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September 10, 2013

Daily Oregraph: ラッ・ガー

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 ロープの端に見える丸いブリキ板はラット・ガード (rat guard) である。ぼくはこれを「ネズミ返し」と覚えこんでいたけれど、リーダーズ英和辞典には、

 〔海〕 《繋留索に付ける》防鼠, ねずみよけ.

と定義されている。

 海文堂の英和海事用語辞典も同じく「
ねずみよけ」、また成山堂書店の和英・英和船舶用語辞典も「ネズミヨケ」としているから、どこから「ネズミ返し」が出てきたものか、自分でもわからない。しかし、出所はともかく、訳語としてはもっとも気が利いていると思う。

 かつて世界の海に君臨した海国イギリスの大辞書 OED にこの語が見当たらぬのはふしぎな感じがするけれど、アメリカのウェブスター 第3版には独立した項目として載っている。それによると、

 船舶の係留索に取り付ける円い金属板。ネズミが船上に侵入、または船上から退去するのを防止する。

 おや? と思ったのは最後の部分だ。ぼくはもっぱら陸上からの侵入を防ぐためのものだと思い込んでいたからである。しかしよく考えてみると、船内で疫病が発生した場合、ネズミが陸上に逃げ出してはまずいのだから、それも道理であろう。

 ついでながら、Random House第2版の原書には rat guard は載っていないのに、ランダムハウス英和大辞典第2版にはちゃんと収録されており、

 ラット・ガード:船の係船索につける円盤状の金属板:ネズミが陸から侵入するのを防ぐ。

と説明している(この英和辞典はとにかくよく出来ているからおすすめ)。

 ……と、いくつかの有名な辞書をひもといてみたわけだが、写真まで掲載している当ブログが、結局「ラット・ガード」に関する最高権威であるとは、まことに愉快なことである(笑)。

 なお発音は日本式ではダメ。「ラッ・ガー」がよろしい。ウソだとお思いなら、いつか試してごらんなさい。

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Comments

ネズミ止めですか・・・そういえば東大寺の正倉院の校倉造にもネズミ返しはありましたよね。
構造も基本的には写真のそれとあまり変わらない・・・

洋の東西を問わない設備なんですね・・・まあ、それだけネズミに困っていたんだろうけれど・・・

Posted by: 三友亭主人 | September 10, 2013 at 21:07

こんにちは!
「ねずみ返し」というのは仰るように気の利いた訳ですね。
かの佐々木小次郎の得意技と言われている(?)「ツバメ返し」を思い出しましたよ。

rat guard の発音は仰る通り。
2音節ですから、まさに「ラッ・ガー」ですよね。
最後のdは軽く添えてもいいかもしれません。

Posted by: 只野乙山 | September 11, 2013 at 10:16

>三友亭さん

 なるほど正倉院ならネズミ返しがあっても不思議ではないですね。宝物をガリガリかじられては大変ですから。

 どんな構造のものか興味津々です。

Posted by: 薄氷堂 | September 12, 2013 at 06:07

>只野乙山さん

 「ネズミよけ」ということばからは、実物を知らない人にとって、写真のラット・ガードは連想しにくいように思います。

 「ネズミ返し」ですと、ネズミがなにかに突き当たって前進をはばまれる感じが伝わってきますよね。

> 最後のdは軽く添えてもいいかもしれません。

 お気持はよ~くわかります。そこをぐっとこらえたのは、たとえば 'street' をちゃんと発音できる方が案外少ないからなんですよ。最後に「ド」を書いてしまうと「度」を越してしまう恐れも……(笑)

Posted by: 薄氷堂 | September 12, 2013 at 06:45

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