Daily Oregraph: 空定めなきけしき
母のお供をして病院へ行ったので、待ち時間に散歩をしようと思い、出世坂を下るつもりだったが、相変わらずのぐずついた空模様である。小雨がぱらついていたのでやめにした。
なおこの坂、酔って帰宅する途中に上ると、かなりしんどい。この頃では一度小休止を取るのがふつうになってしまった。スパゲティの大盛りも食えず、坂は一気に上り切れず、まったくイヤになってくる。
しかしせっかく外へ出たのだから、幣舞公園から幣舞橋にレンズを向けた。コンパクトデジカメなのに、望遠端にするとここまで写るのは驚きである。
観光客らしいご夫婦の歩く姿を見て、ぼくもふと旅に出たくなった。こちらから行くのならやはり本州方面だが、旅行をするのにわざわざ真夏のカンカン照りを選ぶ物好きは少ないと思う。秋か春だろうなあ。いや、案外冬も悪くはないか。
美食は求めない。もはや興味もなければ食欲もないのである。さすがに蚤虱馬の小便はご免こうむりたいが、宿も贅沢はいわない。最高のおもてなしには値せぬ貧乏人ゆえ、朝になったら女中さんに箒で掃き出されてもいいと思っている。
ぐずぐずしていると、いずれ食欲だけではなく脚力まで衰えてしまうだろう。歩けるうちに歩くにかぎる。
-で、いつ?
-さあねえ。
-どこへ?
-どこにしようかねえ。
とまあ、心定まらぬけしきなのである。
Comments