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January 18, 2014

Daily Oregraph: 踏まれても酒あればこそ

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 昨日タクシーの窓から撮った一枚。店先にうまそうな干し魚が並んでいる。こういうお店もやがては絶滅しそうな予感がしたので、思わずシャッターを切った。

 もうネタはすっからかん、絶体絶命である(笑)。

 しょうがないので『嵐が丘』から文章を引用しよう。なにね、英語のお勉強をしようというわけじゃない。目的をとりちがえてはいけません。第一リンゴがアップル、象さんはエレファントだなんて覚えたところで、つまらない。それよりもうまいリンゴをかじって味わったほうが百倍もましというものだ。

 The tyrant grinds down his slaves and they don't turn against him, they crush those beneath them.

 これは第11章のヒースクリフのセリフなのだが、ああ、19世紀も21世紀も変らないなと、妙に印象に残ったのである。みなさん結局お上には逆らえない。逆らうかわりに下のものを踏みつけにする。踏みつけにされたものは、さらに下のものを踏みつけにする。どこの国も同じだろうが、最下層の奴隷は排外思想に走る。これをお上から見れば、いわゆる思う壺というやつである。

 踏みつけにされるもののほうが数は圧倒的に多いのに、踏みつけられても踏みつけられても、どうせ反抗したってムダだし、たとえ体制が変ってもお上が入れ替わるだけの話だから、だんだん反抗する気力を失い、奴隷は奴隷の境遇のまま一生を終える。ベンサムのいう「最大多数の最大幸福」が一向に実現しないゆえんである。

 しかし自分が奴隷だなどと思っている人はごく少数にちがいない。奴隷が奴隷と自覚していないのは、現代では奴隷にも一定の自由が与えられているからだ。安酒か高級酒かはともかく、酒が飲める(ありがたい!)。お好みなら不純異性交遊もできる。パチンコもできる。競馬も楽しめる。いずれカジノなる賭場まで作ってくださるだろう。そういえば、放射能がいくら出つづけていても、オリンピック大運動会が日本で開催されるというのもめでたい。

 自分の懐具合はむしろ悪くなっているのに、株なんてやっていないというのに、景気がよくなったといわれれば、なんとなくその気になる。(ほんとかどうかはともかく)日本の景気が上向いたと聞けば、自分まで鼻が高くなる。バカボンのパパ、いや失礼、竹中平蔵先生は「これでいいのだ」とおっしゃっている。お上ご公認のえらい先生様に逆らって、「有識者」でもない男が「あの、ちょっとちがうんじゃないですか」とはいかにもいいにくい。

 いいにくいから、いわない(あれ、いっちゃったか(笑))。奴隷、いや男は黙ってウィスキーを飲むのであった。おれにこんな柄にもないことを書かせるとは、片田舎の牧師の娘であるエミリ・ブロンテは案外過激派だったのかなあ、などと思いながら。

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Comments

本当に言いにくいことが増えてきましたよ。
だからブログで言っているんですが、実際にこれは良くない状況にしか思えませんね。

そのうち、ブログで言っていることにもお上が介入してきたりして・・・

まあ、そうなってしまうとお上が毛嫌いする大陸のどこかの国と一緒になってしまいますから・・・こっちとしては、そ~れ見ろと言いやすくなるんですが・・・

Posted by: 三友亭主人 | January 19, 2014 23:08

>三友亭さん

 どうしてかくもたやすく操縦されてしまう人が多いのか、ふしぎでしかたがありません。多数が少数の利益のためにせっせと奉仕しているんですからね。

 かく申すぼく自身、だんだんあきらめの境地に近づいているのだから、えらそうなことをいう資格はないのですが……

Posted by: 薄氷堂 | January 20, 2014 17:40

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