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July 31, 2015

Daily Oregraph: 標準的散歩

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 先日は50ミリレンズを使用したのだが、画角は75ミリ相当だから散歩用としてはちょっと使いにくい。

 そこで本日はAiニッコール35ミリF2をカメラに装着してみた。これなら52.5ミリ相当と、ほぼ標準レンズなみだから散歩には好適である。広角の苦手なぼくにとってはもっとも使いやすい単焦点レンズといえる。

 そんな換算の苦労をしなくとも、フルサイズの一眼レフを使えばいいのは承知しているけれど、20万円ものカメラを使うほどの腕前はなし(金は……かき集めればないわけではないが(笑))、見栄を張らずにこれで我慢しておこう。

 ほぼ標準レンズをつけたカメラを手にして、ひさびさに定期航路に復帰したから標準的散歩と題したわけ。

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 うっすらと霧がかかっている。例のテントはまだそのままであった。結局物置がわりに使われているのであろう。

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 レンズを替えたってヘボはヘボ、腕前は変らない。しかし描写はちがうはずである。ちがい、わかるかな? わからないだろうなあ(笑)。

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 霧の向こうには太陽が輝いている。つまり霧がなければ青空が広がっているのだ。

 こういうシーンで太陽のかたちを残して撮ろうとするのはむずかしい。いくらレタッチしても、ぼくの腕ではこの程度にしかならない。とにかく見た目どおりには写らないものだ。

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 いつもの眠り猫は不在で、相棒だけがうずくまっていた。こいつもまた人を無視することにかけては甲乙つけがたく、なかなかの風格をそなえている。

 散歩中の写真はすべて絞り5.6に固定してあるけれど、背景が微妙にボケているのは一眼レフならではであろう。

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 知人の路地のアジサイ。色に変化のあるところに心をひかれた。

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 しばらく植物観察をサボっているから思い出すのに手間取ったが、赤い実はエゾニワトコだと思う。

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 おお、米町公園下の集合住宅が取り壊されてしまったではないか。ちょっと散歩をさぼるとこれだから油断できない。

 海岸から少し離れると霧のかかっていないことがおわかりいただけると思う。

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 さて例の銭湯跡だが、その後大きな変化はない。浴室の壁が残ったまま放置されている。

 釧路にしては汗ばむ暑さの中を、重い一眼レフをぶら下げて歩いてみたわりにはたいして収穫はなかった。やはりマンネリはつらい。また京大阪にでも行ってみようかしら。

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 おまけは今朝収穫したサヤエンドウ。しばらく仕事がつづいたので放っておいたせいか、まずまずの量である。

 しかし喜んでばかりはいられない。畑には目を覆いたくなるほど雑草がはびこっているのだ。明日は草取りかと思うと頭が痛い。

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July 28, 2015

Daily Oregraph: 仕事、それとも……

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 本日の船上セキュリティ・チェックポイント。こいつを撮るのは、ぼくの病気である。どんなテーマであれ、長年つづけるとやめられなくなるものだ。

 仕事をしに行っているのか、チェックポイントを撮りに行っているのか、いつの間にか境界が不鮮明になってしまった。しかし二つのちがうことが渾然一体となるまでには、それなりの修行が必要である。

 芋焼酎の壜をたずさえてわが門を叩けば、きっと秘訣をお教えいたそう。あ、手ぶらではダメよ(笑)。

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 市の港湾庁舎へ行ったら、隣接する公園にずらり菅笠が並んでいた。八月初めの港まつりにそなえて虫干しをしているのであろう。

 港まつりには踊りパレードというのがあって、実は昔々ぼくも浴衣姿でこの笠をかぶり、北大通りで踊ったことがある。社命ゆえいたしかたなかったのだ。

 これも仕事との境界が曖昧な一例だけれど、チェックポイント撮影とは自主的か否かという点において大いに性質が異なる。


 ぼくは和洋を問わずダンスが大の苦手だから、屈辱の過去である。ああ、いやなものを見てしまった(笑)。

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July 27, 2015

Daily Oregraph: 寒さ対策?

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 本日の船上セキュリティ・チェックポイント。

 真夏にこんな格好ができるのは釧路だからこそ。これで湿気がなければいうことはないけれど、あいにく湿度は高い。この天気、当分つづきそうである。

 だれも暑さを感じないらしく、船内でまともにエアコンが効いていたのは機関室のコントロールルームだけであった。

 夏らしさを感じたのは、コックさんからスイカを一切れごちそうになったとき。ところがスイカは秋の季語だというから驚く。

 もとは秋に多く出たものだが、最近は栽培法が進み、早生種が、夏のうちから出まはるやうになつた。-角川書店編 俳句歳時記(昭和四十五年 九版)

 う~む、時代は変ったんだからなあ。もっと柔軟であってもいいんじゃないか。

   七月の寒きに西瓜を食ひにけり  薄氷堂

とは、ちょいとへそ曲がりが過ぎたかな(笑)

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July 25, 2015

Daily Oregraph: 裏庭画報 天まで伸びろ

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 このところ湿っぽくていやな天気がつづいている。それでも元気なのがサヤエンドウのツルである。もうぼくの背丈を越して、約2メートルの高さにまで達した。

 ぼくも多少は知恵がついて、今年は早いうちから支柱を何本か立てておいたのだが、狭い面積に種を多くまきすぎたらしく、枠をはみ出して横にも広がり、少し離れたツツジの枝にまで届きそうな気配だ。計算外の事態ではあるけれど、ツルがどこまでも伸びる様子には一種感動的なものがある(実が見あたらないのは、本日の収穫後に撮影したから)。

 茎と茎とが複雑にからまり、中間付近では葉が重なって内側がまったく見えず、まさに混沌たるありさまである。その結果、実を探し出すのも容易ではなく、どうやら知恵が足りなかったようだ。欲張りすぎると損をするといういい見本だろう。

 さて虫害にやられる前にどこまでツルが伸びるか、これからが楽しみだ。収穫は……もうどうでもよろしい(笑)。

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July 23, 2015

Daily Oregraph: 十勝港絵日記

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 7月21日

 この港には(たぶん)綱取りボートがないから、先に錘のついたロープをぶん回して岸壁めがけて抛るのだが、なんべんやっても届かない。

 届かないはずだよ、距離がありすぎるんだから。それでもこりずに繰り返す粘り強さには感服した。感服しつづけているうちにやっとロープは岸壁に届いたからご安心いただきたい。

 夕方雨が降りはじめ、荷役は中止となる。

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 7月22日

 一夜明けて、予報がいいほうに外れ、この天気である。帯広も釧路も雨だというのに、ここだけは青空が出ていた。

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 本日の船上セキュリティ・チェックポイントを撮ろうと思ったら、担当者は持ち場を離れて仲間と歓談していた。まあ、にぎやかなほうがいいだろうから、まとめてパチリ。

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 ひとつ上の写真からもわかるように、山から海へ向かってどんどん雲が流れてくる。いつ雨が降り出すかとハラハラする空模様であった。

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 町へ買い物に出かけた船員が、時間をおいて二三人ずつ、レジ袋をぶら下げて帰ってくる。広尾の町は丘の上にあるから、歩くのはちょっとしんどいのだが、気分転換したくなる気持はよくわかる。

 途中何度か雨が降りかけたけれど、荷役は夜に無事終了。やれやれ。

 なんともつまらぬ内容でまことに申し訳ないが、仕事しながらつける絵日記なんてこんなものだ。夏休みが終ったら先生に叱られるかもしれない。

 -君、こんなたわけた文章を書いているようでは、到底将来の見込みはないぞ。

 -いいんです、先生。どうせぼくにはもう未来はありませぬ。

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July 19, 2015

Daily Oregraph: 会社に投げ込まれる話

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 先日ご紹介した近所のノイバラを、ひさしぶりに引っぱり出したマニュアルのAi ニッコール50ミリF1.2(ぼくのカメラでは75ミリ相当)で撮ってみた。

 ちがい、わかるかな?

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 これもちがい、わかるかな(笑)。ぼくもえらそうなことをいう資格などなく、ちがいのわからない男なんだけど、たしかにコンパクトデジカメの写りとはちがう。でも重いから嫌いなのだ。

 今日は知人の浜にパラソルが立っていたから、ちょっと驚いた。釧路ではまずパラソルをみかけないからだ。等倍にして確認したら六人組。しゃれた人たちである。

 さて、あるサイトをのぞいたら、Google の翻訳エンジンが飛躍的に進化したらしい。以前使ったときはメチャクチャな翻訳結果だったけれど、進化したと聞いて興味津々、早速試してみたので、結果をご報告しよう。

 なおぼくはこの種の仕掛けをけっしてバカにしているわけではない。そこそこ使えるものなら、多くの人がおおいに助かるのだから、積極的に勧めたいとさえ考えている。

 ではどれほど進化したのだろうか?

 While enjoying a month of fine weather at the sea-coast, I was thrown into the company of a most fascinating creature, a real goddess, in my eyes, as long as she took no notice of me. (『嵐が丘』より)

  海岸で晴天の月楽しみながら彼女は私の注意しなかったとして私は長い間、私の目には、最も魅力的な生き物、本当の女神の会社に投げ込まれました。(翻訳結果)

 好天気に恵まれた一ヶ月ほどを海岸で過ごしている間に、僕はたまたま世にも美しい女性と知り合ったのだ。先方がまだこちらを気にもとめなかった間は、その姿はこの世の女神もかくやとばかり映って見えた。(参考:河野一郎訳)

 「晴天の月」は、せめて「晴天の一ヶ月」とでもすれば、直訳ではあっても通用するだろうが、これでは天体の月のような感じがする。「楽しみながら」もまずい。

 「彼女は私の注意しなかったとして、私は長い間」は「てにをは」もおかしいけれど、"as long as"(~するかぎりは、であるうちは)を完全に取りちがえている。ここはちょっとわかりにくいかもしれないが、この後を読むと事情がわかる。この人はひどく内気で、気になる女性から注目されて話しかけられたりすると、とたんに自分の殻に閉じこもってしまう、という困ったちゃんなのである。

 「会社に投げ込まれ」たというのは乱暴千万な話である(笑)。自分から求めたのではなく、たとえば人から紹介されるなどのきっかけがあって「おつきあい」するようになったということ。

 残念ながら、これでは使えない。いや、使ってはいけないレベルだろう。学生諸君、使ったらすぐにバレるから、やめましょうね。

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July 17, 2015

Daily Oregraph: 風もないのに

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 早朝港へ行ってみると、船が岸壁から数メーター離れて大きく動いている。船体が前後に走るので、ロープが切れぬように緩めているからだ。

 ときおり波が防波堤を越してくるけれど、風はほとんどなく、港内は一見したところ平穏である。もっともたちの悪い種類のウネリだ。はるか遠くの台風がもたらしたものだろう。

 事務所の窓から見ていると、このままでは危険と判断したらしく、本船は14時に離岸した。21日の朝まで沖待ちとは気の毒千万、想像するだけで船酔いしそうになる。

  風もないのに心が揺れる
  便り途絶えてもう三月

 全く関係ないのに、そんな句が浮かんできた。え、そりゃなんだって? ヤボなお人だねえ。都々逸だよ、もちろん(笑)。

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 最後にご報告。サヤエンドウの実である。まあ、写真を肴に一杯おやりなさい。

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July 16, 2015

Daily Oregraph: デッキで新聞を

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 今日の船上セキュリティ・チェックポイント。仕事が一段落して新聞を読んでいるところである。

 釧路では Japan Times は配達が一日遅れだから、強行採決のニュースが載っているのかどうかはわからない。できればそんな恥さらしのニュースは読まないでほしいのだが……

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July 15, 2015

Daily Oregraph: 裏庭画報 サクランボ?

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 サヤエンドウの葉の上にサクランボ。ちょうど真上のエゾヤマザクラの枝から落ちたものである。

 もちろん食用ではないから食べられやしないけれど、実にうまそうに見える。彩りもなかなかよろしい。

 ……というわけで朝からいい気分だったのに、戦争法案の強行可決とはまたなんともやりきれない。一小藩のバカ殿のご乱心なら笑ってすませもしようが、一国の命運にかかわることだからそうはいかない。

 リベラルでもデモクラティックでもない政党(いっぺん辞書の定義を読み直してみたらどうだ)が、恥知らずにも羊頭狗肉の看板を掲げて不法を働くのでは世界の笑いものではないか。

 これでは酒量が減るわけはないね。

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July 12, 2015

Daily Oregraph: エミリちゃん

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 知人の浜では十人もの人々が波打ち際で遊んでいた。笑い声が切れ切れに聞こえてくる。

 たまにはこういうこともあるから、パトロールはつづけねばならない(笑)。

 さて昨日からふたたび『デイヴィド・コパフィールド』に取りかかった。ふたたびというのは、昨年の秋第一章を読んだところで事情により中断したままになっていたからである。

 くしろ-OBさんがコツコツと19世紀英文学をお読みになっていると知ったからには、若い者としては負けていられないではないか。

 ディケンズの文章は外国人にとってはなかなか手強いけれど、このたびはどうしてもわからぬところはすっ飛ばして読むことにした(そうしなければ先へ進めない(笑))。

 当時の小説を読む楽しみのひとつに挿絵がある。本書の挿絵はフィズ(Phiz)が担当している。フィズというのはハブロット・ナイト・ブラウン(Hablot Knight Browne, 1815-1882)のペンネームである。

 この人はちょっと怖そうな顔をしたおじさんだが、実にやさしい絵を描く。特に幼い少女や若い娘を描かせたら天下一品である。

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 上の図は一部だけ切り取ったものだが、この女の子は主人公の幼い初恋の相手であるエミリちゃん(Little Em'ly)。シャイな性格がみごとに表現されていると思う。

 挿絵を楽しみながら小説を読むのも悪くないものだ。

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July 11, 2015

Daily Oregraph: 寄り道

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 釧路にしては夏らしい一日であった。といっても、釧路の最高気温は22.8℃だから、帯広の34.7℃とは比較にならない。天国と地獄である。

 昨日は姿を見せなかった眠り猫に航路復帰の挨拶をしたところで思い出したのが厳島神社のお祭りである。

 そこでまたしてもちょいと離路して、神社に寄ってみることにした。

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 もうもうたる煙は、もちろん季節外れのどんど焼きではない。

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 盛んに焼いているヤキトリの発する煙であった。

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 こども向けの露店には旧日進小学校のテントが使われていた。

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 わが母校である旧東栄小学校のテントも……

 あいにく財布を置いてきたので、ヤキトリも食べられず、ビールも飲めず、200円のクジも引けず(笑)、これではせっかく寄り道した意味がないではないか。たわむれに離路はすまじ。

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July 10, 2015

Daily Oregraph: 裏庭画報 サヤエンドウの花

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 もうそろそろだろう……という予想どおり、今朝裏庭へ行ってみたらサヤエンドウの花が顔を出していた。

 花が咲けば実のなるのは確実だから、貧乏人はしめしめと喜んだ。天使がやって来たら、こいつをごちそうしてボロ家を新築に替えてもらおうという魂胆である。

 なんだか途方もない運動場を建てて私腹を肥やそうという政治家どもと、精神においてはあまり変らぬような気もするけれど、何千億もドブに捨てようというわけではないから大目に見ていただきたい。

 問題は虫害だ。去年はこれからまだまだ実がなるという時期に、茎が食い荒らされてボロボロになってしまったのである。それを計算に入れて、今年は昨年の倍近く種をまいたから、そこそこの収穫は期待できるだろう。

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 この花を見ると思い出すのがかの名曲である。

   マメの花咲くころ
   初めて君を知りぬ

 知らないとはいわせませぬ。

 最後にご報告。ダイコンの葉っぱのオリーブオイル炒めはうまかった。茎が固いので、さっと下茹でしてから炒めるとよい。油はけちらずにオリーブオイルを使おう。まさに魔法の油である。

 このところ毎日ダイコンを食べているせいか、胃袋から直腸まですっかりきれいになったような気がする。狭い畑には……まだ半分ほど残っているから、明日もあさってもダイコン確定である(笑)。

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July 08, 2015

Daily Oregraph: 航路変更

 deviation  2. 離路, 航路変更(船舶は特別の事情のない限り,出航港から目的地まで遅延しないように離路することなく航海しなければならない).-英和海事用語辞典(海文堂)

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 つまり、その、なんです、特別の事情があったわけですな。いえね、SOS信号を受けてタイタニック号の救助に向かったわけではありませんが、定期航路を外れて幣舞橋を渡ったのであります。

 気温ですか? 16℃でしたよ。少々風があったから、ちょっと肌寒いくらい。最近夏の間だけ釧路で過ごす方が増えたと聞きますが、賢明な選択といえましょう。私などは昔からこの地を貧乏人の、いや失礼(笑)、庶民の軽井沢と呼んでいるくらいでして、多少の金銭的余裕がおありでしたら、ぜひいらっしゃるようお勧めしたいですね。

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 これは橋の上に立つ「冬」の像です。真冬はもちろんですけれど、夏でもこのくらいの気温ですと、裸体を見るのはまことに痛々しい思いがいたします。

 毛布をもって駆け寄ってあげたいところですが、なにしろ人目のうるさい時代です。あらぬ誤解を招いてはいけませんから、よしておきましょう。

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 このあとしばらく飲み屋街をふらつきましたが、なあに、目を引きつけるようなことなどありはしません。昼間だから人影もまばらだし、もうほとんど写真は撮り尽くした場所ですしね。道ばたにバッタリ倒れた傘を撮ったってしょうがないですよね。

 こういうときなんです、大都会の雑踏が恋しくなるのは。

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 しかしまったく変化が見られないかというと、そうでもないのです。たとえば先日初めて訪れたこのお店なども、つい先頃までは、

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通りに面した小窓にはビールが並んでいたのです(2009年4月撮影)。

 そういえば十字街の千秋庵ビルも姿を消しましたし、知らぬ間に街は変化しているのですね。まあ、紅顔の美少年だっていつかは白髪のジジイになるのですからあたりまえですけれど。

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 帰りがけに北大通りでこんなものを見ました。旭小学校が統合されて閉校になったのはもう何年も前のことですから、なぜ今になって……とは思うのですが、同じく母校を喪失した者のひとりとして、お気持はよくわかります。

 おっと、もう三十分たってしまいました。急いで戻らねばなりません。燃料代だって高いんですから、定期船が道草を食っていては始末書だけではすまず、たちまちクビになってしまうでしょう。

 もっと時間の余裕があるときに、あらためてゆっくり街を歩いてみることにしましょう。

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July 07, 2015

Daily Oregraph: 裏庭画報 ダイコン

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 わが裏庭のダイコンは、種をまいて二ヶ月たってもせいぜいこのサイズ。しかし葉っぱもムダにせず食べるから、案外満足感がある。

 オデンならともかく、大根卸しを肴に一杯というのはどんなものかとお思いの方もおいでだろうが、ぼくは好きである。アルコールの毒が洗い流されて、心身が浄められるような気がするのだ。これは気のせいではなく(笑)、実際二日酔いに効き目があるらしい。

 葉っぱがビタミンやミネラルに富み、栄養満点というのもうれしい。捨てるなどとんでもない話である。カブの葉っぱをオリーブオイルで炒めると実にうまいことは確認ずみなので、近日中に大根の葉っぱでも試してみようと思う。

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 報告。本日も定期航路に異常なし。海風が心地よかった。

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July 06, 2015

Daily Oregraph: 猫の手

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 今年の一月にみかけた赤い実の枝にやっと花が咲いた。やはりノイバラであろう。半年以上も忘れずにいたのは、まだボケていない証拠だよね。

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 本日も定期航路に異常なく、いや、異常なさすぎて、途中写真を撮る気にもなれなかった。例のテントもそのまま。

 こうネタ切れではいたしかたない。猫の手を借りることにしよう。

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July 04, 2015

Daily Oregraph: 定期散歩航路

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 いつも同じ航路を行き来するのがライナー(liner 定期船)である。脇目もふらずに同じコースを歩くぼくも散歩界のライナーみたいなものだろう。

 それに対して不定期船はトランプ(tramp)というのだが、わが海運界ではなぜかトランパー(tramper)と呼んでいる。しかしトランパーという英語はないのかというとそうではなく、「浮浪者」(この意味では tramp と同じ)として、ちゃんと辞書に載っているから、「不定期船」として通じないこともなさそうな気がする。和製英語としては上等の部類に属するのではないだろうか。

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 先日ご紹介したテントはまだそのまま残っている。人の気配も感じられないし、ほんとうにだれか(tramp?)が寝泊まりしているのだろうか? どうも気になるけれど、まさか中をのぞいてみるわけにもいかないしなあ。

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 知人の浜でみかけたおじさんは、どうやら天使ではなさそうだった。このあと彼は近くに停めてあった車に乗り込んで、颯爽とぼくを追い越していったからである。

 肌寒かった釧路だが、昨日今日とようやく風が温かく感じられるようになってきた。ぼくの定期航路にも短い夏がやってきたのである。

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July 02, 2015

Daily Oregraph: 天使降臨

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 めずらしく通行人をみかけた。ここで人に出会うのはめったにないことだから、ひょっとしたらキツネが化けたのかもしれない。

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 いや、そうではあるまい。天使のはしごが見えるからには、きっとあのおじさんは天使が身をやつしたものであろう。まんざら根拠がないわけではないのだ。

 グリム童話の『貧乏人と金持』という話によれば、昔は天使が人の姿で地上を歩き回ったのだそうな。内容をかいつまんでご紹介すると、

 一人の天使が歩いているうちに日が暮れてきた。ひどく疲れていたので宿を探していると二軒の家があった。一軒は立派な構えで、もう一軒はあばら屋である。

 (余計なお世話だけれど、天使が肉体的に疲労するとは意外である)

 さんざん地上をさまよって世間を知っているから、貧乏人に迷惑をかけまいとして、金持の家の戸を叩いたのだが、「乞食を泊めるわけにはいかん。どこかよそをあたってくれ」と、けんもほろろに追い出されてしまった。

 (またしても余計なお世話だが、天使はボロをまとっていたらしい)

 わが国にもこれによく似た話があるから、このあとの展開はおおかたご想像がつくであろう。天使はもう一軒の貧乏人に歓待されるのである。

 「どうかお楽になさってください。なにもありませぬが、精一杯おもてなししましょうほどに」といって貧乏人が用意した食事は、ヤギの乳とベイクト・ポテトであった。

 (ジャガイモが欧州にもたらされたのは16世紀後半らしいので、比較的最近までは天使が地上を放浪していたようだ。それが事実だとすれば実に興味深い。しかし21世紀に天使をみかけたというウワサは聞かないから、天はすでに人類を見放したのであろうか)

 このあと貧乏人夫婦は天使にベッドを譲り、自分たちは藁を敷いて寝たのであった。すっかり感心した天使は、翌朝ごほうびとしてあばら屋を真新しい家に替えたのだそうな。

 (そんな不思議な力があるというのに、なぜ苦労して宿を探し歩いたのだ? というのは俗物の抱く疑問というもの。理由はいわなくてもわかるよね(笑))。

 さてこれを見て驚いたのが強欲な金持である。なにしろ消費税を何度も上げて人々を苦しめるくらいは朝飯前という男だから、貧乏人にトクをさせてじっとしているわけにはいかない。馬に乗って天使のあとを追いかけ、昨夜の不親切を弁解して、「わしの願いも三べんかなえてくださらんか」と頼みこむ。

 「かなえてもよいが、ろくなことにならんからおよしなさい」という天使の忠告など、もとより聞き入れるわけがない。天使もしぶしぶ承知して、「家にお帰りなさい。三つの望みはきっとかないましょうから」と請け合ったのである。

 帰る道々、金持がなにを望んだものかと思案しているうちに手綱がお留守になり、馬は突然暴れ出した。どうしても馬がいうことを聞かぬものだから、「貴様の首など折れてしまえばいいんだ!」と叫んだ瞬間、第一の願いがかなって馬はバッタリ倒れてしまったのである。

 ケチの習性として鞍を捨てるわけにはいかない。死んだ馬の体から切り離した鞍をにない、残った二つの願いをどうしたものかと考えながら、金持は歩きはじめた。そのうちに日はカンカン照ってくる。重い鞍は肩に食込んでくる。家では女房が涼しい部屋でノンビリしているかと思うと、むしゃくしゃしてならぬ。

 「女房のやつめ、このいまいましい鞍に坐ったまま離れなくなればいいのに」

 うっかりそう口走ったとたんに背中の鞍が消えて、第二の願いはかなったのである。まだ第三の願いがあるわい、家に戻ってとくと思案しようと考えた金持は、暑さの中を駆け出した。

 家に着くと女房が鞍に坐ったまま、体が離れないといって泣き叫んでいる。

 「いいからじっとしてろ。これから世界一の大金持になってみせるから」

 「あたしが鞍に坐ったままで大金持になったってしょうがないじゃないか。あんたの願いであたしを鞍に乗せたのなら、降ろしてくれるように願っておくれよ」

 かくして第三の願いもかない、女房の体が自由になったのはいいが、金持は結局何も得るものはなかったばかりか、馬まで失ってしまったのである。

 ……ひととおり読み終わって思うに、この強欲で浅知恵の金持はだれかに似ている。だれとはいわないけれど、似ているのだ。暴れていうことをきかなかったのは馬ではなく憲法学者のようにも思えてくる(笑)。

 問題は天使がそのへんを歩き回っているかどうかだ。おじさん、泊めてあげるからぜひ家に来てください。

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July 01, 2015

Daily Oregraph: 昼も夜も

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 昨日の昼食は某所でひさびさの牡蠣ソバ。もちろんうまい。しかもプリプリのカキがたっぷり入っているから、これ一杯でほぼ満腹になる。

 とかく人を不愉快にさせがちな政治向きの話とちがって、たべものの話題はあたりさわりがなく、ブログには最適なのだが、資力のないせいもあって(笑)最近めったに外食をしないから、なかなか記事にするチャンスに恵まれないのである。

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 そのめったにないチャンスは夜にもふたたび訪れた。あるときはあるもんだなあ。しかも生ガキ、焼きガキを食べるとは、そんなに精をつけて一体どうするつもりなのか?

 すっかり小松菜とカブの葉っぱに慣れた胃袋がビックリしたんじゃないかと、自分でもいささか心配になる。清貧のジジイは一夜にしてたちまち享楽主義者へと堕落してしまった。まことに困ったことではあるが、正直いって、同時にうれしくもある(笑)。

 写真は同席の某氏が注文されたトマトのサラダ。これはたいへん彩りもよろしく、結構なお味でございました。

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 しかも見よ。芋焼酎でやめておけばいいものを、享楽主義者のジジイは禁断の清酒にまで手を出してしまったのだ。

 いかに練達の酒呑みといえども、じっと写真をにらんだって銘柄まではわかるまいからお教えしよう。獺祭の磨き三割九分……といっても、こちとら三割が六割だって識別しかねるけれど、まことにフルーティで上等なお味でございました。

 このあとも、まあまあ、どうせあなたは明日仕事がないんだから、とかなんとか上手に勧められるままに、つい冷酒の杯を重ねたのが運の尽き、今朝は宿酔の一歩手前というていたらく、今夜はカブの葉っぱをかじって反省するつもりである。

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