Daily Oregraph: エミリちゃん
知人の浜では十人もの人々が波打ち際で遊んでいた。笑い声が切れ切れに聞こえてくる。
たまにはこういうこともあるから、パトロールはつづけねばならない(笑)。
さて昨日からふたたび『デイヴィド・コパフィールド』に取りかかった。ふたたびというのは、昨年の秋第一章を読んだところで事情により中断したままになっていたからである。
くしろ-OBさんがコツコツと19世紀英文学をお読みになっていると知ったからには、若い者としては負けていられないではないか。
ディケンズの文章は外国人にとってはなかなか手強いけれど、このたびはどうしてもわからぬところはすっ飛ばして読むことにした(そうしなければ先へ進めない(笑))。
当時の小説を読む楽しみのひとつに挿絵がある。本書の挿絵はフィズ(Phiz)が担当している。フィズというのはハブロット・ナイト・ブラウン(Hablot Knight Browne, 1815-1882)のペンネームである。
この人はちょっと怖そうな顔をしたおじさんだが、実にやさしい絵を描く。特に幼い少女や若い娘を描かせたら天下一品である。
上の図は一部だけ切り取ったものだが、この女の子は主人公の幼い初恋の相手であるエミリちゃん(Little Em'ly)。シャイな性格がみごとに表現されていると思う。
挿絵を楽しみながら小説を読むのも悪くないものだ。
Comments
最近小説というものを買って読まないものですからとんとわからぬのですが、挿絵って文化はまだ生き延びているのかしら?青空文庫ばかりだとその辺が良く分かりません。
それにしてもこの子・・・かわいいですね。
だんじょのちがいこそあれ、このはにかみ具合を見ていると子供の頃の私を見ているようです。
・・・本当ですよ。
Posted by: 三友亭主人 | July 13, 2015 23:12
>三友亭さん
そういえば、小説が雑誌や新聞に連載されているときはともかく、単行本になるとまず挿絵はついていませんね。
本書の挿絵などは精緻を極め、人々の服装から室内の家具調度までよくわかりますから、第一級の風俗資料としての価値もあると思います。
> このはにかみ具合を見ていると子供の頃の
> 私を見ているようです。
> ・・・本当ですよ。
疑ってはいませんからご安心を。きっとかわいらしいお坊ちゃま(笑)だったにちがいありません。
Posted by: 薄氷堂 | July 14, 2015 07:48