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November 08, 2014

Kyotorogy 2014: 奈良へ (3)

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 万葉文化館の駐車場から、歩いて次の目的地へ向かう。

 前を行くお方こそ、誰あろう、三友亭主人その人である(後ろ姿ならご迷惑はかからないであろう)。

 地元の三友亭さんが半袖だというのに、ぼくは長袖。この日の暑さには閉口したけれど、半袖の着替えというものがないのだからしかたがない。今にして思えば、どこかで一着買い求めればよかったのかもしれないが、旅行の際手荷物は一グラムたりとも増やしたくないという男にはそういう知恵が回らなかった。

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 飛鳥寺はかつては堂々たる大伽藍を誇ったらしいが、現在はむしろ全体としてこじんまりとしたお寺という感じがする。三友亭さんはぼくの好みを察してこのお寺を選んでくださったらしいが、門前に設置された灰皿もまたうれしかった(笑)。

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 門をくぐると、天女の群れ、いや修学旅行中の女子高生たちが庭に出るところであった。お寺や神社に入りたがるのはふつう爺さん婆さんだから、こういう光景は京都・奈良以外ではなかなかお目にかかれないだろう。

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 このお寺については以前三友亭さんのブログで記事を拝見していたので、お寺にしてはめずらしく撮影勝手たるべしという方針であることは承知していた。そのご住職の判断には好感が持てる。ただし、博物館などもそうだが、ストロボ発光禁止が作法だから念のため。

 ご本尊を安置するお堂にしてはさほど広さを感じなかったが、大仏さんそのものが威圧的なサイズではないし、またお坊さんの話があまりにも上手なものだから、つい床に座って聞き惚れてしまったし(笑)、かえって一種の親密さともいうべき空気が漂っているように思った。

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 大仏さん(釈迦如来像)の右は阿弥陀如来像。顔立ちが大仏さんとはずいぶんちがい、罰あたりの感想だから見当ちがいかもしれないけれど、光背を取り外してしまったら、生身の人間がちょこんと座っているように見えるのではないかと思った。

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 二体の仏像と並んで安置されている聖徳太子像。なんとなく女性的な印象を受ける。

 かつて歴史の教科書で見た太子像は実は別人であったと聞いたことがあるので、ぼくは三友亭さんに向かって、つい珍妙な質問をしてしまった。

 -これ、聖徳太子に似ているんですかね?

 -さあ、昔の人が想像して作ったものですから……

 三友亭さんが返答に窮したのも道理で、この像は室町時代の作なのであった。われながらバカじゃないかと思う(笑)。

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 観光客がついているらしい鐘の音がしきりに鳴り響くのを聞きながら寺の裏門を出ると、一面の田園風景に思わず見とれてしまった。十勝あたりで見かける風景とはまるで性格がちがうけれど、体が自然にほぐれて「ああ、いいところだなあ」といいたくなるような眺めである。

 飛鳥寺で受けた印象とこの風景とはみごとに調和する。この土地にあればこそ、お坊さんも「どうぞ写真をお撮りください」という気持になるのだろうと思った。

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 あちこちに真っ赤な彼岸花の咲く道をのんびり歩きながら、ふたたび万葉文化館へ向かう。

 日本のふるさとともいうべき風景を眺めながら、実にいいところだけれど、ここで一生を送るとなればどうだろうかと、道々考えてみた。

 大きな変化とこの風景とはどうしたって調和しそうにない。何世紀にも渡って、来る日も来る日も飛鳥寺の鐘の音を耳にしているうちに、人間がだんだん保守的になるのではないかという気もする。一方では、この貴重な景色がこれ以上変わらぬよう守らねばならないという、矛盾した気持も湧いてくる。

 結局ここで生まれ育ったのならともかく、北海道の浜育ちの男には、息がつまりそうでとても耐えられそうにないのではないか……と考えるうちに、自分がいかにも異邦人であるような気がしてきた。はっきりいえば、おれは化外の民か。

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 なにしろ暑い。万葉文化館の喫茶室で一服し、三友亭さんにお仕事の話などをうかがった。

 せっかく文化館に来たのだから、ぼくもミーハーに徹して、せんと君との記念写真を撮ってもらえばよかった。残念なことをしたものだ。

 次回へつづく。

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Comments

>せんと君との記念写真を撮ってもらえば・・・

そういえば、まだ私もせんと君とのツーショットはありませんな・・・(笑)・・・

>日本のふるさとともいうべき風景
それぞれの方にふるさとがあり、そのそれぞれが日本のふるさとであるはずなのに、日本のふるさとというとなぜか明日香のこういった風景が想起されてしまうのはなぜなんでしょうね?

私の友人が以韓国の方を旅した時、扶余あたりの景色があまりに明日香に似ていて声をあげてしまったと言っていたのを思い出します。
明日香のあのような景色を作ったのは、ひょっとしたら朝鮮半島から流入してきた人々なのかもしれません。
かつての明日香は今の私たちが思ってもみないほど国際化が進んでいたとの話を聞いたこともあります。

Posted by: 三友亭主人 | November 09, 2014 at 06:37

>三友亭さん

 この日長袖を着ていたのは、田舎者の薄氷堂と職務に忠実なせんと君だけだったのでは……

 ほんとうにこの地の風景は、初めて目にしても、これぞ日本だと無条件に納得してしまうから不思議ですね。

 こちらに戻ってみると、やはり北海道は日本じゃないとつくづく感じます。いっそ独立したほうがいいのかも(笑)。

Posted by: 薄氷堂 | November 09, 2014 at 09:39

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