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December 31, 2013

Random Haiku House 予告編

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 来年は午(うま)年。だったらウィスキーはこれだよね。グラスの中身はティーチャーズだけど(笑)。

 さてしばらくブログをさぼっていたのは、もちろんマジメにお勉強していたからである。しかし今日は大晦日なので休日とし、例によって自作の haiku.exe (動作するのは Windows XP 以前)に活躍してもらうことにした。

 上五・中七・下五の内容は昨年とほとんど同じだから、あまり変りばえしないけれど、ほかにネタがないのだからしょうがない。今日はほんの予告編として、いくつか例をお目にかけることにしよう。

 (1)月並調

    うつくしや窓を開ければ月あかり

    おぼろ夜や女に惚れる祇園かな

 まあ、こんな句を作れば鼻で笑われることはまずまちがいない。

    海の宿窓を開ければ海がある

 これは微妙な一句。ふざけるんじゃない、と怒り出すお方もいようが、まあ、お待ちなさい。声に出してみればわかるが、どっしりとした安定感を感じないだろうか? 海の宿に来て窓を開けると裏の崖しか見えなかったとしたらどうだろうか? 神戸だって、窓を開ければ港が見えるから歌になるのだ。

 (2)非現実調

    除夜の鐘貧しき町を飛びにけり

 これぞコンピュータの真骨頂である。月並調に翻訳すれば「除夜の鐘貧しき町に響きけり」とでもなるところだが、なんとこの句は、お寺の鐘そのものがワンワン鳴りながら夜空を飛び回るのである。

 (3)My Favorite調

 どんな人間にも好みというものがある。ぼくの場合は俳句をやらないから、かなり月並調に近いけれど、物語性のあるものが好きだ。例をひとつだけ挙げよう。

   
芋洗ふ少女うつくし夜の霧

 少女はどこで芋を洗っているのだろうか? 台所、いや「夜の霧」とあるからには、たぶん庭の井戸あたりであろう。しかしどうして暗い夜に芋を洗わねばならないのだろうか?

 理詰めに考えると、彼女が洗っている芋はだれかが暗くなってから持ってきたものか、腹を空かせてやってきた客に食べさせるためのものにちがいない。こんな時間に洗うというのは、これから芋を料理して食べる可能性が大である。

 次に「少女うつくし」というのは作者の感想である。つまり作者は芋を洗う少女を目前にしているのだ(ということにしないと話が先へ進まない)。では作者はだれだろう?

 芋を持参した恋人? ノー。若い恋人が芋を持って女に逢いに来るとは考えにくいからだ。せめてチョコレートにしてほしい(笑)。もっと年配の男と見たほうがいい。ふつう父親が「少女うつくし」などとよそよそしいことはいわないだろうから、

 -さあ、洗いましたよ。おじさま、お腹が空いたでしょう?

 ほら、やっぱりおじさまだった。おじさまの土産かどうかはともかく、客をもてなすのに芋を出すからには、時代は昭和20年代と推定される。

 ……と、見てきたようなホラを吹くのが俳句を鑑賞する楽しみである。正月だからちょっと遊んでみることにしよう。

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December 26, 2013

Daily Oregraph: 万物流転

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 このとおり、釧路市内にはまったく雪がない。雪がなくてスキー場は困っているかもしれないけれど、雪かきをせずにすむのはまことにありがたい。

 実は雪がないところをお目にかけるために、こんなしょうもない写真を撮ったわけではない。ひさびさに訪れた北埠頭はすっかり景色が一変していたのである。

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 こちらが2007年2月25日に撮影したもの。古い倉庫群がきれいさっぱり姿を消してしまった。近い将来再開発されるのかどうか、大いに気になるところである。

 知らぬ間に町も変る、港も変る……人も老いる。そしてつい先日買ったばかりのウィスキーも減る(笑)。

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December 24, 2013

Daily Oregraph: あなたに贈る年賀状

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 クリスマス・イブ。信者でなくとも祝うのが日本の美風である。わが国ではサンタさんは七福神の仲間入りしているんじゃないかと思う。なんだか知らないけど(笑)、とにかくめでたい。

 めでたいといえば、今日は年賀状を片づけた。なにしろ二軒分だから疲れる。おまけにぼくの Canon のプリンタは、あたりが悪かったのだろうか、最初から紙送りの精度が悪く、ハガキを一枚一枚手差ししなければならない。もちろん裏表があるから、恐ろしく手間がかかるのである。

  Please make it possible, Canon.

 頼むよ、ほんとに。

 もう年賀状はやめようと何度思ったことか。しかしこれぞ生存証明だから、わずかの手間を惜しんで勝手に喪中扱いされるのもおもしろくない。ぼくと同年代以上だと、インターネットとは無縁の人もまだ多いのである。

 いまのところ I'm still alive.……といったって、たいしてめでたくもないか。

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December 20, 2013

Daily Oregraph: ケガニの値打ち

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 なにもネタがないから、18日に腹中におさめたケガニの写真でもみせびらかしておこう。いやあ、うまかったなあ。

 いくら北海道に住んでいるからといったって、ケガニはたいへん高価だから、ぼくみたいに上流階級になりそこねた男の口にはめったに入らない。まずは一年に一度というところだろうか。

 -へえ、ケガニですか? 豪勢ですね。宝くじでも当たったんですか?

 -まさか。なにね、カニなんぞ食い飽きているんですがね。

 -へへへ、そう見栄をはらなくたっていいのに。どうせもらいものでしょう。

 図星である。実は某氏が送ってくださったのだ。どうもごちそうさまでした。せっかくいただいたのに、なんの便宜もはかってあげられず(笑)、まことに申し訳ありませぬ。

 さてこのケガニ、市場に行くと恐ろしい値段がついているけれど、昔は駅前でおばさんがリアカーにどっさり積んで売っていた。まだ生きてゴソゴソ動いているやつを、無造作に新聞紙にくるんで渡してくれたものである。

 結局カニが高価になったのは、漁獲高の減少のせいだけではなく、冷凍技術が発達したからであろう。すぐに腐敗するため売れなかったものが、日数が経過しても売れるようになったのである。

 一応は高等生物なのに、ケガニほどの値段もつかぬジジイとしてはいささか複雑な思いを禁じえない。

 -あんたを冷凍したってねえ……

 -どうせおれなんて煮ても焼いても食えねえしなあ。

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December 18, 2013

Daily Oregraph: ホロカヤントウ考古学

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 今日は時間があったので、広尾からの帰り道に晩成温泉へ寄り道した。天気もよし、温泉につかる前に近くのホロカヤントウまで散歩したので、絵日記としゃれてみよう。

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 なに、散歩といったって、片道約十分だからたいしたことはないのだが、こういう道はきらいじゃない。聞こえるのは波の音と、風に吹かれてサラサラいう枯草や枯葉の音ばかりである。

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 ほら、もう到着してしまった。ボロボロの小屋が一軒見えるけれど、かつてはキャンプ客や釣り客相手に営業していたのである。

 当社の誇る資料室から1999年6月の写真を引っぱり出してみよう。

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 「酒正中あります」というのがうれしい(笑)。この貼り紙だけ横になっているのは飲みすぎたせいであろう。

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 さてあわれ廃屋と化したこの小屋のすぐとなり(写真では手前)には、当時水道の設備もそなわっていた。

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 ほらね。これが影もかたちもなく消え失せていたのである。こうなるともはや考古学の世界だろう。わずか十数年しかたっていないのにまったく痕跡もないのだから、邪馬台国の遺跡などは到底みつかるまいと思う(笑)。

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 いや、小屋の話をするはずではなかった。太平洋とホロカヤントウとの間の砂浜はわずか20メートルほどしかなく、あと百年もしたらどうなることか。

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 そう大きな沼ではない。

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 「年間約3万人の観光客が訪れる」とあるけれど、最近ではどんなものか疑問を感じないでもない。写真にも人の足跡が写っているから、だれかが来たことはまちがいないが、この時間ここにいたのはぼく一人きりであった。

 なお擦文時代の縦穴群は5枚目の写真の左手、丘の上にある。当時の住居を復元したものもあって、こちらは本物の考古学の対象である。

 十勝の海岸にはホロカヤントウのような汽水湖がいくつもある。上の文献に見える生花苗沼もそのひとつだ。それらの沼を巡ってみるのも大人の観光コースとしておすすめだ。


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 ここの海岸はテトラポッドがないから気に入っている。もっと暖かければ三十分くらいホーッとしているのも悪くはないと思った。

 余計なものがない景色というのはいいものだ。さあ、あなたもあこがれのホロカヤントウへどうぞ。

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 これはおまけ。温泉につかってからのんびり車を走らせ、厚内駅で休憩したら、祝開業110年だそうなので一枚。110年か……オリンピックなんかよりもずっとめでたいと思った。

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December 17, 2013

Daily Oregraph: おじさんサンタランドへ行く

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 人間だれしも不似合いな場所というものがある。ぼくにとって広尾町のサンタランドなどはその典型みたいなものだろう。

 スコップさんが「行きましょう、行きましょう。この町に来た以上、サンタランドは外すわけにはいきません。京都に行って清水寺を見ないのと同じです」とおっしゃってきかないものだから、同行したのだが……

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 -う~む、やっぱりおれは似合わねえなあ。

 -たしかにあなたは似合いませんねえ。

 ちぇっ、失礼な。そういうスコップさんだって……といいかけて思ったのだが、はて、どういう人ならサンタランドにふさわしいのだろうか?

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December 14, 2013

Daily Oregraph: 「彼岸花」を観て

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 GyaO! で本日限りという小津安二郎の「彼岸花」を観た。

 この映画は昭和33年の作品だが、両親に連れられて南大通りの南映で観た覚えがある。南映は封切館ではなかったから、昭和34~35年のことだったかもしれない。

 そもそも小津安二郎の映画はおもしろおかしいというものではないし、もちろんこどもに意味が理解できるはずもない。だからストーリーもなにも記憶しているはずはないし、ただただ退屈でしょうがなく、画面をろくに見もしなかったはずだ。

 さすがにこの年になればしみじみ感じるよさはあったが、ここで柄にもなく映画論を一席ぶつつもりはまったくない。ほんの気まぐれに、この作品中三度登場する同じ場所に注目してみただけである。

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 まずはこのシーンをごらんいただきたい。映画の最初のほうに登場するほんの数秒のカットだが、画面には寸分の隙もない。なんの変哲もないようでいて、隅々にまで神経が行き届き、恐ろしいほどぴたりと決まっている。

 この家にはまだなんの波風も立っていないことをうかがわせる画面ともいえる。

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 こちらは映画の中ほど。アングルはほんのわずか変化しているが、基本的には最初のカットと変わらない。しかし少し前にだれかが茶を飲んだことがわかる。

 棚に落ちる影もいっそう暗くなり、家庭内に微妙な変化があらわれたことを巧みに表現しているようだ。

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 これは頑固な父親が娘の結婚を不承不承認めた直後のカットである。棚に置かれた壺からは影が消えている。右手の障子は開けられ、部屋の隅に置かれた小道具からはどことなくうきうきとしたリズムが感じられる。

 ああ、すべて計算されつくしている……そう思った。なおこの画面の切り取り方はほかの場面にも共通するもので、小津監督の好みなのかもしれない。

 舌を巻くほどの職人芸を感じたけれど、こう万事みごとに型が決まりすぎていては、小津以後それをぶち壊したいという衝動にかられた若い監督たちが登場したのもまた必然であろうという気がしてならない。

 しかし映画にかぎらず、定型の持つ力には侮りがたいものがあるなあ……そんなことを考えながら今夜も一杯やっているところだ。

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December 13, 2013

Daily Oregraph: 大掃除

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 自分でもいやになるほどしょうもない写真だが、今日はこれしか撮れなかったのだからしょうがない。

 さて昨日年末の大掃除をした。といっても部屋の掃除ではなく、ブログの過去記事である。2010年12月以前の記事をきれいさっぱり削除し、気分がせいせいした

 もちろんブログの容量が残り少なくなったのも理由のひとつだけれど、実はココログにはもうひとつブログを確保してあるから、一杯になったらそちらへ移ればいい。しかしもう新しいブログを立ち上げるのが面倒くさくなったのである。

 どうせ駄文の山だ。たまったら捨てちまえばいいのである。数年後にはまた捨てる。問題はただひとつ、これから先あと何回捨てられるかである(笑)。

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December 07, 2013

Daily Oregraph: シュトーレン

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 しばらくブログは休載するつもりだったけれど、麦穂亭が自慢のシュトーレン(Stollen)を送ってくれたので、お礼をかねて一枚。

 以前クリスマスのお菓子だから冬の季語だと勝手に決めて駄句を作ったことがある。駄句、とはなから宣言しておけば気が楽なので、ちょいと遊んでみよう。

    きみ火を焚けよき物食はせん珠糖練

 おっといけない、これでは芭蕉のパクリである。しかし「雪まろげ」よりはいいような気もするね。

    秘密保護法案通過闇夜のシユトーレン

 世紀の悪法が通過して18世紀に逆戻りという冬の夜に食うシュトーレンはどんな味? アメリカにとっては甘かろうが……

 おっといけない、うっかりお上に逆らうようなことを書くとお縄になる恐れがあるか。しかし老い先が短いということは、この国の情けない未来を見ずにすむのだから、必ずしも不幸ではないという気にさせる出来事であった。

 やはりジジイには他愛のない駄句が似合う。いや駄句未満か……

    去年(こぞ)よりは薄き一切れシユトーレン

 ダイエットしているからね(笑)。

 でもついでだから、酔った勢いで爺川柳でも……  

    につこりと笑つて悪しき法を立て

 'One may smile, and smile, and be a villain.'  (Hamlet) のパクリね。悪漢(villain)とは誰かって? そりゃ聞くだけヤボというもの。

     8の字を横に年貢の上がる夢

 自信をもって予言しておくが、消費税はとても10%ではすまない。8の字を横にしてごらんなさい。そもそも物を買うたびに罰金をふんだくるとはあこぎな話である。

       税金を払つてまで買ふ薔薇四本

 酒飲みの悲しい性。わかる人にはわかりますね(笑)。

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December 04, 2013

Daily Oregraph: アイタ アイタ マッカナ バラガ

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 空いた、空いた、ウィスキーが一本空いた(咲いた、咲いた、ではない)。途中でほかの酒に浮気しなければもっと早く空いたにちがいない。

 ウィスキーといっしょに読み終えた『嵐が丘』だが、昨日からもういっぺん全部読み直し、特に不足している前半の注を大幅に増やす作業に取りかかった。そんなわけで、みなさまのブログにも当分あまりおじゃまできないかもしれない。

 大学のえらい先生でさえたまにはミスをやらかすのだから、えらくない酔っ払いの仕事に誤りのないはずはないけれど、せめて読んで損のないものに仕上げたいと思ったのである。

 もうひとつ、高校を卒業した人なら、ふつうの学習用辞書が一冊手元にあり、多少の根気さえ持ち合わせていれば必ず読破できるものにしたいという気持もある。そのためにぼくが代理人となり、恐ろしい時間をかけて辞書を引きまくっているのである。

 時間のあるジジイが若者のお役に立てるとすれば、まずこれしかあるまい。たとえ読者が十万人にひとりしかいないとしてもだ。

 燃料はアルコール(笑)。あと何本のウィスキーが空になるだろうか?

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December 01, 2013

Daily Oregraph: 十二月の光

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 上天気だけれど、さすがに浜の風は冷たい。軽装だったので、散歩を早々に切り上げて帰宅。

 ああ、もう12月か。

 今日の気分はリヒァルト・シュトラウスの「四つの最後の歌」。人生の12月にはまだ少し早いが、10月を過ぎたジジイにはふさわしい名曲である。第4曲「夕映え」は、まるで人が穏やかに息を引き取るときのように、静かに終わる。

 これがまたアルコールに合うから困るのだ。なんとなく白ワインがよさそうだけれど、ない袖は振れないから、ウィスキーで間に合わせることにしよう。

 『嵐が丘』は残すところあと4ページ。最後で意外に手間取っている。追い込み作業中なので、みなさまのブログは Read Only、失礼の段平に……

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