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October 19, 2012

Daily Oregraph: 春採湖畔 ため息の季節

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 本日の定点撮影。9日に掲載した写真とくらべて見れば、秋の深まりがおわかりになると思う。秋という季節は、(小中学生はもちろん別にして(笑))人間いつまでも若くはないのだというしんみりした気分にさせるものだ。

 先日王維の詩集をめくっていたら、

 
秋色佳興有リ

という一行ではじまるのがあったので、おや、この季節にぴったりと思って読んでみたら、最後の行でガッカリ。

 
此ノ頽顔(タイガン)ヲ嘆息ス

 (あなたは今もなお風雅な生活をおつづけになっているというのに)わが老いぼれた顔にはため息が出ますわい、というほどの意味らしい。頽顔という表現は初めて目にしたが、頽廃ということばも連想され、ちょっとドキリとした。とても他人事とは思えないのである。

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 栄耀栄華を誇ったオオイタドリもごらんのありさまで、頽顔を嘆息している。

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 そんなら自分はどうかというと、かろうじて葉っぱが残っているこのイケマくらいの格じゃないかと思うけれど……おれはこんなにきれいな色じゃないしなあ。

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Comments

漱石先生の次は王維ですか・・・

今日、ちょいと立ち読みした本に神田の古本屋・・・八木書店という国文学専門の巨大な古本屋・・・のオヤジの話が載っていて・・・

教育関係の先生の話を聞くと、この社会を生きて行くためには文学は必要とされていないそうな。実際、国文学をやっている人が金儲けに成功をしたって話は聞いたことはないし。でも文学はなくならないんですよね・・・

なんて内容だったかな・・・てなことで私も金儲けとは縁がなく・・・

釧路には行きたしと思へど
釧路はあまりに遠し

Posted by: 三友亭主人 | October 19, 2012 at 22:37

>三友亭さん

 漢文・漢詩はちっともわからないので、たまに文庫本をめくってみる程度です。王維の詩では、例の「空山不見人……」というのが高校の教科書に載っていました。

> この社会を生きて行くためには文学は必要とされていない

 たしかに金を儲けようと思ったら、空きっ腹を抱えて「空山不見人」なんてうなっているようじゃダメですよ。一財産作って別荘を建ててからなら話は別ですけど(笑)。

 別荘の土地の竹藪の中で、明月来ツテ相照ラス、なんてのは実にカッコいいです。やがて美女が琥珀の美酒を持って現れれば、もういうことありません……てなことをいっているから、一生うだつが上がらないというお粗末。

Posted by: 薄氷堂 | October 19, 2012 at 23:07

「頽顔」・・・実感ひしひしな今日この頃・・・・

山本夏彦の「最後のひと」を再読したのですが、「鷗外露伴漱石までは漢文の素養がある」ということがこれでもか!と繰り返し出てきます。
こうやって漢文の中から事象をぴたりと言い表す語句を覚えるから、みっちり詰まった重厚な文章が書けるようになるのですね。
憧れますわぁ。
是非、これからもこういう素敵な言葉(漢文の一節)を紹介してください~。

あ、でも、無闇に漢字熟語を使うのも小説にとっては逆効果なこともありますねぇ。
特に会話で。
「そんな言葉、話し言葉で使わないよ!」というのが最近とても気になります。

Posted by: りら | October 20, 2012 at 05:32

>りらさん

 明治の人は漢学の「素養」がありすぎますよ。

 三人の中では、(ときとしてエリートぶりが鼻につく)鴎外の史伝小説(でよかったかな)などは、おまえなんぞに読んでもらわなくてもいいといわんばかり、まるで門前払いをくらったようなものです。

 でも露伴の『運命』には感心しました。漢文調なんですが、流れるような名文で、たいへん格調が高く、一気に読んでしまった覚えがあります。これはすごい人物だと思いましたね。

 漱石はずいぶんむずかしいことも書いているのに、やはり『坊ちゃん』や『猫』のイメージがあるせいか、三人の中ではもっとも広く愛されているようですね。鴎外ではこうはいかないでしょう。

> 是非、これからもこういう素敵な言葉(漢文の一節)を紹介してください~。

 ふだんドブロクを飲んでいる男に VSOP を紹介せよというくらいむずかしいご注文ですが(笑)、努力いたします。

Posted by: 薄氷堂 | October 20, 2012 at 09:47

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