Daily Oregraph: 拾ったリンゴを食う話
落果の雨に踏み迷ふ釧路の秋の林檎狩り……というわけで、2日に拾ったリンゴを試食してみた。
あらかじめ用意しておいた形容詞は、酸っぱい、苦い、渋い、まずい。かたちは小さいし、真っ赤に熟しているわけではなし、そう思ったのも無理はないだろう。
しかし、but、however、意外にも甘いのには驚いた。まったく雑味がなく、純粋に甘いのである。難点といえば、水分がやや不足し、小さい上に芯の周囲が固いため、可食部分が少ないことであろうか。全体にジャリジャリとして、食感はむしろ梨に近いという印象を受けた。
-へえ、そりゃあほんとに拾いものだったね。
-うん。ジャムにするといいかもしれない。
しかし拾った翌日行ってみたら、このリンゴ、持ち主はご存じなかったらしく、そのままになっていたけれど、車が通ったとみえて、大部分が無残にもつぶれていた。教えてあげればよかったかもしれない。
長生きしたおかげで、ご近所にリンゴの木があることを知り、その実をはじめて味わったという話である。ジジイも歩けばリンゴを拾う、だな。
本日は部屋に引きこもっていたから、なにも拾わなかった。さて明日は……?
Comments
郷里にいたころ、親戚の家の庭にあった林檎が食べたくって食べたくって・・・
その気持ちを言うと、これは酸っぱくて食べられないと・・・
きっと私にくれるのが惜しくって嘘を言ってるんだと思い、帰り際に一つだけ隠れて失敬したものをカリッと一口。
私の親戚は・・・真実を語っておりました。そんなりんごの木もながされてしまいましたが・・・
Posted by: 三友亭主人 | October 05, 2015 23:10
>三友亭さん
いやビックリしましたよ。甘いんですから。
この種の実は、ゆるされるなら食べてみるべきですね。たとえ酸っぱかったり苦かったりしても、その木に愛着をおぼえることまちがいなし。
流されてなくなったリンゴの木を惜しむお気持はよくわかります。
Posted by: 薄氷堂 | October 06, 2015 07:00