Daily Oregraph: 二等兵物語
朝から霧雨ともつかぬ小雨ともつかぬ雨が降り、午後にはとうとう荷役手配解除になってしまった。結局明日もご出勤である。
さて昨日はYouTubeで拾った、花菱アチャコ主演の『二等兵物語』(1955年松竹)を観た。この映画(たしかシリーズ物になったと思う)は、その昔映画館で観た記憶がある。この映画の作りにはゆるいところもあるから、けっして傑作とはいえぬかもしれないけれど、戦後十年、軍隊という組織の愚劣さと理不尽さの記憶がまだ生々しく残っていたことがよくわかる。
21世紀にもなって八紘一宇などと抜かす連中は、アチャコの映画でも鑑賞して頭を冷やしてはどうかと思う。人間老いて死ぬのはあたりまえだ。病気で死ぬことも避けられないだろう。しかし一兵卒として死ぬほどばからしいことはない。
幾多の犠牲を払って、たとえ建前にもせよ、主権は国民にありという宣言をしたのだから、国民を守ろうともしない国家であれば、もはや忠誠を尽くす義理などはない。なによりも、人を殺すのも、人に殺されるのもまっぴらだ、という人間としてあたりまえの感覚を忘れてはなるまいと思う。
こんなことをいうと、口先で威勢のいいことをいう連中は平和ボケなどと笑うのだろうが、ほんとうにボケているのはどっちのほうか、想像力に欠けているのはだれなのか、よく考えてほしいものだ。砲弾が炸裂すれば、あなたは一瞬にしてミンチになってしまうのである。
まっとうな護憲派である天皇のご発言には、天皇制に疑問なしとしないぼくでさえ、深い教養と高潔な人格を感じるのに反し、軽率な発言を繰り返す戦争推進派の宰相に微塵の教養も見識もうかがえないとは、いったいどうなっているのだろう。
これだから酒量が減らないのも道理である。
Comments
最後の6行は全くの同感・・・
最近の天皇の御発言は、戦争推進派の宰相の支持者たちから見れば、彼らの唾棄する「サヨク」に見られても仕方ないような内容なのですが・・・彼らは自己撞着を感じないか不思議で仕方がありません。
重ねる杯が減らないのも、全く一緒です。
Posted by: 三友亭主人 | March 21, 2015 07:43
>三友亭さん
高貴なお方にはおのずから品格がそなわっているものです。それにひきかえ……
最近の天皇のお言葉は、自由に発言しにくいお立場としては精一杯、とてもいわずにはいられないという、悲痛なお気持が伝わってきますね。みんながごまかそうとしている原発事故の後始末についても、ずばり正論をおっしゃっていますし。
はっきりいって内閣の暴走に釘をさしておいでなのですが、相手が憲法を屁とも思わぬ御仁だから困ったものです。世が世であれば、逆臣といわれてもしょうがないのではないかと思うのですが、いかがなものでしょうか。
Posted by: 薄氷堂 | March 21, 2015 20:30