Daily Oregraph: 純情二重奏
ポケットからカメラを取り出すのに手間取り、シャッター・チャンスを逃してしまったので、たいした雨には見えないと思うが、実際は風雨ともにたいへん強かった。
寒冷前線の通過によるものらしい。二階の部屋が揺れて、本棚のガラス戸がカタカタと音を立てるのである。
こんな日に散歩に出るわけにはいかないから、外でひとつ用事をすませたほかは部屋にこもり、ガラス戸のカタカタに合わせて鉛筆をサラサラ……これぞ純情二重奏である。
-君、霧島昇の「純情二重奏」を知っているかい?
-またはじまりましたね。そんなの知ってるわけがないでしょう。
-「君も私もみなしごの ふたり寄り添い……」というんだが、泣かせるじゃないか。
歌謡曲は戦前、小説は19世紀、これでいいのだ。おかげさまで、今日はおおいにはかどった。
あ、ウッカリしていたが、裏庭の板塀はだいじょうぶだろうか。心配になってきた(笑)。
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Comments
私はそんなに古くはないな。
歌は70年代小説も70年代・・・
・・・いや、でも短歌は1300年以上前だ・・・
Posted by: 三友亭主人 | October 29, 2012 22:54
なるほど、七十年代ですか。決して古くはありませんね。ぼくにとっては、逆に生々しすぎて苦手なんですよ。いやな思い出もたくさんありますしね。
その点、19世紀の小説は安心して読めますので、このまま19世紀に生きようかしらと思うほどです。ですから、なかなか高橋和巳には戻れない(笑)。
ところで昔の短歌の話が出ましたので、パラリと万葉集の解説書を開いてみたら、
世の中は数なきものか春花の散りのまがひに死ぬべき思へば 大伴家持
あれれ、けっして古くないじゃありませんか。千年一昔ですね。それを思えば、十九世紀なんて、つい昨日みたいなものですよ。
Posted by: 薄氷堂 | October 29, 2012 23:51