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October 13, 2012

Daily Oregraph: 暗号解読?

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 昨夜は豪雨。とりわけ白糠は猛烈な土砂降りで、根室本線が不通になったり、国道が渋滞したりという騒ぎになったらしい。

 裏庭の白カブが心配になったので行ってみると、どうやら無事のようで一安心した。しかしこのところ急激に気温が低下してきたから、どこまで成長するかはわからない。

 さて今日も地味な読書はつづく。たまには暗号解読でもいかがだろうか。

 主人公のピップは両親を失い、姉夫婦の家に厄介になっている。ピップは、ろくに学のないばあさんが開いている村の学校で学んでいる。しかしこれが学校とは名ばかりの、まともな読み書きを身につけるのはむずかしいという、ひどく水準の低い代物なのである。

 ある夜、ピップは勉強の成果を姉の夫ジョーに見せたい一心で、石板に手紙文を書くのだが……

121013_pip

 テキストでは再現がむずかしいのでスキャンした。暗号としては初歩の初歩だろうが(笑)、わかりにくいことはまちがいない。苦労して解読してみたのがこちら。あえて句読点を入れず(ただし行頭と思われる文字は大文字にしておいた)、各行完全に対応させてあるから、対照してごらんいただきたい。

  My dear Joe I hope you are quite well I hope I shall
  soon be able for to teach you Joe And then we shall be
  so glad And when I am apprenticed to you Joe what larks
  And believe me in affection Pip.

 ひとつだけご説明しておくと、I am apprenticed 云々は、適当な時期が来たら、ピップは鍛冶屋であるジョーに弟子入りすることを指しており、そうなったらどんなに愉快だろうというのである。

 正直にいうと、一箇所(INF XN)だけカンニングしたのである。文法の誤りを訂正後の完全な文章はこちらをご参照いただくとして(長い記事の最後にある)、INF XN が in affection とは、日本のおじさんにすぐ浮かんでこなくても無理はないだろう。なにしろ先生がいないのだから、多少のズルはご容赦いただきたいところだ。

 この手紙を見せられたジョーはまるで学問がなく、自分の名前にある J と O を拾い読みするのが精一杯だから、すっかり感心して、ピップをおおいにほめる。まったく読み書きできない男が、判じ物のような文章をほめるところは、なんとなくホロリとさせられる場面である。

 ピップの通った学校(evening school)は決して特殊な例ではなく、19世紀半ばに国が教育に本腰を入れるまでは、田舎の学校の多くは似たような水準だったらしい。強国イギリスにしてそうだったのだから、当時の日本の教育水準はあなどれぬものだったはずである。

 それにしてもピップの文章に苦労するようでは、まだまだ勉強が足りない(笑)。さっぱり先へ進まないのも道理である。

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