Daily Oregraph: 散歩コース異状なし?
いつもの散歩コースから。
「なんだ、この写真は?」とお思いになるのも無理はない。撮影した本人でさえ、これだけではなにがどうなっているのかわかりかねるからだ。
2000年6月25日に同じ場所を撮影したのがこちら。この廃屋は取り壊されたのではなく、今年になってついに自然倒壊したのである。釧路版アッシャー家といったところ。
崩壊した際に板でふさがれていた玄関が露出したものらしいが、まるで別の家が現れたかのようにも見える。空家が増えつつあるから、今後こういう光景があちこちで見られるのではないかと思う。
今日はめずらしく昼前に散歩に出た。薄曇りで光線はほぼフラットだったから、なにを撮ってもノッペリとして見える。
定点撮影の場所から見た海はべた凪。まるでどこかの湖のような太平洋を見るのは久しぶりである。
-この辺でなにを撮っているんですか?
いきなり声をかけられてギョッとした。人のいることに気づかなかったのである。見ればカメラを持ったおじさまだったから、いっそう驚いた。珍事とはまさにこのことであろう。
ぼくがなにもない海にカメラを向けているのを、彼が不思議がったのは当然で、返事に窮したことは申し上げるまでもない。いえ、いつも散歩をしながら写真を撮っているんです、とお答えしたのだが、納得しかねるご様子であった(笑)。
さておじさまはなにをお撮りになったのだろうか?
知人の路地ではシシャモを干していた。これうまいんだけど、今年は不漁らしく、結構なお値段である。まことにうらやましい。
先日お目にかけた廃屋を2000年7月23日に撮影したもの。比較のため本日もう一度撮りなおしてみたので、15年という歳月の経過を味わっていただきたい。
この建物も自然倒壊は時間の問題だろう。意外に変化していないのが「横綱印わた」の看板。ネットの情報によれば、この会社は1911(明治44)年に創業された札幌の会社で、1998(平成10)年に倒産したという。
変らないようで変るのが町の景色、変るようで変らないのが人間だなあ……と、いかにも悟ったような気分にひたるご当人も、いずれ自然倒壊することはまちがいない。
Comments
本当に・・・今の時代に撮られた写真?
なんて思いたくなるような建物群ですね。
いや・・・これが日本?・・・とさえ疑いたくなるような・・・
「横綱印わた」の看板だけが、わずかにこの国のものであることを主張していますなあ・・・
Posted by: 三友亭主人 | November 09, 2015 06:02
>三友亭さん
大神神社の建物のほうが新しく見えやしませんか?
さて知人町の廃屋ですが、現役当時はなかなか立派な建築であっただろうと思います。いかにも北海道らしい風格が漂っているので、これまた文化財として保存して欲しかったですね。
Posted by: 薄氷堂 | November 09, 2015 11:37