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November 16, 2012

Daily Oregraph: ジンはストローで? (2)

Moonlight_pipes_2
 昨日の pipe だが、あれからネット検索してみても、納得できる結果が得られなかった。

 そこで、もう一度原文を読み直してみよう。

 She clapped a bottle of Dutch gin and a couple of clean pipes on the table.

 Clap というのは、ここではものを置くことだが、そっとではなく、どちらかというと軽快な動作でゴトッとかコトッと音を立ててテーブルの上に置いたのである。瓶はわかるとして、麦わらにはふさわしくない感じがする。第一客に瓶の飲み物を供するのに、麦わら(ストロー)をいっしょに出すというのは、やはり奇妙である。

 それなら(実は最初に考えてはいたのだが)管または筒状のものをいっぺんに拡大して、筒状の入れ物と考えればいいかというと、glass や cup という一般的な単語があるのに、わざわざ pipe などというのはどうも解せない。

 さあ、どうする(笑)。

 困ったときは YouTube というわけで、TVドラマ化された The Moonstone を見ることにした。明記されていないが、たぶん BBC 制作
と思われるものがみつかった。上の写真が問題の場面である。

 漁師のおかみさんがテーブルの上に置いたものは、ジンの瓶と……あれれ、小型のカップがふたつである。 取っ手がついているからカップだろう。大山鳴動してカップがふたつか。まあ、筒状といえばいえるけれど、これがパイプとはなあ。

 さてこのドラマの場面から、少なくとも現代のイギリス人の解釈では、pipe は飲み物を入れるカップのたぐいであることが確認できたわけである。もちろんドラマだから、原文の場面とは細かいところでちがいがある。たとえばドラマではおばさんはパイプ煙草をプカプカふかしながら(原作にはない)、自分でもカップにジンをついで飲んでいるし、客はふたりとも最初からジンを飲んでいるなど(原作では客のひとり
のみ最後のほうで一口だけ飲んでいる)。

 どうしても残る疑問は、現代のイギリス人が原作を読んで、パイプからすぐに写真にあるようなカップを連想するのかどうかという点である。ひょっとしたら、たぶんこんなものであろうと想像したんじゃないか……なんてね、自分でも疑い深くてイヤになる(笑)。

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Comments

まあ、実にしつっこい(笑)。
一語に執するとはまさにこのことですね。
感服つかまつりました。

学究の徒とはまさにかくあるべし。

それにしても「pipe」がカップとはねえ・・・

Posted by: 三友亭主人 | November 17, 2012 at 08:11

>三友亭さん

 自分でもしつこいと思いますが、実をいいますと、まだ完全に納得していないんです。

 このドラマの演出では、コップにジンをそそいで客に出しています。ところが原作では、おかみさんは二度も 「"out of the Dutch bottle" (瓶の中から)少しおやんなさい」とすすめているのです。

 つまり、原作では、少なくともジンはまだ瓶から出ていないと考えねばなりません。しかもコップを用意しているとすれば、わざわざ「瓶の中から」と指定しているのはどうもあやしい(笑)。

 だからコップ以外の可能性がゼロとは言い切れず、百パーセント納得していないわけです。ひょっとしたら一般的な慣習に従って演出したのかも……

 近所にイギリス人がいれば、おみやげを持って教えてもらいに行くんですけど、イギリス人ならだれでもいいというわけにはいきません。昔のことや地方のことにくわしい人でなくちゃね(地方的な習慣の可能性なきにしもあらず)。

 ああ、これって偏執狂の症状かもしれませんね(笑)。

Posted by: 薄氷堂 | November 17, 2012 at 09:25

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