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August 02, 2013

Daily Oregraph: 夏の日の幻想

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 ひさしぶりに夏らしい一日であった。これは薬をもらいにいった某内科医院の駐車場から撮った写真。

 地獄の業火はもちろんごめんだが、天国の永遠の命にだってそれほど魅力があるわけでもない。永遠に生きつづけるというのは、ぼくには拷問の一種としか思えないからだ。なんでそんなものを欲しがるのかな。

 さていつものとおり処置室で体重を測ると、3 kg も減っていたものだから、看護婦さんが驚いて、

 -あ、体重が減りましたね! 運動ですか?

 まさか恋わずらいでやせましたともいえないから(笑)、いいえ、食事の量を減らしましたと正直にお答えしたが……たまたま減量に成功したからいいようなものの、もし永遠の命を授かったら、来る日も来る日も永遠に、体重のせいで一喜一憂しなければならぬわけだ。つまらない。

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 薬をもらってから床屋に寄って散髪。身も心もすっきりしたところで裏庭へ行ってみると、猛威をふるったハムシの姿はウソのように消えている。

 
しかし小松菜の葉の多くは、食い荒らされてボロボロになっていたから、すべて引っこ抜いて種をまき直した。

 サヤエンドウはどうなったかというと、おお、ひとつだけ実がなっているではないか。だがよく見るとサヤの一部がかじられている。

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 かじったのがハムシかどうかは不明だけれど、実にイヤな感じがする。来年は箒を二本用意してハムシにそなえねばなるまい。

 さてマメといえば「ジャックと豆の木」である。ジャックが豆の木をどんどん上って高いところへ行ったらハイ・ジャック(笑)。なんとこれがお勉強のタネになるのだから驚くではないか。

 飛行機のハイジャック(hijack or highjack)は「ジャックと豆の木」が語源ではないか、さっそく調査せよ……という宿題を、つい先日ある方からいただいた。

 ご存じのとおり、ジャックは巨大に成長した豆の木をよじ登り、雲の上に住む巨人から財宝を奪って金持になる。高いところで人様のものを盗み取るのだから、ハイジャックというわけである。

 当たり外れはともかく、ぼくは出題者の想像力にすっかり感心したから、どれ調べてみようかという気になった。夏の日の幻想だね、これは。

 当然ながら、まずは OED。「もと米俗語(現在は一般に通用)」という断り書きにつづく語源欄を見ると、おやおや Origin unknown (わかりまへん)とは残念。それならアメリカの辞書にあたってみよう。

 Random House 第2版によると、19世紀末からあることばらしく、「トラックやほかの車両を止めて(積荷を)奪う」というのが本来の意味だから、スカイジャックの意味で使われだしたのはあとの話である。

 それにしても、どうしてハイジャックなのか? ランダムハウスの語源欄には hijacker からの逆成とあるので、そちらを見ると、「HIGH(WAYMAN)+jacker」とある。なるほど highwayman(追いはぎ)から来ているのか。

 問題はジャッカーの語源だが、同書によれば、jack(夜間ジャック・ライトを持って狩りや釣りをする)に er をつけたもの。ジャック・ライトというのは、ポータブルのランタンや懐中電灯をいうらしい。へえ、はじめて知ったよ。

 結局「ジャックと豆の木」とは直接の関係はなさそうである。しかし、jack には俗語として「(車や、車からなにかを)盗む; 奪う、押し込み(強盗)を働く」という意味もあるから、巨人の城からものを盗み出すジャックの姿が浮かんでくることはたしかだ。

 ついでに「人様のサヤエンドウを勝手に食い荒らす」という語義も追加してほしいものである。 

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Comments

私のところもエンドウが虫にかじられています。
第二弾の小松菜とカプは今のところ虫に食われず順調ですが、小松菜などはNHKの野菜の時間で虫に食われるので防虫ネットが必要とのことでした。
来年は準備しておかなくてはと思っています。

永遠の命、お写真の手相ではどの線も長くて、薄氷堂さんは健やかに生活していらっしゃるようですね。

こうして生きている身にとっては老いていく実感はありますが、まだ身近に自分の死を感じないせいか、命が永遠に感じられなくもないです。
でも、死を間近にすると多くの人は死を恐れますね。
お盆で戻ってくる人に恐れていた死と永遠の命について聞けるとよいのですが。

Posted by: k | August 02, 2013 21:16

>Kさん

 Kさんのところもエンドウを虫にやられましたか。

 小松菜には防虫ネット……これはいいことを教えていただきました。ぼくも来年は考えてみます。多少は虫に食われてもいいんですけど、ボロボロにされてはかないません。

> まだ身近に自分の死を感じないせいか、命が永遠に感じられなくもないです。

 いずれ身近に感じるようになってきますよ(笑)。生まれる前のブランクを考えれば、死そのものを恐れる必要はありませんが、問題は死に至るまでの苦痛ですね。

 あの世なら食う心配がない(?)からいいけれど、この世で長生きしすぎるのは考えものですよ。たとえばうんと長寿化したとして、かりに百歳になるまで年金がもらえない世の中になったら、事実上死ぬまで働けということですから、生きているのがいやになることうけあいです。

Posted by: 薄氷堂 | August 02, 2013 23:05

ありゃまあ・・・

ジャックと豆の木とハイジャックはあんまり関係がないってことですか・・・もしそうだったらちょいと愉快だったのに。

でも、ジャックが人様の財宝をかすめた・・・なんていうのは日本のおとぎ話にもある構図で、桃太郎なんてひどいもんですね、強盗犯(鬼)が集めた財宝のうわまえ(どころかそのすべて)を力ずくで奪い取っているわけですから・・・

けれども、彼らは悪者にはならない。不公平極まりないという世の悪人たちの怨嗟の声が聞こえてくるような・・・(笑)

Posted by: 三友亭主人 | August 04, 2013 08:13

>三友亭さん

 ジャックの名誉のために(笑)つけ加えておきますと、彼はかつて巨人が父親から奪った財宝を取り戻したのだ、というバージョンもあるそうです。

 昔読んだ覚えがあるんですけど、細かいところは忘れてしまいました。

 不法に奪い取った財産を取り返すといえば、いまの日本にだってジャックや桃太郎の活躍する余地があるかも?

Posted by: 薄氷堂 | August 04, 2013 17:54

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