Daily Oregraph: 裏庭画報 しらふで花見
エゾヤマザクラが見頃を迎えた。花の下で一杯やるつもりだったが、あいにく腰かける場所がないから、無粋にもしらふとは情けない。
重箱を開けて玉子焼や蒲鉾なんぞをつまみながら、杯を重ねてほろ酔いになれるのならいうことはないけれど、うっかり小松菜の芽を踏みつぶさぬよう足元に気をつけるためには正気を保たねばならない。小百姓はつらいのである。
隣家との境界をなす崩れかかった板塀際に目を転ずれば、気位の高いお嬢様、いやオオバナノエンレイソウの小群落が、これまた今が見頃である。
そしてその手前にはニリンソウが群れている。板塀を隠して写真を撮れば、ちょっとした庭のある旦那様になった気分だが、これぞ「写真はウソをつく」いい見本であろう。
色白のチシマザクラ。こいつは木が弱ってきたらしく、花の付きがよくない。しかもこの木は微妙な位置にあり、引いて撮るのがむずかしい。一押しでバタリと倒れてしまいそうな板塀や、電信柱や電線、それに近くの人家などが画面に写りこむのである。
それでは立派なお屋敷の大旦那でないことがたちまちばれてしまうから、目が悪いうえに手が震えるのに(笑)、無理な姿勢でうんと寄って撮らねばならない。
昨日の強風で吹き落とされたエゾヤマザクラのつぼみと、めでたく発芽したダイコン。ほんとうに食えるようなダイコンができるのだろうかと気になり、結局は花より大根というおそまつ。
The comments to this entry are closed.
Comments