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November 08, 2012

Daily Oregraph: 次はムーンストーン

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 雨の中を定点撮影。いつもと画角が異なるのは、カメラをサッと取り出してパチリ、すぐに懐へ戻したから
だ。傘をささないからそういうことになったわけ。

 しかし雨のおかげで、今日は一気に本を読み終えた。一ヶ月を切ったのは、われながら上出来である。

 最後の数章には、とっくに涙枯れ果てたはずのおじさんも泣かされた。さすがは大作家である。りらさんがおっしゃっていたように、ストーリーにうまく偶然が重なっても「許せるか、許せないか」……許せるのは一本筋が通っているからだろう。この小説があと百年たっても読み継がれることはまちがいないと思う。

 ネタばれを避けるために、余計なことを書くつもりはないけれど、ひとつだけ印象的な文章をご紹介しておこう。

 法廷の大窓からは、ガラスに残る雨粒をきらめかせながら日が射しこんでいた。その一条のまばゆい光線は三十二人の被告と判事との間に落ちて、双方を結びつけているのであった。それを目にした人々の中には、万物を見通して決してあやまたぬ、より偉大なる神の審判の日に向かって、裁くものと裁かれるものとが、ともにまったく等しい立場で進みつつあることに思いをいたしたものもいよう。(第56章)

 この世では正義は実現しがたいけれど、それではあまりにも救いがないから、日の光が射しこんでくるのである。

 不信心者のぼくがいうとお叱りを受けるかもしれないけれど、この光が教会の中に射しこみ、説教をするものとされるものとを照らしたらどうなるだろうか。ぼくにはハーディの『ジュード』がぼんやり浮かんでくるのだが……

 まあ、感想めいたことを書こうと思えば、もっといろいろ書けないこともないのだが、素人が文学部の先生の職域を侵すのはやめておこう(笑)。第一そんなヒマはないのである。さっそく次の作品に取りかからなければならない。

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 『大いなる遺産』には推理小説風のところがあるけれど、やはりディケンズは年少の友人ウィルキー・コリンズの影響を受けたらしい。

 コリンズといえば、これ、本格長編推理小説の元祖とされる『月長石』である。実はぼくは高校時代に翻訳を読みかけて途中で投げ出したのだが、今回は不退転の決意で臨みたい(どこかで聞いたようなセリフだね)。

 この小説も約500頁。明日からはこれまでのノートの復習と並行して読むつもりだから、ぐっとスローペースになるだろう。

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Comments

欧米の何カ国かで教会を見ましたけど、ほとんどが「神の威信ってやつねぇ」と感じる威容でした。
ご存知ステンドグラスの使い方など、非常に光を巧く使うように設計されてます。
そういうものを見て、美しいとは思いつつも「人が作ったものだし~」なぁんてうそぶいてるのは、不信心の極みでしょうね。

ミステリ好きなぁどと言いながら『月長石』知りませんでした。
それにしても、日本で原書を読まれる薄氷堂さんがいればこの地で翻訳本を手に入れよう・・・と思う私が・・・へっへっへ

Posted by: りら | November 08, 2012 at 14:03

>りらさん

> 美しいとは思いつつも「人が作ったものだし~」なぁんてうそぶいてるのは、不信心の極みでしょうね。

 信心しなくても宗教音楽や美術のよさがわかるのは、まさに「人が作った美しいもの」だからでしょうね。神様が作ったわけじゃありませんから。

 なお『月長石』という邦題には以前から疑問を抱いていたので、(すでに定着しているので、いまさらどうしようもないことながら)本日(8日)の記事にしてみました。

Posted by: 薄氷堂 | November 08, 2012 at 21:11

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