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November 30, 2016

Daily Oregraph: 玉磨かざれば

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 ほとんど無風である。海面はどこかの湖のようだし、ぼんやりした空との境目は曖昧模糊として、まことに頼りない景色であった。

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 石炭列車のレールはピカピカ……なのだが、この光線状態では輝きを失い、まるで冴えが見られない。

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 -どうだ、こうして使われていないレールと比較すれば、ピカピカ度の差がよくわかるじゃろう。

 -あ、ほんとですね。さすがは先生。

 -左がわしの頭脳、右が薄氷堂君の脳味噌。まあ、そのくらいのちがいはあるな。

 -ちぇっ、ぼくだって磨けば光りますとも。第一比較のたとえが気に入りませんね。左がプーチン、右が某首相、というんだったら納得できますけど。

 -ハハハ、君にしても某首相にしても、時すでに遅しじゃて。いまさら磨いたところで、ムダ、ムダ。メッキの剥げるのがオチじゃから、おやめなされ。

 大本営下請け発表支持率ウソ60%の某首相といっしょにされてはたまったものではないが、ぼくの先生の頭は、毎日ピカールで磨いているだけに、一万燭光の電球くらいのまばゆい光を放っている。

 とまあ、そんなバカなことを考えながら散歩しているんだから、当分ぼくの頭は光りそうにない。

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November 27, 2016

Daily Oregraph: 雪道を走って

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 昨夕仕事を終え、一夜明けて外を見れば雪が積もっていた。

 大雪でなかったのは幸いだが、雪道は雪道である。ふだんよりもずっとスピードを抑えて車を走らせた。これくらいの積雪でも、山道のカーブはひやりとさせられる。

 写真は十勝の紋別川。殺風景な木立も雪化粧すればそれなりに美しく、途中何度か写真を撮りたい場所もあったけれど、車を停めるのが面倒だからやめにした。

 まだ11月だというのに冬本番、いやだねえ。

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November 25, 2016

Daily Oregraph: なんのふしぎもなけれども

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 雲がいろんなかたちに見えるのは、なんのふしぎもなけれども、十勝の青空にだれかが達筆でいたずら書きしたらしい。

 読めそうで読めないけれど、最後の一文字は「比」、またはアルファベットなら二文字で「tt」というところか。古代の人はこうした偶然に神の意志を感じたのだろう。

 え、あなたもお感じになりましたか? 今どきのお方ではありませんね(笑)。

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 北海道ではキタキツネはユビキタスな存在だから、港に出没したって、それこそなんのふしぎもなけれども、この寒さの中でみかけると、ひときわ哀れを誘うものだ。

 どうやら乗組員が昼間こいつに食パンを与えたので、ひょっとしたら……と期待してやってきたらしい。親切のつもりだったのだろうが、ずいぶん罪なことをしたものだ。

 惻隠の情なきは人に非ざるなり(だったか?)とはいえ、野生動物にエサを与えるのは御法度である(春採湖には野鳥にエサをやるな、という看板が立っている)。

 みなさまから石を投げつけられるのを覚悟でいうと(笑)、タンチョウヅルの給餌だって問題だと思う。あれを美談に仕立て上げるのは、ダブルスタンダードの典型ではないだろうか。

 寒さに震えながら、そんなつまらぬことを考えた。とにかく寒い。とても11月とは思えないほどである。

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November 23, 2016

Daily Oregraph: 十勝港夕景

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 本日の生存証明写真は十勝港の夜景一歩手前。

 写真は第4埠頭だが、町の規模から考えると、大型船が複数接岸できるのだから堂々たる港である。これから数日この港をうろつく予定。

 さてこのたびの地震には驚いたけれど、原発に被害がなかったのは不幸中の幸いであった。こんな地震国に原発なんてとんでもない話である……という常識をそなえているのは利権とは無縁の貧乏人ばかり、とは情けない。

 しこたま金を貯めこんだ連中は、日本に人が住めなくなればさっさと国外逃亡できるけれど、あなたやぼくはそうはいきませぬ。最悪の場合、日本人が難民と化す可能性もあるとお考えになったことがあるだろうか?

 風がひどく冷たい。心も冷える(笑)。散歩どころではないから、さっさとホテルに戻ることにしよう。

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November 19, 2016

Daily Oregraph: 西港夜景

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 ほんとうに久々の船上セキュリティ・チェックポイント。

 手作りの木製テーブルは質素そのもので、鴨長明好み(?)。これはこれで味があってよろしい。

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 仕事は夜までかかり、ふと見れば、おお、どうして釧路西港の夜景も捨てたものではないぞ。本日のカメラではちょっと無理があるけれど、まあ、なんとなく感じはおわかりいただけると思う。

 ただし場所柄、だれでも自由に立ち入って夜景を観賞するというわけにはいかないのが残念である。

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November 17, 2016

Daily Oregraph: 北埠頭に新施設が

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 おや、いつの間に?

 北埠頭の日通倉庫が姿を消した跡地に新しい建物が建っていた。これは取材しなければなるまい(頼まれもしないのに……)。

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 埠頭の入口に近い古い倉庫には足場がかかっていた。取り壊すのではなく改修するのだろう。これも知らなかった。

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 左側が新しい建物である。冷凍倉庫だろうかと思ったら……

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釧路市漁協の貯氷・氷供給施設なのであった。夏場ウィスキーとグラスを持参すれば、ここでたっぷりオンザロックを楽しめる……わけはないか。

 へえ、こんな立派な施設ができたのか。退職以来めったに釧路新聞を読まなくなったせいもあって、まるで知らなかった。この埠頭のかつてのにぎわいを知る一人としては、なんとなくうれしい気分である。

 まだかなり更地はあるから、北埠頭は近い将来面目を一新するかもしれない。超ローカル紙の当社としては、やはり時々パトロールする必要がありそうだ。たとえこの種のニュースには需要がまったくないとしても……(笑)

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November 16, 2016

Daily Oregraph: 犬がクタクタ

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 いつものコースのいつもの景色。しかし風の冷たいこと! よほどすぐに引き返そうかと思ったくらいである。

 さて毎日ごちそうを食べるわけにはいかないし、そうそうネタなどあるはずがない。そこで先日 cat にはトラクターの意味もあることを書いたから(スタインベック『怒りの葡萄』より)、釣り合いを取って(?)、やはり同書から dog(今回の意味では複数形の dogs を用いる) について豆知識をひとつ。

 次の英文、高学歴を誇る芸能人ならわかるだろうか?

  My dogs was pooped out.

 同じく同書には、

  My dogs is burned up.

という文もあって、こちらは OED にも文例として収録されている。

 もちろん単語の意味は文脈で決まるから、これだけで正解を得るのはむずかしい。しかし原文の前後を見ると、辞書を引かなくとも大体の見当はつくからご心配なく。なお文法がおかしいんじゃないかという苦情は受け付けない。これくらい序の口なんだから。

 -ねえ、おじいちゃん、もったいぶらずに意味を教えてよ。

 -足がクタクタだ。

 -え?

 -だからさ、「足がクタクタだ」という意味だよ。

 -まあ、どうして犬が足の意味になるの?

 -うん、そこだ。dogs も pooped out も俗語だから、覚えたってお受験の役には立たない。だが、「どうして」という疑問を解決しようという気持は大切だな。意味さえわかればいいというものじゃない。

 ……と、いつものおじいちゃんらしからぬえらそうな発言であるが、ついでだから調べてみよう。

 まず dogs だが、これは dog's meat(犬に食わせるエサ用の屑肉など)の略で、feet と韻を踏むから、 rhyming slang(押韻スラング)であると、OED は説明している。

 つまり dog's meat といえば feet が連想される結果、いつの間にか feet の意味として通用するようになり、それが省略されて dogs になったということ。


 なんともまあ、外国人にはわかりにくく、陰に meat が隠れているとは、まことに憎らしい話である。

 次に pooped out だが、どうして「へとへとになった(exhausted)」になったのだろうか? それには深いわけがあって(笑)、どうも船に関係するらしい。

 poop とは名詞では船の「船尾部または船尾楼」を意味し、海上ではそいつが容赦なく波に打たれるから、動詞では「波が船尾を越える、船尾に波を受ける」という意味になる。

 -あら、どうしてそれが「へとへと」になるの?

 -考えてもみなさい。船尾の甲板にザブザブ波をかぶるくらいだから、海は時化ている。船が始終ぐらぐら揺れれば、体はへとへとに疲れるにちがいない。

 -ふ~ん、なんとなくわかったわ。でもおじいちゃんのお話って、ちっとも実際の役には立たないのね。いつものことだけど。

 -ハハハ、だからおじいちゃんにはお金がないのさ。

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November 15, 2016

Daily Oregraph: 今夜はたらふく

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 本日の夕食はタラの鍋。

 どなたかが「たらふく食ったんだろう」と駄洒落を飛ばしそうだから(笑)、先手を打ってタイトルにしておいた。はい、食べましたとも。

 タラはしみじみといい出汁が出るので、最後に飯を投入してスープといっしょに啜れば、これぞ天下の美味である。クリントンもトランプもくそ食らえ、金融資本など馬に蹴られてしまえ……そんな気分になるほどうまい。

 それにしても鱈腹とはよくいったもので、タラの腹はぽっこり出ているし、捌くと中から未消化の魚がゴロリと現れたりする。

 タラに限った話ではないが、連中は獲物を味わって食うわけではなく、ただ丸呑みにするのである。進化の法則に従えば、胃袋の中に味覚器官が発達しそうなものだけれど、いかがであろうか(確認できればノーベル賞級の発見かと……)。

 いけない、いけない、ノーベル賞ごときに色気があるようでは、まだまだ人間ができておらんぞと、どうせ取れもしないくせに深く反省したのであった。

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November 13, 2016

Daily Oregraph: スベリ止メ

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 またスベリ止メの季節がやって来た。

 実際この坂は危険だと思う。今日は気温が高かったからいいようなものの、融けた雪と雨とでびしょ濡れのアスファルト面が凍りついたら、まずまともには歩けまいと思う。七転八起どころではない。

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 最近相生坂の西側を下ることが多いのは、コンビニでタバコを買うためである。

 自然南大通を通って帰宅することになるのだが、今日は初めてこんな歌碑のあることに気づいた。何度も歩いているのに、これまでまったく気づかなかったのである。

   三味線の絃のきれしを
  火事のごと騒ぐ子ありき
  大雪の夜に      啄木


 傑作かどうかはぼくには判断できないが、この人、なんでもすぐに歌にできるのはすごいと思う。こちとらそういう才能はまるでないから情けない。

 ぼくは三味線の糸ごときでは騒がないけれど、大雪の夜にウィスキーが切れたら,、つらくて黙っちゃいない(笑)。いい年をして「だはんをこく(だだをこねる)」かもしれない。だって、コンビニ、遠いんだよ。砂を撒き撒き、相生坂を下らなくちゃいけないのだ。

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November 12, 2016

Daily Oregraph: 月下の散歩

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 16時10分。本日の日没は16時02分である。

 海保の日月時刻方位サービスによれば、今月末の日没は15時50分だから、明るいうちに散歩するつもりなら、15時には家を出なければならない。そいつはちょいと早すぎやしないか(笑)。

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 東の空には満月に近い月が浮かんでいる。なんでも11月14日はスーパームーンなのだそうな。

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 米町の丘の上から南埠頭を見ると、石炭船が接岸していた。荷役をしているようには見えないから、今夜は泊りなのだろう。

 どうもこの時間はもの悲しい気分になっていけない。どうしてもウィスキーに頼りたくなるのだ(笑)。健康のためには午前中の散歩のほうがいいのかもしれないね。

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November 11, 2016

Daily Oregraph: 湖畔凍結道路

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 11月10日。雄阿寒岳にはさほど雪は積もっていなかった。

 阿寒にやって来たのは何年ぶりだろうか? 一泊するなど、それこそ何十年ぶりかだと思う。

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 たまげたのはカチカチに凍った道路である。

 国道の路面は完全にドライだったのに、湖畔の温泉街に入ったとたんにこれだから、一瞬目を疑って、恐怖に体が凍りついてしまった(笑)。早めにタイヤ交換していたので助かったけれど、夏タイヤではとても走れそうにない。

 あちこち散歩する予定だったのだが、道路の氷を見てげんなりし、結局ホテルの部屋に閉じこもったきりというお粗末。

 山はもう真冬である。

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November 07, 2016

Daily Oregraph: 雌阿寒の雪

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 上天気で風も弱かったけれど、日なたと日陰ではずいぶん温度がちがう。日陰に入ったとたんに、冷蔵庫に入ったような冷たさである。

 いつものコースを散歩したついでに、米町公園へ寄って雌阿寒連峰の雪を眺めた。この時期としては少し雪が多いかもしれない。

 景気がよかろうと悪かろうと、日本が栄えようと滅びようと、阿寒の山には毎年冬が来れば雪が積もるんだろう……そんなバカなことを考えた。

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November 06, 2016

Daily Oregraph: ハイニッカは小ぶりなグラスで

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 しばらく千円スコッチのお世話になっていたのだが、いつか飲もうと思っていたハイニッカをやっと手に入れ、neat(=ストレート)で一杯。意外にもたいへんまろやか、はてなこんな味だったろうか? ストレート、なかなかいけるではないか。

 これを飲むために、小さなグラスをわざわざ百円ショップで買ったのである(笑)。いや、バカにしてはいけない。トルコ製だというから、シルクロードを渡ってきたのだ。正倉院に収めてもおかしくはないだろう。

 ずいぶん以前、ロシア人がこんなグラスにサントリー・レッドを注ぎ、一息でキュッと飲むのを見たことがある。するとすぐにもう一杯注いでキュッ。さらに注いではキュッ、注いではキュッ。実に粋なもので、本当の酒飲みとはこういうものかと、いたく感心した覚えがある。

 しかしロシア人と日本人では体の出来がちがうから、決してマネをしてはいけない。度数の強いヴォトカなんぞを、つられてキュッキュッとやろうものなら、しまいに腰が抜けてしまうことは確実である。

 だからせこくチビチビと味わったのだが、まろやかであろうがなかろうが、昼間の酒はうまいに決まっている。悪いクセがついてはいけないので、二杯にとどめておいた。この自制心はわれながらあっぱれ(笑)。

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 相生坂の西側から見た夕日。まだ16時07分だというのに、もう沈みかかっている。

 日が暮れたらこっちのものだから、今夜もまたキュッとやるつもりである。

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November 05, 2016

Daily Oregraph: 日本むかしばなし 雪見酒

 うっすらと雪の積もった裏庭で……

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 -あら、おじいちゃん、珍しいわね。お仕事?

 -うん、ナナカマドの枝を払ったのさ。

 払った枝を焚火にして燃してしまえば手数はかからないのですが、ナナカマドは燃えにくいし、最近は消防もやかましいので、そうはいきません。

 枝をゴミとして引き取ってもらうためには、適当な長さにそろえて束にしなければなりません。たったこれだけの量ですけれど、ずいぶん時間がかかったのです。

 -ふうん、感心、感心。見直しちゃった。

 おじいさんは腰をさすりながら、

 -いやあ、すっかり身体が冷えちまったよ。冬だなあ。

 おじいさんが枝の束を片づけて家に入りますと、台所から花子さんの呼ぶ声がします。

 -おじいちゃん、お燗がついたわよ。暖まってちょうだいな。

 -おお、気が利くじゃないか。

 燗をつけた酒からはうっすらと湯気が立ちのぼり、おじいさんはニコニコしながらコップを手に取るのでした。

 ……とまあ、そんなほのぼのとした情景も、「昼間から飲酒とはなにごとだ。もっと働いて生産性を上げろ」という、もののあはれを解さぬグローバリズムの波に飲みこまれ、めったに見られなくなってしまいました。

 -いやあ、うまい! うまいなあ。

 おじいさんの幸せそうな顔を見て、花子さんもうれしそうにニッコリとほほえむのでした。

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November 04, 2016

Daily Oregraph: 20世紀はむずかしい

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 本日の生存証明写真は、知人から米町へ上る坂の途中から見た、石炭列車の終点付近。

 夕方までにかなり弱まったのとはいえ、冷たい風が容赦なく吹きつける。そろそろ手袋を用意しなくてはならないようだ。

 一昨日『アイヴァンホー』をやっと読み終えた。途中浮気をしたせいで時間がかかったのである。

 主人公はもちろんアイヴァンホー(Ivanhoe)なのだが、正確にはアイヴァンホーの領主ウィルフレッド(Wilfred)。紀州の殿様を紀州様と呼ぶようなものだろう。獅子心王リチャード一世(Richard the Lionheart)の寵臣である。

 真田十勇士みたいなロビン・フッド(Robin Hood)一味も活躍するし、柳生石舟斎のような団長に率いられるテンプル騎士団も登場し、波瀾万丈のチャンバラ小説といえないこともない。やや大仰な表現やメロドラマみたいな場面もあるけれど、作者ウォルター・スコット(Walter Scott)は教養の高い人物なので、全体にたいへん格調が高い。

 面倒くさいから(笑)あらすじは省略するが、被征服民であるサクソン人とノルマン人との対立を縦軸に、ユダヤ人差別の問題や、リチャード一世の弟ながら王位簒奪をもくろむジョンの暗躍などがからまって、物語は展開する。

 ノルマン人はサクソン人を豚とさげすみ、ノルマン人、サクソン人の双方ともユダヤ人を犬とののしる、という構造なのだが、実はこの小説の陰の主人公は絶世の美女であるユダヤ人レベッカ嬢(Rebecca)なのだから驚く。ただ美人であるだけでなく、頭脳明晰にして医術に長じ、しかも博愛の精神に富み、窮地に陥っても絶対にへこたれないという、非の打ち所がない女性として描かれている。

 それならアイヴァンホーはレベッカと結婚するかというと、結局はサクソン王家の血筋である美女ロウィーナ(Rowena)と一緒になるわけで、この結末には当時の読者もおおいに不満を抱いたらしい。

 この小説をネタにすればいくらでも記事になるけれど、残り時間の少ない身としては先へ進まなくてはいけないから、このへんにしておこう。岩波文庫に翻訳があるそうなので、お暇な方はぜひ。

 さて昨日からはスタインベック(John Steinbeck)の『怒りの葡萄』(The Grapes of Wrath)に取りかかった。舞台がいきなり20世紀のアメリカに移ったため、頭の中は大混乱(笑)、文章のわかりにくさといったらない。

 お勉強にもなるだろうから(?)一例を挙げると、"be tractored out"なんて表現がある。ふつうの辞書を引いたって出てこないけれど、これは大農場主がトラクターを導入したため、不要になった小作人が追い出されることをいう。

 そのトラクターがキャタピラー(Caterpillar)社製だから、略して"cat"だとはお釈迦様でもすぐにはわかるまい。ネコ一匹ではなく、「キャット一台("one cat")で十家族が追ん出される」というんだから、1819年に書かれた小説よりもむずかしく(笑)、時間がかかってしかたがない。やれやれ。

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