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March 17, 2013

Daily Oregraph: おじいちゃんのTPP講座

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 めずらしく時事問題(爺問題じゃないぞ)に興味を持った花子さん、物知りの池上彰さんにでも教えてもらえばいいものを、よりによっておじいちゃんに聞いたからたまらない。

 -ねえ、おじいちゃん、TPPってなんの略なの?

 -さあな、Tremendously Perplexing Problem だろうか。

 -まあ、むずかしいのね。「トリメンダスリ」って、どういう意味?

 -読んで字のごとしさ。気を取り乱すほどすさまじく、という意味だな。

 -へえ、英語で訛ると「取りめんだす」になるのね。すごい、おじいちゃん、学があるわね。じゃあ、パプレクシングは?

 -うるさいねえ、花子は。こんな単語は日本語にはない。ないからちっとも意味がわからん。はてな、いったいどんな意味だろうと大いに悩むから、悩ましいという意味だな。

 -ふ~ん。それじゃ、プロブレムってなに?

 -おまえ、高校出たんだろう? なにを勉強してたんだ。

 -だって知らないんだもの。お願い、教えて。

 -どうも困ったものだ。プロの学者でも頭を抱えて解釈がブレる、プロもブレむ、だから難問という意味に決まっているだろうが。

 -わあ、よくわかったわ。明日みんなに教えてあげようかしら。

 -……あんまり吹聴しないほうがいいような気もするがな。

 というわけで、おじいちゃん、ほんとうはこっそり冷汗をかいていたのだが、アメリカが押しつけるからには TPP がロクなものでないことは、別に学問がなくたってコモン・センスさえあれば判断できる。属国とは実に情けないものである。

 さておじいちゃんの英語、まことに怪しいものだが、母国語でない以上はたいていこうなるものだ。先日TVを見ていたら、社内では英語の使用を強制するという、トリメンダスリ(笑)植民地化の最先端を行く会社の社長が英語でしゃべっていた。それを聞いた率直な感想をいうと……あんた、やっぱり日本語でしゃべったほうがいいんじゃないの。ついでにいえば、本社をグアムにでも移転したらどうなの。

 なおぼくは日本語ナショナリストである(保守本流だね(笑))。外国語は大いに勉強すべきだが、その第一の目的は日本語を豊かにすることにあると考えている。日本語も満足に使えぬ幼いこどもに「ゾウさんはね、エレファントなの」なんぞと愚にもつかぬことを教えたってなんの意味もないのだから、やめてほしいものだ。

 兵頭正俊さんのツィッターから。

 日本人には奴隷根性が染みついている。これは宗主国の要人が言っていることだから、間違いはないだろう。奴隷根性の最大のものは、日本人が忖度して、諦め、長いものに巻かれてしまうことだ。それは宗主国の意向を伺う権力のトップから、末端の庶民の職場日常まで、隅々にまで行き渡っている。

 TPPで、米国が最大のターゲットにしているのは非関税障壁である。その究極は日本語である。 TPP参加後には、国語は日本語、公用語は英語、といった植民地化が進むであろう。このことの決定的な意味がほとんど考えられていない。

 TPP参加後に、生活のほとんどを英語で切り盛りするということは、米国の文化、米国の発想、米国の習慣に、日本を構造改革してゆくということだ。それでもかまわないという人々は、貧乏大国米国の認識を間違っており、逆に日本の素晴らしさを知らない人々である。


 まったく面識はないけれど、兵頭さんは母校(たぶん文学部)の先輩。御年69歳らしいが、こういう気迫のあるおじさんになりたいと思わせるお方である。

 ところで、そろそろお疲れだろうから、savage tea でも一服いかが?

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Comments

恥ずかしながら広辞苑と大辞林を手に入れたのは最近のことで・・・

国文なんかにいるとかえってこの辺りの辞書は縁遠くなっちゃうので・・・

日本国語大辞典とか時代別国語辞典とか、漢和辞典だったら大漢和辞典じゃあないと授業の下調べには不十分で・・・でもこの辺りの辞書は引くのが面倒でね・・・

ブログを書くには、このあたりの中辞典がいいですね。

Posted by: 三友亭主人 | March 17, 2013 at 22:55

>三友亭さん

 え~と、イギリスの辞書の上に日本語の辞書を二冊乗せたところがミソでして、ぼくなりの愛国心の発露(笑)とご理解ください。

> 授業の下調べ

 えらい! ぼくは下調べもせずに授業に出席し(それもたまにですが)、運悪く当てられたら、今回の記事のおじいちゃんみたいに、知らない単語は適当に推理して、一見スラスラと和訳したものです。

 あまりのデタラメぶりに呆れた先生に、あんたようそんな無茶をやりますな、とほめられた(?)ことがあります。

 卒業してからおおいに反省して勉強をやりなおしたんですけど、ときすでに遅し……

Posted by: 薄氷堂 | March 17, 2013 at 23:15

僕はぼちぼち、アン・サリバンの伝記本の翻訳を始めました。
いろいろな仕事が多重攻撃で襲ってくるので
一日二時間と時間を決めて牛歩の歩みです。
そのうち終わるだろうと、暢気に構えておりますが
ようやく全体の1割が済んだところです。

Posted by: 根岸冬生 | March 18, 2013 at 01:01

>根岸冬生さん

 深夜までどうもお疲れさまです。

 翻訳とはまたたいへんなお仕事をされていますね。趣味でやるならともかく、割に合わない仕事ベスト・テンには入ると思いますよ。

 おそろしく手間と時間がかかるのに、根岸さんの場合はたぶん会社のお仕事でしょうから、結局サービス残業(?)になってしまうのでしょうし。

 しかし歌の文句じゃないけれど、夜は必ず明けて朝がやって来ます。ご努力が報われることをお祈りしております。

 え、だけどふたたび夜が来るじゃないかって? いいんですよ。その夜もきっと明けますから(笑)。

Posted by: 薄氷堂 | March 18, 2013 at 08:17

追記

大丈夫です。夜は夜の楽しみがありますから。
新鮮な鱈がないだけで。

Posted by: 根岸冬生 | March 18, 2013 at 08:37

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