Daily Oregraph: ぐりはま まいうー
写真は本文とはまったく関係がない。某日某所で撮ったもの(顔をホカシ処理してある)。しいてこじつければ、たまには喫茶店で本日のお題のように高尚な話(?)をするのも悪くない……
さて「ぐりはま」とは聞き慣れぬことばだが、岩波古語辞典にもちゃんと載っている。
ぐりはま《「はまぐり」の倒語》 言葉の順序が逆になって意味をなさないたとえから、物事の食い違うこと。「ぐれはま」とも。 (最初の例文は省略して)「諸道みな道すたれて、僧法師の欲の深き、侍の臆病さ、同じ―なり」<仮・可笑記評判八>
たまたま柳亭種彦の『柳亭筆記』をめくっていたら、「○ぐりはま 芋の山」という記事があったので、ちょうどネタもなし(笑)、無断拝借したわけ。
山の芋といふべきを芋の山といひ蛤といふべきをぐりはまといへるにて今物の齟齬する事をぐりはまといふ是なり 或は訛りてぐれはまといふ
とまあ、当然のことながら、種彦は辞書の定義と同じことを書いている。『俳諧破邪顕正』(松月庵随流著)からの引用もあり、
これを連歌にては芋の山とて大きにきらふ、俳諧にてはぐりはまといふ
この手の言葉遊びは、自分でしようという気にはなれない。しかしジャズをズージャ、ピヤノ(ピアノ)をヤノピーなどというのは、ちょっとグレた感じがしておもしろい。ぼくなどはたとえば昔小便くさい映画館内で、禁煙の表示があるのに、映写機の発する強烈な光線にゆらめいていたタバコの煙を連想する(お里が知れるか?)。
最近では「まいうー」というのがおなじみだけれど、ぼくは最初聞いたときなにをいっているのか理解できなかった(笑)。意味がわかってみると、なんだつまらないと思った。しかし「ぐりはま」もすでに古語となったことだし、熱々の焼きハマグリを食いながら「ぐりはま、まいうー」というのなら、「おっ、なかなかやるな」と思うかもしれない。
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