Daily Oregraph: 通船に乗る
今日も天気が悪く、散歩は断念。
そこで11月9日の記事で触れた通船の旅(?)にみなさまをご招待したい。といっても、撮影したのは2004年6月29日である。
もう十年以上も前のことだし、登場人物も横顔しか写っていないから、ご迷惑のかかることはないだろう(ただし最後の写真だけはお顔の一部にボカシをかけておいた)。
あいにく少し霧がかかっていたけれど、ボートはレーダー完備だから問題はない。しかしかつてはコンパスしか装備されていなかったので、濃霧の中を沖に出たものの、本船にたどり着けず引き返したこともある。
あとで聞いたら、本船では汽笛やドラをさかんに鳴らしてくれたらしいのだが、文字どおりの五里霧中ではなんの役にも立たなかった。360度視界ゼロというのは本当に怖いもので、コンパスと経験だけを頼りに港へ戻った船長の腕前には感服した覚えがある。
さて同行のS君はノンキにタバコを吹かして余裕を見せているが、いつだったか大時化のとき、ひどい船酔いで真っ青になり、今にも死にそうな顔をしていたことをぼくは忘れてはいない(笑)。
やがて本船に接近する。いつもながら胸のときめく瞬間(?)である。
ジャコッブ(縄ばしご。Jacob's ladder の日本語訛り)を登る。まだ揚荷前とはいえ、チップ専用船の乾舷は高いから、ちょっと大変。
ジャコッブの途中に長い板があるのは振れ止めで、これがなければ全体がねじれ、慣れない人なら体ごとクルリと回転してしまう。経験者が語るのだから本当である(笑)。
仕事を終えてボートに戻る。
ジャコッブは降りるときのほうが怖い。必ず係の方がアシストしてくださる。
この日は凪だったからいいが、ウネリの高いときには相当の注意を要する。ボートが大きく上下に動揺するので、うっかりタイミングを外すと冷汗をかくはめになるのだ。真冬にはボートのデッキが凍りつくから、さらに危険が増すことになる。
無事帰還。どうもありがとう!
もう何年も通船には乗っていないが、また乗りたいかと聞かれたらどう答えようか? う~む、乗りたくもあり、乗りたくもなし……(笑)
Comments
う~~ん、長い梯子ですなあ・・・
体重が私の意に反して増え始めたころから梯子の上り下りが苦手になって参りまして、梯子を上り下りできる人がとてもえらい人のように見えるようになり・・・
やはり薄氷堂さんは偉い人だったのだなあと改めて思い知らされました。
Posted by: 三友亭主人 | November 11, 2015 23:12
>三友亭さん
「偉い人」などとお世辞にもいわれたことは初めてです。いやあ、ジャコッブに登ってよかった。ほめてくださるのなら、何度でも登ります(笑)。
機会さえあれば、三友亭さんも偉人になれますので、ぜひどうぞ。下からお尻を押してあげますよ。
Posted by: 薄氷堂 | November 12, 2015 08:50