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September 30, 2016

Daily Oregraph: 何用あって駅裏へ (2)

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 さて昨日八五郎君のみつけたネタがこちらでございます。

 な~んだ、つまらねえ、とおっしゃる方は、同じ通りを2008年2月17日に撮影した写真と見くらべてくださいまし。

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 旅籠屋のホテルグリーン(当時はその名のとおり緑でして)の手前にある建物がそっくり姿を消しております。しかも基礎工事中ですから、新しい建物が立つことはまちがいございません。

 へえ、こいつはたまげたと、八五郎急ぎ戻って親分に報告したことは申し上げるまでもございません。

 -ふん、長屋の取り壊しか。おめえにしちゃあ上出来だ。あのへんはときどき見回りするんだな。ま、おめえも一杯やるがいい。

 ところでみなさん、三田村鳶魚翁によりますと、目明しなんてものは、決して割に合う稼業じゃないんです。第一身分は公務員じゃない。お芝居では「神妙にお縄を頂戴しろい!」と大見得を切っておりますが、与力や同心とはちがって、勝手に犯人を捕縛する権限などはないのです。

 給金なんぞはほんの涙金でして、町内を見回りして博奕場なんぞに顔を出すと「へへ、兄い、これで一杯」と、小づかいを握らせてくれるのが役得といえば役得ですが、それじゃとても安定収入とは申せませんから、別に店を構えて商売をやる人もいるくらい。懐に隙間風が吹いているてえのに、投げ銭なんてとんでもない話でございます(笑)。

 まして八五郎は手下ですから、ただ働きも同然。とてもかみさんを持てる身分じゃありませんよ。それでいて親分から小言を頂戴するんだからたまらない。たまには酒でも飲ませてくれなくちゃ、とても御用が勤まるはずはございません。

 -へへ、親分、こいつはどうもありがてえ。ところでメザシは……?

 -もう食っちまったよ。

 さて割に合わない稼業と申しますと、ブログなんぞがそうですな。瓦版屋より情けない商売でして、一文にもならないというのは実にどうも呆れた話じゃありませんか。

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 そうそう、押入れの中を探したら、こんな写真が出てまいりましたよ(2000年7月20日撮影。目元にはボカシを入れてあります)。

 道具屋に売るほどの品もないくせに、呑気な写真を撮り歩くとはねえ。

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September 29, 2016

Daily Oregraph: 何用あって駅裏へ (1)

 いらっしゃいませ。お客様、すぐに一本おつけしますから、まずは今年4月4日の記事をお読みになっておくんなさいまし。失礼とは存じますが、一からお話しするのは面倒でいけません。

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 この日、八五郎はめずらしく釧路の停車場にやってまいりました。どうやら親分に叱られたと見えまして、浮かぬ顔をしております。なにやら独り言をつぶやいているのを、こっそり聞きますと、

 -ちっ、朝っぱらから小言を食らってちゃしかたがねえや……

 その日の朝のことでございます。依存症の親分がメザシで一杯やっているところへ八五郎が顔を出しますと、

 -おい、八、なにを呑気な顔をしていやがる。お上の御用はボンヤリしていちゃ勤まるめえに。 

 -へえ? なにかありましたんで。 

 -あったどころの騒ぎじゃねえ。停車場裏の道具屋が店仕舞いして、あとが更地になっちまったてえ投げ文があったのを知らねえか、この間抜けめ。

 -えっ、まさか!

 -しかもだ、投げ文の主が九州の住人だてえから、こちとらの面目は丸つぶれよ。おめえ、早速出かけて調べてきな。

 -へい、合点だ。

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 -それにしても、おいらの知らねえことを、なんで九州のお人が嗅ぎつけたかねえ。

 ブツブツいいながら停車場裏へ通ずる地下道を渡る八五郎の帯には、厚手の布でこしらえた袋がくくりつけてありまして、そいつが歩くたびにジャラジャラ音を立てております。

 実は袋の中には、親分直伝、投げ銭用の寛永通宝が入っているでありますが、こう申せば親分の正体はもうおわかりになりましたろう。親分が蝦夷地に流れてきたのには、きっと複雑な事情があったのでございましょう。

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 -あっ、あるじゃねえか!

 今にも泣き出しそうな空の下、道具屋の建物はいつもどおりそこに立っていましたから、八五郎は狐につままれたような顔をして、しばらく突っ立っておりました。

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 しかし朝も十時を回ったというのに、店は閉まったままでございます。見れば「買取」の看板は最近のものらしく、すっかりお店をたたんでしまったものかどうかは判断がつきかねます。

 そこで八五郎、ご近所で聞き込みをしようと思ったのですが、

 -あ、しまった! あわてて十手を忘れてきちまった。

 最近は自由民権の思想が広まったせいでございましょうか、長期政権による腐敗によりお上のご威光も地に落ちて、たとえ十手をちらつかせても、庶民はなかなか口を開いてはくれません。まして身分を証明できる十手がないとなれば、詐欺師か地上げ屋同様に扱われ、どうかすると塩をまかれて追い払われるのですから、すごすごと引き上げるしかないのでした。 

 というわけで、このあと八五郎はもう一度親分にこっぴどく叱られたのですが、

 -馬鹿野郎。おめえ、まさか手ぶらで帰ってきたんじゃあるめえな。

 -へえ、ひとつネタをみつけてめえりやした……

 なにしろローカル紙の名誉がかかっておりますから、転んでもただでは起きぬ、ちゃんとニュースを仕入れてまいりましたことはもちろんでございます。これも投げ文のおかげ(笑)、そうでなければ停車場裏へは当分足を運ばなかったことでしょう。感謝の心を忘れてはいけませぬ。 

 といっても、たいしたニュースではございませぬが、待たれよ次号。

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September 26, 2016

Daily Oregraph: 南大通のナナカマド

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 ひさしぶりに汗ばむ陽気であった。

 わが家のナナカマドは、台風によって葉も実も吹き飛ばされ、丸坊主になってしまったけれど、南大通を散歩したらあちこちに街路樹のナナカマドが赤い実をつけていた。背景が青空だと赤が引き立って美しい。

 こういう日にはきっといいことがありそうだ……と思ったら、

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あったよ、いいことがありました。

 コンビニでタバコを買って外へ出たら、日本たばこのおねえさんに呼び止められ、サンプルとしてMEVIUS を一箱いただいた。キャンペーンだそうな。こういうこともあるんだなあ。

 実はタバコよりも、おねえさんに声をかけられたことが、めったにないことだけに(笑)なんとなくうれしいのである。

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September 25, 2016

Daily Oregraph: プリンタ考 ああ、年賀状 (2)

 モノクロの年賀状というのも決して悪くはない。水墨画の世界である。

 カラー・インクジェットプリンタが不調なら、ふだん愛用しているモノクロ・レーザープリンタはどうだろうか? 

 というわけで、ダメもとで試してみた結果をご報告したい。

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 ブラザーの MFC7840W というこのプリンタは、もうすぐ満 8年になるのだが、ほとんどノートラブルである。トナー交換は一回きり。もうすぐ二回目の交換が迫っているけれど、インクジェットよりも明らかに経済的である。

 「ほとんど」というのは、最初の頃大きめの封筒を手差しするなどして、何度か紙詰まりを起こしたからである。しかしその後はA4普通紙専用だから、ただの一度もトラブルはない。

 いわゆる複合機だから、FAX、スキャン、コピーも可能。スキャナとして使ったことはないが、たまに FAX送信をしたり、コピー機としてはしばしば使用している。起動時のウォームアップはすばやいし、動作はそこそこ迅速、実によく出来たプリンタだと思う。 しかしこれまで一度もハガキを印刷したことはなかった。

 本機でハガキを印刷するには、三通りのやり方があるので実験してみた。

  1. 前面の記録紙トレイにセット→前面排紙 

  印刷はできたが、出口付近で紙詰まりを起こした。奥まった場所なので手は届かず、ペンチの先でつまみ、やっと取り出す。ハガキは盛大にカールして、U の字状になっていた。これは使えない。

  2. 手差しスロットに給紙→前面排紙

  この方法は試さなかった。紙詰まり必至と判断したからである。

  3. 手差しスロットに給紙→背面排紙(背面にあるカバーを開けると動作) 

  この方式だと、用紙の動きは一直線だから排紙には問題あるまいと思い、試してみた。

 予想どおりスムーズに排紙……したのはいいけれど、やや斜めに印刷されていた。これまで B5普通紙などを手差ししたときはまったく問題なかったけれど、ハガキはサイズが小さいため、よほど慎重にセットしなければ、用紙が正しく送られないのだろう。これでは使えない。

 当りがよかった(笑)と満足しているこのプリンタも、ハガキはダメ。う~む、どうしようか?

 ハガキよ、なにゆえお前はそれほど気むずかしいのだ。

 -ふん、で、どうするつもりかね?

 -うむ、不安定なインクジェットは買いたくないし、母親を説得して(笑)、年賀状を出すのはもうやめようという方向に傾いている。

 え、手書きにしたら、とおっしゃる方は、どうかこちらをお読みいただきたい。

 余命いくばくもないジジイなんだから、年賀状なんて出さなくたっていいだろう。第一気楽だしね。喪中ハガキがいかないかぎり、あいつまだ生きていやがる、と思っていただければありがたい(笑)。

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September 24, 2016

Daily Oregraph: プリンタ考 ああ、年賀状 (1)

 インクジェットプリンタというのは、初期の頃からどこか不満のくすぶる製品だったように思う。

 たしかに写真を印刷するときれいなのだが、たまに起こる目づまり、ぼったくり商法の見本みたいに高価な純正インク、ヘッドクリーニングのせいで印刷開始まで待たされる……などなど、忍耐力養成マシンのような趣さえある。

 それらの欠点を除けば、どこの会社の機種もA4普通紙に印刷するかぎりではトラブルはほとんどないようである。

 ところが L判などの写真用紙やハガキを使用する場合は、しばしば給紙に問題が生じ、まともに印刷できないことが少なくない。給紙については、かえって昔々の機種の方が安定していたと思うのである。

 ぼくは最初 EPSON のプリンタを何台か使っていたのだが、いずれもプリンタヘッドの目詰まりで買い換えたもので、給紙については不満はなかった。ハガキを数十枚セットしても、たまに二枚まとめて排紙される程度で、おおむね良好だったと記憶している。

 ここで初期のインクジェットプリンタがどんな仕組みだったか、手元にある Canon の iP4700 の外観をもとに示しておこう。

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 この機種は前面カセット(普通紙専用)と後面トレイ(普通紙+写真用紙・ハガキなど)の二段構えで、普通紙なら前面・後面とも約100枚ほどセット可能である。後面トレイにはハガキが数十枚セットできる(ことになっている)。

 初期のインクジェットプリンタは、上図から前面カセットを取り除いたもの、つまり後面給紙オンリーであった。後面トレイはたしかに場所ふさぎなのだが、用紙の動きは多少カーブはあるものの、後部→前面とほぼ一直線だからシンプルそのものである。

 前面カセットの用紙は、ローラーによって吸い込まれると、くるりと曲げられ、裏側が表になって印刷され、前面から排紙される。これがくせものなのだ。

 普通紙の場合はなんの問題もないけれど、写真用紙やハガキなど厚手のものをひっくり返して印刷・排紙するのは、ふつうに考えてもちょっと無理がある。だから2009年発売の iP4700 では、厚手の用紙は後面トレイ専用としたのだろう。

 しかし残念なことにこの機種は、購入当初から、ハガキなどを後面トレイに複数枚セットするとまともに給紙できず、一枚ずつ手差ししなければならなかった。いわゆる「当りが悪い」品だったのかもしれないが、説明書どおりに印刷できないのだから不良品といっていい。

 それなのに返品または交換しなかったのはなぜだろうか?

 第一に返品・交換するためには、再梱包をして返送するにしても、直接お店に出向くにしても、ムダな時間とエネルギーを要する。第二に、当初は一枚ずつ手差しさえすればスムーズに給紙できたから、手間はかかっても我慢できたからだ。

 ところが一年、二年と使っているうちに、だんだん後面からの一枚手差しもスムーズに動作しなくなったのである。去年などは年賀ハガキ一枚ごとに数回セットし直さねばならず、癇癪が破裂しそうになった(笑)。

 今回プリンタの配線を外した機会に後面トレイ内部を観察してみると、

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 わかりにくいので部分的にレベル調整してあるが、黄色いマルで囲った部分にはローラーと同じ幅のわずかな突起がある。

 去年手の感触でわかったのだが、セットするときにハガキの先端がこのあたりに着地(?)するとうまく印刷できる。しかしまずそこには引っかからず、ストンと落ちてローラーに直接触れてしまうのだ。そこで何度もセットし直すのだが、その感覚たるや微にして妙、褒め称えるべきは日本のメーカーの技術力ではなく、ユーザの忍耐力と手先の器用さではないかと思ったぞ。

 ぼくの場合、もともと製品の当りがわるかった上に、何年も使っているうちにローラーが摩耗または劣化するなどして、ますます給紙が困難になったのだと思う。

 さて前回触れたブラザーのインクジェットプリンタ(DCP-J963N)だが、返品したのには決定的な理由がある。

 この機種には一枚ずつの手差し限定ながら、補助的に背面給紙の機能がある。その場合、背面給紙→印刷→前面排紙という理想的な一直線の流れだから、きっとうまくいくだろうと思った。だからたとえ前面給紙でハガキが使えなくとも、背面から一枚ずつ手差しでいいやと考え、最初は返品するつもりはなかった。クレーマーどころか、なんとやさしいユーザであろうか(笑)。

 ところが実際に試してみると、それもうまくいかない。手差ししたときに手応えはあるのだが、ローラーが空しくカラカラ回転する音がして、印刷されぬまま排紙されるのである。結局まともに印刷できたのは最初の一枚だけで、あとは何度試してもダメ。

 文書印刷は別にモノクロ・レーザプリンタがあるから困らない。ハガキを印刷するために購入したというのに、前面からも背面からもハガキを給紙できないのでは使いものにならない。当りが悪いにもほどがある。返品したのは当然であろう。

 ぼくには特定のメーカーをけなすつもりはまったくない。 Amazon の評価を読むと、どこの会社のどのプリンタでも、同一の製品を絶賛している人と、ボロクソに評価している人と、みごとに二極分化している。たいていほめている人のほうが多いのは当然であって、そうでなければ市場で販売をつづけられるわけがないからだ。

 しかし外れを引いた人の数が無視できぬほど多いというのも事実である。もし製品の当り外れが多いとすれば、設計不良でない限り、部品の精度ムラ、または組立て精度や品質管理に問題があるにちがいない。

 最近これほど不良品が多いとは、どうした、日本?

 さてめずらしくプリンタの話題を取り上げたので、次回は現在使用中のモノクロ・レーザープリンタについて。ふだん文書印刷専用に使っているぼくのレーザープリンタにもハガキ印刷の機能があるから、ひょっとしたら……と思って試してみた結果をご報告しようと思っている。

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September 23, 2016

Daily Oregraph: 旧スキャナ復活……プリンタをどうするか?

 ぼくのメインのフラットベッド・スキャナは EPSON GT-X970 なのだが、一代前の GT-9800F も埃をかぶったまま眠っている。

 機械ものは時々動かさないとダメになるから、たまに使ってやろうと思い、EPSON のドライバ・ダウンロードのページをのぞいてみると……あれれ、Windows 7 は 32ビット版しかサポートされていないではないか。

 しかし世の中にはえらいパソコン使いが多いもので、GT-X980 用の 64ビット対応ドライバで代用が効くのだという(GT-X970 のドライバでもいけるらしいが、ぼくの PC にはすでにインストール済みなので競合しそうだ)。具体的な方法はネット検索すればわかるから、ここには記さない。

 早速やってみましたよ。

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 Photoshop Elements から開いてみると、ちゃんと認識された。

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 無事動作して、めでたし、めでたし。このスキャナを購入したのは 2002 年の 11月だから、まもなく満 14年目を迎えるわけだが、文書のスキャンならこれで十分おつりがくる、というより過剰性能といってもいいだろう。複合機のおまけスキャナとはレベルがちがうからだ。

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 ……というわけで、スキャナは文句なしなのだが、問題はインクジェットプリンタである。五年ほど使ってきた Canon のプリンタ iP 4700 の紙送りに不具合が生じ、去年の年賀状を印刷した際、ひどく手間がかかったから、買い換えの時期と判断して、ブラザーのある製品を注文した。

 ところが昨日届いた品物の当りが悪かったらしく、A4印刷はまったく問題ないのだが、L判やハガキがうまく給紙されず、最初の十枚ほどはうまくいったけれど、そのあとは何度ためしても印刷されぬまま排紙されるのである。結局一日棒に振った挙句、返品とあいなった。

 原因はおそらく前面給紙方式にあると思う。以前は iP 4700 のような後面給紙がふつうだったから、(恐ろしく手間はかかっても)何度かハガキをセットし直せば、だましだまし印刷はできた。ところが前面給紙は完全に機械任せなので、それができない。ダメなものはダメなのである。これじゃ使いものにならない。

 そこでネットの評判を調べてみると、案の定どこの会社の製品も前面給紙だと写真用紙やハガキの紙詰まりや給紙の不具合が多いらしい。最近の製品はほとんどすべてが前面給紙だから、とたんに購買意欲が失せてしまった。これは困った(笑)。

 近頃日本の技術はすごいすごいというTV番組が目立つけれど、本当にそうだろうか? 素人が考えてもわかるように、コピー用紙ならともかく、厚手の紙を前面からクルリと回転させる方式には相当の無理があることは、技術者ならとっくに承知しているはずなのに、より自然な後面給紙方式(追記参照)をどうして復活させないのだろうか。少なくとも、選択の自由は残していただきたいものだ。

 捨てようと思っていた IP 4700 だが、ドライバを再インストールして、イライラしながらもハガキを一枚ずつ手差しして使うことにしようかと思案している。いっそ年賀状なんぞやめてしまいたいのだが、毎年母の分も頼まれているから、そうもいかない。やれやれ、困った(笑)。

【追記】 もちろん後面給紙でもエラーは出る。厚手の紙の給紙には問題が多いようだ。ついでだから、次回の記事でこの点についてもう少し詳しく考えてみたい。

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September 19, 2016

Daily Oregraph: 裏庭画報 狂い咲き

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 釧路市内のサクラが咲いたというニュースを聞いたのは先週のことである。

 台風で葉を吹き飛ばされて丸坊主になったため、冬が来たとかんちがいしたサクラが、春先のような気温に誘われて開花したらしい。いわゆる狂い咲きというやつであろう。

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 以上の写真はエゾヤマザクラ。わが家のサクラは春と同様に一拍遅れて、今ごろになって花をつけたらしい。

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 こちらはチシマザクラ。

 あいにくのどんよりした曇り空だけれど、枯木に花が咲くとはめでたいかぎり……と、花咲か爺はご満悦である。

 サクラが咲いたとはいえ、ここ数日めっきり肌寒くなってきたことだし、昼間から熱燗でも一杯やらねばなるまい。

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September 17, 2016

Daily Oregraph: 一歩前進?

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 な~るほど、こういう表現もあるのか……と、いたく感心(笑)。

 船上カメラマン心得にひとつ追加しておこう。常にカメラを携帯すること。

 ここ数日、ひさしぶりに忙しかった。ふだんボーッとしているから、落差が激しすぎるのである。しかし、トイレは汚さなかったぞ。

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September 13, 2016

Daily Oregraph: 船上カメラマンの心得

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 ひさしぶりに港にやって来たので……本日の船上セキュリティ・チェックポイント。

 自慢じゃないが(と自慢している(笑))、これをライフワークにしている船上(not 戦場)カメラマンは、世界に何人もいないはずだ。いわば写真界の隙間産業である。

 現場感を出すために、ありあわせの安カメラを使うところが命であって、決して高価な一眼レフなんぞを振り回してはいけない。そんなのを野暮というのだ。第一一文にもならぬ写真を撮るのだから、絶対にモトは取れないのである。

 服装も写真のおにいさんみたいなツナギが粋でよろしい。ポケットには軍手をつっこみ、ところどころグリースなんかで汚れていれば申し分ない。もちろん安全帽着用のこと。

 さて本船のデスクは、郵船のファンネルマークそのものではなく、社旗をあしらったところにセンスを感じる。ときどきこういうのに出くわすからやめられないのかもしれない。

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September 12, 2016

Daily Oregraph: 秋色温根内

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 家を出たときは曇り空だったけれど、温根内に着いて木道を歩く頃には、ぐんぐんと青空が広がった。もうすっかり秋の空である。

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 平日なのに駐車場には案外多くの車が停まっており、観光バスも一台見受けられた。

 今年ここを訪れるのは二度目だが、ビジターセンターの立て替え工事中とは知らなかった。

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 駐車場からの階段を下りてすぐのところに仮歩道ができていた。

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 プレハブの仮店舗(?)。写真の左手前に仮設トイレがある。トイレは男女兼用ひとつに女性専用がひとつだけ。

 工事の案内板には、トイレ不足の場合、近隣の施設を利用するように書かれているけれど、近隣といったって何キロも離れているから(笑)全然近隣ではない。しかし場所柄仕方のないことだから、トイレはあらかじめどこかですませておいたほうがいいだろう。

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 新しいセンターは元の場所の上に建つらしい。

 工事現場を横目に見ながら木道を進み、ひさしぶりの植物観察開始である。

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 今の時期もっとも優勢なのは、予想どおりミゾソバ。

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 エゾトリカブト。

 全体としてずいぶん花の数が少ないという印象は受けたけれど、特別増水の痕跡は見られなかったから、台風の影響かどうかはまだ判断がつかない。

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 やっぱり台風にやられたなと思ったのはこれ。本日の目的、ゴキヅルである。勝手知ったるゴキヅル地帯をゆっくり歩きながら、血眼で探したのに、これしかみつからなかったのである。

 花を見られたのはもうけものだったけれど、

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 実がこれでは情けない。赤ん坊のオチンチンみたいな実もかわいらしいのだが……

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 これこそ本来の姿なのである(2012年9月2日撮影)。

 緑のドングリみたいな実の下半分が自然に外れて落ちると同時に、アーモンド状の種もいっしょに落下するという驚異の仕組みになっている。

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 ミヤマアキノキリンソウ。

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 エゾリンドウだろう。

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 あまりにも遠くに咲いていたためトリミングしたが、それでもハッキリとは見えない。たぶんウメバチソウであろう。

 例年なら木道近くにいくらでも咲いているので、数が少ないのはやはり台風の影響ではないだろうか。

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 アキノウナギツカミ。ミゾソバの親戚だから、花はよく似ている。

 本日目にした花はざっと以上である。楽しみにしていたゴキヅルが不作だったし、台風なかりせば、といいたくなる残念な結果ではあったけれど、今日は天気に恵まれたから贅沢はいえない。来年の秋に期待することにしよう。

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September 08, 2016

Daily Oregraph: サンマ哀歌

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 やっとサンマが安値で店頭に出回るようになった。

 魚の町で生まれ育ち、昔の値打ちを知っているせいか、ぼくにはサンマを見下す(笑)悪いクセがある。決してきらいじゃないんだが、ふん、なんだサンマか、という目で見てしまうものだから、とても一尾数百円も出して買おうなどという気にはなれないのである。いわゆるケチとは思考回路がちと異なるのだ。

 そういえば、中学生の頃、弁当箱を開けるたびにシシャモが顔を出すのには閉口して、ちぇっ、またお前かよ、と不平を漏らしたのは、今となっては贅沢な思い出だ。シシャモなんぞは、どこの家でも箱買いして、軒先に吊して干していたとは、まるでウソのような話である。

 イカなどは自転車の荷台に木箱を積んだ親爺が、早朝に「イカ~、イカ~!」と声張り上げて売りに来たものだ。そいつを買ってイカ刺しを朝飯のおかずにしたんだから、どうだ、豪勢なものだろう。

 大衆魚のひとつだと思っていたメンメもついに高級魚に化けてしまったし、メヌキに至っては、最近とんとお目にかかる機会がない。

 うっかり炉端でメンメを注文しようものなら、それこそメンメ以上に目の玉が飛び出すことになるから、観光客の方にはご注意申し上げておきたい。

 -おじいちゃん、時代は変ったんですよ。

 無礼者め、おじいちゃんとは誰のことだ! という声もすでに弱々しく、ジジイはサンマに添えられた大根卸しを啜るのであった。

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September 07, 2016

Daily Oregraph: 港町の青空

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 今年は青空が貴重である。空が晴れているというだけで、なんだか得をした気分になる。

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 だから素直に青空をながめる。空が青ければ、海も青い。ありがたいことである。

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 おまけは知人夕景。明日の予報は曇りのち雨とやら。またしても青空の株価が上がりそうだ。

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September 04, 2016

Daily Oregraph: 真昼の怪談

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 青空に誘われて、ちょっと長い散歩をした。気温は高からず、低からず、快適であった。写真は上流側から見た幣舞橋である。

 途中河畔でなんとかフェスティバルの写真も撮ったけれど、面倒くさいから割愛する。長い文章を書くのはもっと面倒だから、生存証明写真を一枚だけ。

 体調は悪くないけれど、なぜか頭が働かない。毎日会社勤めをしていた頃とはちがって、こういう低調なときがつらい。どこにいても落ち着かず、つまりは身の置き所がないのである。

 裏の草むしりでもすれば気も紛れそうだが、今の時期は蚊が多くて閉口する。一匹や二匹ならともかく、ワンワン唸りながら何匹も攻撃を仕掛けてくるのだ。昔見た怪談映画に、火の玉にまとわりつかれた侍が刀をメチャクチャに振り回す場面があったけれど、あれと同じである。

 -おのれ、執念深い奴め。まだ成仏せぬか。

 顔を刺されればボコボコに腫れ上がり、こっちがお化けになってしまうから、草削鍬をふるいながら下手へ退場。チョンと拍子木が鳴って幕が下りる。冴えない幕切れである。

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September 02, 2016

Daily Oregraph: 海岸保?

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 おや、この看板は?

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 ははあ、この足場がそうだな。足場の存在には気づいていたのだが、看板を見落としていたのである。

 沖に大型船が見える。小さいじゃないか、って? どういたしまして。この距離から見てあのサイズだと、かなり大きい船である。

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 ハッチが7つで、デッキクレーンがないから、いわゆるパナマックス型である。飼料を積んでいると見た。喫水から判断して、どこかの港で一部揚荷してきたのだろう。船名は EVER BEST と読める。

 まあ、これも散歩の楽しみのひとつなのだが、本日のハイライトは……

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 なぜか手前の植物にピントが合ってボケてしまったけれど、「海岸保」という文字が刻んである。長年このコースを歩いているのに、今日はじめて存在に気づくとはなんたること!

 「海岸保」とは聞き慣れぬことばだが、橋頭堡の親戚であろうか? このあたりは太平洋を見渡せるから、軍事的に意味がないわけではないけれど、よくわからない。どなたかご存じの方がいらしたら、ぜひご教示いただきたいと思う。

 さて今日は午前中いろいろ雑用を片づけ、午後からはホームページの移転作業を行ったため、読書する余裕がなかった。NIFTY の現ホームページ・サービスが9月中に終了し、新サービスへ移行するのである。

 テストを兼ねて薄氷堂雜録の移行をすませ、明日は「高橋和巳を語る会」のサイトを完全に移行する予定である。高橋和巳を語るどころか、サイト管理者が19世紀イギリスのチャンバラ小説にうつつを抜かしているのだからお恥ずかしいかぎりだ。せめて最低限の管理だけはしなければ申し訳ないと思っている。

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