Daily Oregraph: 相模春紀行 (10) 4月22日 浅草ノーファインダー編
ふだんお祭りやイベントを避けて通る男がなぜ浅草へ? これは心理学上の大問題かもしれないが、人間たまには雑踏が恋しくなるものだ。
初めて浅草へ来たのは2008年の12月9日。そのときの写真をお目にかけると、
さすがにそれなりの人出はあり、十分雑踏を堪能したのだが、このたびはその何割増しかの人数が押し寄せていた。
一人ならともかく、立ち止まってカメラを構えていては、たちまちT君にはぐれてしまう。そこでノーファインダーでどんどんシャッターを切ることにしたのだが、そんな撮り方はまったく初めての経験であった。
そのうち何枚かを適当に選んでみた。
なにがどう撮れているかは、あとでチェックするまでわからない。
たまにはこのように案外まともに写ることもあるが、それはそれでつまらないものだ(笑)。
こんな場所で肖像権を主張する野暮天はいないから、遠慮なくあちこちにレンズを向けてシャッターを押しまくると、ノーファインダーとは意外におもしろいものだと実感した。あなたもお試しあれ。
ねらって撮ってもこんなものである。
なにしろ世界中のお上りさんが集合しているから、気は楽である。さんざん斜め撮りしているうちに、
やっと賽銭箱に到着し、ふり返って見るとこの人波……ああ、もう十分だ、しばらく人混みには近寄るまいという気分になる。電磁石のスイッチをいきなり切断したように気持が離れたのだ。
脇道へそれるとごらんのとおり。いっぺんに通行人が減ってホッとする。
ロック座の前でも人通りはこんなものだ。浅草仲見世や原宿の雑踏は、東京でも特別なのかもしれない。
大道芸を見物し、
ふたたび大通りに出る頃には二人ともすっかりくたびれ、喫茶店に入って一服。
この日はたしか気温が24~25度で、釧路の真夏に相当する。そこをテクテク歩くのだから疲れるのは当り前である。ぼくの気まぐれにつきあってくれたT君には、まことに申し訳ないことをした。
T君に教えられて初めて知ったのだが、浅草から地下鉄に乗れば、乗り換えなしで京急に接続し、羽田空港に直通するのは便利である。
最後までつきあってくれたT君は品川で下車。ほんとにありがとう。おかげで楽をして空港に着くことができたよ。
長々と引っぱってきたけれど、旅の記録もこれで一段落、最終回には駅舎の写真をまとめて掲載することにしたい。
Comments
なかなか、見ごたえのある
写真旅行記でしたね。
いっしょに旅をしているみたいで
楽しくなりました。
Posted by: しょうちゃん | May 09, 2016 06:47
>しょうちゃんさん
ブログのネタには旅行が一番ですけど、年中旅するわけにもいきませんしねえ……
Posted by: 薄氷堂 | May 09, 2016 12:12
浅草はかなり以前に足を踏み入れたきりで・・・しかも夜が遅かった(といっても、9時頃)せいか、真っ暗で何もわからなかったんですが、去年は何の偶然か、2回も訪れる機会に恵まれまして・・・
その人混みには驚かされたものです。
なんか・・・毎日が正月のようだな・・・なんて思いました。
Posted by: 三友亭主人 | May 10, 2016 07:38
>三友亭さん
人混みにもまれるとたちまちウンザリするのはわかりきっているんですけど、たまには味わってみたくなるんですよ。
> 毎日が正月のようだな・・・
毎日お酒を飲むのも似たようなものかと……(笑)
Posted by: 薄氷堂 | May 10, 2016 21:15