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February 01, 2013

Daily Oregraph: 朝飯の話

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 今日から『虚栄の市』のノートに取りかかったが、めずらしく日中外で活動したため、わずか2ページ。まあ、のんびりやるさ。

 帰宅途中南埠頭へ寄ってみたら、水面の氷がきれいさっぱり消えていた。そういえば今朝は濃い霧がかかっていたし、風が変わったのだろう。

 さてふだんの生活パターンを外れたせいか、むずかしい本を開こうという気にはなれず、手近にあった文庫本をめくって漱石の『倫敦消息』をざっと読み流していたら、イギリスの朝食についてこう書いてある。

 例のごとく「オートミール」を第一に食う。(中略)麦の御粥みたようなもので我輩は大好きだ。(中略)それから「ベーコン」が一片に玉子一つまたはベーコン二片と相場がきまっている。そのほかに焼パン二片、茶一杯、それでおしまいだ。

 オートミールなんぞはたいしてうまいものとは思えないが、先生の好物であったらしい。オートミールの量、ベーコンやトーストのサイズは不明だけれど、たしかに全体としては質素な感じがする。

 ハムの厚切り一切れ、(両面に火を通した)目玉焼きふたつ、(ジャガイモ料理の一種)ハッシュブラウンズ一盛り、トースト四切れにアップルゼリーのカップがひとつ

 こちらは米海軍のスタンダードな朝食らしい(『オクトーバーを追え』による)。どう見てもイギリスの倍以上である。漱石先生なら胃を壊すことまちがいなし。どうもアメリカの豊かさを誇示しているフシがあるけれど、
はたして自慢になるのかどうか疑問がないでもない。

 後世の歴史家のために、ぼくのここ数年の朝食の内容を公開しておくと、(超)薄切りハム一枚、目玉焼きひとつ、トマト二~三切れ、オニオン・スライス少々、ヨーグルト約100cc、トースト一枚、ときどきリンゴ一切れ。まあ、日本人ならこんなものだろうと思うが……
これでも多すぎるだろうか?

【追記】

 YouTubeでみつけたBBCの「ヴィクトリアン・キッチン」という番組から、朝食のトーストと玉子、ベーコンの画像を拝借した。

Toast_2
 トーストをあぶっているところ。ヴィクトリア朝時代だからしかたがないとはいえ、これは案外重労働だと思う。

 トーストは切らずにこのまま専用のトースト立て入れてテーブルに置かれていた。

Eg_bacon_2
 目玉焼きとベーコン。ベーコンのサイズはこれで見当がつく。漱石の文章から推測するに、これは四人前であろう(三友亭さんなら一人前?)。

 もちろん玉子は目玉焼きばかりではなく、ゆで卵、スクランブル・エッグ、ポーチド・エッグも食べる。

Muffin_2
 マフィンを食べることもあったようだ。19世紀の半ばまでは家庭でふつうに作っていたらしいが、ずいぶん手間のかかることもあって、パン屋から買うのが普通になったという。
写真のとおり、上下に割って両面にバターを塗り、もとに戻して二つに切る。

 この番組はコックを雇える家庭のキッチンを再現したものだから、漱石先生の下宿よりずっと高級な朝食らしく、ほかにキドニー(腎臓)を串焼きにしたものや、魚やキノコの料理なども登場する。オートミールはみあたらなかったが、好みによっては食べたのだろう。

 アメリカの艦船の朝食風景も探せばみつかるだろう。しかしトースト四枚はやはり食い過ぎではなかろうか(笑)。

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Comments

通常はご飯とみそ汁派の私ですが時々はパンが食べたくなって、朝はパンで・・・ということがあります。
やっぱり、卵は欠かせませんね。それに私の場合はジャム。
朝の目覚めにあの甘いのが欲しくなるんですよね。それにスープ。もちろんインスタントですが、ポタージュやコーンクリーム。お腹を暖めたいんですよね。
野菜は手ごろなものがあれば少々、なけりゃあ、オレンジジュースぐらいってとこですか

Posted by: 三友亭主人 | February 02, 2013 06:47

>ハムの厚切り一切れ、(両面に火を通した)目玉焼きふたつ、

んんん?旧日本海軍(実父が司令部付き気象兵)もそうでしたが、今の米海軍も多分、調理には火を使わず全て蒸気を使用だと聞きましたが・・・
蒸気だけで炒めものとか何でもできるんでしょうかね?
ま、艦船は火気厳禁は納得できますが。

Posted by: アナログ熊さん | February 02, 2013 08:59

>三友亭さん

 ぼくは日本人のくせにご飯よりパンのほうが好きなものですから、朝飯はトーストです。しかし四枚は食べません。

> 朝の目覚めにあの甘いのが欲しくなるんですよね。

 頭脳労働者の宿命ですね(笑)。ぼくはヨーグルトにハチミツをかけて食べます(頭を使ってるから?)

Posted by: 薄氷堂 | February 02, 2013 09:44

>アナログ熊さん

 一般商船ではガスを使いますが、艦船はちがうのでしょうか。

 トーストはたぶん電気だと思いますよ。ほかの料理にも電気を使えるような気がします。

 YouTube であれこれ検索すればわかるかもしれませんね。

Posted by: 薄氷堂 | February 02, 2013 09:49

いやあ、ベーコンエッグ、うまそうですね。
いま、渋沢栄一を読んでいますが
初めての洋食に、バターが美味だとか
カフェは胸がスカッとするとか
とても興味深いですね。
マフィンは好きです。
マクドナルドのソーセージエッグマフィンで慣らされたかしら。

Posted by: 根岸冬生 | February 02, 2013 10:57

こんにちは。
オートミールはスープ皿一杯分はあるでしょうから、
それをしっかり食べた後でトーストを食べ、
ベーコンエッグも付いてくるわけですから、
漱石のイギリスでの朝食は、平均的日本人からすると少し多めかもしれませんね。

薄氷堂さんの朝食、決して多くはありませんよ。
むしろ控えめなのではないかと思います。
今では少なくなったかもしれませんが、
残り物の惣菜とかを並べて、ご飯とみそ汁、アジの干物。
そしてご飯を二、三膳食すというのは、
かつての日本の朝の食卓ではよくあったはずだと思うのですが……

Posted by: 只野乙山 | February 02, 2013 10:58

>根岸冬生さん

 BBCの番組では、マフィンにたっぷりバターを塗っていました。パンとバターは相性抜群ですね。

 Bread and butter(バター付きパン)もポピュラーのようですが、あるドラマを見たら、パンは一口大のサイズに切ってあり、おやつのようにパクパク食べていました。

 そういえば、「バタ臭い」ということばがあるように、バターは西洋の象徴でもありましたね。

Posted by: 薄氷堂 | February 02, 2013 17:01

>只野乙山さん

> オートミールはスープ皿一杯分はあるでしょうから

 たぶんそうなんでしょうね。そうだとすれば、かなりお腹の足しにはなりそうです。漱石は砂糖をかけて食べたと書いています。

> 薄氷堂さんの朝食、決して多くはありませんよ。

 それを聞いて一安心しましたが、さっぱり体重が減らないのはなぜでしょうか? トーストを0枚にするわけにもいきませんしねえ(笑)。

Posted by: 薄氷堂 | February 02, 2013 17:07

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