Daily Oregraph: 牢番は七面鳥
おお、これは地縛霊が写りこんだ危険な写真です。持っていると災いを招きますから、お祓いをしてあげましょう。これも世のため人のため、お安くしておきますよ。
……とまあ、インチキ霊能力者ならいいそうなところだが、たいていの心霊写真なんてこんなものだ。いったんぼんやりした輪郭からなじみのものを連想したが最後、どうでもそれに見えてしまうというのは人間の常だからである。
なんでもない風景写真を見せても、あそこの木の枝に霊がいます、おお、そこにも、あっ、ここにもといわれてみれば、なるほどあちこちに人の顔や姿がぼんやり浮かんでくるから不思議である。信じやすい人はついだまされて、こりゃあ大変だと思いこんでしまうものだ。世に詐欺師が跡を絶たないのも道理である。
とえらそうなことをいった手前、まことにおはずかしいのだが、今日は情けない失敗をしてしまった。牢番(turnkey)を七面鳥(turkey)と誤読し、しばらく首をひねったりウンウンうなったりして悩んだのである。
監獄に七面鳥がいるわけはないし、第一七面鳥が会話をするのはおかしい(笑)。ははあ、看守のことを俗語で turkey というのだろうと見当をつけて、辞書をひっくり返してみたがダメ。それでも思いこみとは実に恐ろしいもので、七面鳥から離脱するまでにしばらくかかってしまった。
そこで落ち着いてもう一度文章を読み直すと、ター……キーじゃなくて、ターンキー。鍵を回して扉を開け閉めするのだから、なるほど牢番にちがいない。なあんだ、実にバカバカしい。たまにこんなポカをやるから、余計時間がかかるのである。
-ハハハ、でも解決してよかったじゃないか。知ったかぶりをして、牢番を英語で turkey というんだなどと吹聴したら、えらい恥をかくところだったぜ。
-いや、どうもおはずかしい。だけどこういうときはカンシャクを起こして投げ出しちゃいけないね。
-そりゃそうさ。タンキは損気だよ。
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Comments
っひゃー!
一番上の画像、本当に幽霊ポーズですよねぇ。
turkeyは丁度時期です~。
文字の羅列だけで言葉を表すというのにはどうも馴染めません。
笑いごっちゃないような間違いが日常茶飯事だったり・・・
老眼鏡も早くから必需品になりました。
言葉や文の成り立ちの違いって、価値観や人間性の違いの根底だと感じます。
Posted by: りら | October 29, 2012 17:12
>りらさん
ぼくは「あっ、毛沢東の幽霊だ!」と思いましたよ(笑)。よ~くごらんください。そう見えてきますから。
さてターキーとターンキー(タヌキ?)だけではなく、似たような読みちがいはたまにやらかします。
アルファベットにもそれなりの美はあると思いますが、ぎっしり印刷されるとつらいものがありますね。横文字のサイトは、よほど必要がなければパスしています(笑)。
> 言葉や文の成り立ちの違いって、価値観や人間性の違いの根底だと感じます。
「意味」はなんとかわかっても、実体をつかめないから、最後まで隔靴掻痒の感がつきまといます。それでも喜怒哀楽はちゃんと伝わってくるのが、せめてもの慰めでしょうか。
Posted by: 薄氷堂 | October 29, 2012 22:48