Daily Oregraph: まじめが大切
今年初の船上セキュリティ・チェックポイント。今朝の最低気温は-12度だからそうたいしたことはないけれど、まあそれなりに寒くはあった。こんな場所で立ちん坊をするのは、あまりありがたくない仕事であろう。
さて松の内もいよいよ終ることだし、ふたたび地味な仕事に戻らねばならない。正月など無縁のはずの男がついつい酒を飲み暮らしているうちに、嵐が丘はすっかり雪に埋もれてしまった。まじめにやらなくてはいけない。
-大家さん、薬罐のことをどうしてケトルというんですかい?
-あれはな、矢が当たってカン、また矢が当たってカン、というところからヤカンになったな。
-それは落語の「やかん」ですよ。あっしが聞いてるのは英語のケトル。ははあ、さては横文字は知らねえんでしょう。
-バカにしちゃいけない。おれに知らぬことはない。え~と、それはだな……昔イギリスでは薬罐で米を炊いたな。
-へ~え?
-イギリス人だって、たまには握り飯を食いたくもなろうさ。初めチョロチョロ中パッパ、さていい頃合いだと蓋を取ってみると、おお、炊けとる、炊けとる! それからタケトルになったな。
-ほんとかね? どうも信用できねえ。
-イギリスの『タケトル物語』には、ちゃんと「今は昔タケトルの翁といふものありけり」とあるぞ。この米の飯好きなじいさんは指物師で、娘は「家具屋姫」だ。
-あれ、だけどさ、ケトルでしょう。タケトルの「タ」はどこへ行っちまったんで?
-減反政策のせいで田はなくなってしまったのさ。それ以来イギリスでは麦ばかり食うようになった。
ああ、たった今まじめにやろうといったばかりなのに……(笑)
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