Daily Oregraph: 大根卸しを味わう
最近収穫したばかりのダイコンを卸しにして、サンマといっしょに食う。
ぼくにとってサンマは大根卸しをうまく食うための添え物にすぎない。なければなくたってかまわないのだが、サンマがいっそう大根卸しを引き立てることはまちがいないと思う。
ほどよい苦味とほんのりした甘味が入りまじり、たっぷりの水分によって、ミミズの這い回る大地の恵みがじんわりと体にしみわたる。心身ともに浄化されるから、いくらアルコールを摂取しても害がなさそうに思えるところもありがたい。
『自由論』は読み終えて二度目に入ったところである。ラディカルな文章だから、とても1859年に発表された古典とは思われず、現代にも立派に通用する内容である。最近の与党の横暴ぶりを見れば、この国のありようが19世紀以前の後進性を示しているために、なおさらそういう印象を受けるのだろう。
本日併読していた藤原新也著『印度放浪』を読了。朝日文庫版(1995年)なのだが、ザラザラの紙に印刷された写真がよかった。カメラでもなく、レンズでもなく、プリントでもない、写真そのものの力を感じたのである。
こういう写真を撮る眼を持つことが大事なのだろうが、それは学校で技術として教えられるような種類のものではないから、もっともむずかしいところにちがいない。
Comments
大根おろしはいいですなあ・・・
おっしゃるようにいくら飲んでも大丈夫のような気になって来るし、いくら食べても据えて洗い流してくれるようなそんな気がしますからね。
それに・・・大根おろしを作るための労力は、結構大きなものがありますから、それだけで食べたものをあらかじめ洗い流してくれています。
Posted by: 三友亭主人 | October 11, 2015 22:57
>三友亭さん
大根卸しのうまさはワビサビ系のものですから、ちがいのわかるオジサンにぴったり(笑)。
山海の珍味などは食い飽きたからもういらん、という三友亭さんにふさわしい一品かと……
Posted by: 薄氷堂 | October 12, 2015 08:36