Random Haiku House 予告編
来年は午(うま)年。だったらウィスキーはこれだよね。グラスの中身はティーチャーズだけど(笑)。
さてしばらくブログをさぼっていたのは、もちろんマジメにお勉強していたからである。しかし今日は大晦日なので休日とし、例によって自作の haiku.exe (動作するのは Windows XP 以前)に活躍してもらうことにした。
上五・中七・下五の内容は昨年とほとんど同じだから、あまり変りばえしないけれど、ほかにネタがないのだからしょうがない。今日はほんの予告編として、いくつか例をお目にかけることにしよう。
(1)月並調
うつくしや窓を開ければ月あかり
おぼろ夜や女に惚れる祇園かな
まあ、こんな句を作れば鼻で笑われることはまずまちがいない。
海の宿窓を開ければ海がある
これは微妙な一句。ふざけるんじゃない、と怒り出すお方もいようが、まあ、お待ちなさい。声に出してみればわかるが、どっしりとした安定感を感じないだろうか? 海の宿に来て窓を開けると裏の崖しか見えなかったとしたらどうだろうか? 神戸だって、窓を開ければ港が見えるから歌になるのだ。
(2)非現実調
除夜の鐘貧しき町を飛びにけり
これぞコンピュータの真骨頂である。月並調に翻訳すれば「除夜の鐘貧しき町に響きけり」とでもなるところだが、なんとこの句は、お寺の鐘そのものがワンワン鳴りながら夜空を飛び回るのである。
(3)My Favorite調
どんな人間にも好みというものがある。ぼくの場合は俳句をやらないから、かなり月並調に近いけれど、物語性のあるものが好きだ。例をひとつだけ挙げよう。
芋洗ふ少女うつくし夜の霧
少女はどこで芋を洗っているのだろうか? 台所、いや「夜の霧」とあるからには、たぶん庭の井戸あたりであろう。しかしどうして暗い夜に芋を洗わねばならないのだろうか?
理詰めに考えると、彼女が洗っている芋はだれかが暗くなってから持ってきたものか、腹を空かせてやってきた客に食べさせるためのものにちがいない。こんな時間に洗うというのは、これから芋を料理して食べる可能性が大である。
次に「少女うつくし」というのは作者の感想である。つまり作者は芋を洗う少女を目前にしているのだ(ということにしないと話が先へ進まない)。では作者はだれだろう?
芋を持参した恋人? ノー。若い恋人が芋を持って女に逢いに来るとは考えにくいからだ。せめてチョコレートにしてほしい(笑)。もっと年配の男と見たほうがいい。ふつう父親が「少女うつくし」などとよそよそしいことはいわないだろうから、
-さあ、洗いましたよ。おじさま、お腹が空いたでしょう?
ほら、やっぱりおじさまだった。おじさまの土産かどうかはともかく、客をもてなすのに芋を出すからには、時代は昭和20年代と推定される。
……と、見てきたようなホラを吹くのが俳句を鑑賞する楽しみである。正月だからちょっと遊んでみることにしよう。
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