない。
Recent Comments