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August 30, 2014

Daily Oregraph: 裏庭画報 エゾノコンギク

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 エゾノコンギクだろう。「だろう」というのは、ここ二年ばかり植物観察から遠ざかっているので、ちょっぴり自信がないのである。

 先日も友人と温根内を歩いたとき、名前をど忘れした花がいくつかあった。ちょっとしたキッカケ(たとえば頭をハンマーでなぐるなど(笑))さえあればすぐに思い出すからには、まだ認知症には至っていないと思うけれど、なんとなくさびしい話である。

 なんにせよ、この花を見ると、夏が終わり秋が訪れたことを感じずにはいられない。

 畑の草むしりをする間しつこく蚊が寄ってくるのには閉口して、三十分ほどで切り上げた。まさか北海道でデング熱にはかかるまいが、蚊は苦手だ。

 『アンナ・カレーニナ』を少し読んでから、いただきものの泡盛古酒を昼間から一杯。いい心持ちになって昼寝をしたら、夢に夏目漱石が登場した。

 家を新築するにあたり、庭にプールを作るかどうか、先生にうかがってきなさいと奥様がぼくにいいつけたから、ハイハイと承知して隣の大きな古びた洋館の二階へいくと、漱石先生はばかに大きな木の机に向かって仕事中であった。

 -プール? プールは要らんだろう。

 ぼくも同感であった。さすがは先生だと感心したところで目が覚めた。天下泰平、というべきか?

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August 24, 2014

Daily Oregraph: 温根内行軍

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 高校以来の友人T君と温根内へ行ってきた。かつては毎週のように通っていたのだが、今年は(たしか)これが初めて。

 日曜日とあってか、大勢の方が散歩を楽しんでいた。久しぶりに来たけれど、やはりここはいい。

 気温はぐんぐん上がり、額からは汗がポタポタ流れ落ちてくる。T君は頭に赤みがかった手ぬぐいをかぶって帽子で押さえつけ、まるで南の島をうろつく敗残の日本兵みたいな格好である。

 あまりにも目立つものだから、

 -いやあ、暑いですね。

などと、すれちがう人から声をかけられていた。

 今日は散歩が目的なのでほとんど写真を撮らなかったが、シオガマギク、サワギキョウ、ツリフネソウなどを確認した。原野にはすでに秋の気配が忍び寄っている。

 トンボやシジミチョウが乱れ飛び、まさにここは別天地である。

 温根内は初めてという敗残兵のT君は、

 -いやあ、いいねえ、ここは。

と何度も繰り返した。ぼくは上官みたいな顔をして、そのたびに

 -うむ、いいだろう。

と、えらそうに答えるのであった。途中たまたま玉砕の話になって、ぼくが

 -おれが隊長だったら、そんなバカなまねはせず、さっさと白旗を掲げて降参しちまうけどな。

といったら、敗残兵はカラカラと笑った。

 汗まみれになった二人のダメな兵隊は、温根内を後にして山花温泉で汗を流しましたとさ。こういう愉快な日もあるから、生きているのも悪くはないものだ。

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August 22, 2014

Daily Oregraph: 間の悪い話 (2)

 キーボードの話のついでに、ぼくの手元にあるタイプライタ教本(注)から図と写真をひとつずつご紹介しよう。今どき英文タイプを習おうなどという酔狂な方はおいでにならないだろうが、まあ、話の種にはなるかと思う。

Typewriter
 
 なんとスペース・バーの長いこと! 左親指は「分担なし」になっているが、ぼくは時々スペース・バーを担当させることがある。これはまあ、北辰一刀流と二天一流のちがいのようなものである。

 記号キーの配列はタイプライタのメーカーによって微妙なちがいはあるけれど、もちろんアルファベットの配列はどれも共通。上の例のように、数字「1」のキーがない場合は、アルファベットの「l」を代用する。

 上図にしたがって、最初にすべての指を置くのがホーム・ポジション。ちょっと見にくいけれど、写真をごらんあれ。

Hposition 
 写真のモデルは女性だが、やはり右親指は「N」と「M」の境目近くにある。男のごつい指だと、もう少し右寄りに来るだろう。これを見ても、最近の日本語キーボードだと、スペース・バーの狭すぎることがおわかりいただけると思う。パソコン・メーカーの猛省(笑)を促したいところである。

 なおホーム・ポジションは合理的に考え抜かれているから、断然能率がいい。かつては英文タイプは実務の道具であったが、いまや日本語もキーボードで入力する時代なのだから、中学校あたりでホーム・ポジションを教えてはいかがだろうか。若い人なら一週間もあれば基本を習得できると思う。


(注) 『実務に役立つ 英文タイプの打ち方』 高瀬泰英著 昭和56年 大泉書店

【8月23日追記】

 勤務先にあるクラシックなタイプライタをご覧あれ。

Olympia_typewriter 
 ああ、このシンプルさ! 一種の風格さえ感じずにはいられない。そうとも、スペース・バーはこうでなくてはいけないのだ。

 もう使う人もないままホコリにまみれている。キーを押してみたら、ずいぶん渋くなっていた。油をさしてやる必要がありそうだけれど、今さら出番がないしなあ(笑)。

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August 20, 2014

Daily Oregraph: 間の悪い話

 最初注文したパソコンが初期不良だったため、返品して別の機種に変更したところ、18日の午後に到着した。

 環境整備をほぼ終えたのは本日昼、つまりのべ三日だけれど、昨日は夕方まで仕事だったから、正味二日がかり。とにかく作業に時間がかかり、その間ろくに読書もできない。これだからパソコンは買いたくないのである。

Keyboard

 さて最近気になっているのがキーボードだ。写真上はパソコン付属のもので、現在この手のものがほとんどだ。下は別に注文したものである(送料・税込み718円(笑))。こんなこともあろうかと、あらかじめ注文しておいて正解であった。

 どこがちがうのかって? スペース・バーですよ。不要なキーが増えたため、スペース・バーが圧迫されて、こんなに幅が狭くなってしまった。ぼくの場合、スペース・バーが狭いと、特に右の親指でうっかり変換キーを押してしまうことが多いのである。

 写真下のキーボードだと、まず誤打することはない。わずかの違いだが、能率はかなり向上する。欲をいえば、左端があと2ミリほど長ければいいのだが……

 不要といえば、「変換」キーの右隣にある「カタカナひらがな」キーもそうだ。これを使う人なんているのだろうか? うっかり押そうものなら、もとの状態に戻すのが面倒でかなわない。

 ぼくはキーの割り当てを変更するフリーソフトを利用して、(いろいろあるが、ぼくは KeySwap.exe というのを使っている)、「変換」キーと「カタカナひらがな」キーの両方に「半角/全角」キーの機能を割り当てている。

 ついでに PC9801 シリーズの伝統にしたがって、「Caps Lock」キーに Ctrl キーの機能を割り当てれば、快適そのもの、あなたに才能さえあれば、長編小説だって大論文だって楽々書き上げることができるだろう。

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 パソコンの環境整備といえば、厄介なのがブラウザとメーラーの設定である。少しでも楽をするために、Firefox と Thunderbird ユーザー限定ながら、ヒントをご紹介したい。

 設定内容は下線で示したように C:\Users\User名\Appdata\Roaming\Mozilla\Firefox(または \Thunderbird\)\Profiles\*******.default というフォルダ内にある(インストール時に独自のフォルダ名が割り振られるようだ)。ブラウザとメーラーそれぞれの default フォルダ内のファイルをすべて削除し、これまで使ってきた defaut フォルダの内容をそっくりコピーすれば作業完了。

 フォルダごとそっくり入れ替えると、たぶんまともに動作しないのではないかと思う。あくまでもフォルダの内容だけを入れ替えること。一切設定の手間いらずだから、ラクチンそのものだ。フォルダの階層は深いが、場所は順にたどっていけば必ずみつかる。

 なお万一ブラウザの動作が不調になってもすぐに復旧できるから、default フォルダはふだんから定期的にコピーを保存しておくことをおすすめしたい(実際ぼくもこれまで数回助けられた)。まったくパソコンの世界ではいつなにが起こるかわからないからだ。

 ああ、またしても貴重な青春を浪費してしまったが、これで明日からは通常どおり営業を再開できるだろう。

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August 16, 2014

Daily Oregraph: 裏庭画報 マメに暮らす

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 今の時期、とにかく虫が多い。近づくと草むらから蛾が飛び出たり、地面には得体の知れぬ微少な虫がたくさん這い回っている。

 サヤエンドウもごらんの有様である。全身ボロボロ。無農薬というのは口でいうほどたやすいものではなく、食糧の安定供給という観点からは、農薬の使用を一概に否定することはできないのではないだろうか。

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 このように瀕死の状態にもかかわらず、毎日確実に実をつけているけなげな姿には感動しないわけにはいかない。

 去年は種をまく時期が遅れたため、虫害によってほとんど収穫できなかったのだが、今年は早めにまいたのがよかったのだろう。虫にやられながらも成長しつづけ、先端のほうはまだ生きているのである。

 来年はこれを教訓にして、5月の初めに、今年の三倍ほど種をまこうと思っている。だんだん欲が出てきたようだ(笑)。

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August 13, 2014

Daily Oregraph: 米町合同盆踊り

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 部屋に風を入れるために窓を開けていると、いろんな音が聞こえてくる。車の音、犬の吠える声……そして盆踊りの音楽。

 盆踊りの音楽といえば、ここ十年以上盆踊りなんぞ見たことがない。最近仕事のない日は引きこもりに近い生活を送っているから、散歩をかねて見物に出かけることにした。

 米町合同盆踊り。昔はあちこちで盆踊りをやっていた。わが家のとなりが空き地だったころは、そこが町内会の盆踊り会場であった。

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 やはり子どもの数がめっきり減っている。かつてはおみやげのお菓子目当てに子どもらが大勢集まったものだが、この調子だといずれ盆踊り会場はもっと減るのではないだろうか。

 ぼくは筋金入りの不信心者だから(笑)、とっくに成仏して俗縁を絶ったはずの死者の霊がお盆に帰ってくるなどという話はばかばかしくてとても信じられない。もともと仏教の教えとはまるで無縁の、祖先信仰の名残であろうと思っている。

 しかしわれも人の子、浴衣を着た小さな子どもたちが踊る姿を見ると、なんとなく気分が浮き浮きしてくる。その子どもたちがこうも減ってしまい、ぼくみたいにひまを持てあましたジジイや婆さんの徘徊している姿ばかりが目立つ世の中になろうとは。

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August 07, 2014

Daily Oregraph: デッキにて

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 本日の船上セキュリティ・チェックポイント。あれれ、ベンチのおじさんがあっちを向いてしまったが、ぼくにブレッソンの腕前はないから(笑)、それはしょうがない。

 船の上は実際外国なんだけど、たしかに日本じゃないね、ここは。一見恐そうな顔をしているが、みんな気のいい連中である。

 仕事が終るとうまいコーヒーをふるまってくれるし、お互いへんてこな英語で世間話をしたりもする。なかなかおもしろい場所なのである。

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August 03, 2014

Daily Oregraph: 転落

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 先日十勝港で撮影した標識である。
 
   転落。

 転落注意ではなく、転落。実に潔い。いくら注意したって一寸先は闇、人生なにが起こるかわからないものである。

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 その証拠に、今日はメインの Windows 7 マシンの修復に一日がかり。突然フリーズしてそれっきりになってしまったのである。やっと再起動に成功したはいいけれど、自動的に checkdisk がはじまって、ごらんの状態になり、時間のかかることといったら、一日ではとても終りそうにない。

 転落、である。

 システムバックアップを取ってあるので、CDから起動してみたら、なんとリストアが正常動作しないのには驚いた。そこで付属のHDDリカバリーを実行してさらの状態に戻したら、今度は Windows を起動するたびに、HDD に異常があるから checkdisk せよというメッセージが表示される。

 ダメもとで再度 CD から起動し、システムバックアップのリストアを試みると、今度はうまくいった。Windows の起動画面にも checkdisk せよという表示は現れない。どうやら完全に復旧したらしい。

 しかし……HDD の一部がすでに壊れているらしいから、近い将来また不調になることはまずまちがいない。そういえば、先日は DRIVE D が壊れてフォーマットし直したし、どうもこのパソコン、あたりがよくなかったようだ。

 原因が HDD の品質にあることははっきりしている。実はこのパソコンの HDD は保証期間内にうんともすんともいわなくなって、メーカー保証で交換したことがある。最近のパソコンは低価格になったぶん、どうも部品の品質に問題があるようだ。

 このままでは不安だから、やむなく新しいマシンを発注したけれど、環境を整える手間を考えると憂鬱になる。まず二日がかりになるだろう。新しいパソコンを買うのがちっともうれしくないとは、妙な時代になったものだ。

 あ、Windows 7 マシンを注文したので念のため(笑)。Windows 8 は使いにくくてかなわないのである。

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August 02, 2014

Daily Oregraph: 実りの夏

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 とうとう八月。涼しい釧路でもさすがに夏らしい天気がつづいている。サヤエンドウが続々と実をつけているから、まさに実りの夏である。

 二日おきに収穫できるのは実にありがたい。採り立てを食べると香りがよく、幸福な気分をしみじみと味わえる。来年は作付面積を増やさなくては……といっても、もともと猫の額ほどの地面だから、たかがしれているけれど。

 さてウォーの旅行記も読了し、ただいま W. S. Maugham の The Summing Up とトルストイの『アンナ・カレーニナ』を併読している。

 モームのほうはこれまで適当に本を開いて拾い読みしていたのだが、今回は最初から通して読むつもりである。小説とちがって、あまり若者向きの作品とは思われないが、なんとも深い味わいがあり、この年になると共感をもって読むことができる。

 『アンナ・カレーニナ』は手元にないので、インターネットから英訳のテキストを拾い、少々わかりにくいくらいのところは辞書を引かずに読んでいる。なにしろ大長編だし、もう死を意識する年になったからには、そんな手間をかけていられないというのが本音である。

 あと何冊本を読めるか、何本スコッチを飲めるか(笑)、いよいよ勝負のときがきたらしい。

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