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March 31, 2016

Daily Oregraph: 1974年鈍行の旅 (3) 「国鉄」福知山線

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 列車は福知山を出てしばらくは盆地を走るが、だんだん両側に山が迫ってくる。

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 丹波竹田駅。

 駅前に「まるたん食堂」の名が見える。このお店はネット検索でヒットするから、現在も営業されているようだ。

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 市島駅。

 丘の上に見える「ひま」の文字はたぶん「ひまわり」だろうから、幼稚園かなにかだと思って検索したら、当時はともかく現在は「ひまわりの里」という福祉施設らしい。

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 福知山線普通列車車内。福知山までの車両より一世代新しく、木製の椅子はすべてスチール製に変っている。

 もう40年以上前の写真だから時効は成立しているけれど、気持ちよさそうに居眠りしている女性のお顔の一部にはボカシをかけておいた。

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 黒井駅。駅名を特定した決め手は「きくや」という旅館。検索したところ、現在も営業中らしい。

 駆け込み乗車の女学生たちも、すでに五十代後半。年を取ったのはぼくだけではない。

 こういう写真を撮れるのが各駅停車のいいところだろう。とっさに撮ったので、オリジナルは縦長画面である。これはやはり横長だろう。

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 谷川駅。

 これまた時効成立。こちらはボカシをかけなくともお叱りを受けることはあるまい。心当たりのあるお方には、連絡をいただければ写真を差し上げるつもりである。

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 下滝駅。駅舎の柱をよくみると「しもたき」と読める。

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 古市駅。海抜211メートル。

 しょうもない写真である(笑)。申し訳ない。

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 これぞ日本の風景。お婆さんが孫を背負って列車を見せている。

 鈍行だからこそ、こういう写真が撮れる。新幹線では無理な相談である。

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 地形から見て草野駅付近ではないかと思うがどうだろうか?

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 間抜けな写真の見本みたいだけれど、実はそうではない。

 恥をさらすようだが、ぼくは三田がミタではなくサンダだと、このとき初めて知ったのだ。へえ、そうだったのか! その驚きが素直に表現された一枚だから傑作なんだよ(笑)。

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 さてこの一枚だが、いったいどのあたりだろうか? 正面の橋脚(?)付近にはクレーンが見えるから、建設中の自動車道路ではないだろうか。

 三田以南かつ宝塚以北はまちがいない。その区間で列車の左側(東)に川(武庫川)が迫り、高速道路とおぼしきものが見える地点といえば、生瀬(なまぜ)駅付近ではないだろうか。

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 調査費があればさっそく確認に行くのだが、どこかにスポンサーはいないだろうか?(笑)。

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 宝塚付近。山肌一面宅地造成中である。実はこの直前に撮った一枚には、丘の斜面にびっしり立ち並ぶ住宅が写っているのだが、あいにく電柱が写りこんでしまったのでボツにした。

 このあたりから景色は一変し、都会の風が吹きはじめる。その落差の激しさには、まさに呆然とするものがあった。

 列車が尼崎のあたりを通過したときには、あまりのゴチャゴチャ感に圧倒されて、とうとう写真を一枚も撮っていない。すっかり牧歌的になっていた頭を、すぐには切り換えられなかったのである。

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 気を取り直してレンズを向けたのが田辺製薬とは……(笑)

 地図を参照すると、列車は尼崎駅を通過して神崎川の鉄橋上を走っていたはずである。このあと大阪市内で撮ったと思われる写真も一枚あるが、あまりにもつまらないから割愛し、福知山線の旅はこれをもっておしまいとする。

 沿線の風景がどれほど変化したか、ちょっと恐いような気もするけれど、いずれ京都を基地にしてもう一度たどってみたいものだ。不況の原因である消費税の税率が下がるまで待っていたら寿命が持ちそうにないから(笑)、豚の貯金箱を壊して、今年か来年にでも行こうかしら……本気でそう考えている。

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March 30, 2016

Daily Oregraph: 1974年鈍行の旅 (2) 園部~福知山

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 木をふんだんに用いた格調の高い客車……なのだが、絶壁のように垂直の背もたれは、長時間坐っていると体にこたえる。

 うんと空いていて迷惑にならぬときは、靴を脱いで向い側の座席に足を伸ばすというわざも使えるのだが、それも一時しのぎで、すぐに体がこわばってくるのだ。いかなる姿勢を試みても、背中と足のなす角度は約90度になるのだからたまらない。

  こういう車両で「車中泊」をしようものなら、手持ちのわざをすべて駆使しても、しまいには全身がピノキオみたいにコチコチになってしまう。しかも十時間以 上乗り続けると、下車してからもしばらくの間、ガタガタンという一定のリズムで体が揺れつづけるのは驚異である。一種の苦行といえるのではないか。

 このときは連続せいぜい数時間の乗車だから苦にはならなかったけれど、この写真を見てそんなことを思い出した。

 なおこの日撮った写真からひとつだけといわれたら、ぼくは迷わず上の一枚を選ぶ。カメラの手柄だな(笑)。

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 どこを撮ったものか、ピンポイントで突き止めたのがこの一枚である。「清酒 長老」の看板が手がかりとなった。一部を切り取ってみよう。

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 進行方向は画面右から左へ向かって、和知駅の約 280メートル手前である。

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 どのあたりかわからないけれど、乗客が増えているから綾部を過ぎたあたりだろうか。

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 福知山盆地だと思う。

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 福知山駅。11時55分。

 いかにもつまらない写真だが、たぶん時刻を記録するつもりだったと思う。

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 福知山駅前。京都府知事選の看板が見える。

 ここでもゴム長靴をはいたおばさんに注目しているのがおかしい。

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 これまたしょうもない写真だが、福知山市民の方ならなつかしいとお思いになるかもしれない。当時ビリヤードがはやっていたのだろうか。

 ちょうど昼時だから、ふつうなら食堂を探して気の利いたランチを食べるところだろうが、嚢中乏しかったからそれはありえない(笑)。たぶんパンと牛乳で昼食をすませたはずである。

 当時のビンボーがすっかり身についてしまい、いまだに旅に出ても、連れがいれば話は別だが、行く先々で土地の名物料理を食べることはまずないし、また食べたいとも思わないのである。よい習慣は若いうちにつけておくべし(?)。

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 1974年である証拠写真。横長で見ると印象がずいぶん変るから、上下をカットしてみよう。

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 この商店街は現在どうなっているだろうか? なんとなく再訪して確かめてみたくなった。この町に一泊して、翌日福知山線に乗るのも一興だろう。夜はともかく、昼はパンと牛乳でもよろしい(笑)。

 最終回はいよいよ福知山線。どうかお楽しみに。

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March 29, 2016

Daily Oregraph: 1974年鈍行の旅 (1) 京都~園部

 1974年3月15日の朝、ふだん出不精のくせに、ふと思い立ってぼくは山陰本線普通列車に乗った。きまった目的があったわけではない。

 ちょうど卒業を間近に控えていたから、ノンキな鈍行の旅ができる最後のチャンスだと思ったらしい。「らしい」というのは、彼は昔の彼ならず、今となってはまるで別人なので、心の動きは想像するしかないからである。

 当時ぼくには写真を撮る趣味はなかったけれど、たまたま父から借りていた(たしか)キヤノンデミをぶら下げていたため、貴重なネガフィルムが一本残ることになった。

 今にして思えば、ふだんもっと写真を撮っておけばよかったと悔やまれるけれど、そのころは音楽に夢中だったから、それはしかたのないことだ。

 さて前置きはこれくらいにして、出発進行。たぶん三回の連載になるだろう。

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 山陰本線普通列車。いまではこんな車両はもうないんじゃないかと思う。

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 保津川。

 このカメラ、バカにはできない。なかなかシャープに写っているから、レンズが優秀なのだと思う。

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 保津峡駅。駅名標は見えないけれど、ネット上の画像をあれこれ参照した結果特定できた。

 大きな荷物を背負ったおじさんのゴム長靴にご注目。京都の町中では、ゴム長をはいている人をついぞみかけなかった。ぼくも一度だけ経験があるけれど、雨の日にゴム長をはいて京都の市バスに乗ってごらんなさい。注目度抜群、最初はなぜジロジロ見られるのかわからなかった(笑)。

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 地形の特徴とトンネルの位置から見て、保津峡駅から約 1キロの地点であろう。

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 平野が開けてきた。亀岡盆地だろう。

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 こんな写真が撮れるのも……

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列車の最後尾が開放されていたからである(ぼくが開けたのではない)。

 危険といえばいえないこともないが、いかにもローカル、おおらかでいいと思う。最近はどうなのか……たぶん閉鎖されているんだろうな。

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 園部駅。

 ここで途中下車したのだが、この町について予備知識ゼロだったため行くあてもなく、駅の周辺をうろついただけ。身なりからして観光客には見えやしないし、ただの不審人物であったにちがいない。

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 トリミングして駅のあたりだけ切り取ってみた。

 こういう楽しみ方はいかにもデジタルだけれど、絵は明らかにアナログ風味である。輪郭の微妙なにじみぐあいは、フィルムならではの自然さである。デジカメ写真ではこうはいかない。

 では次の列車に乗るとしようか。次回は園部から福知山までである。

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March 28, 2016

Daily Oregraph: 裏庭画報 フクジュソウ

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 もうそろそろだろうと裏庭へ行ってみたら、フクジュソウが咲いていた。少なくとも数日前には開花していたにちがいない。

 咲いてくれたからには挨拶するのが礼儀。毎年の儀式である。

【予告編】

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 一昨日掲載した古市駅の写真は、このネガフィルムをスキャンしたもの。なつかしのネオパンSSである。

 ハーフ判のカメラを使ったので、ふつうに構えて撮れば画面は縦長がデフォルト。スマホで撮る感覚に似ているかもしれない。画面サイズが半分だから、画質が劣るのはしかたがない。

 十数年前に一度スキャンしたのだが、今回は高解像度(4800 dpi)ですべてスキャンし直した。せっかく手間ひまかけたのだから、過去に公開したものも含め、明日にでもまとめてお目にかけたいと思う。

 42年前に撮ったという古いだけが値打ちの写真なので、ヘボだのなんだのという苦情はご勘弁いただきたい。

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March 27, 2016

Daily Oregraph: 春二景

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 知人の崖にて。

 ここ数日のうちに、ずいぶんフキノトウの数が増えた。あれよあれよ、という感じである。

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 知人の路地では、例の眠り猫がほんとうに眠りこけていた。亀の子タワシみたいに体を丸めているから、なにがどうなっているのかわからない。ぼろ切れのようにも見える。

 猫が居眠りするようになったからには、たぶん春が到来したのだろう。つられてぼくまで眠くなってきた。

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March 26, 2016

Daily Oregraph: 鈍行はお好き?

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 スーパーでふしぎな名のお菓子をみつけた。餡をはさんだものらしく、これに似たものなら昔食べた記憶はあるけれど、「シベリア」とはまたすごい名前である。青森のパン屋さん製。

 祝 北海道新幹線開業……今日がその日だから、新聞は大特集を組んで大騒ぎである。しかしぼくがキュウリのようにクールなのは、うれしくもなんともないからだ。今度のダイヤ改正から在来線は減便され、駅のいくつかは廃止になるというから、まんまとJRの策にはまったのではないか。

 さてこのお菓子だが、新幹線で味わうにふさわしいだろうか?

 新幹線はつまらない。トンネルや防音壁のおかげで景色はろくに見えないし、たまに見えてもスピードが速すぎて味わうどころではない。おまけに運賃は高いし、かりに札幌まで延伸されたとしても、ご用とお急ぎのある方は、東京へ行くのならふつう飛行機を利用するだろう。

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 「シベリア」をほおばりつつ、ゆっくり車窓からの景色を楽しむなら、鈍行(普通列車)の旅がいい。かつて函館~釧路間の長距離普通列車(所要時間20時間半SLの旅)を制覇した、不屈の乗り鉄がいうのだからまちがいない。体は痛くなるけどさ(笑)。

 とはいえ、時代は変った。今どき長距離の普通列車など、乗りたくても見あたらないのは承知している。急行列車だってずいぶん減ったのではないだろうか。

 速さは正義だ。企業なのだから、儲からない路線は見捨てるのが当然だ。列車も通わぬ不便な田舎がいやなら都会へ出るといい(おや、地方創生はどうしたの?)。「なにか文句があるか」といわれれば、だまってうなだれるしかない。

 しかし小声でいいたいのだ。途中で乗り降りする土地の人々の会話を楽しめる鈍行の旅は最高のぜいたくだ、と。

 う~む、今のうちに花咲線の普通列車に乗っておこうかなあ。


 (写真は1974年3月福知山線古市駅にて撮影)

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March 25, 2016

Daily Oregraph: 牡丹雪

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 朝から上天気で気温も高く、正午までに昨夜の雪はほとんど融けてしまった。雪かきの必要がなかったのはありがたい。

 ところが16時ころからふたたび雪が降りはじめた。いわゆる牡丹雪である。どうせすぐにやむだろうと高をくくって散歩に出たら、

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一向に降りやまず、レンズに水滴が付着して、手前の線路がみごとにぼやけてしまった。さすがにこれはまずいから、第一定点撮影地点から家に引き返すことにした。

 昨日はスコップの魔術が雪をもたらしたのだが……そういえば、今朝二時間もかけてひさしぶりに部屋の掃除をしたせいだろうか(笑)。

 たった今窓を開けてみたら小降りになっていたし、ほとんど積もってもいない。冬の最後の抵抗であろう。

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March 24, 2016

Daily Oregraph: スコップの魔法

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 午前中某所にて、おもしろがってスコップの写真を撮ったら、

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雪になっちゃったよ。やつめ、怪しい術を使ったらしい。

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March 23, 2016

Daily Oregraph: 風雪に耐えて

 こんなえらそうなタイトルをつけると、長年農業や漁業などに従事して苦労を重ねたお爺さんを連想するかもしれないが……

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港町岸壁の野外応接セットである。つい先日まではまだ雪が残っていたけれど、今日はあふれる春の日射しを浴びながら、「ちょっと寄ってけばいいっしょ。上がんなさい、上がんなさい」と、北海道弁で歩行者に声をかけている。

 この場所には、これまでいろんな椅子が置かれてきた。漁師さんたちが焚火をしながら坐っている姿をみかけたこともある。

 手前の大鍋がまた逸品である。いつ頃ここに置かれたかは忘れたが、これほどの鉄鍋を目にしたことはなかったから、初めて見たときにはビックリした覚えがある。ソファよりも傷みが激しく、大きく欠けてしまったのは意外であった。

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 こちらが2012年9月19日に撮影したもの。ソファにはちょうど『マクベス』に登場する魔女が三人坐れるし、ぼくはこの鍋を煮えたぎる大釜に見立てておもしろがっていた(バカだねえ)。

 さてこの鉄鍋の運命やいかに? 港町岸壁からは目を離せないのである。

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March 21, 2016

Daily Oregraph: 夕方散歩

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 17時06分。ひさしぶりに歩いて幣舞橋を渡りましたが、時間もまだ早いし、そもそも一杯やる予定はありません。ほんの30分ほどの散歩です。

 カシオの ZR-3000 を実際に町歩きで試してみようという趣向です。すべてプログラムオート、露出補正 -1/3、レタッチしてあります。まあ最終回の続編みたいなものですね。

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 時間が時間ですから、飲み屋街にはほとんど人影は見あたりません。

 いつの間にかこんなお店ができていました。焼肉・ジンギスカンは好物ですが、食べ放題はいけません。情けないことに、もうモトが取れなくなってしまったのです。年ですね。

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 知らぬ間にダイヤルが回り、露出補正が +2/3 になっていました。対策を考える必要がありそうですけれど、この場面では幸いそれほど露出オーバーにはなっていませんでした。

 一時間飲み放題 3,000円、指名 2,000円、延長 2,000円……しめて7,000円かかる勘定です。だってあなた、3,000円ですませる自信はおありですか? まあ、ぼくには関係ありませんけど(笑)。

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 まだメインは冬物です。このところかなり暖かくなって、この時間の気温はだいたいプラスの 3度なんですけど、風がまだ冷たいのです。

 この写真も +2/3補正になっていました。かなり調整しています。

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 ここで気づいて -1/3補正に戻しました。もっと暗くしてもいいような気がいたします。こういう景色が好きだというのは、いわゆるネクラなのかも知れません。

 右下の車がじゃまです(笑)。建物の下まで入れたかったのに。

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 夕焼けがすごいことになっています。明るさは調整しましたが、どんな色だったか思い出せません。人間の記憶なんていいかげんなものです。

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 ほんとに目を見はるような夕焼けでしたが、露出は失敗の巻です。調整はしてみたのですが、いくらなんでも暗すぎてうまくいきません。むずかしいものです。顔を洗って出直します。

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 この夕焼け、撮りたくなるんです。人間自然の情ですね。おじさまのお気持、よくわかります。

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 こっちのおじさまも同じお気持のようでした。

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 17時39分。日没の数分後です。そろそろ駐車場へ戻るとしましょう。

 夜の町も撮りたかったのですが、シラフでウロウロするのはちとつらいからやめにしました。一人では酒場に入りたくないのです。さていつ機会がめぐってきますやら。

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March 20, 2016

Daily Oregraph: カシオ EX-ZR3000 を使う (7) HDR散歩編

 最終回は散歩しながら HDR(ハイダイナミックレンジ)撮影を試してみようという趣向である。

 その前に前回触れたライティング機能の効果について確認し、常時「入」 にすべきか 「切」 にすべきか決着をつけようと思う。

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 どちらも露出補正は±0。

 一見あっと驚くほどの効果はなさそうだが……岩波古語辞典や右端の辞書の背を見れば明るさのちがいはよくわかると思う。また『春採湖』の背などはずいぶん印象が異なると思う。

 肉眼で見た実物と比較してどっちに軍配が上がるかといえば、『春採湖』の背を基準にすると、ライティング「切」。「入」よりも明らかに見た目に近い。また「入」のほうは右端の辞書の背の金文字が不自然に光りすぎている。実際にはかなりくすんで見えるから、その点では「切」のほうも若干ながら派手目。

 テストの結果、ぼくはライティング「切」を選んだのだが、どんなカメラやレンズを使ったって、どうせ見た目どおりには写らないのだから、効果も極端ではないし、好みで選択してもいいような気がする。

 というわけで、ライティング効果をオフにして、散歩に出かけよう。すべて露出補正は -1/3、縮小+軽めのアンシャープマスク処理のみ。

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 定点撮影その一。ここはこう写るよなあ、と思ったとおりに写る。いくらなんでも地面はこんなに暗くはない。しかしとんでもない露出とまではいえず、これもありかとは思う。

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 HDRとは「露出の異なる複数の画像を連写して合成することで、明暗差の大きい被写体でも白とびや黒つぶれのない写真」を撮影する機能と説明されている。三つのレベルからレベル1 を選択している。

 これは効果ありすぎ(笑)。このシーンでは一つ上の写真をほんのちょっとレタッチしたほうが自然だろう。

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 定点撮影その二。

 ここも二枚撮影したのだが、どちらも大きな差はなかったので、よさそうに見えるほうを選んだ。たしか HDR を効かせたほうだと思うが、記憶は定かではない。シーンによって効果はかなりちがうらしい。

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 強烈な光線下にもかかわらず、意外によく写っている。ただし海の色が見た目とはちがう。

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 HDR の効果は抜群だが、全体にかなり赤みがかっているのはちょっと気になるところである。迷ったらふたとおり撮っておいたほうがいいのかもしれない。

 以上でテストはおしまいにするが、最後に本機の電池について。

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 電池はでかい。CX6(TG-820とTG-850も共通)の電池とは、容量・サイズともに約二倍である。正確に何枚撮れると計測したわけではないが、たしかによく持つ。ふつうの使い方なら、丸一日撮りまくっても十分おつりがくるだろう。

 それでも予備電池は絶対に必要だが、純正品の標準価格はなんと 7,500円以上もする。安いデジカメが一台買えそうなお値段である。ご冗談でしょう。そんなん買えますかいな(笑)。

 そこで互換電池と互換充電器のセット金2,080円也を amazon でポチリ(USB 充電なんて間が抜けているから、充電器くらい標準で付属にしてよ)。しかし互換電池はちょっと冒険である。純正品よりも容量が大きいと表示されているけれど、それはマスコミの内閣支持率と同じで鵜呑みにはできない。

 充電器のほうは問題なく動作し、純正電池は取説どおり約4時間で満充電になった。だが互換電池のほうは、今のところ動作に異常はないが、一度使い切って充電したら、たしか約2時間ほどで満充電とはあやしい(笑)。

 まあ話半分としても予備としての役には立つからよしとしておこう。ただし寿命は不明である(たぶん短いだろう)。

 さて明日からは平常どおりの営業(?)とし、ふたたびカメラを取っかえ引っかえ散歩する予定である。

 おまけとして、本日知人の路地でみかけたキタキツネ。無事冬を越したらしい。

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 なにしろ特定の機種の話だから、多くの方は退屈されたのではないかと思う。ごめんなさい。反省して一杯やります。

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March 18, 2016

Daily Oregraph: カシオ EX-ZR3000 を使う (6) ステップズーム編

 このカメラには通常の電動ズーム(25~300 mm 相当)のほかにステップズームの機能もあるので、すべてのステップで試し撮りしてみた。すべてホワイトバランスはオート、露出補正 -1/3 である。

 まずはいわゆる標準とされる 50mm 相当から。

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 遠近感が自然で、「見ようと思ったところを見る」とこう見えるから、ぼくは 50 mm 前後が好み。

 この写真にかぎらず、全体の傾向として、ちょっと色かぶりしているようだが、どのメーカーのデジカメにも色にクセはあるから、文句をつけるほどではない。ごく簡単に調整してみると、

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こんなところではないかと思う。以下はすべて縮小して軽めにアンシャープマスクをかけた以外、いっさいレタッチはしていない。

 お次は広角のテストである。
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 28 mm 相当。写真に見える廃漁船に接近し、船尾側から全体を狙ってみよう。ごらんのとおり引きがない。無理をすれば水中転落必至である(笑)。

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 25 mm 相当。露出も悪くない。うまくいった。24 mm ならもっと楽だったと思う。

 レンズを若干上に向けているせいもあるけれど、パイプラインの支柱が傾いて写っている。ぼくがあまり広角を使わないのは、この遠近の歪みのせいである。それが表現としておもしろいという人も多いのだが、ぼくは生理的にイヤなのだ。

 しかしゲージツ的表現は別としても、広角が必要な場面も当然ある。たとえば狭い部屋を一枚の写真に収めたい不動産屋さんなどがそうだろう。

 OLYMPUS TG-850 は広角端がなんと 21 mm だから超広角。これはこれでとても重宝するわけで、

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荷役終了後のカーゴホールド(貨物艙)のほぼ全体が収まっている(TG-850 21 mm 相当。レタッチ済み)。

 「なぜもう一歩前に出ないのだ」とおっしゃる方は現場をごらんになるといい。高所恐怖症のぼくは決死の覚悟で撮ったのである。足場が悪いから、一歩誤れば艙内に転落してあの世行きなんですよ(笑)。

 というわけで、広角ぎらいでも使うときは使うわけ。ついでにいうと、しばしば画像等倍にして細部を確認するのは、別に画質のアラ探しをするつもりはなく、仕事上必要なことが多いからである。

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 35 mm 相当。ふつうここまでが広角とされるのではないかと思う。

 快晴ではなく太陽が薄雲に隠れたせいだろうか、全体にあっさり目、ちょっと薄味に見えるけれど、調整は十分可能だろう。

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 50 mm を飛ばして 80 mm 相当。中望遠の領域である。

 十分な距離がある場合は、建物の水平垂直がきれいに出て、たいへん自然な写りになる。

 なおこの写真では HDR (ハイダイナミックレンジ)撮影を試してみた。建物の陰の部分がかなり明るめに写っている。もう少し暗めでいいかもしれない。

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 105 mm 相当。

 対岸の建物や倉庫群がかなりあっさり目に写っている。ちょっと霞んだ天気だったとはいえ、もう少しハッキリクッキリしたほうがいいように思う。

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 140 mm 相当。

 この古いセメントサイロは、もっとどぎつい感じなのだが、やはりあっさり目に写っている。レタッチが必要だろう。

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 192 mm 相当。なんで 200 mm 相当にしなかったものか(笑)。

 露出はほぼピタリ。いじる必要はまったくないと思う。

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 望遠端 300 mm 相当

 一部を等倍で切り取ってみると、

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 コンパクトデジカメの 300 mm としてはまずまずの写りかと思う(高級望遠レンズは使ったことがないけれど(笑))。

 最後にもう一枚だけ。300 ミリ相当で近くのカモメを撮ってみた。

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 これも露出ほぼピタリ。水の青は記憶色に合わせてほんの少しだけ調整したくなるが……

 さてテストは一通り終ったけれど、先ほど取扱説明書を読み直したら、ひとつ見落としていた。ライティングという機能が「入」になっていたのである。

 これは「明るい所と暗い所の明るさのバランスを最適な状態に調整して撮影」するというもので、全体にややあっさり目という印象を受けるのはそのせいだったのかもしれない。

 いまさらテストし直す気力はないけれど(笑)、ライティング機能は「切」にすることに決めた。

 次回は最終回。電池のことなどを含めてあれこれ書いてみたい。

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March 16, 2016

Daily Oregraph: カシオ EX-ZR3000 を使う (5) マクロ撮影編

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 近くて遠きは男女の仲(ちがったかな?)……というわけで、このカメラは広角端 25 mm でもここまでしか寄れない。マクロに弱いのである。

 ステップズームの焦点距離ごとの最短撮影距離をまとめてみた(取扱説明書には一覧表が載っていない)。

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 140 mm と 300 mm の間には、中途半端な 192 mm というステップもあるのだが、最短 140 cm というのは、今どきのコンパクトカメラとは思えない距離である。RICOH の CX6 は、マクロモードにすると望遠端(300 mm 相当)でもなんと 28 cm まで寄れる。

 望遠マクロはとても自然な写真が撮れるので、本機のマクロ機能はちょっと残念。一例をごらんいただきたい(光線状態がよくなかったので、レタッチしてある)。

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 なんとなく緊急出動というより、救急車でドライブ・デートに出かけるような印象を受けるが(笑)、8.2 cm×4 cm ほどのブリキのおもちゃである。

 ZR3000 では広角端でこれが精一杯だが、CX6 は105 mm 相当でも余裕があり、ほとんど肉眼で見たのと変らない自然なかたちで写っている。もっとも広角特有の極端な遠近感もまた捨てがたい(?)。

 マクロに弱いのは事前の調べで承知していたから、文句をつけるつもりはない。旅行や町歩きのスナップ用として使う分には、まったく不足を感じないと思う。

 実用上の目安としては、50 mm 相当で A4 用紙が画面におさまればまず困らないと思う。実際に試してみたら、A4 サイズより長辺の少し短い雑誌の表紙がほぼ画面一杯におさまることを確認できた。今となっては珍品に属する本なので、まあごらんあれ。

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 この本に登場するのは30万画素クラスがもっとも多く、最高の140万画素を誇る富士フイルムの DS-300 は、なんと実勢価格 207,600 円也(!)。

 それを思えば、数万円でそこそこのカメラが買えるとは、まことにありがたい世の中になったものである。それもこれもアベノミクスのおかげじゃ、南無阿弥陀仏、南無阿弥陀仏。

 それはともかく、これで貼り紙やらバスの時刻表などをメモ撮りするには十分であることがわかると思う。このたびは事前にいろいろ調べたのだが、すべての希望を満足させるコンパクトカメラというのはありそうでないのである。どこかで手を打たなくてはいけない。

 それでも頑固に「おれは行く先々で植物のマクロ写真を撮るのだ」と言い張るお方は、迷わず一眼レフとマクロレンズという最強の組合せを用意されるべし。

 次回はステップズームの全ステップで撮った写真でもお目にかけようかと考えている。

【追記】

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 マクロは苦手と書いたけれど、旅先でよく撮りそうなこの手の写真はだいじょうぶ(28 mm 相当)。たいへんシャープに写るので、どうかご安心あれ。

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March 15, 2016

Daily Oregraph: カシオ EX-ZR3000 を使う (4) オート撮影編

 本機にはオート撮影モードがふたつある。一つはおなじみのプログラムオート、もう一つはプレミアムオート PRO(以下プレミアムオートと呼ぶ)である。

 プレミアムオートは、ピントも合わせなくていいし(インテリジェントAF)、逆光や夜景などのシーンを自動で判別してくれるという、いわばおねえさん仕様である。

 「ピントくらい自分で合わせろよ」というジジイは、スポットAF に設定してプログラムオートを選択するのがふつうだろう。絞り優先やシャッター優先のモードも選べるけれど、撮像素子の小さいコンパクトデジカメではほとんど無意味だからである。

 しかし結果が同じならプレミアムオートを選択しても悪くはない。そう思ってテストした結果をお見せしよう。なお以下の写真は、縮小してほんの少しアンシャープマスクをかけただけで、明るさや色調には一切手を加えていない。

Zr3000auto_a

 どちらもデータは同じで、ズームは50ミリ相当、露出 -0.3 補正、ISO 80  F10.4  1/160秒である。

 露出がまるで同じなのに、煉瓦の色や MOO の壁面に濃淡の差があるのは、たぶんメイクアップ(美白効果)機能が効いているからではないだろうか。

 実はこのときはまだ取説を熟読していなかったので、プログラムオートではメイクアップを解除していたのだが、プレミアムオートのほうでは解除し忘れていたからだ。もし人肌以外もメイクアップするとすれば、ちょっと気になるところである。

 それ以外に大きなちがいがあることにお気づきだろうか? 見逃したからって切腹する必要はないけれど、

Zr3000auto_b 
合焦ポイントがちがうのである。プログラムオートでは(たしか)煉瓦の壁面あたりにピントを合わせたのだが、プレミアムオートのインテリジェントAF のほうは手前の街灯に合っている。

 前ボケは目立つからわかりやすいけれど、画面奥のほうはどうだろうか?

Zr3000auto_c 
 こちらは画面等倍である。明らかにプログラムオートのほうがシャープである。ピントが港文館手前の街灯に合っているプレミアムオートのほうは微妙にボケている。

 こういうシーンではどこにピントが合ったとしても、ブログ用に縮小した写真ではさほど問題にはならないけれど、さらにちがいを比較して、どっちのオートを選ぶべきか検討してみよう。

Zr3000auto01 
 竹鶴さんにも参加していただいたこのテストには、ふたつの目的がある。ひとつにはオート ISO 感度の上限を 1600 に設定した場合、ふたつのオートモードはそれぞれどの ISO感度を選ぶのか、もうひとつは ISO 1600 は実用に耐えるのかを確認するためである。

 どうやらプログラムオートはブレを防ぐためか、プレミアムオートよりも高感度を選択するらしい。どちらもウィスキーのラベルにピントが合っている。

 なおここまで縮小すれば両者ともに画質はほぼ同じだし、等倍でチェックしてもほとんど区別はつかない(三脚にセットしたのだが、シャッターの押しようが悪かったのか、案外手ぶれ補正が逆に災いしたのか、プレミアムオートのほうは、ほんのわずかにブレている)。ISO 800 は安心して常用できるといっていいだろう。

 ここでブラインドの開きぐあいを調節し、さらにカーテンを少し閉めて室内を暗めにして、同じテストをしてみよう(しつこい(笑))。画面が上と微妙にちがうのは、スポットAF でラベルにピントを合わせるため、カメラをいったん動かしたせいである。

Zr3000auto02 
 プログラムオートはセットした上限の ISO 1600 を選択し、プレミアムオートのほうは ISO 400 のままというのは驚きである。

 また画像をクリックしてごらんになればすぐにわかるとおり、このテスト結果では合焦位置が両者ちがっている。プレミアムオートは明らかに後ピン。

 これで両者の性格のちがいが明らかになった。プログラムオートは高めの ISO感度を選びプレミアムオートは低めを選ぶ。またプレミアムオートのインテリジェントAF は、思いどおりのポイントにピントが合ったり合わなかったりするのである。

 ついでだから ISO 1600 は常用できるかどうか、ふたつの画像を等倍で比較してみよう。

Zr3000auto03 
 画質にやかましい人ならどうお思いになるかは別として、個人的には常用できると判断した。

 たしかにざらつきはあるけれど、フィルムにだって粒々感はあるのだし、ひどい塗り絵にはなっていないから、ぼくの許容範囲内である。このあたり 1/2.3 型のセンサーとは明らかに一線を画している。といっても一眼レフとくらべてはいけませんぞ。

 さてこれでぼくの常用設定は決まった。

 妙なところにピントが合っては困るから、プレミアムオートは使わない(酒飲みはウィスキーにピントを合わせるものだ)。ISO 感度上限値は 800 とし、それでも間に合わなければ、一時的に 1600 に変更する。

 自撮りおねえさんへのアドバイス。手ぶれ補正はたしかによく効くけれど、念のため、ブレにくいシャッター速度を選ぶプログラムオートがおすすめである。その際、AF  はインテリジェントかマルチをお選びになるといいだろう(レンズのすぐ手前に顔がくるから、ピントを外すことはまず考えにくい)。年寄りのいうことは素直にお聞きなされ。

 次回はこのカメラの弱点であるマクロ撮影編である。

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March 14, 2016

Daily Oregraph: カシオ EX-ZR3000 を使う (3) 設定編

160314manga 
 あなたはデジカメを最初に使うとき、カメラの諸設定について取扱説明書をよくお読みになるだろうか?

 「べらぼうめ、そんなまどろっこしいことができるかってんだ。こちとら江戸っ子だい」という八五郎さんみたいなお人や、「なあに、いじっていれば直感的にわかるでしょう」というお方が多いのではないだろうか。

 かく申すぼく自身も、取説はほとんど読まないのがふつうだけれど、このたびは少々マジメに読むこととあいなった。おねえさん向けなどとあなどってはいけない。このカメラ、案外手ごわいのである。

 といっても、ただ写真を撮る分には一切面倒なことはない。スイッチを入れてシャッターを押せば、ちゃんとあたりまえに写るからだ。

 自分のスタイルに合わせて便利に使うための設定手順が、思いのほか複雑なのである。以下はそのポイント。

(1) モードメモリー

 取扱説明書には先にキーカスタマイズが登場するけれど、まず第一に設定すべきなのはこちらのほうである。

Mode_memory_2 
 なぜなら、ファンクションリングを「入」にしておかないと、せっかくキーカスタマイズで設定してもその機能が記憶されないことになるからだ。ここはわかりにくいところで、おねえさん向きとはいいかねる。

 すべての項目をチェックすべきだが、特に露出補正値のデフォルトをたとえば -0.3 補正にしている方は、 露出補正を「入」にしておかないと、パワーを入れるたびに補正値を設定し直さなくてはならないから注意。使いはじめてすぐの頃、スイッチを入れ直したら補正ゼロに復帰していたから、はてな? と首をひねったところである。

 人によっては、ズーム位置も「入」にしておいたほうがいいと思う。広角派ならともかく、ぼくのように 50ミリ相当前後を多用する者にとっては、ズーム位置を記憶してくれたほうが助かるからだ。ついでにいうと、ファンクションリングによるズームと、ズームレバーは併用できるから使い勝手はよい。

 さて、ここからが肝腎なところ(笑)。撮影モードごとに設定を記憶するのはファンクションリングだけではない。だからこそモードメモリというらしいのだ。

 最初それに気づいたのは、やはり露出補正値であった。プログラムオートのモードで補正値を記憶させたら、プレミアムオートのモードでもそれが生きていたから、どのモードでも共通なのかと誤解したのも無理はない。ところが BS(ベストショット)モードにしたら補正値がゼロになっているではないか。

 このように、設定値がモードによって共通だったりちがったりするのは、設計上の不備だと思う。説明書ももうちょっと親切に記述すべきだ。

 結論としては、よく使うモードごとにモードメモリの各項目をチェックしておくべし。

(2) キーカスタマイズ


Dials 
 キーカスタマイズとは、前面のファンクションリングと背面のコントロールダイヤルに、ズームや露出補正など自分好みの機能を割り当てることである。

 説明書には、

Key_customize 
とあって、それぞれ何を割り当てるかはもちろん勝手なのだが、(1) で見たように、ファッションリングの設定は「撮影モードごとに記憶します」とあるから、よく使う撮影モードごとにチェックしておいたほうがいい。

 また「割り当てることができる機能は、撮影モードによって異なります」という注意書きと、「撮影モードによっては、コントロールダイヤルで割り当てた機能を設定できないことがあります」という参考書きにも注意しておこう。

 なお参考書きは変な文章。「設定できない」のなら「割り当てた」はずがないではないか。う~む、どうやらここは「撮影モードによっては、あらかじめコントロールダイヤルに割り当てられている機能を変更できないことがあります」ということらしい(3月17日追記参照)。

 「あれ、機能が働かないや。故障かな?」と現場であわてぬよう、記憶にとどめておいたほうがよさそうだ。

【3月17日追記】

 どうやらぼくの解釈はまちがいであったらしい。参考書きと完全に一致はしないけれど、本日ひとつ発見したことがあるので記録しておこう。

 たとえばBS(ベストショット)撮影モードを選択し、

 1. キーカスタマイズでコントロールダイヤル回転に露出補正を割り当てる。モードメモリで露出補正を「入」に設定する。

 2. コントロールダイヤルで露出補正をたとえば -0.3 にセットすると、パワーを OFF にしないかぎり、補正値は維持される。

 3. ところがいったんパワーを OFF にしたのち、ふたたびパワー ON にすると、あらふしぎ、露出は±0 に戻ってしまう。しかしコントロールダイヤルを回すと露出補正はできるから、もう一度回してセットし直すというわけ。

 つまり、この場合、参考書きとはちがって、コントロールダイヤルに割り当てられた機能(露出補正)は働くが、モードメモリで設定した機能(露出補正値の記憶)が働かないのである。

 各撮影モードごとの設定が完全に独立していない点と併せ、いささか詰めが甘く、複雑怪奇という印象を免れないゆえんである。このカメラを持たずにここをお読みになった方は、さっぱりわけがわからず頭が混乱するにちがいない。読み飛ばしていただいて結構である(笑)。

(3) その他

 そのほかの設定項目については必要の都度取扱説明書を参照するとして、本日ご紹介した二大ポイントに関しては、最初に説明を熟読しておいたほうがいいと思う。
 
 なおぼくは動画を撮ることはまずないので、本シリーズでは一切触れないから念のため。

 今回の記事は、われながら実におもしろくない(笑)。おもしろくはないけれど、カシオのデジカメを愛用する自撮り派おねえさんのために、あえて書いたのである。

 え、なんですって? 「露出補正なんて面倒なこと、いちいちするわけないでしょ、バカねえ」とおっしゃるのですか。えらいすんまへん。

 次回はいよいよ撮影編である。少しはおもしろくなるかもしれない(笑)。

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Daily Oregraph: カシオ EX-ZR3000 を使う (2) 機能編

 最初にこのカメラの仕様から、個人的に興味のある部分を抜粋しておこう(撮影モードのちがいによる例外はとりあえず無視)。

  画素数   1210万画素(撮像素子は 1/1.7型 CMOS)

  レンズ    25~300 mm(35ミリフィルム換算)
          F2.8~6.3

  撮影距離 6 cm~∞(広角端。光学ズームにより変化)

  感度設定 ISO 80~6400

  電池寿命 約430枚(静止画)

Zr3000self

 最大のセールスポイントはなにかというと、

  自分撮りに便利な開閉液晶モニターフロントシャッター

  らくちんなスマホへの画像送信

であるらしい。

 自撮りは特に若い女性に人気があって、自分を撮った写真をスマホからあちこちに発信して配るのが流行しているそうだから、そこに目をつけたのだろう。広角側が25ミリ相当なのも、カメラ手持ちで自分を撮るには適していると思う(像のゆがみを気にしなければ……)。

 しかし残念ながら、ぼくには自分を撮る趣味はないし(笑)、スマホも持っていないから、これら二大特徴にはまったくありがたみがない。第一ジジイの顔なんぞを配ったって、総スカンを食らうのがオチだろう。

 チルト液晶はオリンパスの TG-850 にも採用されているけれど、ぼくはこれまで一度も必要性を感じたことはない(ローアングル撮影には有効かもしれないが)。しかしフロントシャッター(つまりシャッターボタンがふたつある)というのはおもしろい発想で、こういうところがカシオらしいのかもしれない。

 本機のチルト液晶は、開くと同時にパワーオンになるよう初期設定されている。自撮り用のアイディアとしてはいいのだが、それには欠点もある。ある時ポケットから取り出そうとしたら、なにかの拍子に液晶が少しだけ開いたとたん、レンズがにゅーっと飛出してきたのである。故障の原因にもなりかねないから、自動パワーオンの設定を解除したことは申し上げるまでもない。

 そのほか、インターバル撮影した画像を動画にするタイムラプスや、ハイスピード動画という機能もおもしろそうだが、観測記録など仕事に活用する人を別にすれば、たぶん何度か遊んだら飽きてしまうのではないだろうか。

 また、まだ試してはいないけれど、シャッターを全押しした瞬間とその前後の画像を一度に記録するトリプルショットというデジタルならではの機能もあって、こちらは案外役に立ちそうだ。

 このカメラがたぶん自撮り派おねえさんを主なターゲットにしていることは、メイクアップという機能があることからもわかる。つまり強引に(?)美白ツルツルのお肌にしてしまうわけだ。美白度・ツルツル度は調整可能だが、これまたジジイには無用の機能ゆえ、もちろん設定を解除した。

 さて一見おねえさん向けのカメラをジジイが使うとどうなるか? 次回は設定編である。

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March 13, 2016

Daily Oregraph: カシオ EX-ZR3000 を使う (1) 選択編

 -、どうだい、これ。

 そういって、高校の先輩Mさんがカシオのデジカメ(QV-10だったと思う)をぼくに見せびらかした(笑)のは、もうずいぶん昔の話だ。デジカメ自体はそれ以前から開発されていたのだが、一般向けデジカメの元祖はカシオ QV-10 である。

 なにしろ25万画素だから絵はガタガタ、Mさんには申し訳なかったけれど、正直いってちっとも魅力を感じなかった。しかし室内でストロボも発光させないのに、たいへん明るく写るのにはビックリした覚えがある。

1603cameras01

 そうだよ、カシオを忘れていたじゃないか。

 というわけで、カシオ EXILIM EX-ZR3000。RICOH の CX6 と比較すると、回りサイズは大きいけれど、ポケットには十分収まる。コンパクトのくせに、ストラップは2点吊り。

 カシオのデジカメを使うのは、これがはじめてである。このたびは何を買おうかずいぶん悩み、最初はいっそ Nikon の一眼レフ D7200 にしようかしらと思ったことは内緒である。D200 は気に入っているけれど、さすがに年代物になったから、そろそろ高感度に強い新型を使ってみたくなったわけだ。

 結局コンパクトデジカメにした理由は、一眼レフはじゃまくさいからの一言に尽きる。いくら高画質でも、めったに持ち出さないのでは意味がない。決して金がないからではない、という点を強調しておきたい(大臣の答弁よりは信用できる?)。

 そこでコンパクトデジカメをあれこれ物色したのだが、寿命数年と予想されるカメラに大枚をはたくつもりはなく、

  高画質は求めないが、低画質ではないこと

  動作がそこそこ機敏であること
 
  電池の持ちがいいこと

  胸のポケットに入ること

  予算は予備の電池を含めて 3万円台とすること

という条件でいくつか機種を絞ったうえ、カシオを使わずに死ぬのは残念だ(笑)という気持が働いてこれを選択した次第。

 さて吉と出るか凶と出るか。通りいっぺんの印象批評にはみなさまウンザリしておいでだろうから、主に実用的な観点から、このカメラについてあれこれ書いてみたいと思う。

 引っぱれば何回分かの記事にはなりそうである。ネタに困ったらカメラを買え、ということか。

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March 11, 2016

Daily Oregraph: 立ちん坊

160311_01
 好天なり。歩道は所々まだ歩きにくいが、気分すこぶる爽快。
 
   去年の秋に
   一目で惚れた
   あの娘見たさに
   立ちん坊

 めずらしく頭が冴えて(笑)、季節はずれの案山子の気持がよくわかった。なあに、娘さんなら心配は無用。案山子は歩けないから、ストーカーにはなりっこないよ。

 なお背景は刑務所のコンクリート塀である。

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March 10, 2016

Daily Oregraph: 竹鶴さんが来た

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 愚兄賢弟。竹鶴さんをぶら下げて弟がやって来た。なかなか気が利くじゃないか。

 封を切ったが最後、数日にして空になってしまうから、しばらくの間本棚に飾っておくことにした。

 さて最近話題の「日本死ね」だが、ふつうの読解力があれば、日本=現政権だとわかるはずである。ようするにこんな政府だったらないほうがマシだ、といっているのだ。散文として批判するのは的はずれであって、荒削りな詩と考えればいいと思う。

 乱暴だろうが荒削りだろうが、一々急所を突いているから、多くの女性の共感を呼んだのも無理からぬ話である。もしあの文章が乱暴だというなら、問題大ありの人物が何人も大臣を務めているというのはもっと乱暴で恥ずべき話ではないか。下品な野次を飛ばす議員などにあれこれいう資格はない。日頃平気でウソをついているから、あんなことを書かれるのだ。

 年を取ったせいか、ぼくもいっぱしのナショナリストのつもりだけれど、どうしてこんなに情けない国になったのかと考えると、竹鶴さん一本、数日どころかたった一日で空けてしまいそうで恐ろしい。悪政は健康にもよくないぞ。

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March 08, 2016

Daily Oregraph: 春採湖畔30分散歩

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 湖畔へ下る小道の途中でさかんに鳥が鳴いていた。とっさにカメラを向けたが、望遠レンズじゃないから、枝の間にちょこんと見えるだけ。

 そこで必殺鳥ミング。鳥の名前はさっぱりわからないけれど、元気のいい鳴き声であった。

160308_02 
 昨日は気温が上がり一気に雪が融けた。今日もパッとしない天気ながら案外暖かく、ゴマツリ岬付近はひどいぬかるみになっていた。

 いつも車に積んであるゴム長靴にはきかえていたのは正解であった。日陰にはまだ雪が残っているし、ふつうのウォーキングシューズはおすすめできない。

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 ひさしぶりにみかけた石炭列車。知人からの戻り列車である。

 本日の散歩のごほうびは鳥の声と石炭列車……いえ、文句はありませぬ。

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March 07, 2016

Daily Oregraph: コンパクトデジカメはお好き?

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 東京マラソンを完走して生還、いや失礼、凱旋されたスコップさんからいただいたお菓子。ありがとうございます。おいしくいただきました。

 さてこの写真は RICOH の CX6 で撮ったのだが、このカメラ、取り立てて画質がすぐれているというわけではないけれど、とにかくマクロが優秀である。しかも片手撮りでもブレないのだからえらいものだ。

 しかし最近ズームレバーが不調になってきたうえ、ときどき満充電した電池を入れても残量を誤認識することがある。もう四年近く使っているから、そろそろ不具合の発生する時期なのかも知れない。

 CX シリーズはとっくに生産中止になり、新製品はもう発売されていないから、買い換えるわけにいかないところが残念。壊れたら一巻の終りである。CX2 は温存しているけれど、ちょっと色調に不満があるからなあ。

 不具合といえば、一昨年秋に京都で大活躍してくれた OLYMPUS TG-820 もまた、

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撮像素子にゴミが付着したらしい(赤い四角内)。しかもこれまた電池残量の誤認識をするようになった。

 防水カメラなのにどうして? と思うかも知れないけれど、たぶん電池蓋を開閉する際に肥料か飼料の微細な粒子が内部に入りこんだにちがいない。三年の間、過酷な環境で酷使したせいであろう。

 いまは仕事では後発の TG-850 を使っているのだが、以前も書いたように、TG-820 よりもはるかにきびきび動作するものの、あまりにも画質が情けないから、ふだん持ち歩きする気にはとてもなれない。

 RICOH CX6       1/2.3型 CMOS 1,000万画素

 OLYMPUS TG-820  1/2.3型 CMOS 1,200万画素

 OLYMPUS TG-850  1/2.3型 CMOS 1,600万画素

 最初のふたつも画像等倍で見ればガッカリするのだが、まあ許容範囲内。しかしTG-850 は等倍でなくても絵がみすぼらしいのだから、ガッカリの二乗である。画素が増えたせいで絵がきたなくなるのでは意味がないではないか。最近主流の「1/2.3型 CMOS 1,600万画素」は無理がありすぎるから、避けたほうがいいんじゃないかと思う。

 そんなに文句をいうなら、俗にいうミラーレス一眼でも使えばいいじゃないか、とおっしゃるかも知れないが、答は No だ。ぼくも一台持っているけれど、いくらコンパクトで写りがいいとはいっても、結局レンズが出っ張るから、軽いだけが取柄で、じゃまな点ではでかい一眼レフと大差はない。

 レンズ固定式の高級コンパクトには、レンズがむき出しだったり出っ張ったりしてポケットに入れにくいものも多く、食指が動かない。おまけに一眼レフが買えるほど高価では話にならない。

 やはり数万円程度で買えるコンパクトデジカメにはたしかな存在理由があると思う。車の旅なら話は別だが、個人的には旅行に一眼レフなんぞを持ち歩く気にはなれないのである。寿命数年と割り切って、中級品を使いつづけるのが正解ではないだろうか。

 動作はもっさりしているけれど比較的画質のすぐれた TG-820 が安ければもう一台買おうかと思ってアマゾンをのぞいたら、なんと新品だと 43,200円もするそうな(笑)。わかる人はわかっているんだ。

140930kyoto 
 これは TG-820 を使用して2014年9月30日に京都市内で撮影したもの。どこがいいのだといわれても困るけれど、ぼくはこのカメラの写りが気に入っている。

 というわけで、そろそろ新しいコンパクトデジカメの買い時なのだが、さてどうしようか。せっかくだから失敗覚悟で意外なカメラにしようかな。

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March 05, 2016

Daily Oregraph: 三月の日射し (2)

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 風が弱くてポカポカ暖かい。また一歩春へ近づいた感じがする。

 歯医者へ行った帰り道に、ちょっとだけ副港をのぞいてみた。鏡のようにとまではいかないけれど、まずはおだやかな水面である。

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 漁船の舳先がちょいとエロティックに見えた(笑)……のも、陽気のせいであろうか。

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 またしても下手くそな絵で申し訳ないが、本日のおまけ。

 今週は読書をサボって、毎日 YouTube で「BSマンガ夜話」を見つづけていたのだが、もっともなつかしかったのが杉浦茂。むちゃくちゃ面白い脱力系の漫画なのだが、多くの若者は杉浦さんの存在を知らないんじゃないだろうか。

 そこでマネをしてみたのだが……ダメだ、こりゃ。とてもアシスタントは勤まりそうにない(笑)。

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March 01, 2016

Daily Oregraph: 三月の日射し

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 起きてすぐに窓を開けてみると、ご近所ではもう雪かきがかなり進んでいた。こちらも負けてはいられない。

 助っ人の三友亭さんは現れそうにないから、朝食をすませるとすぐに取りかかり、本日は一時間半ほどで作業終了。
 
 熱燗? いや、今日は飲まなかった(笑)。家の外では時々強風が吹いていたけれど、三月の日の光が南向きの部屋に射しこみ、眠気を催すほど暖かかったからである。

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