Daily Oregraph: 春採湖畔 冬と春の境目
約二ヶ月ぶりに春採湖畔を歩いた。湖面にはまだ薄い氷が残っているけれど、
エゾエンゴサクや、
キバナノアマナが咲いていた。
花々は春の到来を告げているけれど、まだまだ油断はできない。ひょっとしたらもう一度雪かき……という可能性も残っているのである。
さて気楽に読むつもりだった『嵐が丘』だが、やはり古典を乱暴に読み流すわけにもいかず、まだそれほど進んではいない。しかしけっして退屈するような作品ではなく、それどころか抜群におもしろいのだから、どうか誤解なきよう。
キャシーの幽霊が登場する有名な場面を読んで、おや、と思ったのは、その出現時刻である。幽霊の恐怖から解放され、しばらくしてから時計を見たロックウッドは「まだ三時になっていない」という。
以前レファニュの短編から「時は午前二時。通りは墓場のように静まりかえっていた」という一文をご紹介したが、キャシーの幽霊もまた午前二時ころに現れたことがわかる。
洋の東西を問わず、しばしば幽霊が午前二時に現れるというのは、人間の生理に関係するのかもしれない。幽霊の実在は大いに疑問だとしても、人間が午前二時に幽霊を見やすいということは事実なのだろう。
幻覚であれなんであれ、幽霊なんぞ見たくもないから、おたがいに夜ふかしはほどほどにしたほうがよさそうである。
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Comments
こんにちは!
そちらはまだ海に氷が……春はまだもう少しでしょうか。
なのにいろいろ植物が出てくるというのだから、
やはり確実に春は近付いているのでしょうね。
丑三つ時っていいますね。
昔の人は日が暮れたらそろそろ寝るか、
などとあることから、真夜中というかもう少ししたら
夜が明ける感じなんでしょう。
午前2時は、現代人にとっても寝静まった頃ですね。
Posted by: 只野乙山 | April 11, 2013 12:29
僕からすると、夜中に目が覚めてトイレに行く時間です。
まあ、幽霊を見るとするとこの時間でしょう。
二時まで、夜更かししているとなると
それは酒盛りのはずですから
何が出てきてもよく分かりません。
Posted by: 根岸冬生 | April 11, 2013 14:11
幽霊は・・・怖いですね。
私は理屈では信じていないのですが、夜に窓の外なんかを見るのは嫌いです。
けど、宴会なんかの帰り道、千鳥足の時は少しも怖くないのだから不思議です。
Posted by: 三友亭主人 | April 11, 2013 18:15
>只野乙山さん
> 昔の人は日が暮れたらそろそろ寝るか
『嵐が丘』でもまさにその点に触れられていて、ヒースクリフのセリフには、
「冬はいつも九時に寝て、いつも四時に起きる」
とあります。
冬の話ですから四時はまだ真っ暗、おまけにイギリスは寒いですから、田舎の住民の暮らしはかなりきびしいものだったと思います。
午前二時に幽霊に出られてはたまりませんね(笑)。
Posted by: 薄氷堂 | April 11, 2013 20:16
>根岸冬生さん
> 夜中に目が覚めてトイレに行く時間です。
ふむふむ、ぼくの人間生理説を補強する証言ですね。寝ぼけまなこで幻覚を見るのはありそうなことです。
落語の「野ざらし」に登場するような美女の幽霊なら歓迎なんですけどね。
Posted by: 薄氷堂 | April 11, 2013 20:19
>三友亭さん
実際にいようといまいと、また幻覚だとしても、幽霊は恐いし、暗がりは気味が悪いですよね。
酔っ払うと恐くないというのは、感覚が鈍っているせいでしょうけど、アル中になると昼間から幽霊出まくりですから、どうかお気をつけて。
Posted by: 薄氷堂 | April 11, 2013 20:23