Daily Oregraph: Kyoto 2012 狭いながらも錦天満宮
錦天満宮の祭神は菅原道真である。大秀才ゆえ学問の神様というのは納得できるけれど、先生に商才ありとは知らなかった。
死後そのたたりが恐れられたところをみると、一本気で容易に妥協しない性格は生前よく知られていたのだろう。大文学者として有名なお方だが、庭の梅をはるか九州へ飛ばす術まで心得ていたそうだから、雷を落とすくらい朝飯前だったのかもしれない。
道真公の商才がこの神社に脈々と受け継がれていることは、この写真からもうかがわれる。ボーッとして見ているようでは、とうていご利益には預かれませんぞ。
左に「ロボットかみしばい」あれば、右にはおみくじ自動販売機あり。手水のつかい方の図解もユニークである。
ぼくは名水に目がくらみ、不作法にもゴクゴク飲んでしまったのだが、ほんとうは少女マンガ風の図解に従わなければならない。いずれバチがあたることだろう。
なお「手水のつかいかた」については、次の写真もあわせてごらんいただきたい。
こちらは北野天満宮の図解である。さすが本家だけあって、ミニスカートのおねえさんではなく、国家公務員風のまじめそうな青年が登場している。
さてこれがおみくじ販売機。和英おみくじまで選択できるのは親切である。全体にハイテクというより、昭和30~40年代風味が漂っている。
押しボタンは大阪日本橋か寺町電化街で調達したものであろうか。こういうなつかしいしかけが旧釧路青少年科学館にはたくさん展示されていたことを思い出す。
もうひとつのおみくじ販売機。ほのぼのとして実にいい感じである。
いま思えば、「ロボットかみしばい」を試してみればよかった。コンピュータではなく機械じかけで紙芝居を上演しようという発想がすばらしい。
おもしろそうなお守りがたくさん並んでいたけれど、ぼくがひとつも買わなかったのはケチだからではない。もうこの年になると、神様にお守りいただくものなどなにもないからだ。げにもさびしい話である。
最初の写真の看板にも書かれているとおり、境内には安産祈願の塩竃神社もある。なぜここに塩竃神社があるかというと、やはり左大臣源融を祭神としているらしい。
実は今回は六条河原院跡の見物を果たせなかったから、こういうお社にお参りできたのはありがたいことである。しかし源融と安産祈願とがどう結びつくのかはわからない。
狭い境内ながらも見どころ満載の神社に別れを告げる。なお奥に見える鳥居は(この写真ではわかりにくいが)両端が建物の壁を貫通している。こういう建築がゆるされるのも天神さんの威力なのであろう。
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Comments
手水の水が名水ですか・・・
こりゃあ、うがいをして「ぺっ」とするだけではもったいない話ですな。「ぐいぐい」と味あわなけりゃあ・・・
それにしても、手水の作法を示した女の子の絵、これ、まったく同じものが大神神社にもありますよ。全国共通・・・神社本庁公認のものなんですかねえ・・・
Posted by: 三友亭主人 | December 16, 2012 22:40
>三友亭さん
この名水でウィスキーの水割りを……などとけしからんことを考えさせる庶民的な雰囲気がすばらしいと思います。
ところで写真を見直したら、ヘビは遠慮するとして、神牛土鈴はなかなか愛嬌があっていいですね。買えばよかった(笑)。
> 女の子の絵、これ、まったく同じものが大神神社にもありますよ。
なんと、それは驚きですね。せめて古代の衣装をまとった乙女の絵にしていただきたいところですが。
Posted by: 薄氷堂 | December 16, 2012 23:11