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September 15, 2015

Daily Oregraph: 美と距離

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 仕事でこんな場所にやって来た。ぼくが No. 1 ファンネル・マークと勝手に認定している郵船の二引きも、これほど近くから見るとさほど魅力を感じないのはなぜだろうか?

 -それはな、距離の問題じゃよ。

 -とおっしゃいますと?

 -一体美が美として成立するためには適当な距離が必要なのだ。もっとも美しく見える距離というものがある。うるわしいディスタンスだな。

 -へえ、そんなものですかね。

 -考えてもみなさい。絵画にせよ、彫刻にせよ、顔をピッタリくっつけて鑑賞するバカはおるまい。その反対に、ハガキ大の写真を五十米も離れて見る間抜けもいまいが。ファンネル・マークなどは離れてながめるから値打ちがあるのだ。

 -ハハハ、でも先生、美女なんかはいかがですか。うんと近づいてよし、少し離れてもよし、適当なる鑑賞距離に幅があるのでは?

 -ばかもの。それだって適正な距離というものがあるわい。第一君などが接近しすぎれば、女に殴られるか蹴られるかするにちがいない。離れているにかぎる。君子女に近寄らず、だな。

 なるほど、この先生、えらそうなことをいっているけれど、常に女性とは距離を置いているのも道理である。向こうからは絶対に近づいてこないし、こちらから近づいていけば逃げられる。鑑賞に最適な距離なんて取れるのかしら(笑)。

 -おや、先生、どうなさいました? お顔の色が……

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Comments

適当な距離って大切ですよね。
ですから私は妻にあんまり近づかないようにしている・・・

・・・内緒ですよ、内緒。

Posted by: 三友亭主人 | September 15, 2015 22:49

いや、これはこれでグッとくるものがありますよ。
近くで見ると相当デカいんでしょうね。

Posted by: 中川@やたナビ | September 16, 2015 13:10

>三友亭さん

 しーっ、先生、声が大きいですよ。

 物理の時間に習いましたけど、「男女間の距離は愛情の度合いの二乗に反比例する」という法則(?)がありますからねえ。

 愛情が最高度に達すると距離はほとんどゼロになりますが、愛情が薄れると距離はみるみる長くなります。悲しいなあ。

 しかし夫婦の場合は、ふつう適当なところで安定しますから、まさか近づいたからといって殴られるようなことはないでしょう(笑)。

Posted by: 薄氷堂 | September 16, 2015 19:56

>中川@やたナビさん

 でかいです。バカバカしいほどでかいです(笑)。

Posted by: 薄氷堂 | September 16, 2015 19:58

>物理の時間に習いましたけど、「男女間の距離は愛情の度合いの二乗に反比例する」という法則(?)がありますからねえ。

これ、私も習いました。ただし物理ではなく化学で・・・
確か原子間の引きあう力・・・のことを習っていた時のことかと記憶しますが・・・

Posted by: 三友亭主人 | September 16, 2015 23:05

>三友亭さん

 おやおや、実は習ったのではなく、ぼくが即席にこしらえた法則なんですが、世の中には同じことを考える人がいるもんですねえ。

 でも実態に即した真理じゃないかと思いますよ。実例で示しますと、

 はるか彼方から「ご飯ですよ! 何度も呼んでるでしょ」という奥方の声。

 「わかってるよ!」と三友亭先生、読みさしの本を机に置いて、よっこらしょと立ち上がる。

 さすがに食事のときは距離が縮まる……というのが、多くの日本の夫婦のありようでしょうね。

Posted by: 薄氷堂 | September 17, 2015 06:40

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