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June 03, 2014

Daily Oregraph: わたしはあなた

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 北海道は各地では猛暑がつづいているけれど、庶民の避暑地として知られる釧路は別天地である。日中は「暖かい」といった程度だし、夜になるととたんにひんやりしてくる。ありがたいことだ。

 さて気楽に読み飛ばすつもりだった『ピカデリー・ジム』だが、おもしろさをじっくり味わうため、結局ていねいに読むことになり、本日は文法のおさらいまでしてしまった(笑)。

 最近ぼくの評判もあまり芳しくないようだから、たまには基本に立ち帰って、まじめにやってみようか。


 You may look like him, but you aren't him - he? - him? - no, 'he' is right.

 結論から言えば、このセリフどおり、文法的には 'You aren't he.' が正しい。

 この場合 'he' は目的語ではなく主格補語であり、文法の原則では「be動詞の補語としては人称代名詞の主格が使われる」からである。しかし現実には目的格の 'him' を使うことのほうが多いから、ネイティブ・スピーカーでも迷うことがあるというわけだ。

 かたくなに原則をふりかざせば時としてイヤなやつだと思われる恐れもあるから、どっちでもいいというのが穏当なところだろう。しかし原則は原則として心得ておくべきかと思う。たまに本来正しい表現を誤りだと思い込んでいる人がいるからだ(だからこの種の問題の場合、ネイティブのいうことなら常に信頼できるとはかぎらないのは日本語も同じ)。


 主格補語とか目的語なんて忘れちゃったという方のために……

  I am you.  わたしはあなたよ。

 この場合、「わたし=あなた」で 'you' は主格補語(人称代名詞の主格)。

  I ate you.  あなたを食べたわ。

 こちらは「わたし≠あなた」で 'you' は目的語(人称代名詞の目的格)。

 この理屈さえ理解すれば、もう 'if I were he' か 'if I were him' かなどど迷うことはない(文法的には前者が正解。ただし実際には後者も使われるのは上述のとおり)。

 ぼくの挙げた例文が不自然だと思う方もいらっしゃるだろう。しかし熱烈に愛し合うもの同士なら、わたしがあなただったり、食べてしまったりということもあるにちがいない(笑)。

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Comments

こんにちは!
ははあ、例の英文法、SVCとSVOの違いですね。
仰るように if I were him とやる人も多いようですね。
それに慣れてしまうと、if I were he がまちがっているような、
変な錯覚を起こしてしまいそうになりますよね。

Posted by: 只野乙山 | June 05, 2014 at 10:52

>只野乙山さん

 引用した文を味読すると(?)文法の規則いっぺんで頭に入ります。

 まあ、どっちもありと考えればいいようなのですが、'if I were he' を誤りとする人がネイティブにもいるのにはちょっと驚きました。

 しかし日本語でも似たようなことはありそうですね。

Posted by: 薄氷堂 | June 05, 2014 at 18:40

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