Daily Oregraph: 裏庭画報 サヤエンドウの研究
サヤエンドウの初収穫。なんだ、これっぱかりか? と笑ってはいけない。二三虫食いがあったので、これ以上食われるのはシャクだからもいだのである。これから少しずつ収穫できるはずだ。
そういえばサヤエンドウを英語でなんというのだろうか。エンドウ豆を pea というのは知っていたが、サヤエンドウは知らなかったから調べてみた。われながらマメなものである。
まっさきにみつかったのが snow pea である。雪とは縁がないのにどうして snow なのかというと、花の色が白いかららしい。
別名 mange-tout (pea) の項目を見よというからすなおに調べてみると、こちらはフランス語で、直訳すると eat-all だとある。なるほどサヤごと食うから納得。
もうひとつ sugar pea といういい方もある。こちらは花の色=白砂糖の白というわけではなく、甘みがあるからということらしい。ついでに sugar pea を引くと snap pea というのも登場する。複雑にして怪奇である(笑)。
さらにもうひとつ snap bean というのも辞書に載っている。リーダース英和には「さやごと食用とする各種のマメ科植物, さや豆《サヤインゲン·サヤエンドウなど》」とある。
そういえば、サヤエンドウはスナップ・エンドウとも呼ぶらしい(厳密にはちがうらしいが、ぼくには区別がつかない)。ついでだからなぜスナップなのか調べてみよう。そこまでやるのがお勉強(笑)。
OEDには、「snap-bean は米語なり。名詞 snap の18を見よ」とある。なんだか双六をやっているような気分になるが、指示どおり調べてみると、語義のかわりに引用文をいくつか挙げ、そちらを見なさいという。
フレンチ・ビーン(French beans)とスナップ(snaps)とは同一なり。
スナップ(Snaps)とはグリーン・ビーン(green beans)なり。
スナップとはサヤに入った若いキドニー・ビーン(kidney beans. インゲンマメ。腎臓形をしているから)なり。
かようなマメは、英国ではキドニー・ビーンまたはフレンチ・ビーン(French-beans)として知られるが、こちらではストリング・ビーン(String-beans)またはスナップ、また時にスナップ・ビーン(Snap-beans)と呼ばれる。
思うに、サヤからマメを取り出すときに、サヤの端をポキンと折り取る(snap off)からスナップというのだろう(それとも茎からプチンともぎ取るから?)。ストリング・ビーンというのは、サヤのスジ(string)を取って食うマメをいう。
英和辞書に載っている以上、サヤエンドウのことをスナップ・ビーンということもあるのだろうが、ふつうはインゲンマメを意味するようだから、スノウ・ピーあたりを覚えておけばいいんじゃないかと思う。
というわけで、芋づる式ではなくマメづる式に調べてみたが、こんなヒマなことができる日本は天下太平(ピーズフル、いやピースフル)だなあ。
【追記】 たった今 Cambridge Dictionaries Online を調べたら、snap bean (米)は sugar (snap) pea なりとある。それなら snap bean もふつうに使えそうだが、はて? 徹底追及してまとめてみたい気もするけど、キリがないからやめておこう(笑)。
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Comments
こんにちは!
サヤエンドウ、おいしそうですね。
これ、英語でなんて言うのかな、よくやります!
もっとも頻度が多いのが「ファイル名」のためですが、
それでもほう、そう言うのか、とわかるとなんだか嬉しい。
フランス語って説明的というか、そのままじゃないか、
というものが多いですね。笑ってしまいます。
虫にやられる前に収穫する作戦、うまくいきましたね。
Posted by: 只野乙山 | August 06, 2013 08:43
>只野乙山さん
写真のサヤエンドウは味噌汁に入れて食べました。新鮮そのものですから香りがよく、ほのかな甘みもあって、なるほど sugar pea だなあと納得しました。
なにかのきっかけから辞書を引きはじめると、あっという間に時間がたち、けっこう楽しめるものです。しかし今回のマメみたいに、広がりすぎて収拾がつかなくなることも……(笑)
Posted by: 薄氷堂 | August 06, 2013 21:24
さやえんどうはねえ・・・私の大好物で・・・
豆腐とさやえんどうの味噌汁が朝の食卓に並んだら、たとえその日が台風直撃の日でも幸せな気持ちは間違いなし・・・
実は私の郷里の家の裏庭にもこの私の大好物は植えてあり・・・その季節の夕方になると母が私に「ササゲ(ゲはギに限りなく近い発音で・・・いわゆる東北弁です)とってきて~」という声が聞こえたならば、私はいそいそと採りに行くのでありました。もちろんその後の筋鶏もしっかり手伝いました。
ちなみに我が郷里ではさやいんげんを「ササゲ(ゲは極めてギに近い発音)といっていまして・・・ほかにササゲと呼ぶべきマメさんはあったはずなのですが・・・
Posted by: 三友亭主人 | August 06, 2013 23:26
>三友亭さん
> ゲは極めてギに近い発音
その発音、ぼくもたぶんできますよ。秋田弁のサシスセソを正しく発音できるというのがぼくの自慢(笑)ですから、宮城のことばもいけるでしょう。
Posted by: 薄氷堂 | August 07, 2013 19:49