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December 31, 2015

Daily Oregraph: 港町から

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 暖冬といっても冬は冬、用事のついでに港町岸壁に立ち寄ってみたら、川の氷が吹き寄せられていた。

 風もなくおだやかな大晦日である。一年間このマイナーなブログをご覧くださったみなさまもどうかよいお年を。

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December 30, 2015

Daily Oregraph: 人の写真で……

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 復原された東京駅へ行ってきたわけではない。前回訪れたときはまだ工事中だったから、ぼくも一度写真を撮りに行きたいところなのだが……

 今日はブログをさぼるつもりだったところへ、くしろ-OBさんが写真をお送りくださったのである。どうやら最近読み終えた『千夜一夜物語』(なんと全十三巻!)のせいで、頭の中がすっかりアラビア化したので、(たぶん)日本精神を取り戻そうと……

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今月上旬に江戸城、いや皇居へ行かれたのだそうな。くしろ-OBさんのことゆえ、たぶん陛下のお招きにあずかったのではないかと推察するが、さて?

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 堀をへだててすぐ丸の内。このあたりはぼくのもっとも苦手とする一帯である。われながら場ちがいもいいところで、いかにも「おら東京さ来ただ」という感じがするのだ。資本主義はなかなか手ごわいのである。

 もう何年もスーツなんぞ着ていないから、今となっては屋上にこういう旗のひるがえるビルにはとても入れそうにない。やっぱりぼくは知人の浜のほうがいいや(笑)。

 くしろ-OBさん、どうもお写真ありがとうございます。よいお年をお迎えください。もしお会いする機会があったら、丸の内は敬遠して、場末の飲み屋で一杯といきましょうよ。

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December 29, 2015

Daily Oregraph: 年末完璧散歩

 定期散歩コースを歩くのも今年最後だから、ゆっくり歩いてみよう。マンネリ?……大いに結構ではないか(笑)。

 昨日は冷たい風に吹かれ、途中で引き返したけれど、幸い今日は風も弱く絶好の散歩日和である。

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 海がギラギラ光っている。こうして見るといつも錯覚するのだが、どうして海の水が溢れて流れこまないのだろうか?

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 定点撮影その一。赤色灯が点っているところを見ると、今日は石炭列車が通るのだろうか。

 ぼくは目がよろしくないから、この時は気づかなかったけれど、人影が見える。このすぐあとですれ違ってわかったのだが、いつぞやぼくに声をかけたおじさまであった。やはりカメラをぶら下げて年末の散歩に来られたらしい。

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 定点撮影その二。

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 こちらが第二定点撮影地点。いつもここから北米大陸にレンズを向けるのである。

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 定点撮影その三。いまや市内では数少ない貴重な砂浜である。カモメが一羽も見当たらないのはめずらしい。

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 今日は今年最後だから知人の浜に降りてみよう。

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 この近所のおばさまに声をかけられた。しばらく立ち話をして、

 -もう船で昆布の漁はしていないんですか?

 -しているの。だけど、今はここからは船を出さないの。あっちの岸壁から出すの。昆布もここには干さないのよ。

 -へえ、そうですか。昔はにぎやかだったのに、船の数が減りましたね。

 -みんなやめたからねえ。

などと、ひとしきり昔話に花が咲いた。おばさまに不審な男だと思われなかったのはなによりである。

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 浜で数枚写真を撮ってから知人の路地へ向かう。丘の上に見えるのは釧路埼灯台である。

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 おお、いたか! 知人の主である眠り猫に年末の挨拶をすませ、

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例の廃屋にも別れを告げる。ずいぶん傾いているけど、無事に年を越してくれ。

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 米町公園の崖下を通り、交差点を渡って、旧東栄小学校へ向かう坂道を登る。ここはめったに撮らぬ場所(それも無理はないが)なので、この際だからふり返って一枚パチリ。

 右が南大通り、左が米町。赤信号の向こうは二手に分れて、左は知人・南埠頭、右は港町に至る。そんなこと知ってらあ、などとおっしゃらぬように。このあたりを歩こうという、奇特な旅人の参考になればというつもりなのだから。

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 表通りにはほとんど雪はないが、一歩脇道へ入るとごらんのとおり。もう正午も近いというのに、道路はカチカチに凍りついている。ハイヒールなんて履いてはいけませぬ。

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 トコトコ坂を登って、旧東栄小学校到着。ここもさんざん見なれているからふだんレンズを向けたことがない。町並の記録を志すものの義務を果たすべく、シャッターを切っておこう。

 散歩のフルコースである。まさに完璧。年末を飾るにふさわしい出来であった。

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December 27, 2015

Daily Oregraph: 歳末千両の夢

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 まだ全面結氷には至らないが、春採湖の湖面はほとんど氷におおわれた。

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 スーパーはどこも大盛況で、駐車場は満杯、レジには長い行列が並び、不況を好況と強弁する大本営発表は本当かもしれないと一瞬錯覚しそうになるのも、歳末ならではだろう。

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 千両 冬・霜雪を凌いで、鮮やかな緑を失はないので、正月の鉢植、生花に用ゐられる。(角川書店編 俳句歳時記)

 ほかに萬両という植物もあって、これらは一種の縁起物なのだろう。その気持は痛いほどよくわかる。しかし千両・萬両にはとても縁のない庶民にとっては、百両とて夢のような話だから、現実に手が届くのはせいぜい十両未満ではないだろうか。

   いさゝかの金欲しがりぬ年の暮  鬼城

 鬼城先生は戦前のお方である。いささかの金とは、たぶん現在の数万円程度ではないかと推測するが、先生のご心境は高級料亭に入りびたりの連中にはとてもわかるまい。

 かく申すぼく自身は、花屋さんの店先に並ぶ千両を買えぬほど困ってはいないけれど、結局はちゃっかり写真を撮っただけ(失礼)。だがそれでは愛想がないから、せめて買ったつもりで……

  千両を小銭で買ひし年の暮  薄氷堂

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December 24, 2015

Daily Oregraph: 笑顔のクリスマスイブ

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 本日の船上セキュリティ・チェックポイント。

 ポーズを注文したわけではないのだが、いい笑顔である。西洋版の大黒さん、つまりサンタクロースがやってくる日にはまことにふさわしい。

 クリスマスでもハロウィンでも聖バレンタインデイでもなんでも、大いに祝えばいいのだ。商業主義だの無節操だのと非難するには及ばないと思う。戦争をするより百倍はマシというものであろう。

 しかし西洋一辺倒というのはちょいと気にくわない。たとえばヒンドゥー教のお祭りなども積極的に取り入れてみてはいかがであろうか。日本国では毎日が祝祭日というのも悪くはないと思う。

 かく申すぼくなんぞは、毎日ウィスキーで祝杯をあげているぞ(笑)。

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December 22, 2015

Daily Oregraph: 落雪注意

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 ひさしぶりの雪景色。幸い(たぶん)4センチほどの積雪にすぎず、そこが少雪地帯釧路のありがたさである。

 とはいえ、やはり雪かきをしないわけにはいかない。年賀状と雪かきは二軒分片づけなくてはいけないから、男はつらいよ。

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 壁際の雪かきは要注意である。こんな所をふつうは歩かないから、通行人にご迷惑をおかけすることはまずないけれど、雪かき人夫の首筋を直撃するのは困ったものだ。

 -なあに、ケガをする心配はないんですがね、あなた、雪は冷たいんですよ。

 ヒビの入ったボロ家の壁などお見せしたくはないのだが……雪かきをさぼって撮った、ブレッソンもびっくりの決定的瞬間である(笑)。

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December 21, 2015

Daily Oregraph: 副港の西

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 ご存じ副港。釧路市漁協付近である。

 ははあ、こんなつまらぬ写真を掲載するからには、なにか仕掛けがあるな……そうお思いになった方はたいへん優秀である(笑)。

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 この写真(2001年10月20日撮影)を見ると、ずいぶん印象のちがうことにお気づきだろう。

 もう少し引いて見ると、

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こうなる(2002年5月15日撮影)。つまりレールが撤去されて埋め立てられ、岸壁が延長されたわけだ。倉庫前のエプロン面も広くなっていることがわかる。

 「だからどうした」といわれても困るのだが、自分の受け持ち区域(?)の景色の変遷を記録しておくことは、まるっきりムダではあるまいと思うのである。

 なお写真のレールについては、

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こちら(2002年3月19日撮影)を見れば役割がおわかりいただけるだろう。釧路市民でもこんな景色を見たことがないという方は多いと思う。

 ここは副港の西の果てにある造船所地区。部外者が気軽に立ち入りできるような場所ではなく、ぼくもたまたま仕事があったおかげで、この時はじめて目にした次第である。

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 ひとつ上の写真の場所を釧路市漁協側から見たものがこちら。

 副港の西側地区はなかなか奥が深い。一度歩いてごらんになってはいかがだろうか。もちろん観光地ではないのだから、漁船の作業のじゃまにならぬよう、造船所に勝手に侵入しないようにご注意あれ。

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December 18, 2015

Daily Oregraph: 年賀状いくたび

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 カモがのんびり日光浴をしている。雌阿寒の雪も少ないようだ。

 こう暖かいと、大本営発表の温暖化二酸化炭素犯人説だの脱炭素社会なる標語(そんなことができるものか。この世は炭素だらけで、しかも炭素は生命の基礎だというのに)を鵜呑みにしたくなるけれど、まあちょっとお待ちなさい。万事利権の世の中、お上がそういうからには、裏で得をする連中がいるはずだと推理するのが市民的コモンセンスというものだろう。

 ちょっと想像力を働かせればわかるように、寒冷化のほうがはるかに被害甚大である。もし再び氷河期にでも入れば、人類は絶滅の危機に直面するだろう。人それぞれに考えはおありだろうから、もちろん押しつけるつもりは毛頭ないけれど、炭素よりもなによりも、当面はフクシマから出っ放しの放射能の心配をすべきだとぼくは思う。

 さてやっと年賀状の印刷が片づいた。紙送りの不調な某C社製インクジェット・プリンタをだましだまし使って、一枚ずつ手差しで印刷するものだから、何度も癇癪が破裂しそうになったことは申し上げるまでもない。

 ぼくは新聞をろくに読まないせいか、死亡広告を見落としたらしく、喪中はがきをいただいてはじめてお亡くなりになったことを知った方もいる。出状先を整理しながら、ふっと生前のお顔を思い浮かべるのが、信仰心に乏しいぼくなりの供養である。年賀状の季節はまた死について考える時期でもあるらしい。

 あと何回イライラしながら年賀状を印刷するかは知らないが、憎まれっ子世にはばかるぼくも、近い将来宇宙の塵に戻ることはまちがいない。もう少しの辛抱なのだから(笑)、回りのみなさまのご寛容に甘える次第である。

 苦沙弥先生の猫はビールに酔って死に、「南無阿弥陀仏南無阿弥陀仏。難有い難有い」と言い残したけれど、ウィスキーに酔ってこの世を去るジジイは、気の利いたセリフを思いつくだろうか?

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December 15, 2015

Daily Oregraph: 一茶を読んで遊びけり

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 またしても雨。土砂降りではなく、ボソボソという愚痴っぽい雨である。

 ネタのないときには俳句に頼ることにしているから、雪国の俳人一茶の句集をめくってみたら、

   冬の雨火箸をもして遊びけり

とは奇妙な句である。いったい燃えやすい材質の火箸なんて間抜けなものがあるのだろうか?

   杉箸で火をはさみけり夷講(えびすこう)

 へえ、ほんとにあるんだね(笑)。

 冬の雨に閉じ込められて、火鉢か囲炉裏の火を木箸でつついているうちに、ポッと火がついた。それをおもしろがっているのか、あまりのバカバカしさに自分が情けなくなって自嘲しているのか。

 いずれにしても、雨だからそんな呑気なことができるわけだ。

   是がまあつひの栖(すみか)か雪五尺

という句は有名だが、

   はつ雪やといへば直(すぐ)に三四尺

というのもある。三四尺といえば一メートル以上だから大雪である。雪かきをして道をつけねば寝酒を買いに出ることもできないから、もちろん放ってはおけない。

   はつ雪をいまいましいと夕(ゆふべ)哉

といいたい気持はよくわかる。

 芭蕉が澄ました顔をして雪をかく姿は想像しにくいけれど、一茶なら話は別だ。木鋤を抱えて吹きだまりに向かって突進し、ひょっとしたら「初雪や、それ、初雪や!」などと、いまいましそうにかけ声をかけつつ、猛烈な勢いで雪を掘ったんじゃないかと思う。

 さてこちとらはどうしようか? 火箸を燃して遊びけりよりは、スルメを焼いて飲みにけりのほうがマシかもしれないね。

 -おいおい、年賀状はどうした?

 -この雨だ、今日はやらないよ。

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December 14, 2015

Daily Oregraph: 大川町散歩

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 港文館の裏手あたりに車を停めて、大川町まで往復30分の散歩。これを繰り返せば、いつかは根室にたどり着く計算なのだが……

 今日はつまらぬ空想抜きでノンキに歩くことにしよう。

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 幣舞橋南側のアンダーパスを抜ければ、

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河畔はこぎれいに整備され、さすがは道東の拠点都市としての貫禄を示しているけれど、平日のせいもあってか、人影はまばらである。

 上流側に見える橋は久寿里(クスリ)橋である。

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 今日はじめて知ったのだが、ここは「おおかわ広場」というらしい。「おおかわ」はもちろん大川町に由来するのだろう。

 港町、入舟そして大町のあたりはひんぱんに歩くのだが、大川町方面に足を運ぶことはめったにない。せいぜい数年に一度くらいであろうか。

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 川沿いにしばらく進むと、今日の目的の建物があった。壁の文字は薄れているけれど、健在だったのはなによりである。

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 ファイルをチェックすると、2007年5月6日撮影の写真がみつかった。ほとんど建物の変っていないことがわかる。

 この建物の前を画面右手(南)に進むと、

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橋南幹線通りに出る。わずか30分の散歩だから、この通りを前進して幣舞橋まで戻るわけだ。

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 書道塾あり。

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 貸間あり。

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 そして本日第二の目的である木造家屋も健在で、ほんとうによかった。実はもう姿を消したのではないかと心配していたのである。

 右側はシューズやバッグなどの修理屋さん。いっそうのご活躍をお祈りしたい。

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 昭和風の床屋さんもまた歴史のある大川町にはふさわしい。

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 歴史があるといえば、ぼくのメインバンクである日銀釧路支店もそうだ。

 日銀は別の場所に移転したから、幣舞橋の手前にあるこの風格ある建物は現在空家になっており、再利用の道を探っているらしい。

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 母さん、日銀の刷つたあの大量のお札どうしたでせうね……などとつぶやきながら、ふたたび幣舞橋の下をくぐって現実に戻る。

 さて明日からは年賀状にでも取りかかるとしようか。

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Daily Oregraph: 釧路駅裏を歩く つけたし

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 これは11月16日に駅裏で撮影したしょうもない写真である。当然駅裏特集ではボツにしたけれど(笑)、実はこの建物が気になってしかたがなかった。記憶のどこかに引っかかるものがあったのだ。

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 本日やっと正体を突き止めたので、忘れぬように記録しておこう。この写真は1998年9月20日に撮影したものである。

 正面に板を縦にして連ねた造りが変っているけれど、それがまた記憶を刺激するのには弱った。このままでは眠れそうにないので、ファイルを丁寧にチェックしてみたら……

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ほうら、あった。1998年6月21日に南大通りで撮影したもの。

 無修正の30万画素デジカメ写真をじっくり味わっていただきたい(笑)。二枚目の写真は(ゆがみは修正してあるが)80万画素だから、比較してごらんになるとおもしろいだろう。

 このお店(もちろんすでに存在しない)も正面を板で覆っているが、生活臭を隠すためなのだろう。

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 せっかくの機会だから、2000年5月7日に駅裏で撮った写真を一枚追加しておきたい。鉄北センターのあたりだと思うけれど、正確な場所は特定できない。(ついでながら、この写真は200万画素)

 たぶんこの当時はアパートとして使われていたのだろうが、なにやらいわくありげな雰囲気が漂っている。今ではもう見られないから、建物全体の写真も撮っておくべきであったと反省している。

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December 13, 2015

Daily Oregraph: 入舟・大町無常の旅

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 入舟岸壁に車を停めて、大町まで往復わずか30分ながら、気晴らしのつもりで散歩した。

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 みなさん熱心にチカでも釣っているのだろうか。趣味道楽なのか、大不況下の消費税増税にそなえて釣りの腕を磨いているのかは不明である。

 しかし敵は弱者を狙い撃ちにする非常識かつ狡猾な連中だ。どんな奇策を弄するかわかったものではない。

 時は203x年。制服に腕章をした臨時雇いの退職老人とおぼしき人物が海岸や河川を見回り、虎の威を借るなんとやら、えらそうな口調で、

 -ほう、チカが釣れたかい。ふん、52匹か、たいしたことないな。どれどれ(と黒革の手帳を開いて)、50以上80未満は500円ね。はい、税金を払ってもらおうか。

 -そんなアコギな。勘弁してよ。

 -ハンカクサイこというんでないの。文句あるなら法廷でいってね。はい、ありがとう。

 貧乏人から釣り税を取り立てるとは呆れた話だが、ほかに野菜栽培税というのもあって、一般市民がこっそり小松菜を栽培しようものなら、近所から密告されてしこたま税金を取られるのだからたまったものではない。

 結婚できるほど金のある若者はいまやめずらしく、相当の負担力ありと見て、近々結婚税も新設されるらしい。非正規労働者増加政策を進めておきながら少子化対策とは噴飯物だけれど、その少子化担当相がこのところ結婚を奨励しているのも実は税金目当てだと喝破したニュースキャスターが首になったことは、われわれの記憶に新しい。

 こういう息苦しい世の中ゆえ、岡っ引きの手下同然の下請け徴税老人は、当然みんなに憎まれるけれど、爺さんにも同情の余地はあるのだ。

 消費税は10%から12%、さらには15%と順調に増税されたのに、年金支給年齢はジワジワと後退し、健康保険料や介護保険料は跳ね上がり、社会福祉の質は低下する一方だ。生活が苦しいから悠々自適など夢のまた夢である。

 いまや観光地で湯水のごとく金を使うのはほとんど外国人というありさまだから、貧乏な日本人など相手にしない土産物屋の朝礼では、

-はい、大きな声で。 What can I do for you?  花子さん、声が小さいよ!

という情けない国になってしまった。排外主義のネトウヨは相変らず威勢だけはいいけれど、爆買いするほどの購買力を持ち合せているわけではなし、腹ぺこの野良犬が吠えるようなものである。

 お爺さんだって生活を維持しなければならない。夜には焼酎の一杯も飲みたかろう。いかに人に嫌われようとも、税務署から歩合制で支払われるわずかの報酬目当てに、痛む膝をいたわりつつ、必死になって歩き回り、容赦なく釣り税を取り立てるのも無理のない話ではないか。

 ……などと空想をふくらませているうちに、

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幣舞橋が見えてきた。

 ゆったりと流れる釧路川をながめているうちに、時はふたたび2015年。いけない、いけない。つまらぬことを考えていては気晴らしにならないではないか。

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 道東経済センター前に到着。

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 このあたりの写真を撮ろうなどという奇特な人は……ここにひとりいたようだ。

 奇跡的に残った昭和風の一角を記録して、これより入舟方面に戻ることにしよう。

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 おお、いくつかあったお店が廃業したのは知っていたけれど、まだ取り壊されずにそっくり残っていたか。

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 同じ場所を2000年7月16日に撮影したもの。

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 入舟に来たついでだから、11月30日に撮った写真もお目にかけよう。つまらぬ写真を見せるな、というお叱りはごもっともなれど、

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この角地にはかつて木造家屋が一軒残っていたのである(2000年8月5日撮影)。

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 これは同じ家の側面を撮ったものである(2003年9月28日撮影)。

 木造家屋一軒分の埋めようのない空白には、いつもながら驚くほかない。身代わりに罪を負ったキリストさんもろとも一軒の家が忽然と消滅してしまい、この家が存在していたことを知る人々もまた、いずれこの世から消え去ってしまうわけである。

 というわけで、気晴らしどころか、無常を噛みしめる散歩(笑)になってしまったようだ。

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December 11, 2015

Daily Oregraph: 12月の雨

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 一日中雨。室内は朝から暗いし、なんとなく気がめいるけれど、雪かきをするよりはずっとマシである。

 去年のブログを見ると、17日にまとまった雪が降り、21日には雨。雪になるか雨になるかはお天道さまの腹ひとつという時期のようだ。

 緑の濃い時期の雨にはしっとりとした風情があるけれど、12月の雨は陰気くさいだけで、とても昼間から一杯やろうという気分にはなれないものだ。雪かきをせずにすむのなら、雪見酒と洒落こみたいところだが……

   面白し雪にやならん冬の雨   芭蕉

 さすがは風流の人とほめたいところだが、ちょっと待った(笑)。前書きには「鳴海出羽守氏雲宅にて」とあるではないか。雨が雪に変ったところで、自分は雪かきをしなくてもいいのだから、こんな呑気な句を作るのだ。いやな親爺である。

 さてうかうかと時を過ごしているうちに、また一年が終ろうとしている。慣性の法則に従ってずるずるつづけている年賀状にもまだ手をつけていないし……この気の重さは、きっと今日の雨のせいにちがいない。

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December 09, 2015

Daily Oregraph: 早めの忘年会

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 ブログのネタがないから、写真を撮らせてね……とお断りして、刺身に箸をつける前にパチリ。

 忘年会と銘打ったわけではないけれど、まあそんなところであろう。もちろん幣舞橋を渡ったのだが、今夜は時間の都合によりタクシーを利用したから、いつもの写真はなし。

 ここのところずっと家にこもりがちだったせいもあり、同席のみなさんと大いに話がはずんで、まことにいい気分転換になった。やはり人間にとって会話は大切である。

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 暖かい夜だった。街路樹の枯枝さえなければ、ソフトクリームの看板もぶら下がっているし(笑)、写真を見るかぎりでは真夏といっても通用するかもしれない。

 泥酔することもなく、日付の変らぬうちに帰宅してブログを更新するところが大人(?)……というのはウソで、一同明日は早朝から仕事なのである。でなければどうなっていたことか。

 さてこれを機に長いスランプから脱出できればいいのだが……

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December 07, 2015

Daily Oregraph: 看板東西

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 いつぞや帯広市内で撮影したマルフクの看板は意外な反響を呼び(笑)、三友亭さんからも掲示板に写真をご提供いただいた。

 ほかにないかしらと思って、写真のファイルを見直したのだが、釧路市内ではこの種の看板がほとんど見あたらないのである。たった一枚みつかったのがこれ(2002年3月23日撮影)。

 なんとも中途半端かつ意味不明な写真でまことに申し訳ない。なんとなくおわかりいただけるように、この建物は裏通りにあった。みなさまご指摘のとおり、なぜこの種の看板が宣伝効果の薄い裏通りに多いのかは謎である。

 虫下しなんて今の若い方はご存じないかもしれないけれど、昔は寄生虫がめずらしくなかったから、ぼくなども服用した口である。薬ぎらいのこどもにも飲みやすいように、板チョコ状の虫下しもあった。まことに below な話ではあるが、ほんとうに虫が下ってお尻から出てくるのである。

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 さてこちらは最近見たイギリスの Victorian Pharmacy というシリーズから拾ったもの。当時の雰囲気を出すために再現したものだろう。この種の看板になつかしさを感じる気持は東西共通らしい。

 このように看板が多ければ、それだけ宣伝効果はあると思う。ココアや磨き粉の看板にまじってマルフクの看板まであるが(笑)、もちろんぼくのイタズラ。

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December 01, 2015

Daily Oregraph: 北埠頭パトロール

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 散髪して頭がスッキリしたところで、北埠頭を歩いてきた。頼まれもしないのに港湾パトロールとは、われながら物好きな。

 これは突端(南側岸壁)の東側から撮影したもの。先日中央埠頭から撮影した写真を掲載したが、こうして現地に来てみると、古い倉庫の大半が姿を消してガランとした空間が広がっていることに、あらためて驚かされる。

 しかも荒城の月のように涙を誘う景色ではなく、これから倉庫を建てるために新たに開発した用地のようにも見えるのは意外であった。

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 西側岸壁に接岸中の巡視船「そうや」。なかなかの美人である。

 倉庫が取り壊される以前は、(絵になるかどうかは別の話だが)こういう引いた写真はもちろん撮れなかった。

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 一種の無国籍風景。町中の電柱はじゃまな存在だが、電柱あってこそ成立する景色もあるようだ。

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 生き残った倉庫を見る。いずれは消えてしまうのだろうから、大事な証拠写真である。やはり奇跡のように残った電話ボックスも忘れないでほしい(笑)。

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 倉庫の生命維持装置。取り外されたら一巻の終りである。

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 かつてはこの埠頭もにぎわい、巻取紙の積荷などもさかんに行われていたのだが、それを記憶している人もだんだん減ってきたのではないだろうか。そんなことを覚えているジジイを、人は土地の故老という。

 え、おれのことかよ(笑)。

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