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December 31, 2012

Daily Oregraph: 2012 年末句会

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 今日は外出していないので、29日に撮った知人海岸の写真を今年最後の一枚にしておく。

 さて昨日の夜は雨。まさに、

  
雨だれや歳末の街夜となる

というとんでもない天気であった。出来はともかく、まずはぴったりのこの一句、原始的な自作俳句作成プログラムが出力したものである。

 いまから18年ほど以前に作成したこの MS-DOS のプログラムは、上五・中七・下五それぞれのファイルから、乱数によって一語ずつ選んでむりやり俳句を作成し、六句ずつ画面に表示するとともに、結果をすべてファイルに保存するというもの(残念ながらこのプログラムは Windows 7 では動作しない。XP までである)。

 季語などのチェックは一切なしというひどく乱暴なプログラムだけれど、その乱暴なところが意外におもしろく、人間なら絶対に作らないような奇妙な句ができあがる。もともと上五・中七・下五それぞれ200語だったものを、このたびは280語ずつにしてみた。

 なんだ、たったの280語か、というなかれ。280の三乗だから、全部で 21,952,000句も生成する計算になるのである。もちろんめちゃくちゃなものがほとんどだから、まともな句はその平方根、つまり 4,685句程度ではないかというのがぼくの予想である。しかしかなりヘンだけどおもしろいというものも勘定すると、少なくともその数倍にはなるだろうと思う。ただし数が多すぎるから、実行して確認するのはまず不可能に近い。

 あまりにもバカバカしいから、年にいっぺんくらいしか走らせないのだが、まあ年末のお遊びとしておつきあいいただきたいと思う。

 今回は必死に Enter
 キーを叩いて(笑)、約二万句を出力したが、それすら多すぎて、チェックしたのはほんの数千句にすぎない。

 当然のことながら、一番多いのはまるで無意味な句である。

  
うぐひすや何で年よる女学生

  
雪深し窓の外には蝉の声

  
蛍火や思ひがけなき年の暮

  
冬の雨暑さ忘るる年の暮

 いくら異常気象とはいっても、これは無理(笑)。どんどん削除する。

 次は月並調。NHKの「昼のいこい」なら採用してくれるかもしれない。

  
夏木立町まで行くや僧ひとり

  ちらほらと氷流るる運河かな

  講堂にひとりふたりと春の雨

  冬近し淋しさにたへ城下町

  春の海日のさしてゐる台所

  春燈や女ばかりの別れかな

  少年や道遅れゆく春の風


  
秋の雲いづこより来る少女たち

  
身にしむやわれも旅人冬の月

  
なんとなく少女うつくし雪の朝

  
下京や去りゆく人に夜の霧

  
病人の筆はかどらぬ花ぐもり

  ひとしきり路地暗くして柿を食ふ


  
都にもただなんとなく冬の雨

  
外套の東に西に祇園かな

  
外は吹雪色失ひし人歩む

  
旅立ちや教師の娘雪白し

  
礼拝堂歌流れくる田舎道

 いや、中には「昼のいこい」の水準をはるかに超えた、かなり出来のいいものもまじっており、そうバカにしたものではない。自分ではとても作れそうにないものばかり(笑)。最後の句などは無季だけど、19世紀英文学の世界じゃないか。

 つぎはちょっとヘンな句を。

  
かげろふや強き女よ狙撃兵

  
冬近し銃声空に化粧かな

 これらはパルチザンの女を歌ったものだろう。

  
内科医師風吹きすさぶ台所

 帰宅したら妻が逃げていたのである。

  
水鳥やコロツケを買ふ遍路かな

 水鳥とコロッケ、そしてお遍路という意外な取り合わせ。近景と遠景とが立体感をもたらしている(ような気がする)。

  
春燈や人を恐るるヴアイオリン

 麦穂亭を連想した一句。「人の恐るる」では、弾き手の人柄が正しく伝わらないからダメ。

  
手術台われも歌はん雛祭り

 これは麻酔をかけられる直前であろう。

  
長き夜や鼓を鳴らすピアニスト

 ピアノではなく鼓であるところに値打ちがある。

  
炎天や鐘打ちならす台所

 これは解釈がむずかしいけれど、暑さで主婦が錯乱したというのが一解。

  
朝霧や見渡すかぎり老人会

  武装して鐘打ちならす老人会

  芋焼酎危険な空想老人会


 老人会三句。こういう句はちょっと作れない。

  
病人の流れて来たる水の音

 この不気味な感覚は人間離れしていると思う。

  
木枯しや女ばかりの伊豆の海

  木枯しにただなんとなく受験生


 木枯し二句。これは最初の句のほうが意外性もあり上出来だと思う。木枯しと受験生ではつきすぎているからだ。

  
長き夜や腹わづらひて印度人

 明らかに食い過ぎである。ひょっとしたら料理に古い油を使っていたのかもしれない。

 最後にちょっと気に入ったものをいくつか。

  
木枯しや犬吠えかかる京の町

 カメラを持ってウロウロしているとこういう目に会う。他人事ではない。

  
少年やナイフ冷たし夏木立

 これ、ちょっとひんやりしていい感じじゃないだろうか。

  
尼寺や文読みかへす夜の雪

 明らかに月並調ではあるが、恋の句ということで……

  
冬の月かたち正しき焚火かな

  正座して東京の人冬の月


 四角四面の気分にさせるのは冬の月ならではだろう。

  
国滅び強き女よ山の春

 いまの日本国にふさわしい一句……だとはお思いにならないだろうか?

  
長き夜や麦わら帽子数知れず

 秋と夏がぶつかっているようだが、そんなことはどうでもいい。意味はよくわからないけれど(笑)、ぼくは気に入った。

 一年の最後にバカバカしいお遊びにおつきあいいただき、まことにありがとうございます。来年ももし Windows XP マシンが無事であれば句会をと考えておりますので、どうかよろしくお願い申し上げます。

 みなさまどうかよいお年をお迎えください

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December 29, 2012

Daily Oregraph: 一杯やる?

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 冬ごもりもいいけれど、一日中坊さんがお経を唱えるみたいにノートを読んでいると気が滅入ってしまう。幸い天気はいいし、風もないし、ひさしぶりに知人の浜へ散歩に出かけた。

 ここは釧路ではもっともよく昭和の面影をとどめる場所である。いや、このワビサビかげんは、昭和どころか明治じゃないかとさえ思えるほどだ。

 砂浜に腰をおろして、魔法瓶に詰めた熱燗を一杯やるのも悪くないけれど、帰りがめんどうだしなあ。熱心な希望者がいればお相手してもいいけど(笑)。

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December 27, 2012

Daily Oregraph: 冬ごもり

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 上天気なのに気温が低く、道路は昨日よりもずっと滑る。ABS が効きっぱなしである。退勤時にはかなり渋滞するにちがいない。

 年末の混雑を避けてガソリンを補給した帰り道、天下の情勢を知るために(?)、ちょっとだけ港町岸壁に立ち寄った。

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 とにかく風が冷たいのなんの。これはもうさっさと撤退して冬ごもりするしかあるまい。昼間から熱燗なんてのも悪くないね。みなさまには申し訳ないけどさ(笑)。

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December 26, 2012

Daily Oregraph: 頭もカチカチ

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 主要な道路はごらんのとおり融雪剤を撒いているけれど、ほとんどはカチカチに凍ったままである。いまの季節できるだけ外出は避けたいところだ。

 そうはいっても、人間生きていくためには、買い物に出かけないわけにはいかない。時間はかかるし疲れるし、つらいところである。

 今日から『ジェイン・エア』のノートに取りかかる。ノルマを少し増やした。たかがノートを読み返すのに時間がかかるのは、いちいちたどたどしく(笑)音読しているからだ。

 (かなり無理はあるけど)中学生になったつもりでおさらいしているわけ。この年になって、なにごとも基本が大切ということをあらためて実感している。いつまでも学校のペーパー・テストを要領よくこなすようなことをしていてはダメだ。

 さていまさら遅いか、まだ間に合うか、やってみなくちゃわからない。いつになったら天神さんは夢に現れてくださるだろうか(笑)。

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December 25, 2012

Daily Oregraph: 甘いもの苦いもの

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 麦穂亭謹製シュトーレンを今年もありがたくいただいた。まさかいっぺんにこんなに食べるわけじゃない。昨日、今日と一切れずつ、雪に見立てた砂糖を払い落として(笑)食べるのである。

 うまいお菓子を食べ、コーヒーを飲んだところで、やっと『ジュード』のノートの最後を片づけた。しかしノート一冊をおさらいするのに丸十日。この割合でいくと、これまで取ったノートをすべて読み返すのにあと約三ヶ月もかかることになる。

 世の中甘くはないとはいえ、どうもえらいことになった。しばらくの間はブログも短めにすませ、マジメな生活を送らねばならないようだ。みなさまのブログも当分 read only になるかもしれないけれど、きっと読ませていただくので、どうかご了解のほど。

 道路はカチカチだし、今年は雪が多いし、部屋にこもるのも悪くはないかもしれない。あ、そうそう、アルコールだけは切らさないようにしてね。

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December 24, 2012

Daily Oregraph: Kyoto 2012 二秒千年物語

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 シリーズ最終回は、適当に写真を選んでみた。どれもたいした意味はない。

 タイトルにも特別の意味はないけれど……上の写真2枚の間に経過した時間は2秒。こんなことを繰り返しているうちに、いつの間にか千年以上の年月が過ぎ去ってしまったというわけ(笑)。

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 これはね、看板の配置が絶妙なんだなあ。松田タカトシさんがどうなったかは知らないけど…… (投票日前に掲載しないよう配慮したところを評価していただきたい(笑))

 もうひとつ、案内図にある「本能寺跡」というのが気になった。

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 ここが本能寺跡。信長が最後を迎えたのは、現在の本能寺ではなくこちらである。不勉強ゆえ知らなかった。

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 四条河原町。

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 トイレを借りに入った四条河原町マルイ。場ちがい、というのはこのこと。男子禁制の場所に紛れこんだ不審人物のような気分になった。

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 高瀬川。

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 蛸薬師。すでに風情はかなり失われていると思うのだが、なにか複雑な感情のもつれでもあるのだろうか。

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 場所はいっぺんに変わって、北野白梅町付近。なんの変哲もない路地のようだが、道のかたちにご注目いただきたい。

 ここは京福電鉄の廃線跡。通信員の話では、かつてこの突きあたりに北野駅があったらしい。さすがは京都の達人である。

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 特別公開。タヌキうどんを食べた千成餅食堂の内部である。おねえさんは大きなヤカンからお茶を注いでくれた。

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 この食堂では、いなり寿司などの持ち帰りもできる。

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 まとまりのない写真をお目にかけたので、最後は京都らしく、重要文化財杉本家住宅。こういうのをもっと撮らなくちゃ(笑)。

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 今回の取材用カメラはこちら。もう重い一眼レフは旅行には不要だと実感した。オリンパスのズーム・レンズ、おまけとは思えないほどよく写る。

 さて次の取材はいつ実現するだろうか。

(2012年12月7~8日撮影)

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December 23, 2012

Daily Oregraph: Kyoto 2012 天神さん参り

 上賀茂神社と並んで愛着のあるのが北野天満宮である。朝早く自転車をこいでよく行ったことを思い出す。なんとしてもお参りせねば天神さんに申し訳がない。

 そこでテクテク歩いていると、

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こんな看板が目にとまった。同行の通信員によれば、有名な行事だから一見の価値があるらしい。千本釈迦堂にはまだ行ったこともないし、ついでだからちょっとだけ寄ってみることにした。

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 釈迦堂の前では衆院選の候補者が街頭演説をしていた。こちらは中風封じに効ありというのだが、選挙はどんなものか。候補者の名前を忘れたから結果は不明である。だれもせっかくの演説を聞いていなかったことだけはまちがいない。

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 おお、かなりの人出である。みなさんよほど中風がこわいらしい。

 もう終わりかけの紅葉がみごとであった。

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 手前の大きな釜で大根を焚くらしい。人様のお椀をのぞくわけにもいかず、肝腎の焚いた大根がどんなものかは撮れなかった。

 カメラを持ったベテランらしき人を何人もみかけたが、たぶんかれらは撮りどころを心得ているにちがいない。なにごとも修行が必要である。桃栗三年大根八年、通りすがりの旅人の出る幕ではない。

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 しかしどんな大根を焚いているのかはわかった。生大根を買って、自宅で焚く人もいるのだろう。たしか一個千円。けっこうなお値段だが、「お守り付」だからけっして高くはないと思う。

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 めずらしい行事を見物したあとは上七軒を通って天神さんへ向かう。この通りは閑静のようでいて、案外車の通行が多いからご用心。

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 ここにも真っ赤な消火バケツがあった。おわかりになるだろうか。

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 上七軒を抜けるとすぐに北野天満宮の東門。

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 境内には末社文子天満宮がある。たぶん以前目にしているはずなのだが、由緒書きを読んだのははじめて。素通りしていたのである。

 明治になってここに遷座されたとあるが、ネット検索すると本家の文子天満宮も下京区に現存している。上の写真の由緒書きにもあるとおり、文子天満宮こそ誇り高き天神信仰発祥の社であるらしい。いずれ本家にも行かねばなるまい。

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 天神さんはいつ来ても人気があり、お賽銭を入れる人々が列をなしていた。

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 ぼくはいまさら試験を受けるつもりはないからお賽銭だけにしておいたが、もし祈願を受けるなら、千円多く出しても断然甲号を選びたい。やはり本殿に上がれるというのは魅力だからである。

 五千円も出して落第したらどうしてくれるんだ、というお方はセルフ・ヘルプ、必死になって勉強するしかない。夢に天神さんが現れて、きっとお助けくださること疑いなし。

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 逆コースで楼門をくぐると、修学旅行生のグループだろうか、カメラをこちらに向けていた。写真好きのお方か、写真部の顧問なのか、先生が熱心に撮影指導している。

 先生の注文が多いので、高校生たちはちょっと萎縮しているように見えた。先生、放っておいてもいいんですよ。高校生のうちから上手な写真を撮っているようでは、先が思いやられますからね(笑)。

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 さらば、天神さん。次に来たときはもうちょっとお賽銭をはずみますからね。

 ……というわけで、今回はまっとうな観光客らしくふるまえたようだ。人間すなおが一番。

 次回は残りの写真からいくつか、いわば落ち穂ひろい。このシリーズも最終回にするつもりだ。

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December 22, 2012

Daily Oregraph: Kyoto 2012 西新道錦会商店街

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 12月7日。西新道錦会商店街を歩く。ここも京都では名の通った商店街のひとつである。

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 こちらは2002年9月18日に撮影したもの。この踏切は京福電
嵐山本線のものである。現在は岸本屋の看板が姿を消している。 

 例によって、通りすがりに撮った写真を順序に従ってごらんいただきたい。まあ手抜き半分だけれど、そのほうが商店街気分を味わっていただけるのではないだろうか。

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 このお店は2002年にも撮影しているから、比較のため下に掲載しておこう。

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 道路の幅が狭いこともあり、新大宮商店街よりもいっそう地域密着型という印象を受ける。

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 商店街はこのあたりで終わる。錦会加盟店は約120店舗というから、かなりの規模である。

 ここにかぎらず、京都の商店街はどこも生き残りをかけてさまざまの取り組みをしているらしい。商店街歩きは京都観光の楽しみのひとつでもあるし、かつてお世話になった身としては、どうかがんばっていただきたいものだ。

 このたびはほかの商店街を回る時間がなかったけれど、次の機会にはぜひあちこち歩いてみたい。神社仏閣めぐりよりも、ある意味ではおもしろいのである。

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December 21, 2012

Daily Oregraph: Kyoto 2012 防火都市

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 2012年12月7日。野口家住宅。

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 引いて全景を一枚。……と、ここまでは正しい観光客ぶりを発揮していたのだが、

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 12月9日の朝、最後の散歩に出たとき、なにかムズムズするものを感じはじめ、

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 このあたりで、やっとあることに気づいたのである。おわかりだろうか?

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 これですよ、これ。どのバケツにもちゃんと水が入っている。桶がバケツに変わっただけで、たぶん昔から消火用水を用意していたのだろうと思う。

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 いったんその意味に思いあたると見方が変わる。消火バケツを意識して撮るようになるのだ。

 もちろんなんとかして格好よくバケツを画面に収めようとするなど、一種の邪念といってもいいだろう。人間すなおが一番だから、マネをしてはいけませぬ。

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 しかしここで時間切れ。残念なことをした(笑)。

 というわけで、今日はひと休み。明日はもうひとつの商店街をご紹介したい。

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December 20, 2012

Daily Oregraph: Kyoto 2012 新大宮商店街

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 12月8日。北山大宮から西に向
かって北山通りを一枚。ここから南へ北大路通りまで、約1キロの間が新大宮商店街である。

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 こちらは2002年9月19日に撮影したものだが、現在もそう大きく変わってはいない。

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 それでもずいぶん印象がちがって見えるのは、「おーみゃん」のせいだろうか。

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 ここはたいへんよく整備された商店街である。しばらくブラブラ歩いてみよう(手抜き、手抜き)。

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 このあたりがだいたい真ん中へんだろうか。同じ場所をやはり2002年9月19日に撮ったものがあるのでごらんいただこう。

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 かつて買い物にやって来たのはこのへんまで。ここから南にはめったに行かなかった。

 スーパー「かみとも」は、当時(記憶が定かではないけれど)「ニチイ」ではなかっただろうか。只野乙山さんのブログに登場したマルシン・ハンバーグをときどき買ったものである。いまでもはっきり覚えているが、一個17円也(笑)。

 ほかにニチイでよく買ったのは、サバ缶50円。豚肉は切り落とし100グラム50円(どこぞの奥様が犬のエサ
としてお買い求めになっていたことをいまも忘れない)。貧乏丸出しだが、当時はまだ若くて犬なみに元気だったから、それで十分間に合ったのである。

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 上の写真の手前角にある魚屋さん。ここからが新大宮商店街の南部である。

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 雨はだんだん小降りになり、このあたりから傘がなくても歩ける程度になった。傘をさしながらカメラを構えるのはむずかしいので、ずいぶん助かる。

 まだ昼前で買い物客も少なく、ほんとうは夕方にでも訪れれば活気があっていいのだろう。

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 おーみゃんの着ぐるみでもいるのかと思ったが、とうとう出会わぬうちに商店街を通り過ぎて、

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北大路通りに出る。大徳寺前バス停である。

 バス停が登場したついでに、十年前のバス料金について。先日200円ではなかったか、と書いたけれど、写真のファイルを探したら、

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記憶ちがいであった。十年前も一区間220円だったので、お詫びして訂正しておく。変わったのは座席の配置である。(2002年9月20日撮影)

 さてネタはまだ二回分ほど残っているので、乞うご期待。貧乏メディアは取材費のモトをきっちり取るのである。

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December 19, 2012

Daily Oregraph: Kyoto 2012 上賀茂雨のブルース (2)

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 同じく12月8日。御薗橋を渡り切ったところ。しょうもない写真だが、これも記録のためである。

 十年前と比較するため、もっとしょうもない写真を……

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 この写真(2002年9月19日撮影)は、あまりにもひどい出来なので(笑)お蔵入りしたものを、今回わざわざスキャンしたのである。

 「くら」という食堂の場所には、かつて小さな食料品店があって、ぼくもずいぶんお世話になったものである。食パンひとつ、インスタントラーメン数個というケチな買い物をするたびに、小柄なご亭主が「おおきに」といってくれたことを思い出す。

 十年前にここに立ったときには時の流れをしみじみ感じたものだが、その食堂もまた姿を消したわけである。

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 御薗橋西詰。やはり上が2012年12月8日、下が2002年9月19日である。アングルがちがうので正確な比較にはならないが、写真店の看板がデジカメプリントに変わったくらいで、こちらはそう大きなちがいはないようだ。

 ただし上の写真左手に見えるパチンコ屋が十年前にもあったかどうかは確信がもてない。なかったような気もするのだが……

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 御薗橋西詰から上賀茂神社方向を見る(写真上下の日付はひとつ前に同じ)。これまた景色にはほとんど変化がない。

 さてひととおり確認し終えたので、本日の目的地へ向かおう。おおざっぱにいえば、パチンコ屋の裏手に当たる。

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 おお、あった、あった。十年前にも確認しているのだが、もうそろそろ取り壊されたんじゃないかと思ったら健在であった。麦穂亭も一時期ここに住んでいたし、ほかにもなつかしがる諸君がいるはずだ。

 矢印で示した窓がぼくの住んでいた部屋。当時は押入なしの三畳間で、家賃月五千円。独房みたいな部屋であったが、その後仕切りを取り払って、現在は六畳間になったと聞く。ベランダもそのときに取りつけたのであろう。

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 強風によって洗濯物が落下し、なんともすさまじい眺めだけれど、これが当時(1970年代)の屋上。西に向かって撮影したものである。

 目を東へ転ずれば比叡山が見えて、まさに「やうやうやうしろくなりゆく山ぎは すこしあかりて むらさきだちたる雲のほそくたなびきたる」景色を楽しむことができた。

 ついでに当時この建物の屋上から撮影した貴重な記録(?)をお目にかけよう。

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 上は御薗橋を見下ろしたところ。写真右手、山の間から顔を出している建物は京都産業大学の校舎だろう。注目していただきたいのは、現在写真店などの並ぶ商店街のあたり。当時は畑だったのである。

 下は西側の家並み。やはり畑が見える。確認はしていないが、この畑もつぶされていることはまずまちがいないと思う。

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 まさか図々しく屋上を見せてくれとは頼みにくいので遠慮しておいたが、一応の目的は果たしたので建物の前を通過して南下する。

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 この突きあたりを右(西)へ折れると、まもなく大宮通りである(地図にはそうあるが、ぼくたちは新大宮通りと呼んでいたと記憶している)。

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 大宮通り。

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 竹殿湯は健在。

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 このハンコ屋さんもなつかしい。ごらんのとおり、このへんはすでにれっきとした商店街なのだが、京都でも有数の商店街のひとつである新大宮(通り)商店街がはじまるのは、もう少し南に下った北山通りと交わる地点からである。

 そこでものの順序として、次回は新大宮通り商店街を歩いてみることにしよう。
雨はまだ降りやんでいない。

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December 18, 2012

Daily Oregraph: Kyoto 2012 上賀茂雨のブルース (1)

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 12月8日。十年ぶりにやってきた上賀茂神社は、丸善とちがって(あたりまえか)、そっくりそのままであった。

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 最初の鳥居をくぐって左側の芝生が、その昔ソフトボールをして叱られた芝生である。あのときのバチあたりどもはみな元気だろうか? ひょっとしたら神罰をくらわずに生き残っているのはぼくだけかもしれない。

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 大きな神社には付き物の酒樽。一番上の段の左側にはまだ空きがある。福司さん、いまからでも遅くはありませんぞ。

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 重要文化財細殿前の立砂(たてずな)。神が降臨した山の象徴である。シンプルでたいへん美しいかたちだが、どのようにして砂を盛るのだろうか。

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 この砂は鬼門に撒くと清めの効果があるらしく、無人販売している。

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 みなさん必ず一枚写真を撮るのがここ。ぼくも観光客の作法に従ってパチリ。ここはこのアングル以外はまず考えられないだろう。

 ……と、ここまでは順調にことが運んだけれど、

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いきなり雨が降り出したのには閉口した。

 雲の向こうに太陽が見えるから、どうせにわか雨だろうとたかをくくって雨宿りしたけれど、一向にやむ気配がないどころか、雨足はだんだん強まってきた。天気予報大外れである。

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 用意のいい
ご夫婦は相合傘で境内の散歩を楽しんでいるが、こっちは身動きが取れず途方に暮れていると、同じく雨宿りしていた地元のおばあさんに声をかけられた。

 京都弁はむずかしいから再現しかねるが、「せっかく遠くからおいでになったのにお気の毒になあ。社務所に行けば傘が買えますよ。たしか一本300円」と、親切にも教えてくださった。このように、京都の人の美点は、観光客を一目で見抜
、この上もなく親切にしてくれることである。

 しかしこの町に住民票を移したとたんに扱いが変わることも覚えておいたほうがいい。京都人の眼力の鋭さは尋常ではなく、観光客のふりをしたってダメ(笑)、田舎者のあなたのふるまいはたちまち厳しい批判にさらされるのである。それに気づかない人はよほど鈍感にちがいない。

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 観光客のありがたさで、おばあさんの情報に従って無事傘を入手したはいいけれど、この雨で行動の自由が半減したので、当初の予定を変更し、賀茂川の向う岸に渡ることにした。

 鳥居前の景色は約40年前とほとんど変わらない。

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 ほらね。これは1974年3月、アナログ熊さんがウロウロしておられた頃の写真である。天気さえよければ、この周辺をゆっくり歩くつもりだったのだが……

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御薗橋は工事中であった。

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御薗橋上から賀茂川の下流を見る。写真向かって左(東)が上賀茂神社方向である。

 雲の向こうに太陽がぼんやり見えることは、水面に反射する光からもわかるけれど、雨はあいかわらず。このあともしばらく降りつづくのであった。

 次回は
御薗橋を渡り切ったところから。観光からはちょっと外れるので、おもしろくはないことをあらかじめお断りしておきたい。

【12月19日追記】

 アナログ熊さんのコメントに関連して、境内に展示されていた屋根の構造模型をごらんいただきたいと思う。

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 さすがプロの方の目のつけどころはちがうもので、やはり屋根の補修中だったようである。

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Daily Oregraph: かなりピンぼけ

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 -選挙はどうなったの?

 -自民党の圧勝だよ。

 -またもとに戻るのかい。バカみたいだね。

 入院中のためテレビ、ラジオ、新聞のニュースとは無縁だった母との会話である。八十を過ぎたばあさんの感覚は実にまともであった。

 福島では今日も放射能が出っぱなしだというのに、ボケているのはだれだ? 

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 今年は雪が多い。今朝も雪かき。くたびれた。

 作業中にシャッターを切ったら……おや、どこにピントが合っているのだろうか? どうやらおれもボケているらしい。

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December 17, 2012

Daily Oregraph: Kyoto 2012 八千代館 for ever

 新京極の八千代館については、これまでに何度か記事を書いた覚えがある。どうしてこの映画館が気に入ったか、こちらをお読みいただければたいていご理解いただけるのではないかと思う。しかし人があるものを好む背景には、たいてい理屈を超えた事情があって、箇条書きにして説明するのは案外むずかしいのである。

 人は権利や義務によってあるものを好きになったり嫌いになったりするわけではないからだ。だからたとえば「嫌煙権」などということばを聞くたびに、ぼくはそれこそ憂鬱な気分になる。嫌うのはむろん勝手だが、それは権利などではない。もしあれやこれや、あなたがお嫌いになることをすべて権利として認めれば、そこから社会的不寛容まではほんの一歩である。

 さて理屈を超えてぼくの気に入った(笑)八千代館はどうなっただろうか? まずは2002年9月24日撮影の写真から。過去に掲載ずみの写真が含まれていることをお断りしておく。

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 そして、2012年12月7日には……

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こんな姿に変わっていた。映画館廃業はまことに残念だが、たいへん格調の高い建築本体が残されているのはうれしいことだ。たぶん関係者のみなさまも取り壊すに忍びなかったのであろう。そのすばらしい決断に
対し、満腔の敬意を表したい。

 なおカサブランカの看板から南に入る小路には美松会館がある(あった)はずだけれど、こちらも廃業したのではないかという話をあとで耳にした。ただし未確認である。取材が不徹底であったことを反省している。 

 最後に後世の史家のために作成した(笑)略図をごらんいただきたい。アナログ熊さんのためにテディベアの京ベアのおおよその位置も記入しておいた。

Yachiyomap
 京都シリーズはもうしばらくつづく。取材費のモトは十分に取れそうな気がしてきた。

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December 16, 2012

Daily Oregraph: Kyoto 2012 狭いながらも錦天満宮

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 錦天満宮の祭神は菅原道真である。大秀才ゆえ学問の神様というのは納得できるけれど、先生に商才ありとは知らなかった。

 死後そのたたりが恐れられたところをみると、一本気で容易に妥協しない性格は生前よく知られていたのだろう。大文学者として有名なお方だが、庭の梅をはるか九州へ飛ばす術まで心得ていたそうだから、雷を落とすくらい朝飯前だったのかもしれない。 

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 道真公の商才がこの神社に脈々と受け継がれていることは、この写真からもうかがわれる。ボーッとして見ているようでは、とうていご利益には預かれませんぞ。

 左に「ロボットかみしばい」あれば、右にはおみくじ自動販売機あり。手水のつかい方の図解もユニークである。 

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 ぼくは名水に目がくらみ、不作法にもゴクゴク飲んでしまったのだが、ほんとうは少女マンガ風の図解に従わなければならない。いずれバチがあたることだろう。

 なお「手水のつかいかた」については、次の写真もあわせてごらんいただきたい。 

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 こちらは北野天満宮の図解である。さすが本家だけあって、ミニスカートのおねえさんではなく、国家公務員風のまじめそうな青年が登場している。

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 さてこれがおみくじ販売機。和英おみくじまで選択できるのは親切である。全体にハイテクというより、昭和30~40年代風味が漂っている。

 押しボタンは大阪日本橋か寺町電化街で調達したものであろうか。こういうなつかしいしかけが旧釧路青少年科学館にはたくさん展示されていたことを思い出す。 

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 もうひとつのおみくじ販売機。ほのぼのとして実にいい感じである。

 いま思えば、「ロボットかみしばい」を試してみればよかった。コンピュータではなく機械じかけで紙芝居を上演しようという発想がすばらしい。 

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 おもしろそうなお守りがたくさん並んでいたけれど、ぼくがひとつも買わなかったのはケチだからではない。もうこの年になると、神様にお守りいただくものなどなにもないからだ。げにもさびしい話である。

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 最初の写真の看板にも書かれているとおり、境内には安産祈願の塩竃神社もある。なぜここに塩竃神社があるかというと、やはり左大臣源融を祭神としているらしい。 

 実は今回は六条河原院跡の見物を果たせなかったから、こういうお社にお参りできたのはありがたいことである。しかし源融と安産祈願とがどう結びつくのかはわからない。 

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 狭い境内ながらも見どころ満載の神社に別れを告げる。なお奥に見える鳥居は(この写真ではわかりにくいが)両端が建物の壁を貫通している。こういう建築がゆるされるのも天神さんの威力なのであろう。

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December 15, 2012

Daily Oregraph: Kyoto 2012 錦市場 2/5

 まだ少し風邪気味なので、一日おとなしくしていた。『19世紀のイギリス』読了。

 長い文章を書く元気がないので、今日はすなおな観光客としてふるまうことにしたい。錦市場をぶらついてみようという趣向である。

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 といっても、この道から入って右(東)に折れ
錦天満宮へ向かったので、市場全体の5分の2だけ。残りを来年以降に回すことにしたのは深慮遠謀というものである。

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 午前10時。この時間はまだ買い物客が少ないから、通行のじゃまをすることもなく、写真を撮るには好都合である。

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コロッケ100円とあるが、ホテルの近くには、

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こういうお店もあったので、ご予算に応じてお買い求めいただきたい。

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 もし一人旅なら、市場かデパ地下でこういうのを買いこんで、ホテルでしみじみ一杯というのも悪くはない。ぼくはひとりで飲み屋に行くの
苦手だからである。出し巻き玉子なんてのもいいね。

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 こんなふうにブラブラ歩いているうちに、

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もう出口。おなじみの錦天満宮である。なにしろわずか5分の2だから、ちょっと物足りなかったかもしれないけれど、市場歩きの雰囲気を味わっていただけたら幸いである。

 明日も正しい観光客として錦天満宮を見物する予定。そうそう、お互い投票は忘れずに。

(いずれも2012年12月7日撮影。3枚目のみ12月6日)

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December 14, 2012

Daily Oregraph: Kyoto 2012 交通編

伊丹空港~京都

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 伊丹空港~京都間の空港バスは運賃1,280円也。まあ妥当な金額だとは思うけれど、目的地が四条通り沿いの場合、もうひとつの選択がある。

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 伊丹空港~南茨木間を大阪モノレール、南茨木~四条大宮(烏丸、河原町)間は阪急を利用するのである。これだと合計730円。バスで京都駅に着いてからさらにバス・地下鉄料金がかかることを考えると、格安といっていい。

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 写真の右上に見えるのが大阪モノレールの
大阪空港駅。

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 大阪モノレールの車両内外は上の写真のとおり。

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 阪急南茨木駅。

 ただし南茨木から特急は出ていないから、気の短い方は茨木あたりで特急に乗り換えねばならぬという難点はある。しかし急がぬ旅であれば、南茨木からの準急に乗りっぱなしでも、さして不都合はあるまいと思う。特急はひどく混み合うことも計算に入れたほうがいいだろう。

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 阪急準急車内。

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 のんびり電車を楽しんで、無事大宮駅へ到着。

 えらそうなことを書いたけれど、ぼくは大阪モノレールなるものが存在することを知らなかった。京都通信員からの情報がなければ、すなおにバスを利用しただろう。

 大阪モノレール沿線の目玉といえば、お上りさんの喜びそうなものがある。

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ほらね。

京都市バス一日乗車券

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 京都の市バスは中央部乗り、前降り。すでにご紹介した市バス一日乗車券は、当日初めて使用する際に降り口にある読み取り機に挿入する。すると裏面に日付が印字されるから、二度目からは、印字された日付を降車の際運転手さんに確認してもらうシステムである。

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 この一日乗車券はバスの車内でも買えるが、ホテルのフロントで販売していることもあるから要確認。車内が混雑していると気がひけるので、あらかじめ購入できればしておいたほうがいいだろう。

 チリも積もればなんとやら、無駄な出費は極力避けて、浮いたお金で団子を食ったりウドンを啜ったりしたほうがいい。お互い低予算でたっぷり楽しもうではないか。

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December 13, 2012

Daily Oregraph: Kyoto 2012 消えたもの残るもの

 風邪の引きかけだろうか、鼻水垂之助になったので、今日も簡単にすませて早く寝ることにしたい。

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 2002年9月18日。河原町通りの丸善前付近。

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 2012年12月7日。京都丸善が閉店したあとにできたカラオケ屋がこちら。滄桑の変ということばがあるけれど、これはなんと呼べばいいのやら。

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 しかし嘆くには及ばない。ほんの少しだけ北の BAL にジュンク堂書店が入り、丸善前に代わる新しい待ち合わせ場所としての役割を果たしている。京都最大を名乗るだけあって、たっぷり半日は店内で時間をつぶせそうだ。

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 2002年9月19日。北野下の森協同組合商店街。

 今回は時間の都合により行けなかったのだが、当社京都通信員によると、この写真の左半分は残っているけれど、右半分は姿を消して駐車場に化けてしまったらしい。

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 これが消滅した右半分。いまとなっては貴重な写真である(たぶん(笑))。できれば来年にもわが目で確かめたいものだ。

 京都だろうが奈良だろうが、古都だろうが田舎町だろうが、容赦なく変化の波は押し寄せるものである。しかししぶとく残っているものもないわけではない。

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 2002年9月23日。今小路通御前西入。北野の天神さん近くである。

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 2012年12月7日。同上。

 なつかしい友と再会したような気分である。アサヒビールの看板は、あっぱれ応仁の乱以来無傷で残っていた。

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December 12, 2012

Daily Oregraph: Kyoto 2012 なんとなく京都

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 今回は特集として商店街や上賀茂付近のスナップなどを予定しているのだが、まだまとめていないから、今日はなんとなく撮った写真からいくつか。

 どうせたいした意味はないけれど、上記諸疾患には効き目があるかもしれない。

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 四条通りに面した路地。「なんとか小路」の看板に似た趣向でおもしろい。ライトアップしているところが親切。

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 新京極。アナログ熊さんがいっぱいぶら下がっていたのでビックリ。おっと、ご本人はこんなに可愛くはないか(笑)。

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 河原町通り。上の熊さんもそうだが、同じものがたくさん並ぶとリズムが生まれる。

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 千本釈迦堂。これは落語の「死神」を連想して撮ったのである。ロウソクの炎は人の命。

 ……ほら、消えるよ。

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 場所は定かでないけれど、四条西洞院~烏丸付近の裏通り。

 一見なんでもないようでいて、商品の配置にセンスが感じられる……と感じる人にはたぶんセンスがあるのだろう(笑)。

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 河原町通り。これはへんなもの系。「和の心 仏像コレクション」のガチャガチャである。

 わざわざ「地域限定」と銘打っているところが泣かせる。ひょっとしたら奈良あたりにもあるんじゃないかと思うが、それ以外の土地では想像しにくい
珍品である。

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 うっかりして店名を撮り忘れたため確認できないが、御前通四条付近ではなかったかと思う。

 磁石屋さんが商売になるというのも、考えようによっては京都らしいといえる。たぶん大学あたりがお得意さんではないだろうか。

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 上七軒。ちょっと怖い感じもするけれど、これはシュルレアリスムの流れを
汲むものだろう。古さと新しさの入りまじった、京都ならではの傑作……だと鑑定したが、さて?

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December 11, 2012

Daily Oregraph: Kyoto 2012 乗らんと押してね

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 12月7日。河原町三条付近にて。

 昨日の最後にお見せした三条大橋の写真にも自転車が何台か写っていたのをご記憶だろうか。三条大橋は照明がないのでかなり暗い。それでも自転車乗りたちは平気で突っ走るのである。

 最近はともかく、ぼくも自転車乗りのひとりだったから、えらそうなことはいえないけれど、歩行者の多い狭い道を散歩していると、自転車ほど迷惑なものはない。歩行者優先だというのに、リンリンとベルを鳴らしさえすればいいと思われては困るのだ。

 そこで今日は自転車の写っている写真をいくつか(ほんのいくつか)選んでみた。めんどうくさいから(笑)、コメントは最小限にとどめることにしたい。

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 12月6日。王将四条大宮店前。看板を見るとわかるように、京都市内の王将は、ここが一号店である。京都検定に出題されるかもしれないから、おぼえておくように。

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 いずれも12月7日。朝の通勤・通学時間に、四条烏丸から四条堀川にかけての一帯で撮ったもの。

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 12月7日。西新道錦会商店街にて。

 商店街に自転車はつきものだが、相当ご高齢のおばあちゃん
までお乗りになっているとは。いや、押してはるのかな?

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 12月8日。四条烏丸付近だったと思う。

 このおねえさんはライトをつけて乗っているけれど、提灯未満の明るさだから、あまり効果はない。もっとも怖いのは無灯火ですっ飛ばす連中である。あまりにも腹が立つので、ぶんなぐってやろうかと思ったほどだ(思っただけですぞ(笑))。

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December 10, 2012

Daily Oregraph: 写真整理中

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 写真の整理には最低もう一日かかりそうだ。そこで今日はどうでもいい写真でお茶を濁すことにした。いずれも2012年12月7日撮影のものである。

 まずは京都名物修学旅行生。ヤボな格好をしてキョロキョロしているから、すぐにわかる。おい、帰ったら勉強するんだぞ。(河原町通りにて)

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 こちらも修学旅行生だろう。はい、チーズ! でジャンプ。気の毒なことに、なかなかタイミングが合わないのである。(北野天満宮にて)

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 これがうわさの三条大橋たもとにある珉珉。京都へ行ったらお立ち寄りのうえ、ギョウザとサッポロ黒ラベルをどうぞ。

 -ばかやろう、つまらねえ写真を撮りやがって!

 -編集長、まあ、どうか落ち着いて。最後にゲージュツ写真を一枚お見せしましょう。

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 -名づけて、三条大橋ムンクの叫び。どんなもんです。

 -……明日からは出社に及ばず。

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December 09, 2012

Daily Oregraph: ちょっと遠くへ (4)

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 朝食後ホテルの周辺を最後の散歩。写真が未整理なので、適当に選んでみた。

 レトロなのかモダンなのかわからない不思議な理髪店。

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 これ、なんだろうね。わからないのは無教養の悲しさである。

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 このデザイン感覚は秀逸だと思うのだが……あなたはそう思いまへんか(笑)。

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 ぼくは実をいうと飛行機があまり好きではない。重力に逆らってはいけないと思うのである。

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 ほら、ごらんなさい。人間空なんぞを飛
んで楽をすると、ろくなことはないのだ。釧路空港の駐車場に置きっぱなしにしていた車に、どっさり雪が積もっていた。

 苦労して雪を払って車をスタートさせると、道路はカチンカチンに凍っているではないか。幸い今日は日曜日だからよかったけれど、平日なら会社帰りの車で大渋滞まちがいなしである。

 さて明日からボチボチ写真の整理をせねばならない。

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December 08, 2012

Daily Oregraph: ちょっと遠くへ (3)

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 今日も市バス一日乗車券を活用した。京都の市バスはもともと料金が安く、ぼくの学生時代は一区間50円(戦後だよ)、十年前に来たときはたしか200円(だったと思う)、現在は220円である。

 一区間といっても、京都駅から上賀茂神社まで乗っても一区間というのは驚きである。昨日もいったように、三回乗車すれば一日乗車券のモトは取れる。ヒマ人がヒマに任せて一日中バスに乗れば、コストパフォーマンスは抜群だろう。ただし路線は複雑怪奇をきわめているから、バス路線図は必携。

 バスに乗って、まずは当初の予定にはなかった上賀茂神社へ。天気予報が外れて、一時間ほど雨に打たれることとなった。日頃の不信心が神様のお怒りにふれたのかもしれない。

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 中途半端な時間になったため、昼食用にデパ地下でパンを買い、ホテルに戻る途中のバスから。四条通りはいつもながらの渋滞で、走っている時間より信号待ちのほうが長いんじゃないかと思った。

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 土曜日の夜ということもあり、どこも混んでいたため、たまたま席の空いていたお店で夕食。鴨ロースと九条ネギ……これが今回の旅では一番しゃれた一皿だろうか。

 なんだかんだと料理を注文して、当社京都通信員を相手に、芋焼酎やらなんとか焼酎やらを飲む。この種のお店で飲むのは、昨年の12月以来のことである。思えばずいぶんマジメな一年であった。

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 おまけの一枚。このお店のブラックボードに、白糠町のシソを使った焼酎「鍛高譚」の名前をみつけた。ずいぶんメジャーな存在になったものだと感心してパチリ。

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December 07, 2012

Daily Oregraph: ちょっと遠くへ (2)

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 今日は市バス一日乗車券を活用して取材。大マスコミのようなわけにはいかないのである。当社の京都通信員がガイドをつとめてくれたので、おおいに助かった。

 それにしてもこの乗車券は使いでがあり、市内のほとんどはこれ一枚
あれば回ることができる。必ずモトを取れるから、万国の労働者におすすめしたい。

 さて今日のご馳走は……

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 地元民に愛される名店。通信員のいる強みというものであろう。

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 タヌキうどん。うまいしボリュームも十分。これで380円とは、とても信じられない。昼時には満席になるというのも納得できる。

 店内は昭和風味たっぷりで、しかも……

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 庭にはタンチョウヅルまでいるのだから、釧路市民たるもの感激せざるをえないではないか。

 上等の昼飯を380円ですませた取材班の夕食は……

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 なつかしい珉珉の餃子のほかいろいろ。結局高級料亭とは縁がないけれど、こっちのほうが気楽でよろしい。

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 しかも珉珉のビールはサッポロ黒ラベル。道民たるもの感激せざるをえないではないか(笑)。

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December 06, 2012

Daily Oregraph: ちょっと遠くへ (1)

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 雪のため飛行機の出発が一時間遅れはしたが……

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無事たどりついた。十年ぶりである。

 いずれ写真を整理してから特集を組むつもりだが(取材費のモトは取らねばならぬ)、まずは速報。しかしこれだけでは愛想がないから、今晩のご馳走をご紹介しよう。

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 といっても、旅行雑誌に登場するようなお店ではなく、町の小さな洋食屋さんである。湯気でガラスが曇っているので見本がちっとも見えない。そこが気に入った。

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 夜なのにBランチ。すごい日本料理のコースでも食べたんじゃないかと期待された方にはおあいにくさまだが(笑)、庶民には庶民の道というものがありましてね。

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December 04, 2012

Daily Oregraph: 悪魔に食われろ

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 午後から強風が吹き荒れたが、夜にはおさまり、今は雨。室内は一日中暗く、気分が乗らなかった。人間晴雨計みたいなものである。

 今日の読書。イギリスの労働運動が革命にまで発展しなかったのは、この国独特の風土のせいもあるのだろうが、支配層が巧みに妥協したことや、急激な経済成長によって労働者の生活レベルが向上したことも大きな理由のようだ。

 なんでもかんでも自己責任の一言で片づけ、国民生活の安定を願わないような人物が政治家になっては困るのである。おもしろいことわざが引用されていたので紹介したい。

 (The) devil take the hindmost. つまり一番うしろのやつ(遅れたやつ)は悪魔に食われろ、というのである。成功者をもって自認する(幸福な)竹中平蔵氏などがいっているのは、平たく翻訳するとこれに相当する。

 しかしみんながマジメに駆けっこしても必ずだれかがビリになる。政治家たるもの、敗者は自業自得なのだから放っておけというわけにはいくまい。ましていまは機会が豊富ではない時期で、ふつう以上の能力をそなえた人々でさえ、なかなか努力が報われないのだからなおさらだ。

 悪魔に食ってもらいたい連中ならほかにたくさんいるのだが……

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December 02, 2012

Daily Oregraph: 自家製の日

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 今年はじめて干したシシャモ。去年はたくさん食べた記憶があるけれど、今年は不漁らしく、あまりたくさん出回っていないし、値段も高めのようだ。

 シシャモはこのようにサッと干したのがうまい。こいつで一杯やってごらんなさい。こたえられないから。

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 こちらは自家製本。ジョン・スチュアート・ミルの『自由論(On Liberty)』である。インターネットから拾った PDF ファイルを印刷したものだが、合計109頁。これ以上の厚さになると、手間やコストを考えれば、ペーパーバックス版を買ったほうがいいと思う。

 ぼくは自分でもパソコン依存症患者だと思うけれど、下線を引いたり書き込みしたりするには、やはり紙のほうがいい。あと何頁でケーキを食えるという楽しみもあるしね。

 さてこの『自由論』が発表された1859年は、ダーウィンの『種の起源(The Origin of Species)』が出版された年でもある。またサミュエル・スマイルズの『自助論(Self-Help)』も同年。

 『自助論』はかつて日本ではずいぶん読まれた本で、現在でも古典としてすすめる人がいるらしい。しかしトムスン先生の評価は辛く、「えらそうな説教」とか「この時代のメンタリティのもっとも安っぽい側面」と散々である。とてもミルやダーウィンと肩を並べるほどの書物ではなさそうだ。今でいえば自己啓発本のたぐいなのだろう。

 ミルの『自由論』は名著中の名著として評価が定まっており、イギリスではたいへん尊重されているから、19世紀愛好家としては必読の文献であろう。となれば、ダーウィンも読まなくちゃいけないし……だんだんたいへんなことになってきたようだ(笑)。

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