Daily Oregraph: 気分を変えて
何十年ぶりかで机の引出しから取り出したモンブランの万年筆。ノートに追記するために使ってみたら、実に滑らかで具合がいい。第一カッコいいではないか。ただしインクを吸入するメカニズムがいかれたので、インクをスポイトで補給しなければならないのは面倒である。
インクはもちろんお気に入りのキングズ・ブルー。このインクは三十年ほど前に道庁の売店で買ったものだ。さすがに年数がたっているからほんの少し変色したような気もするが、やはりブルーブラックよりはずっと美しい色だと思う。
紙箱には「¥360」の値札が貼ってある。アマゾンで検索したら、現在はビンのデザインも変わっているし、値段もかなり高くなったようだ。2個買っておいたのは正解だったと思う。
万年筆のおかげかどうかはしらないが、『虚栄の市』のノートをやっと仕上げることができた。今回は本当に悪戦苦闘した。10日で読み切るはずだったのに、19日もかかってしまったのである。もちろん外に出た日を考慮すれば、情状酌量の余地はあるのだが。
やっと一区切りついた勢いで、『ABC殺人事件』の残りを一気に読み切った。さすがクリスティは読ませる。最後のどんでん返しもみごとである。こういう肩のこらない本ばかり読んで余生を過ごしたらどんなに愉快だろうと思うのだが……そうは問屋が卸さない。
明日からは『大いなる遺産』のノートに取りかからねばならない。しかしこっちにはモンブランのペンがあるから天下無敵……のはずである。
The comments to this entry are closed.
Comments
モンブランですか・・・
私も人生の一時期、モンブランのオーナーでした。
生意気なことにそれは中学1年生の頃、どっかのお招きの香港旅行に行った叔父が土産で買ってきたお土産。当然そのありがたみなど知るよしもなく、ある日手を滑らせて床に落としてペン先がどこかに飛んじゃいました。
豚に小判とはまさにこのことで・・・まあ、たとえモンブランがわが手になじんでいたとしても・・・生来の悪筆はいかんともしがたいものです。
Posted by: 三友亭主人 | March 11, 2013 22:15
>三友亭さん
万年筆の書き味には相性があるみたいですね。
昔はいろいろ万年筆を使いましたけど、ぼくの場合は写真の一本(モンブランとしては一番下のランク)がもっとも書きやすく、とても気に入っています。
> 生来の悪筆はいかんともしがたいものです。
右に同じです。モンブランを使おうが、ペリカンを使おうが、字はうまくなりませんよね。だからパソコンやワープロにはまったわけでして……(笑)
Posted by: 薄氷堂 | March 11, 2013 22:39
こんにちは!
良い万年筆、一本は持っていたいですね。
昔日本製の万年筆を使っていましたが、そんなに満足できず、
いつの間にか万年筆を使うのをやめてしまいました。
手書きのノートを作らなくなってしまったのです。
その代わり、いまはキーを叩きまくっているのです。
それでも、いいペンはやはり憧れですね。
高いペンでも、当たり外れがありますからね!
Posted by: 只野乙山 | March 12, 2013 11:56
>只野乙山さん
ぼくのモンブランは、同社の製品としては安物もいいところですが、いわゆる当たりがよかったのか、ウットリするくらい(笑)書きやすいんですよ。
いい文章を書けそうな錯覚に陥るところが値打ちでしょうか。
でもいまとなってはやはりキーボードのほうがずっと楽ですね。もともと活字中毒ですから、手書き信仰もありませんし。
Posted by: 薄氷堂 | March 12, 2013 18:41
万年筆というのがいつのまにか
僕の人生から消えていきましたね。
昔は、「中一時代」の年間講読のふろくが安物の万年筆という時代がありました。
考えれば、新聞記者時代はまだ鉛筆で原稿を書いていたんですよ。
そこでワープロを導入し、ウィンドウズ95を導入し
今では漢字の書き取りまでPCにやってもらっています。
もう戻れないですね。
Posted by: 根岸冬生 | March 13, 2013 13:56
>根岸冬生さん
もちろん主力はパソコンですよ。お勉強だから手を使ったほうがいいだろうと思って、鉛筆やペンで書いているわけです(効果はあるような、ないような(笑))。
ただ筆記具にはパソコンにはない利点もあります。ときどきイタズラ書きするには最適なんです。マンガを描いたりね。
Posted by: 薄氷堂 | March 13, 2013 21:00