Daily Oregraph: ふり返るのは一度だけ
今日は仕事の写真しか撮らなかったので、昨日の続編。ずいぶんベタな写真だが、これは巡視船「そうや」の船体である。ウソだとお思いなら(だれも思わないか(笑))、北埠頭西側岸壁へ行って確認すべし。なかなか美しい船だから、一見の価値はある。
いよいよ最後のノートに取りかかる。ノートをいっぺん復習したからといって、記憶が定着するわけではない。この年になれば、読んだはしから忘れてしまうのだから閉口する。そうかといって、死ぬまでノートを読みつづけるのも間の抜けた話である。
昔の大学には、黄色く変色した古いノート一冊で飯を食っている先生もまれにはいた。ウワサには聞いていたけれど、まさか冗談だろうと思っていたから、ほんとにお目にかかったときには驚いた。薄っぺらいノート一冊で生計を立てるとは、ずいぶん効率のいい商売である。
しかしもし彼がそのノートを失ったら、いったいどうするつもりなのだろうか? もうあのお年では新しいノートをこしらえることはできまい。鴨川に身を投げるのかしら、などとバカなことを考えたものである。
ノートと心中するなんておよそバカな話で、そんなものは一回読み返したら捨てちまってもいい。どうせお迎えも近いんだから、あれも捨て、これも処分し、しかし芋焼酎のビンだけはしっかり抱えて往生するのが男の理想というものではないか。
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Comments
実際に、そんな先生がいるんですね。
骨董価値がありそうです。
僕も読んだ本の中味はすぐ忘れちゃうので
本を読む習慣だけ持って
あの世にいければいいや。
霊になって、あの世で読書を続けます。うふふ。
Posted by: 根岸冬生 | April 04, 2013 19:38
>根岸冬生さん
まあ、その先生もノートを作ったときは頭が冴えておいでだったのでしょうけど、学問の成果がたったノート一冊とは……
> 僕も読んだ本の中味はすぐ忘れちゃう
ノートを読み返していて一番困るのは登場人物(たいてい脇役)の名前を忘れることですね。当然前後の事情を思い出せないから、書き抜きした文章の意味までわからなくなるわけです。
ああ、おれは一年以上もなにをしてきたんだろう。貴重な青春(笑)をムダにしちまったんじゃないかしら……と悩むわけですよ。
Posted by: 薄氷堂 | April 04, 2013 21:00
そんな先生もいらっしゃいましたよね。
中にはハガキ大の紙切れ一枚だけ授業に持ってくる先生も・・・
でも・・・その先生の講義が・・・また、素晴らしかったんですよ。迫力もあったなあ・・・講義が終わったらへとへとだったもの・・・
Posted by: 三友亭主人 | April 04, 2013 22:59
>三友亭さん
> ハガキ大の紙切れ一枚だけ授業に持ってくる先生
その先生はノート一冊の先生とはずいぶんちがうと思いますよ。ちゃんと準備をして紙切れ一枚に要点をまとめておいでのようですから。
もし(もしですよ)ぼくが大学の先生だったら……芋焼酎のビンを一本だけ授業に持っていくかも(笑)。
-先生、質問があります。この文章におけるこの単語はどんな意味でしょうか?
-ばかやろう! そんなことがわかったら、おれはもっとえらくなっていらあ。
講義が終わったらへとへとになるのはまちがいなし。
Posted by: 薄氷堂 | April 04, 2013 23:39