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April 29, 2016

Daily Oregraph: 相模春紀行 (3) 4月19日 寒川神社編

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 本日の07時30分に部屋の窓から撮影したもの。この写真を見てから本日の記事をお読みになると、いっそう味わい深いものがあると思う(笑)。

 他愛のない内容だから、ノンキな散歩につきあう気分でお読みいただきたい。

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 「寒川神社下車」駅という駅名ではない。JR相模線宮山駅である。次の寒川駅で下車するのだとかんちがいする参拝客のために大書しているらしい。

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 ポカポカといい陽気である。神社へ向かう途中渡る寒川大橋から見た目久尻川(めくじりがわ)。菜の花が美しい。

 ずいぶん奇妙な名前の川だが、Wikipedia によれば、「御厨(みくりや)尻川」が転訛したものとも、悪さをする河童の目をくじり取ってしまったことから「目くじり川」になったともいわれているらしい。河童の目説のほうがおもしろいけれど、いかにも作り話くさいと思う。

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 これが寒川大橋。ふつうはこんな写真を撮らぬものだが、ぼくはふつうでないからパチリ。

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 寒川神社到着。神社のHPによれば、これは三の鳥居である。つまり相当規模の大きい神社であることがわかる。

 Aさんのお話では、今日は人が少ないけれど、正月には身動きも困難なほど大勢の初詣客であふれかえるらしい。

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 やがて見えてきたのが神門。この立派な門は平成5年竣工だという。

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 神門をくぐるとご本殿。これまたみごとな建築だが、平成9年の竣工である。

 本殿前の空間の取り方がすばらしく、無信心者のぼくも自然に恐れ入ってしまう。これはたいした神社だと感心させるのは、さすが相模国一宮の貫禄というものであろう。

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 特別サービスとして(?)ご神職が出演してくださった。

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 神社はまた、一般市民向け公園としての性格をそなえたやすらぎの場でもある。この神社も例外ではなく、境内には何ヶ所かこういう休憩所があって、清潔なトイレが用意され、無教養のジジイ向けに灰皿も置かれている。

 神社の開放性には人の心をゆったりさせるものがあり、信心の有無にかかわらず、その価値は認めざるをえないと思う。一服させてもらったお礼として、ぼくはわずかながらもお賽銭をさし上げることにしている。

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 この神社の名物は八福餅。写真で見るかぎり、赤福に似たお菓子のようだ。男二人連れだから甘いものは食べなかったが、お土産に八福餅を一折求めるべきだったかと後悔している。

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 この売店がそば・うどんの元祖とは意外であって、異論続出するのではないかと思う(笑)。よく見ると「寒川そば・寒川うどん」とあるけれど、讃岐には寒川(さんがわ)うどんというのがあるらしく、なんとなく一揉めしそうな感じだ。

 そば・うどんはともかく、燻製たまごと缶ビールというのも悪くはない。しかし少食のジジイになると、それだけで腹一杯になるから我慢、我慢。

 さてご注目いただきたいのが、これまでの写真に見える落葉である。なんの葉かは知らないけれど、ひっきりなしにハラハラと舞い降りてくるのを見ていると、まるで秋の公園にいるように錯覚するのであった。

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 ゆっくりと境内を散歩して、帰りがけに人形奉斎殿の前を通りかかった。どれどれと中へ入ると、人形は一体もなく、壁にぶら下がっている半紙がなんとなく人のかたちに見えたから、居合わせた係の女性に、

 -「ひとがた」ですか?

 -いえ、「にんぎょう」です。

 そこへ絶妙のタイミングで入ってきたのが、人形を手にしたご夫婦。なるほど、ここは人形供養引受け所なのである。世に人形にまつわる怪談は多いから、紙くずといっしょには捨てられないという気持に応える施設なのだろう。

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 たっぷり楽しませてもらって神社を出ると、春の落葉掃除をしている人々がいた。これほどの敷地の維持管理には相当の人手と費用がかかるにちがいない。

 掃除をしている方にご挨拶してすれちがい、ふたたび宮山駅へ向かう。引っぱるつもりはないが、次回へつづく。

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April 28, 2016

Daily Oregraph: 土門拳 『筑豊のこどもたち』

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 亡父の本棚を探したら、土門拳の写真集『筑豊のこどもたち』がみつかった。初版ではないけれど、1960年2月27日三版である。

 日本にこんな時代があったことを若者たちの多くは知らないだろうから、どこかで目にする機会があったら、ぜひお読みいただきたいと思う。


 土門さんの著作権はもちろんまだ存続しているから、内容をつぶさにご紹介することは差し控えるが、ザラ紙に印刷して定価100円に抑えたこの本の雰囲気は、

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これを見ればおわかりいただけると思う。

 今となってはいわゆる「お宝」みたいな本であるが、なにしろ56年前のものだし、ザラ紙だからすっかり黄ばんでおり、スキャンするために開いただけなのに、ステープラーの部分で表紙がパリッと破れてしまう始末である。

 このままではいずれボロボロになってしまうのではないかと思う。いっそバラして高解像度でスキャンし、PDF保存したほうが後世の役に立つかもしれない。

 もう一枚だけ。作者の「あとがき」をお読みいただきたい。

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April 27, 2016

Daily Oregraph: 相模春紀行 (2) 4月19日 朝の散歩編

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 05時27分。

 北海道の住人にとって、とんと時間の見当がつかない雨戸は慣れぬもののひとつである。それでも自然と目が覚めてしまうのは……いうまでもなく年のせいだろう。朝日が sun sun と部屋に射しこんでもコンコンと眠り続けていた頃がウソのようである。

 近くの田尻第一公園に行って、まずは自販機で買ったジュースを飲みながら呼吸を整える。木々の鮮やかな緑を見ると、道東とは季節が完全にずれていることを痛感する。

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 公園の脇には道祖神がある。そう古い碑とは見えず、こういう信仰がまだ生きていることに軽い驚きを感じた。

 道祖神の招きにあひて、三里とまではいかないが、約一時間、つまり一里ほどの散歩をスタートすることにした。

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 町内会の掲示板はけっしてバカにはできず、特によそ者にとっては貴重な情報源となるから、パチリと一枚撮っておく。

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 県道46号線。駅前の郵便局が見える。

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 05時59分。

 番田駅のホームには、すでに大勢の通勤客が集まっている。何度も乗り換えして遠くの勤め先に通うのであろう。

 ノンキなじじいの散歩とは大ちがいで、何十年もの間こうした通勤が毎日繰り返されると思えば、生きていくのはほんとうに大変なことである。

 しかし、かく申すぼくにしたって、それなりに奮闘してきたのだから、労働者諸君にはどうか温かい眼で見ていただきたい(笑)と思う。


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 この小さな流れは鳩川で、この先で相模川に注いでいる。岸辺に咲いているのは菜の花だろう。

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 しばらくウロウロしていると、(たぶん)サヤエンドウの花が咲いているのにはビックリした。あとで知ったのだが、昨年の11月に蒔いたものらしい。いくら暖かいとはいえ、越冬して花を咲かせるとは驚きである。
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 住宅街の間にある畑。おったまげましたよ。

 そういえばAさんも土地を借りて野菜を作っておられるのだが、自給自足どころか、収穫がありすぎて処分に困り、近所におすそ分けするほどだという。

 まあこれほど気候が異なるのだから、とても勝負にはならない。低温の釧路でちまちまと小松菜を栽培しているのがバカらしくなってきた。

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 散歩を終えて朝食をご馳走になり、Aさんが案内してくださるというので、ふたたび番田駅へ。
 
 09時26分50秒。さすが正確さを誇るJR、09時27分発の茅ヶ崎行き普通列車が定刻に到着した。

 さてこの電車に乗って二人はどこへ行くのでありましょうや。次回をお待ちあれ。

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April 26, 2016

Daily Oregraph: 相模春紀行 (1) 4月18日

 いろいろ迷った末、基本的にはジャンル分けせずに、時系列で記事を作成することにした。列車の乗換えなど、まんざら参考にならぬでもないだろう。

 ただし駅舎の写真はまとめて掲載し、今回の旅でもっとも愛着を覚えた(笑)JR相模線番田駅については特集を組むつもりである。

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  13時46分、羽田空港。

 当初の予定では羽田着11時40分だから約2時間遅れである。外は寒くなく暑くなく,今が一番いい季節なのかも知れない。

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 14時32分、京急横浜駅。

 羽田空港で乗車したのが、京急の直行横浜行き。蒲田で乗り換える手間がなく、おおいに助かった。

 さて、さすがにこの時間になると腹が減る。

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 そこでやって来たのが、西口からすぐのこちらのお店。旅に出ると立ち食いソバを食べたくなるから、あらかじめネットで調べ、目星をつけておいたのである。

 ぼくはふつうお店の名を明らかにしない方針なのだが、後につづくみなさまのために(笑)ご紹介しておこう。店内が狭いからまさに立ち食い、ぼくも店の外で食べることにした。

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 天ぷらソバ一杯350円也。安い。

 時間も半端だし、坊ちゃんとはちがって一杯しか食べない。あっという間に完食し、ホッと一息ついて、相鉄横浜駅から海老名へ向かう。

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 15時26分、相鉄線海老名駅。

 乗換えは面倒だけれど、旅の楽しみのひとつであるともいえよう。ここではJR相模線に乗り換える。

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 JR相模線海老名駅のホーム。

 すぐ近くに Lalaport なる大規模商業施設ができ、海老名駅周辺は面目一新したのだが、JRの駅はローカル色満点である。

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 16時10分、JR相模線番田駅到着。ここが目的地である。

 滞在中この駅周辺を毎朝散歩したので、だんだんご紹介したいと思う。

 -ねえ、相模線の番田って知ってるかい?

 横浜で会った旧友二人にそうたずねると、素っ気なく「いや、知らん」という。失礼千万な話だし、ものを知らないにもほどがある(笑)。そこでJR番田駅については追って特集を組むことにしたわけ。

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 このたびご厄介になったのは、ぼくのいとこにして高校の先輩でもあるAさんのお宅。夕食にアサリの釜飯をご馳走になった。最後はお茶漬にしてサラサラといただく。美味なり。

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 いっしょに出してくださったのがこれ。鮮やかな緑である。一見してアブラナ科とはわかるけれど、初めて目にするものであった。もちろん釧路あたりの方にはなじみはないだろうと思う。

 これはノラボウナというのだそうな。漢字で書けば野良棒菜なんだろうか? 食べてみると妙なクセは全くなく、歯ざわりもたいへんよろしい。長生きしたおかげで、北海道の住人にとってはめずらしい春の味を楽しめた。アルコールまみれの体が浄められたような気分である。

 次回へつづく。

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April 25, 2016

Daily Oregraph: 裏庭画報 ウラホロイチゲ開花

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 今年も開花したウラホロイチゲ。

 回りに見える細長いネギみたいなものは、キバナノアマナの葉である。

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 あちこちにこうして群がって咲いている。今はまだ枯草や枯葉、サクラの枯枝などが目立って見苦しいけれど、もう少しするとウラホロイチゲの葉が生長してあたり一面を覆う。

 どこにでも咲くという花ではないから、わが家の自慢である。

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 エゾエンゴサク。こちらは割とポピュラーな春の花である。春採湖畔にもたくさん咲いているだろう。

 さて花が咲きはじめたからには、そろそろ土を起こさなくてはならないようだ。やれやれ面倒くさいなあ。

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April 24, 2016

Daily Oregraph: 相模春紀行 予告編

 写真の整理を終えたはいいが、どう料理したものか迷っている。撮影枚数は約450枚ほどに過ぎないけれど、内容が多岐に渡っているため、記事にするにはちょっと工夫しなければならない。

 本日は予告編(?)として、しょうもない写真を何枚か選んでお茶を濁すことにしよう。

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  2016年4月18日、海老名駅付近にて。

 この人の群れの正体はなんだろうか? しばらく呆れて眺めていたら、次から次へと絶えることなく人が湧いてくるのである。

 これをお見せしたある方の意見では、近くにあるリコーの社員のみなさんではないかというのだが、時間は15時30分だから出勤時間ではない。

 翌日通りかかったら、人っ子一人歩いていなかった。いまだに謎である。

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 2016年4月19日、JR相模線車内にて。

 さすがにアップでお顔を出すことははばかられるのでトリミングしたが……少年猿飛佐助に出会うとはビックリ(笑)。こんなのがあるんだなあ。

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 2016年4月19日、JR相模線車内にて。

 女性の運転士さんを初めて目にした。とてもステキである。

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 2016年4月21日、JR相模線車内にて。

 JR相模線普通列車のドアは自動ではなく、ボタンを押して開閉する。それを知らなかったものだから、ぼくは最初あわててしまった。ぼくが田舎者なのか、それとも車両が旧式なのか?

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 2016年4月21日、九品仏(浄真寺)閻魔堂にて。

 閻魔さんもしょせんは高級官僚だから、なにか利権があるんじゃないかと、つい疑いたくなる。実に悲しい世の中である。

 しかしこんな恐い顔をしていては、天下り先も限られようというものだ(笑)。

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 2016年4月22日、浅草にて。

 女性がなにをしているのか、すぐにはわからなかった。やがてスマホを取り付けた自撮り棒を操作しているのだと悟ったが、かなり手間取っているようであった。

 これほど人出のある場所なのだから、だれかにシャッターを押してもらえばいいのに。ほら、ここに名人(笑)がいるじゃないか。

 う~む、明日から記事をどうまとめたものか……名人は悩んでいる。

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April 22, 2016

Daily Oregraph: お上りさんの道

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 今日は友人が案内をしてくれたので東京見物。お上りさんはお上りさんらしく、やたらシャッターを切りながら歩き回った。

 侍に武士道があるように、お上りさんにも守るべき道というものがある。醒めた眼で都市を観察しようなどというのは心得ちがいだ。見るもの聞くものみな珍しく、あれま、おったまげただ。センス・オブ・ワンダー、これに尽きる。

 ここにお上りさんがもう一人。じっとカメラを構えて微動だにしない。このあと2分経過しても、おねえさんは彫像のように動かないのである。

 はてな、なにを撮ろうとしているのだろうか?

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 ああ、これか! 察するに、左側にチラリと見えるスカイツリー(だよね?)と、雲のような(人によってはウンチともいう)ふしぎな物体のふたつを美的に配置して撮ろうとしているらしい。

 少し見ていたが、切らない、まだシャッターを切らない。ぼくは根負けして通りを渡りながら思った。このおねえさん、只者ではない。お上りさん道と写真道両方の達人にちがいない。

 さて無事釧路に帰り着いたはいいけれど、写真の整理にはずいぶん時間がかかりそうである。おねえさんを見ならって、根気よくやるとしようか。

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April 21, 2016

Daily Oregraph: Nonblue Light Yokohama

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 4月18日。釧路空港出発便が大幅に遅れ、ANA からおこづかいをいただいた。金千円也。初めての経験である。得をしたのか損をしたのか、微妙な気分。

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 4月21日、横浜では港の近くのホテルを予約できず、部屋の窓からの眺めは全然ブルーライトじゃなかった。

 今回の短い旅は、けっして喜ばしい用事のためではなかったけれど、なつかしい人々との再会がかない、今夜は高校時代の旧友二人との会食も実現したし、たいへん充実したものとなった。

 予想以上に多くの写真を撮影できたので、明後日あたりからお目にかけたいと思う。

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April 15, 2016

Daily Oregraph: 地震忘れな草

 熊本の大地震には驚いた。本震も恐ろしいけれど、余震がまたすごかった。被災者の方々はまことにお気の毒である。

 めったに地震の起きない地方らしく、大型家具を固定していない家庭が多かったようだ。ニュース画面で見ると、倒壊を免れた家でも、部屋の中はめちゃくちゃである。

 災害は忘れた頃にやってくるというから、

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ぼくたちも2003年十勝沖地震を忘れないでおこう。

 地震といえば、もうずいぶん以前のことになるが、あるデンマーク人の曰く、「デンマークでは絶対に地震は起こらない」と。ぼくが「油断していると危険だよ」というと、「いや、過去に一度も起こらなかったし、これからも起こらないのだ」と断言したのには驚いた。そこまでいうからには、よほど地震と縁のない国なのだろう。

 しかし地震の恐れの少ないそのデンマークに原発はない。小国だから原発がたったひとつでも大事故を起こせば、たちまち国が滅びるからである。国が滅びては経済もへったくれもないから、まことに理性的な選択というべきだろう。

 それを考えれば、地震国日本に数十基もの原発が存在するというのは、いかに無茶な話であるかよくわかる。しかも福島原発はいまだに放射能垂れ流しで、すでに健康被害も懸念されているし、今後事態がいっそう深刻化するのは必至だというのに、

 九州電力によると、運転中の川内(せんだい)原発1、2号機(鹿児島県)は運転を継続しており、玄海原発(佐賀県)は停止している。原子力規制庁によると、両原発に異常はないという。(毎日新聞のウェブニュースより) 

とは、実に呆れ返ったものだ。隣県で大地震が起こり、気象庁が余震に注意を促している最中に、平然と川内原発の運転を続けていたのである。

 九電や原子力規制庁としては「どんなもんだい」と鼻高々なのだろうが、とんでもない、ただただ運がよかっただけの話なのだから、まともな神経ではない。地震はもちろん怖いけれど、もっと恐ろしいのがこういう人たちだと思う。滅亡へ向かってまっしぐらに進むつもりなのだろうか。

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April 13, 2016

Daily Oregraph: 末広ノンアルコール

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 この時間に幣舞橋を渡るからには、ははあ、あいつ相手がみつかったので一杯やるつもりだな……とまあ、このマイナーなブログの読者諸氏ならそう推理されることだろう。

 しかしそれでは当り前すぎておもしろくない(笑)。本日のテーマは節制なのである。

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 ひょっこり釧路に現れた旧友T君の注文はこれ。釧路育ちだけに、「スパカツ」とただ一言、椅子に座りがけにオーダーした呼吸はみごとであった。

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 ぼくはこちら。どこのお店のなにといわなくても、釧路人にはわかるのだからすごい。

 いつもなら二人とも一杯どころか何杯でもグイグイ飲むのだが、T君は現在酒を飲めぬ気の毒な境遇にあるから、ぼくもビールをぐっと我慢したのである。

 このあと喫茶店に入って歓談数刻。アルコールが入らなくとも話は弾むのだから、それもまたよし。

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 飲み屋に向かう人々の群れを冷ややかに見て(笑)、

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おねえさんたちの誘惑には目もくれず、

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しかしこの看板にはおおいに感心した。本日の広告大賞だな。

 「うちの母さん」はちょっと色気ありすぎであって、思わずふらふらと暖簾をくぐりそうになったが、我慢、我慢。今日は節制の日なのだ。機会があったらお邪魔することにしよう。

 「告 発泡酒じゃないよ」という文句がまた泣かせる。庶民がまがいもののビールを飲まざるをえないという、世界的にも貧乏くさく恥ずかしい国にした、政治家や高級官僚たちはこのセリフを噛みしめるがいい。

 さてすべての誘惑に打ち勝ち、徒歩で帰宅したぼくは、もちろんウィスキーを飲みながらこれを書いている。

 そういえばT君も別れ際にいっていた。

 -もうすぐ体調もよくなるから、次に会ったときは飲もうぜ。

 そうだよ、そうこなくちゃ。節制なんてつまらない(笑)。

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April 11, 2016

Daily Oregraph: ついでに散歩

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 市役所に用事があったので、港文館裏手に車を駐めて歩くことにしました。人間歩けるうちが花ですからね。

 用事を終えて市役所を出ると、牡丹雪がはらはらと舞い降りてきました。ふ~む、北大通は相変らず人影がまばらですねえ。通行人のエキストラを雇ったほうがいいかもしれません。

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 まっすぐ駐車場へ戻るのは芸がないから、末広のあたりをしばらくウロウロ歩きます。

 酒飲みとしてはこの界隈を夜歩くのが本当なんだけど、もう何ヶ月もご無沙汰しています。おかげで金が貯まる一方ですよ(笑)。

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 こちらのおねえさんお二人は顔なじみ。そろそろ春の装いですか。

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 幣舞橋のすぐ手前にある「道東の四季」碑。初めて碑文を読みましたよ。市民としてはお恥ずかしいかぎりで、しょうちゃんさん風にいえば切腹ものですね。

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 おお、賢明にも傘の用意を忘れないおねえさんがいました。気象予報士さんかしら。ピンクの傘なら、もっとすてきだったのに。

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 カフェラテの空容器をつつくカラス。お腹いっぱいで遊んでいるのか、空腹のあまりヤケを起こしているのか、ドリトル先生じゃないからわかりません。

 まあ用事ついでの散歩なんてこんなものですね。なお昨日と今日のカメラはカシオ EX-ZR3000。マネキンの写真、案外いい写りだと思いますよ。

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April 09, 2016

Daily Oregraph: 斜陽散歩

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 浦見町の丘から浦を見る。手前から南大通、入舟、川向こうに中央埠頭、そして遠く霞んで西港。

 マナリズムの家元だって、たまには浮気をするのである。今日はちょいと浮気につきあっていただこうという趣向。日出づる国日本の斜陽の景色を味わうのもまた一興であろう。

 ここから坂を下り、南大通へ降りて、左手に向かって進み、

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廃屋を横目に見て港町岸壁へ向かう。

 この廃屋もなつかしい北海道様式の建築である。いずれ取り壊されることは確実だから、たいへん貴重な存在といえる。

 ついでだから、2000年8月5日当時の写真をお見せしよう。

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 窓にビニールを貼っているのは隙間風対策。木造家屋に木のぬくもりを感じるというのは北海道の寒さを知らぬ人々の幻想であって、ストーブのすぐ前に陣取っていても、隙間風が吹き込むとガタガタ震えたものである。

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 港町岸壁から南新埠頭方面を見る。右側に見えるクレーンをご記憶いただきたい。

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 港町から南新埠頭方向へ移動する。

 この建物はかなり古い。どことなく無国籍風味があってぼく好み。

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 釧路重工のクレーンが実にカッコいい。この向こうが南新埠頭である。港町釧路らしい景色のひとつだと思う。

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 そこから道を左に取って、米町公園まで移動する途中でみかけたのがこれ。意図不明なところがおもしろい。

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 米町公園下。かなり無理な写真だが(笑)、啄木離釧の地の案内板。矢印の方向を見ると、だいたい港町岸壁のあたりだろうと思う。

 今日の散歩コースは啄木さんが昔うろついていたあたりだから、ファンのみなさまにはおすすめである。

 米町公園から「たくぼく線」のバスに乗って北大通で下車し、末広あたりの炉ばたでホッケの開きを味わえばパーフェクト。もうそろそろ京都観光なんぞは飽きたでしょうから、ぜひ釧路へおいでなさい。

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April 07, 2016

Daily Oregraph: ドリトル先生は月へ、ロビンソンは海へ

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 写真は南新埠頭。今日の記事とはなんの関係もない(笑)。

 さて毎度のことだが、どうでもいい話を。

 ドリトル先生は、モスラみたいな蛾の背中に乗って、無事月に到着した。先生はこの冒険を成功させるために、苦労して昆虫語を勉強したのである。

 ご存じのとおり、昆虫の成虫は寿命がたいへん短い。それなのに人間との会話が成立するだけの言語能力や一般常識(?)を備えているというのはふしぎだが、作者は技術者だけにちゃんと答を用意している。

 つまり先祖伝来蓄積された記憶を成虫になるまでの間に自然と身につけるというのだが、このあたり『ドグラマグラ』の「胎児の夢」を連想させるところがある。人間もそれ式に学習できると便利だけれど、そうは問屋が卸さない。

 言語だってスピードラーニング式になんの苦労もなく習得できるものではなく、滑稽ないいまちがいを繰り返しては訂正され、一人前になるには何年もの学習が必要なことは、幼児を見ればよくわかる。

 だからドリトル先生も動物語をマスターするまでには相当苦労したはずで、朝から晩まで吠えたり唸ったりさえずったり、とてもまともな人間のすることではないから、精神病院に押しこめられてもおかしくはないところだ。実際本文中に、先生は「人から crook(ペテン師)呼ばわりされる」と書かれている。

 それでも動物と会話したいというあなたに朗報がある。聞耳頭巾を手に入れるというような無茶な話ではなく、われらが南方熊楠先生によると、欧州の古話には「蛇を食えば鳥語を解する」とあるらしい。鳥語が聞き取れれば、犬猫語もやがてマスターできるにちがいない。

 なんでも食わせるゲテモノ屋があると聞いたこともあるし、漱石の『猫』には、たしか迷亭君が山家で蛇飯を食う話があるから、東南アジアまで出かけなくとも、日本国内で食えないことはないだろう。どうかお試しあれ。

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 ドリトル先生が地球を去ったので、お次は『ロビンソン・クルーソー』を読むことにした。昔々こども向けの翻訳を読んで以来である。ぼくはまだ蛇を食っていないから、読むのに時間がかかるのはしかたがあるまい。

 これ、案外おもしろい。まだ読みはじめたばかりだが、大時化に襲われた船の描写が真に迫っている。とうとうメインマストまで切り倒してしまったところ。さてこれからどうなりまするや。

 写真は出港する巡視船「えりも」。大時化などとはとんでもない、ご安航を祈る。

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April 06, 2016

Daily Oregraph: 白黒散歩

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 今日の定点撮影。

 本日も白黒モードにセットして、いつものコースを散歩。レンズ交換は面倒くさいので、カメラとレンズは別のセットである(Nikon D80 + Tamron SP AF 28-75mm F2.8 XR Di)。

 このカメラは D200 とは大ちがいで、 Nikon の製品にしてはクセが強く、使いこなしがひどくむずかしい。案外白黒のほうが向いているんじゃないかと思う。

 ぼくらの年だと白黒写真があたりまえという時代を経験しているから、色彩がなくともまったく抵抗を感じない。

 映像から色彩を取り除くと、残るのは光と影だけである。だからえらい写真家の先生は、白黒では特に光と影を意識せよとおっしゃる。実際名人の手にかかると、まったく色彩がないのに、たとえば女性の色気が見事に表現されていたりするから、へへ~と恐れ入るしかない。

 しかし芸術家などという人種は百人のうちせいぜい数人にすぎないから、その他大勢のぼくら一般市民は、光も影もおかまいなしに、真っ赤なバラから青い海までバシバシ白黒で撮っていた。

 そんな昔を思い出して、気楽に白黒写真を撮るのも悪くはないだろう。

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 フキノトウがボコボコと生えている。

 フキノトウの淡い緑が目に浮かんだあなたには、認知症の心配はないだろう。これも白黒の効用のひとつである。
 
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 知人の浜では漁師さんが昆布を採っていた。こういう景色が寒々しく見えない季節になったのだ。

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 ご存じ、知人の眠り猫。こいつにはそもそもカラーは必要ない(笑)。

 しばらくの間、その日の気分によってカラーと白黒を撮りわけてみようと思っている。

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April 05, 2016

Daily Oregraph: 4月4日駅裏散歩 白黒アート(?)編

 本日は昨日の記事のおまけみたいなもので、通称釧路駅裏のふしぎな魅力のほんの一端をご紹介したい。時間不足のため、写真はほんの数枚だけ。いずれ当社の総力を挙げて(笑)再取材を敢行するつもりである。

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 釧路駅前(南口)。

 人の姿が見あたりませんなあ。カラス版広場の孤独。
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 よく考えてみれば、「駅裏」というのはまことに失礼な話であって、バス停には「駅北口」と表示されている(初めて知った)。南口・北口ということばを定着させたほうがいいかもしれない。

 実は「裏口から正面に出るには? 釧路駅」という検索ワードで当ブログへお越しになった方がいるらしい。

 地元民にとってはあたりまえでも、旅行者にはわかりにくいことがある。なるほどもっともな疑問であって、地下道の存在が一目でわかる看板を何ヶ所か設置すべきではないだろうか。

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 鉄北センター裏手。これは作ろうと思って作れるものではなく、もはや偶然芸術(accidental art)の域に達していると思う。

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 鉄北センター内でみつけた鳥の飾り物。真っ黒だから最初はカラスだと思ったけれど、よくよく見るとちがうような気もする。

 壁に激突しているわけではなく、ときどき回転して位置が変るのであろう。なにかのおまじないかもしれない。

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 鉄北センターの向い側にあるお店のウィンドウ。

 このおねえさん(?)は以前正面から撮影したことがあるけれど、横顔のほうが別嬪である。ちょっと古風だが、ふしぎな魅力をそなえているから、見物に行かれることをおすすめしたい。

【取材後記】

 やはり時間が足りなかった。あと数枚は写真がほしいところである。なお最初から白黒に設定して撮影したけれど、色合いに微妙なちがいがあるのは、一枚ごとに好みに合わせて調整したからである。Nikon D200 + Ai Nikkor 35mm F2S を使用。

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April 04, 2016

Daily Oregraph: 4月4日駅裏散歩 開運編

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 (豚の貯金箱ではないけれど)小銭がたまったので、郵便局に持ちこんで預金した。たまたま空いていたのは幸いだったが、手数のかかる仕事だから、なんとなく申し訳ない気分。

 たぶん4~5千円程度だろうと予想していたら……なんと合計 11,010円也。ビックリである。 

 これで福知山線の鉄道運賃は確保できた(笑)。あとは京都までの旅費を工面しなくてはいけないが、幸先はなかなかよろしい。

 今日はよほど金運がいいらしく、このあと

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十銭硬貨が一枚手に入ったのだから、人生捨てたものではない。苦節?十年、ようやく運が開けてきたらしい。

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 ぼくに十銭くださったのは、駅裏の古道具屋さんのご主人である。

 ひさしぶりに地下道を通って駅裏へ出ると、もう店仕舞いしたはずのお店が開いているではないか。 

 店先の品物をのぞいていたらご主人がぼくに声をかけ、しばらく立ち話をしたのだが、なんでも癌をわずらってしばらく療養されていたらしい。

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 このお店はビックリハウスで、ありとあらゆる品物が並んでいる。

 高価な書画骨董を売りつけるたぐいのお店ではなく、めったに見かけない古い大工道具(案外需要があるらしい)や国鉄時代のダルマ・ストーブやデレッキ(写真右)など人間くさい品物から、買い手がいるのかしらと疑われる珍品まで。残念ながら、火焔太鼓は見あたらなかったけれど(笑)。 

 なにも買わないのに店内に入るのは気が引けたので店先で失礼したけれど、いろいろお話が聞けて楽しかった。そのとき小さなザルの中の古銭を、ご主人が一枚くださったのである。

 ぼくが辞退すると、 

 -いや、減らしたいんだよ。

 かくして十銭硬貨一枚がぼくの財産目録に加わったのである。ありがたいことだ。 

 -じゃあ、また寄らせてもらいますね。

 -いつまでやってるかわかんないよ。 

 せっかく駅裏へ行く楽しみが増えたのだから、そんなことおっしゃらず、いつまでもお元気で。十銭が小判に見える気分ですよ。

 なお今日はモノクロ写真も何枚か撮ったので、明日にでも掲載したい。 

【ご報告】

 ろばた「樹氷」の小路が消えて更地になっていた(2015年11月19日の記事ご参照)。地元紙も取り上げないニュースをご紹介するのが超ローカル紙の使命ゆえ(笑)、ここにご報告する次第である。

 

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 道路右側の建物からホテルグリーンまでの間が、ぽっかり地上から消滅してしまった。

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 反対方向からも一枚。こういう変化があるから、やはりときどきワッチする必要がありそうだ。

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April 02, 2016

Daily Oregraph: 大阪は満開の桜

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 今日はブログをサボるつもりだったけれど、大阪の友人 I君が、メールで桜の写真を送ってくれたから、ちゃっかり利用させてもらうことにした。どうもありがとう。

 彼に写真の趣味などないはずだが、スマホでパチリと撮ったらしい。心に余裕のある証拠で、まことにご同慶の至りである。

 こういうときはタコ焼きをほおばりながらビールをやるのが作法ゆえ(?)、たぶん…… おれも仲間に入りたかったよ。こっちの桜は五月の中旬だからなあ。

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April 01, 2016

Daily Oregraph: ホームズ禁煙す

 いつものように親分が長火鉢にもたれて、のんびり煙管を吹かしておりますと、

 -お、親分、てえへんだ!

 -どうしたい、八。糸屋の娘が駆け落ちでもしたか?

 -それどころじゃねえんで。ホームズの旦那が WHO に脅されて、煙草をやめたってんだから一大事でさあ。

 -ばかやろう、まあ落ち着いてこの瓦版を見るがいい。

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 -あッ、いつもどおりにパイプをくわえていらあ。

 -そうよ、まんまと四月馬鹿にひっかかったのは、おめえが間抜けだからさ。あの頑固な旦那が禁煙なさるわけはねえだろう。

 -へへ、面目ねえ。だけど親分、WHO ってのは何者でしょうねえ?

 -モリアーティ教授率いるところの悪の組織よ。

 -へえ~、世の中には悪いやつがいるもので…… ところで親分、ウィスキーが減っちゃいませんか。

 -おっと、みつかっちゃ仕方がねえな。どうだ、おめえも一杯やるか?

てなわけで、真っ昼間から酒盛りが始まったのでございます。どこからか鶯の鳴き声が聞こえてまいります。

 まことに四月にふさわしいお話でございました。

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